最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件は、福岡県下の筑豊地区の炭鉱で働き、じん肺に罹患した元従業員本人あるいはその相続人が、炭鉱経営企業・国を被告として、元従業員一人につき三三〇〇万円(慰謝料三〇〇〇万円及び弁護士費用三〇〇万円)の支払を求めた筑豊じん肺訴訟の控訴審判決である。この訴訟で被告に...
《解 説》
一 本件は、被控訴人がNHK総合テレビの番組「生活ほっとモーニング」において行った「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」と題する、控訴人の元夫に対するインタビュー等を交えた放送(以下「本件番組」という。)において、控訴人が元夫の仕事による多忙などを理解せず、一方的に不満を...
《解 説》
一 Xは、漫画の原作、児童文学作品等を主な活動領域とする著述家であり、Yは、漫画家である。漫画「キャンディ・キャンディ」は、月刊少女漫画雑誌に四年間にわたって連載された連続したストーリーを有する漫画であり、連載全体として一つの著作物である。本件は、YがXとの合意に基づくことなく...
《解 説》
一 本件は、スナックのホステスであった被告人が、スナックの女性経営者から金品を強取しようと企て、当時一二歳一〇か月の中学一年生であった長男に対し、覆面をしエアーガンを突き付けて脅迫するなどの方法により同経営者から金品を奪い取ってくるよう指示命令して、強盗を実行させたという事案で...
《解 説》
一 本件は、横浜市内に居住する一八歳の少年である申立人が、福島県郡山市内において、他の少年二名と共謀の上、被害者に対して暴行を加えて死亡させたという傷害致死事件である。福島地検郡山支部検察官が、申立人を勾留した上捜査を遂げ、福島家裁郡山支部に送致し、同支部は、福島少年鑑別所を指...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、後に確定死刑囚となる刑事被告人らの支援者らが同被告人らに対してなした寄書入りTシャツの差入れを受け付けなかったこと、同支援者らがゼッケン等を携帯した状態で同被告人らと接見することを許さなかったこと、同支援者らが同被告人らに送付した手紙等の一部を削除する...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。福島県は、県道改良工事の一環として、被告会社の経営するゴルフ場予定地の下を貫通するトンネル(以下「本件トンネル」という。)の開設工事(以下「本件トンネル工事」という。)を行った。原告らは、本件トンネル工事を行うよりも、本件トンネルのルートにつ...
《解 説》
一 本件は、私病による休職期間満了を理由に解雇された従業員が、解雇の効力を争い、従業員たる地位の確認等を求めた訴訟において、調停に付し、民事調停法一七条による決定をした事案である。
Xは、工事稟議起案等の業務を行っていた者であるが、目に異常を生じ、その治療等のため、有給休暇を...
《解 説》
本件は、いわゆる商工ローンの根保証契約をめぐって責任の存否と範囲が争われた事案である。
被告Yと訴外Aとは中学校時代の同級生で、卒業後は深いつきあいはなかったが、たまたまあるときYとAは会う機会があって、AはYに対しいわゆる商工ローン会社であるXから融資を受けるについて保証人...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、①公道に接する土地を所有するXが、右土地との共有物分割により袋地となった土地を競売により取得したYに対し、X所有土地上の人が通行することのできる現在の通路部分について囲繞地通行権があることを認めつつ、その余の部分の通行権の存在しないことの確認を求め(本...
《解 説》
一 Xは、池袋西口に土地建物を所有してビル賃貸業を営業していたが、駅ビル建設事業に参加し、所有地を提供し、建設された建物の区分所有権を取得した。そして、Xは、百貨店を経営するYとの間で、右区分所有権のある部分(ビルのフロア)について賃貸借契約(賃料額の約定は、「公正な額」)を結...
《解 説》
本件は、リース会社Xが、花卉の販売業者であるY1に対し、生花を貯蔵する保冷庫をリースしたが、Y1がリース料の支払をしないので、Y1及び連帯保証人Y2に対し、契約に基づき、残リース料四五三万余円から、Xにおいてリース物件を他へ売却した代金二九五万円のうち、売却時の修理代九〇万余円...
《解 説》
一 旧借地法四条一項は、「借地権消滅の場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物ある場合に限り、前契約と同一の条件をもって更に借地権を設定したものと見做す。但し、土地所有者が自ら土地を使用する場合その他正当の事由ある場合において、遅滞なく異議を述べたときはこの限り...
《解 説》
一 Xは、一九七〇年代に爆発的に流行したスマイルマーク(判決末尾添付の別紙記載のマーク)を使用し、その創作者で新聞社のオーナーであると称するフランス人とライセンス契約を結んで、日本における代理店としてライセンス事業を行っており、日経新聞等にその旨の全面広告を掲載するなどしていた...
《解 説》
一 原告は、自己所有の株券を何者かに窃取されたところ、ある人物がこれらの株券を被告会社に持ち込み、その売却取次を依頼した。被告会社は、これを受けて、これらの株券を第三者に売却し、その売却代金を取次依頼者に交付したが、それらの株券の一部は、依然として被告会社が占有している。
原...
《解 説》
一 Xは、平成六年六月ころ、顎関節症と診断され、スプリント療法を受け、歯科医院に通院するなどしていたが、平成一〇年八月、同僚の紹介でYの経営する歯科医院を訪れて診察を受けた。
同医院における諸検査の結果、咬合不全、神経筋機構の異常等の所見が認められたため、Yは、顎関節の位置関...
《解 説》
一 Xは、平成四年当時、タクシー運転手として稼働していた者であるが、胸内苦悶感、喉頭部違和感(通過障害)等があったため、同年九月、Yが開設・運営する「県立広島病院」で診察を受けたところ、食道アカラシア再発(術後再狭窄)により、外科的治療を行う必要があると診断された。
そして、...
《解 説》
一 Xは、平成九年四月、第二九類「乳酸菌飲料」を指定商品とする容器の形状の本願商標につき、立体商標の商標登録出願をしたが拒絶査定を受けたので、特許庁に審判を請求したが、拒絶査定を支持する審決があったので、審決取消訴訟を提起した。
特許庁の審決は、「商品等の機能又は美感とは関係...
《解 説》
一 本件は、翻訳の著作物に関する複製権侵害が争われた事案であり、その概要は、以下のとおりである。すなわち、X(原告)は、米国の作曲家レナード・バーンスタインが著作した英語版演劇台本「Young People's Concerts What Does Music Mean?」(邦...
《解 説》
一 本件は、音楽の共同著作物の共有者の一人であるXが、他の共有者であるYに対して、両者の間で、音楽の共同著作物に係る著作権法六五条、六四条所定の共有著作権行使の代表者の地位をYとする旨合意した契約を解除したと主張して、Yが右代表者の地位にないことの確認を求めた事案であり、その概...
《解 説》
一 Xは英国内において顧客名義で骨董品等を買い付け、顧客に対し同商品代金相当額を貸し付けた上、売主に対し、右貸金をもって商品代金を支払うとともに、同商品の運送手続を行うこと(本件業務)を業とする英国法人である。Yは日本法人であり、Xに対し本件業務を反復して依頼した。
Xは、Y...
《解 説》
本件は、不動産競売手続における目的建物の買受人Aが民事執行法八三条に基づき建物賃借人Bに対する引渡命令の申立てをした事案である。
Bの有する建物賃借権は、本件不動産競売手続における最先順位の抵当権の設定登記がされた平成三年七月一九日より後の同年九月二九日に締結された期間を五年...
《解 説》
一 本件は、佐川急便事件と総称される一連の特別背任事件の中で、当時の東京佐川急便の代表取締役社長である被告人が関与したとされる①平和堂グループ関係事件と②北東開発・北祥産業関係事件についての控訴審判決である。
①平和堂グループ関係事件とは、被告人が、個人的に親しくしていたBを...