最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 地方自治法242条の2第1項4号にいう「当該職員」とは法令上本来的に当該財務行為の権限を有するとされている者、この者から地方自治法153条により当該財務行為について委任を受けている者及び当該地方公共団体内部の制度上当該財務行為を行うかどうかの意思決定を行い得る地位ないし職にある者をいう 2 県が靖国神社の春秋の例大祭、みたま祭に際して玉串料、献灯料としてした支出が憲法20条3項で禁止されている宗教的活動に当たるとされた事例 3 県が県遺族会が行う慰霊大祭に対する供物料の名目で支出した金員が、県護国神社の春秋の慰霊大祭に対する供物料であると認定され、これが憲法20条3項で禁止されている宗教的活動に当たるとされた事例 4 財務会計上の行為が委任されているが、当該財務会計上の行為を委任者がしたとして、受任者ではなく、委任者に損害賠償責任を認めた事例 5 財務会計上の行為について専決権者ではなく、法令上本来的に権限を有する者がしたとして、その者に損害賠償責任を認めた事例
国税徴収法34条所定の第二次納税義務者は、主たる納税義務者に対する課税処分等の無効確認及び取消の各訴えについての原告適格を有するとされた事例
部落解放同盟による部落解放のための闘争に要した費用、右闘争に関して起きた刑事裁判の公判闘争費用、いわゆる挟山事件の公判闘争の費用等に対する補助金として、町の公金を支出した場合の町長の右支出負担行為ないし支出命令が違法であるとして、町長に対し、地方自治法242条の2第4項に基づく代位による損害賠償請求が認められた事例
タクシー会社がタクシー運転手の副業を懲戒解雇事由として就業規則に定めているのを合理性ありとし、これに基づく懲戒解雇を有効であるとした事例
1 使用者が労働者に対し労働契約に基づき命じ得る業務命令の内容には、労働契約上明記された本来的業務ばかりでなく、労働者の労務の提供が円滑かつ効果的に行われるために必要な付随的業務も含まれるところ、自動車営業所構内に降り積った火山灰を除去する作業は、業務遂行上必要なものであるから、労働契約上の付随的業務として、労働者は右作業命令の応ずべき義務があるとされた事例 2 右作業命令は、組合員バッチの離脱命令に従わなかった国労組合員に対し、7、8月という暑さの中、10日間もの間長時間にわたって降灰除去作業を行わせたというものであって、懲罰的に発せられたものといわざるを得ないから、業務命令権の濫用に当たり違法であるとされた事例
1 商社を通じて韓国から靴下を輸入していた繊維製品卸売業者につき、商社が業者に対してなした、為替相場変動による輸入費用清算の特約に基づく清算金請求に対する、業者の右特約のみの解除の主張が認められなかった事例 2 右清算金請求に対する、業者の民法173条1号所定の短期消滅時効の援用の主張が認められなかった事例
無人踏切を横断中の幼児が電車にはねられて死亡した事故について、遮断機、警報機がない以上設置に瑕疵があるとして、土地工作物責任が認められた事例
胃癌の全身転移によって死亡した患者につき、死亡の原因を医師の安易な神経ブロック施行又は癌転移に対する無策にあったとする主張、及び延命措置の懈怠があったとする主張がいずれも排斥された事例
鍼灸師が患者の頸部へ埋没鍼法という施術をした後感覚麻痺等の後遺症が生じた事案につき、鍼が移動しないような確実な措置を取らずに右施術を行ったこと等に過失があるとして鍼灸師の債務不履行責任が認められた事例
学校における小学生間の悪遊びによる人身事故について、学校側の賠償責任が否定されたが、加害児童の両親の賠償責任が肯定された事例
1 在日韓国人男女が日本の方式により日本の市区町村長に婚姻届を提出したが、韓国の戸籍機関に婚姻の申告をしていない場合の当該婚姻の効力(積極) 2 右方式により婚姻をした韓国人女性が大韓民国民法1009条2項にいう「同一家籍内にない女子」にあたり、その相続分は男子の相続分の4分の1になるとされた事例
1 物品を受領した商人に商法510条所定の受領物品保管義務違反が認められた事例 2 商法510条の責任が認められる場合に、物品を送付した商人の帰責事由を考慮して損害の一部につき過失相殺(5割)を行った事例
1 商法204条ノ2第2項により株式の譲渡の相手方とされた者からする同法204条ノ3第1項による株式売渡請求権行使と売買契約の成立(積極) 2 右の者からする右株式売渡請求権行使の撤回(消極) 3 商法204条ノ2第2項により株式会社からする株式の譲渡不承認の通知とその撤回及びあらためてなす譲渡承認の適否(消極)
共同運行供用者であり自賠責保険契約の被保険者である甲とその妻乙のうち、乙が子丙を被保険自動車に同乗させて無理心中し、甲が丙を相続した場合において、甲の自賠法16条1項に基づく請求が許されないとされた事例
自己の控訴期間が満了した者は、それが必要的共同訴訟であって他の共同訴訟人の控訴期間が残っている場合であっても、自ら適法な控訴を提起することはできない
訴訟の第三者たる市長が公害健康被害補償法(公健法)に基づき作成所持している指定疾病の認定及び障害補償給付の支給決定に関する各種資料は民訴法312条3号前段の文書に該当するか(積極)
1 道路交通法所定の車間距離の不保持が条件となって発生した追突人身事故において追突車運転者の過失が否定された事例 2 先行車の突然完全停止に対する予見可能性が否定された事例
業務上過失致死傷事件について、およそ不可抗力的な事態が存したとは考えられないとしたうえ、交通事故の実態に即応する形に訴因を変更するよう検察官に対して命令ないし勧告することなく、いきなり無罪を言い渡した1審裁判所の措置に審理不尽の違法(訴訟手続の法令違反)があるとした事例
別件覚せい剤取締法違反被疑事実による被告人方の捜索差押許可状に基づき室内を捜索中の警察官が、現場に居合わせた被告人の指を無理に開けて覚せい剤を発見した行為は、右許可状に基づき被告人の身体に対する捜索として行われた強制処分として適法であるとされた事例
いわゆる一般的指定のなされている勾留中の被疑者とその弁護人との接見交通につき、検察官が接見指定の要件がないのにこれにこだわり、弁護人の接見を妨害したとして、弁護人からの国家賠償請求が認容された事例
1 昭和48年4月までの出生児について、未熟児網膜症に対する治療法として光凝固法又は冷凍凝固法を実施することが、当時の臨床医学の実践における医療水準になっていたとはいえないとされた事例 2 国(厚生大臣)が未熟児網膜症を予防するため、医師が準拠しうる基準を設定すべきであったとする主張が排斥された事例