最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、一審被告の従業員としてコンピューターソフトウェア開発業務に従事していた亡Aの相続人である一審原告らが、一審被告に対し、Aが、平成二年五月二〇日、脳幹部出血により死亡したのは、一審被告において過重な業務に従事したことが原因の過労死であり、一審被告には安全配慮義務を尽く...
《解 説》
一 Xは、債務者Aの所有する本件土地につき抵当証券上の抵当権を有するので、平成九年一一月、東京地裁に右抵当権の実行のため不動産競売手続の申立てをしたところ、同裁判所は同月競売開始決定をした。
ところが、同裁判所は、平成一一年三月、Aとの間で本件土地上にビルを建築するための請負...
《解 説》
一 本件の事実関係は、本判決が要約するとおりであるが、株式会社ユニマットの監査役兼代理人として、日本織物加工株式会社を対象とするM&A交渉に携わっていた弁護士の被告人が、M&A交渉に際し日本織物加工とユニマットらとの間に締結された秘密保持契約の履行に関して、日本織物加工の業務執...
《解 説》
一 本件は、死刑確定者として東京拘置所に収容されているX(いわゆる連続企業爆破事件につき殺人等の罪により死刑判決が確定した。)が、新聞に死刑制度の是非に関する投書をしようとしたところ、拘置所長であるY1からその発信の不許可処分を受けたことにつき、右処分は監獄法(以下「法」という...
《解 説》
一 本件は、自動二輪車に乗車中、他の車両に衝突し事故死した少年の遺族が、警察の判断と異なり、同乗者が運転者であったと主張して、同人に対し提起した損害賠償請求が不当訴訟になるかどうかが問題になった事件である。
事実関係の概要は次のとおりである。
Aと友人Yは、自動二輪車に同乗...
《解 説》
一 本件の争点は、債権に質権を設定した債権者(以下「質権設定者」という。)が、当該債権の債権者たる地位に基づき当該債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の破産申立てをすることができるかどうかである。
二 本件の事案は、おおむね以下のとおりである。
1 抗告人は、相手方(...
《解 説》
一 本件は、中国(台湾)国籍を有する外国人で、日本人男性と婚姻関係にある原告が、出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)七条の二第一項に基づき、被告(法務大臣)に対し、原告が法別表第二の日本人の配偶者等の在留資格に該当する旨の在留資格認定証明書の交付申請を行ったところ、被...
《解 説》
一 本件は、控訴人(原審原告、以下「控訴人」という。)が、ゴルフ場開発業者の提出に係る文書等を埼玉県行政情報公開条例に基づき非公開とした処分の取消を求めた事件の控訴審判決である。
二1 埼玉県行政情報公開条例(以下「本件条例」という。)六条一項は、実施機関が公開しないことがで...
《解 説》
一 東京都の住民であるXは、東京都公文書の開示等に関する条例(昭和五九年東京都条例第一〇九号)六条に基づき、実施機関である都知事(Y)に対し、都立の専門校に係る労働基準法適用事業報告書、衛生管理者及び産業医の各選任報告書等の開示を請求した。
労働安全衛生法、同法施行令によると...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、平成七年一〇月、自己の所有する自家用乗用自動車について、自ら一二か月点検を実施し、右点検において、ブレーキ・ドラムを取り外し、ライニングの摩耗状況等について点検し、異状がなかったので、内部には手を触れずに、取り外したブレーキ・ドラムを再度取り付けた(本...
《解 説》
一 Xは、Yの本部総務部長職にあった者であるが、平成八年四月一日、定期昇給を延伸する処分(以下「本件昇給延伸処分」という。)を受け、さらに、同年七月一日、定期昇給されたものの、「本部総務部長職を解職し、本部付の係員を命ずる。」との処分(以下「本件降格処分」という。)を受けた。そ...
《解 説》
一 本件は、酒造業労働者の過労に対する安全配慮義務が問題となった事例である。Xは、毎年冬、酒造業者であるY方に住み込んで、酒造りの職人(蔵人)として稼働してきたが、六五歳であった平成六年一二月、脳梗塞を発症して約五〇日間入院し、その後も通院している。軽度の麻痺を残し、軽作業にし...
《解 説》
一 本件は、建物が自己の所有であると主張するX(原告、控訴人)が、Y(被告、被控訴人)に対し、建物に設定されたY名義の抵当権設定登記等の抹消を求めた事案である。本件では、建物の登記名義は抵当権設定登記前にAに移っており、YはAから抵当権設定等を受けている。XからAへの建物登記名...
《解 説》
一 本件は、商品がA↓X↓Y↓Bと流れるコンピューター用品の転々売買取引に参加した中間介入商社であるXが、同様に中間介入業者であるYから、目的物を受領した旨の連絡を受けたことから、Aに代金を支払ったうえで、Yに代金の支払を求めたところ、Yが目的物の引渡を受けていないとして同時履...
《解 説》
一 伊勢新聞社(以下「X社」という。)はA県下で日刊紙伊勢新聞(以下「X新聞」という。)を発行する新聞社であるが、YがB市の市長に当選して以来Yの人格や市政運営等を厳しく批判ないし非難する連載記事等を掲載してきた。平成四年八月ころ、Yの女性関係、Yと業者の癒着、YによるB市職員...
《解 説》
一 本件は、週刊誌「フライデー」に、公金をその活動財源とする原告が、私的な行事である原告元会長笹川良一の本葬に際し、他の葬儀主催者と共に、①カーター元大統領に対し、参列を要請し、参列に係る諸費用として、「VIP」という予算項目に五〇〇万円を、②宮家の参列を実現するために何らかの...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、帰宅途中の交通事故により負傷したXが、傷害保険契約(業務中及び通勤途上の事故について保険金を受けとるというもの。)に基づき、保険会社であるYに対し、保険金の支払いを請求した事案である。
2 Xは、得意先との新商品販売に関する打ち合わせを終えた後、...
《解 説》
本件は、Xが、Yに対し、Yが後記標章(Y標章)を付したゴルフクラブ製品を輸入等する行為が、Xの有する商標権(本件商標権)を侵害すると主張して、Yの行為の差止め、右製品の廃棄及び損害賠償の支払を請求した事件である。
本件において、Xが侵害されたと主張する商標権は三つあり、判決添...
《解 説》
一 原告は「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務とする「ウイルスバスター」なる商標(本件商標)の商標権者であり、被告は「ウイルスバスター」等の標章(被告標章)を使用してコンピュータウイルス対策用のソフトウエアを記憶させた磁気ディスク等(被告商品)を販売している...
《解 説》
一 本件は、「FM信号復調装置」に関するアメリカ合衆国の特許権を有する原告が、被告の日本国内における行為が原告の特許権の間接侵害(米国特許法二七一条(b)項のactive inducement(積極教唆)及び同条(c)項のcontributory infringement(寄与...
《解 説》
一 Xは、訴外亡Aが所有していた本件農地について、Xを含む共同相続人五名への相続を登記原因とする所有権移転登記がされた後、共同相続人のうち、訴外B及びCと共同して、相続分の贈与を登記原因とする共有者B及びC持分全部移転登記申請をしたところ、Y(登記官)が、申請書に農地法三条一項...
《解 説》
一 Y組合は、三重県桑名郡長島町を地区としている水協法所定の漁業協同組合であり、定款において、議決権を有する正組合員の資格を「組合の地区内に住所を有し、かつ、漁業を営み若しくはこれに従事し又は河川において常例として水産動植物の採捕若しくは養殖をする日数が一年を通じて六〇日を超え...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。執行裁判所は、平成一〇年二月四日、売却方法を期間入札とし、その期間を同年五月六日から同月一三日午後五時まで、開札期日を同月二〇日午前一〇時とし、売却決定期日を追って指定とすることを内容とする売却実施命令を発令した。右入札に応札したのはA社一...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、不動産競売事件で、本件土地、建物につき最高価で買受けの申出をし、執行裁判所から売却許可決定を受けた。ところが、Xは、次の理由で売却許可決定の取消しを求めた。すなわち、本件競売対象土地上に建築物を建築するには宅地造成等規制法及び建築基準...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。Xは、不動産競売事件で、鉄骨造陸屋根六階建の本件建物につき四八〇一万円の最高価で買受けの申出をし、執行裁判所から売却許可決定を受けた。ところが、Xは、次の理由で売却許可決定の取消しを求めた。すなわち、本件建物は六階建ての建物であるところ、評...
《解 説》
一 本件事案の概要は、風俗店に勤務していた被告人が、被虐趣味を有する被害者(当時二九歳男性)に気に入られ、その指名により度々被害者宅に派遣され同人の求めに応じて下腹部を手拳で殴打する殴打プレイを行っていたところ、これに飽き足らない被害者から、現金八〇〇万円と引き換えに下腹部をナ...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の信徒であった被告人が、①サリンを生成・発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、教団代表者ら教団所属の多数の者と共謀の上、サリン生成化学プラント(いわゆる第七サティアン)を建設し、化学薬品を調達して右プラントに投入して作動させ、サリンの生成を企てたとい...
《解 説》
一 本件は、控訴人主催の一九九八年ワールドカップフランス大会日本対アルゼンチン戦観戦ツアー(本件旅行)の旅行契約(本件契約)を締結した被控訴人が、控訴人において参加人員分の入場券(観戦チケット)が入手できなかったため、現地で抽選することになり、結果的には抽選に当たって試合を観戦...