最も長い歴史をもつ判例実務誌
[解 説]
1 事案の概要
本件は,X(相手方)の株主であるY(抗告人)らは,Xの株主総会において,Xのテレビ放送事業及び映像・文化事業に関して有する権利義務を,Xの完全子会社である吸収分割承継会社に承継させ自らをその持株会社とする旨の吸収分割に反対した上,買取請求権行使期間の最終日にXに...
[解 説]
1 本件は,石川県白山市長が,市内にある白山比咩神社の鎮座2100年を記念する大祭を奉賛する団体の発会式に出席して祝辞を述べたことが,憲法の政教分離規定に違反し違憲であり,上記出席に伴い支出した運転手の手当等相当額の損害を市が被ったとして,市の住民である原告が,同市長を被告として...
[解 説]
1 本件は,貸金業者であるYとの間で長期間にわたり金銭消費貸借取引を継続してきたXが,Yに対し,過払金の返還等を求めた事案である。
2 東京地裁は,平成12年6月30日,Yに対する更生手続を開始する旨の決定(以下「本件決定」という。)をし,平成13年1月31日,更生計画認可の決...
[解 説]
1 本件は,Xが,自宅と道路を隔てた土地で本件葬儀場を経営するYに対し,その営業により日常的な居住生活の場における宗教的感情の平穏に関する人格権ないし人格的利益を違法に侵害されているなどと主張して,①上記人格権ないし人格的利益等に基づき,Xの視線から葬儀等を隠すために,本件葬儀場...
[解 説]
1 本件事案の概要
被告人Aの弁護人を務めるX弁護士は,平成19年9月,Aが勾留されているB刑務所に行き,担当職員に対し,反省文を作成させるためであると説明して,持参してきた便せん,一重封筒の差入れ(本件差入れ)を申し出たが,差入れできる便せん,封筒をB刑務所内の売店で取り扱っ...
[解 説]
1 本件は,Xが,高血圧症の基礎疾患を有していたところ(当時53歳),警察官(警部補)として警視庁第一自動車警ら隊に所属して勤務中の平成14年2月17日昼食後に(高血圧性)脳内出血(本件疾病)を発症して(左手が動かず,呂律が回らず,椅子から立ち上がれなくなった。),東京警察病院に...
[解 説]
1 本件は,D(銀行)がアレンジャーとなって組成した借入人Fに対するシンジケートローンの参加金融機関であるA~C(信用金庫ないし銀行)が,貸付実行後にFの経営が破綻し,Fに対する民事再生手続開始決定がなされたところ,DがAらに対してFの粉飾決算に関する情報提供をする義務を怠るとと...
[解 説]
1 投資組合Xは,Yら(投資事業組合財産の運用及び管理等を目的とする株式会社Y1,投資顧問業者に投資紹介を行っていたY2)との間で,第三者割当てにより株式の有利発行を受けるための資金を預託して配当を受ける旨の出資金預託契約を締結した。Xは,この契約には,「元本保証のうえ,出資額に...
[解 説]
1 事案の概要
(1)本件は,X(名古屋市)が,その発注した2件のごみ焼却施設建設工事(猪子石工場工事及び五条川工場工事。以下併せて「本件各工事」という。)について,建設業者であるY1(猪子石工場工事の受注者),Y2(五条川工場工事の受注者),A,B及びC(以下併せて「本件5社...
[解 説]
1 本件は,交通事故により両下肢完全麻痺等の重度の後遺障害が残存したX1(事故当時16歳の男性),父X2及び母X3が,同事故の加害車両の運転者であり保有者であるYに対し,自賠法3条本文又は民法709条に基づき損害の賠償を求めた事案であり,①過失相殺,②被告が賠償義務を負うべきX1...
[解 説]
1(1)本件は,同級生から嫌がらせを受けた被害生徒及びその両親が,加害生徒,その母親及び学校を設置する京都市に対し,不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案である。
(2)事実経過
X1とY1は,中学校の同級生であった。Y1はX1に対し,肩パン(肩付近をパンチす...
[解 説]
1 本件は,被相続人Aが相続財産(不動産,現金,貯金債権)のうち不動産全部(主として農地。本件不動産)を相続人の1人乙に相続させる旨の遺言をしたが,不動産所在地に居住していない乙はその取得を望まず,法定相続分の割合に沿う他の相続財産の取得を望み,他の相続人甲,丙(他の都市に居住)...
[解 説]
1 事案の概要
(1)①事件について
原告が,発明の名称を「スナップ構造」とする本件発明に係る被告の特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした本件審決には,本件発明と引用発明との相違点についての判断を誤ったほか,サポート要件についての判断...
[解 説]
1 本件は,光学的文字読取装置(OCR)に関するパターン認識方法,同装置及び同辞書作成方法に係る発明の発明者である原告が,元使用者である被告に対し,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条に基づき,原告が被告に承継させた上記発明に係る特許を受ける権利の相当対価の支払を求め...
[解 説]
1 本件は,診療所を開設している原告(医療法人)が,約700メートル離れた場所に被告(医師)の開設した診療所の名称(被告表示:「かわの皮ふ科」)が,周知表示である原告診療所の名称(原告表示:「かわの皮フ科・形成外科」)に類似するとして,被告表示の使用差止め及び抹消を求めた事案であ...
[解 説]
1 事案の概要(なお,略称は,本判決の略称に従う。)
(1)原告は,平成10年6月10日,ごみ焼却施設の建設工事(本件工事)について,指名競争入札を実施し,入札結果に基づいて被告を受注者と決定し,平成10年7月30日,契約金額249億9000万円で請負契約を締結した。
(2)...
[解 説]
1 抗告人は,抗告人と債務者との間の雇用関係の先取特権に基づき,債務者に対する給料債権を被担保債権及び請求債権とし,債務者が第三債務者に対して有する業務報酬債権を差押債権とする債権差押命令を申し立てた。
原審は,民法306条2号の雇用関係によって生じた債権についての先取特権に基...
[解 説]
1 本件は,被告人が,甲社発行の新株券の取得に際し,真実は,払込金額の大半は直ちに社外に流出させるものであるのに,その情を秘し,あたかも当該増資によって資産取得等に使用される相応の資金の確保が図られたかのような虚偽の事実を公表させることにより甲社の株価を維持させた上で,取得に係る...