最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆる国鉄の分割民営化に伴って設立されたJR各社が国鉄労働組合(国労)の組合員を採用しなかったのは所属組合による差別の不当労働行為であるとして全国各地の労働委員会で争われた国労組合員採用差別事件のうち、北海道・九州の国労組合員にかかる事件である。なお、これら事件の...
《解 説》
一 本件は、国鉄改革に当たり、国労の組合員らがJR各社に採用されなかったことに関し、国労らがこの不採用は不当労働行為に当たるとして地方労働委員会に対して救済申立てをし、地方労働委員会からJR各社に対し、これらの者を採用したものとして取り扱わねばならないことを命じた救済命令が出さ...
《解 説》
本判決は、講学上「三者関係の給付不当利得」又は「三角関係の給付不当利得」の問題と呼ばれているものについて、最高裁として初めて立ち入った判断を示したものである。
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。本件の被告甲は、平成三年三月一五日、本件の原告であり貸金業者である乙から、...
《解 説》
埼玉県警察は、オウム真理教のいわゆる越谷アジトで使用されている普通貨物自動車につき、その使用の本拠地について虚偽の申請をし、自動車登録ファイルに不実の記録をさせ、これを備え付けさせたという電磁的公正証書原本不実記録、同供用の嫌疑を抱き、捜索場所を同アジトの建物等とし、差し押さえ...
《解 説》
一 本件は、書類の進達事務に関し、不作為の違法確認訴訟の訴訟要件である「処分」の意義が問題となった事案であり、同様の法的問題は、様々な場面で起こり得るもので、実務上参考になると思われるので紹介する。
本件の事案の概要は次のとおりである。文部大臣の史跡指定により、ホテル建設工事...
《解 説》
一 本件は、Xから市場での仲卸業の営業を譲り受けたと主張するY2会社及びY2会社を仲卸業者として扱っているY1市に対し、Xが、XとY2との間に営業譲渡契約が存在しないこと、営業譲渡に当たりY1市の中央卸売市場業務条例(本件条例)で要求されている市長に対する認可の共同申請及び市長...
《解 説》
一 本件捜索差押許可状は、よど号ハイジャック事件の被疑者の妻であるAに対する旅券法違反の事実を被疑事実とし、差し押さえるべき物を「被疑者らが出帰国した状況を記載したノート、メモ類」「北朝鮮工作員とみられる人物と接触したことを裏付ける写真、メモなどの文書」「旅券返納命令に関するア...
《解 説》
一 本件は、道路交通法違反(信号無視)の嫌疑で現行犯逮捕されたXが、任意捜査の段階で警察官Aらから暴行を受けて傷害を負わされたうえ、違法に逮捕されたと主張し、Y(東京都)に対して国家賠償法に基づく損害賠償を求めた事案である。
Xは、①白バイ乗務員Aに胸部を突かれて腰から地面に...
《解 説》
本件は、Aにマンションを売り渡した原告が、右売買契約はAの詐欺によるものであり、売買契約に際して原告には錯誤があったとして、錯誤無効と詐欺による取消を主張し、右マンションの登記簿上の所有名義人被告Y1(Aの従業員)に対し真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求め、...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、平成七年六月、持ち帰り弁当の販売に関するフランチャイズチェーンの事業本部であるYとの間でフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結し、三重県津市において持ち帰り弁当販売の営業を開始したが、売上が伸びず経営に行き詰まり、平成八年一月閉店に追い込ま...
《解 説》
X(代表者Z)は平成五年九月二七日、Y銀行との間で五〇〇〇万円を限度とする信用状取引契約及び三〇〇〇万円を限度とする手形割引取引契約を締結したが、その際、ZはXのYに対する債務につき連帯保証した。本件はXからYに対し、同七年六月末から同年九月末にかけて信用状の開設を申し込んだの...
《解 説》
被告は、建物の維持管理等を業とするカリフォルニア法人であり、日本に営業所を有し、原告アメリカ合衆国から、在日アメリカ大使館の燃料タンクの保守点検等の業務を委託されていた。本件は、被告の従業員であった訴外A他一名が本業務に従事していることを利用して、原告大使館の燃料タンクから長期...
《解 説》
一 本件は、被相続人Sの相続人であるXらが同じくSの相続人であるYらに対し、平成七年一〇月二四日付けの大阪家庭裁判所の遺産分割審判(以下「本件審判」という。)の無効確認を求めた事案である。Xらの主張の骨子は、次のとおりである。
S(平成四年五月一七日死亡)が生前作成していた公...
《解 説》
A社は、平成元年五月まで一株の額面金額五〇円、発行済株式総数一三二万株、資本金六六〇〇万円の株式会社であったところ、そのころ新株(額面五〇円)七六万株を発行価額一株三九四円(資本に組み入れない額一株につき一九七円)で発行し、これを第三者B社に引き受けさせた。なお、右発行価額は公...
《解 説》
一 東つ日が流る外そと三郡誌という、ふりがながなければ読めぬ奇妙な名前の大部の文書が青森県の旧家和田家に伝えられ、各種伝承の外、従来の日本史に知られぬ古代東北文化が記されているとして活字化されたが、間もなく現当主であるY(被告・被控訴人・被上告人)が先祖の筆跡と称して偽作したに...
《解 説》
Xら六名は、Yから土地を賃借し、建物を所有していたが、地代不払を理由に土地賃貸借契約を解除され、建物収去土地明渡しを求める訴えを提起された。Xらの訴訟代理人AとYの間で裁判上の和解が成立し、Xらは猶予期間として約九か月後に建物を収去して土地を明け渡し、賃料相当損害金を支払うこと...
《解 説》
一 日本人女性であるYは、ニューヨーク在住中アメリカ人男性Xとの間に子Aをもうけたが(XとYは婚姻しておらず、また、AはXに認知されてもいない。)、その後、Aを連れて日本に帰国した。Xは、Yに対し、Aをアメリカに戻すこと等を求める裁判をニューヨーク州家裁に提起し、右訴えの審理開...
《解 説》
一 X1は、京都市東山区に所在する医療法人であるが、同市伏見区内に所有する土地を造成して老人保健施設を建築することを計画し、宅地造成に関する工事の許可、建築確認等を受けたうえ、X2と建築請負契約を締結して右施設を建築しようとしたところ、近隣に居住するYらが、右施設の建築に反対し...
《解 説》
一 本件は、通称マル共事件の取扱い(二重開始で、先行事件は無剰余だが、無剰余にならない後行事件があるときは、先行事件を取り消さないでそのまま進行させる取扱い)が、民事執行法一八八条、六三条に規定する無剰余執行禁止に違反するか否かが問題となった事案である。事案の概略は次のとおりで...
《解 説》
一 本件は、被告人が、自己の運転する自動車を故意に被害者運転の自転車に衝突させ、病院に連れて行くと偽って同女を自車に乗せ、車内で強姦しようとしたが、未遂に終わったという事案で、犯行を中止した理由との関係で中止未遂の成否が争われたものである。この点につき、検察官は、被害者の「性病...
《解 説》
本件は、被告人が、所携のカッターナイフ一本(刃体の長さ六・八センチメートル、刃体の幅一・八センチメートル、刃体をさやに固定する装置を備える)を示して被害者を脅迫し、暴力行為等処罰に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「法」と略称する。)違反の各罪に問われた事案である。
...
《解 説》
一 本件は、東大阪市役所市長公室参事等の職にあった被告人が、現職の市長を推薦し支持する政治団体の事務等に関わる中で、多額の寄付金が集まった事実を秘匿することなどを意図して、同団体の幹部らと共謀の上、大阪府選挙管理委員会に提出する同団体の収支報告書に寄付収入の額を実際よりも過少に...
《解 説》
一 事件の概要
Xら夫婦は、昭和三一年から平成四年まで、創価学会に入信していた。Yは、昭和三五年から昭和五四年まで創価学会の会長、その後は名誉会長である。
Xらは、YがX1を、昭和四八年六月、同五八年八月、平成三年八月の三回にわたり強姦したことを請求原因として、不法行為に基...
《解 説》
一 本件は、平成三年の証券不祥事に係る株主代表訴訟である。野村證券の株主である原告は、同社が一部の顧客に対して合計一六〇億円のいわゆる損失補填をしたことにつき、当時の代表取締役である被告らに対し、旧証券取引法及び独占禁止法一九条に違反し、かつ、取締役としての善管注意義務・忠実義...