最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 いわゆる官官接待などに使われた地方自治体の食糧費の使途を明らかにするため、住民が情報公開制度によって食糧費に関する公文書の開示を求める動きが強まっている。本件は、東京都の住民である市民団体代表が、東京都公文書開示条例に基づいて、都知事を相手に、東京都の臨海副都心開発の関係部...
《解 説》
一 本件事案は、以下のようなものである。中核派に近い政治的立場を採る甲は、関西新国際空港建設反対を唱えて泉佐野市議会議員選挙に立候補し、当選者二八人中二七番目の得票数で当選した。この選挙において甲を当選させる目的で、中核派の構成員と目される者五五名が集団で、泉佐野市に居住してい...
《解 説》
一 本件は、予防接種後に生じた障害について、予防接種との因果関係が争われた事例である。
原告X1は、昭和六三年一月(当時ほぼ五才)、百日せき・ジフテリア・破傷風の三種混合ワクチンの予防接種を受けたが、その数日後から発熱やけいれんを呈し、一か月後には意識障害、けいれん重積状態と...
《解 説》
本件は、Y府警の警察署長から委嘱を受けた補導員Aが少年Xに対して加えた有形力の行使を違法であるとしてYに対して提起された国家賠償請求(請求額一二三万円余)が七万円余の限度で一部認容された事案である。
本判決は、原判決を引用しているため、事案の詳細は不明であるが、AがXに対して...
《解 説》
県立高校の校門で遅刻者の指導に当たっていた教諭が安全を確認せずに校門を閉めたため、女子高生が圧死した事故があったが、同高校においては、その後、旧校門を撤去し、新たに校門を設置、改修する工事をした。本件は、県民であるXらが右の工事が何ら必要性もないのに保護者らの理解を得ずに行われ...
《解 説》
一 Xの夫Aは、昭和六〇年四月から千葉県立匝瑳高校の教諭として勤務していた者であるが、昭和六二年九月二三日、同校グランドで陸上部の部員の練習指導をした後、墓参りに行くため、車で千葉県旭市にある実家に向かったところ、途中胸が苦しくなったため、救急車で旭市内の旭中央病院に搬送された...
《解 説》
一 本件はいわゆる過労死が争われた事案である。
亡Aは、昭和六〇年六月当時、三一才で、電子機械製造を業とするR社の鳥取営業所長であったが、同年六月四日、出張先の京都本社から鳥取へ社用車を運転して戻る途中、心不全で死亡した。Aの相続人であるXは、Aの死亡は業務上の事由によるもの...
《解 説》
一 事案の概要
JR東日本大井町駅及び新浦安駅の各駅ビルを管理する被告が、駅ビルへのテナント募集に応じた原告に出店を準備させながら、最終段階で出店を拒否したとして、原告が、被告に対して信義則違反を理由に損害賠償を求める。これが本件の事案の概要である。
二 本判決の内容
「...
《解 説》
本件係争地の存在する墓地は、明治時代以前から七か村の部落民の使用する共同墓地であり、昭和四三年に至り、墓地の自主的な管理運営機構をより明確にする目的でX(代表者Z)が設立された。Yは、本件墓地に境界線を接している宗教法人であり、明治三四年に建立され、本件墓地内に初代住職の墓など...
《解 説》
Xら夫婦は、Y市内に二か所の土地(本件土地(2)、(3))を共有しており、その周囲をY所有土地(本件土地(1))が囲んでいる。本件土地(2)の上には建築確認を経ていないX1所有の倉庫二棟が建ち、本件土地(3)にはX1が所有し、Xらが居住する建物が建っている。Xらは、本件土地(2...
《解 説》
本件土地の所有者Aは、平成二年五月Xのため一番抵当権を設定したが、同三年一二月本件土地の一部に本件建物を建築し、同四年六月Xのため順位一番の共同抵当権を設定した。Aは本件土地抵当権を設定した後であって本件建物抵当権設定前の日を法定納期限とする国税等を滞納し、差押えを受けた。執行...
《解 説》
Xは化学ぞうきん等の清掃用品の貸付等を業とする会社であるが、昭和四四年二月、Y1との間で代理店契約を締結し、ママピカットなるサービスマーク入りの化学ぞうきんを提供した。右契約においては、Y2が代理店営業を他に貸与、譲渡しても差し支えないが、この場合はXの承諾を得るものとする約定...
《解 説》
一 本件は、Yがその発行する週刊誌に、X1が主宰する地球環境保護委員会が開催した国連環境計画への寄付金を集めるためのチャリティパーティについて、①「『偽装』十万ドルチャリティを演出したデヴィ夫人の『財欠』」との見出し、②「質素とドンブリ勘定と」の小見出しのもとに、③経理担当者が...
《解 説》
Xは、保険会社Y1の外務員であるA(Xの妻の妹)らから変額保険は相続対策として有効であるとして勧誘を受け、平成二年三月、自己及び妻をそれぞれ被保険者とする二口の変額保険に加入し、保険料一億七五九六万円余は飛込みにより銀行Y2から保証会社Y3の保証のもとに融資を受けて支払い、自己...
《解 説》
一 ケミカルタンカー「第六明和丸」は、昭和六〇年一二月一七日、岡山県倉敷市所在のA石油株式会社水島製油所棧橋で、ベンゼンの積込み作業中に爆発大破し、船長及び甲板長の二名が爆風で吹き飛ばされて死亡し、右タンカーの各タンクは破損してベンゼンが一部焼失ないし流失した。本件は、右ベンゼ...
《解 説》
一 本件は、三五年以上前に炭鉱の落盤事故で下半身不随になり、激痛を伴う後遺障害のほか慢性の心臓疾患があって療養中の男が、病院から退院した翌日の深夜、自家用車に妻を同乗させて自宅から車で約一時間以上かかる本件事故現場まで運転して行き、そこで岸壁から海中に転落して、両方とも死亡した...
《解 説》
一 Xの妻A(昭19・12・13生)は、昭和六〇年三月、Y病院で乳ガンによる右乳房切除手術を受け、術後五年を経過し、化学療法をいったん中止した後も、平成二年一二月、右胸壁にピリピリする痛みがあったほかは(なお、右痛みはほどなく消失している。)、特に異常もなく推移していた。
と...
《解 説》
一 昭和六三年七月、当時六五歳であった原告X1は、頚神経領域の帯状疱疹のため、被告Yが運営する病院に入院して、持続硬膜外麻酔法(カテーテルを硬膜外腔に挿入・留置し、薬液を注入する治療法)等による治療を受け、八月一一日の退院にこぎつけた。ところが、同日夕方頃から、頚部に異常を生じ...
《解 説》
Xは、被相続人の有していた預金債権について遺産分割を申し立てたところ、原審は、預金債権が可分債権として当然分割されることを理由に遺産分割の対象にならないとしてXの申立てを却下する審判を下したようである。
Xの即時抗告により、本決定は、金銭債権であっても遺産分割の対象とされるこ...
《解 説》
本件はYの株主総会で議長から退場命令を受け、会場から排除されたXが退場命令は違法であったと主張し、Yに慰謝料九〇万円の支払を求めた事案である。
本判決の認定したところによれば、事実経過はおよそ次のとおりである。すなわち、Yは平成七年六月一四日付で株主に対し総会の開催通知を発し...
《解 説》
亡Aは、K市内の賃借建物で小料理店等を経営していたが、昭和五一、二年ころ娘の夫Y1の勧めで賃借建物の敷地を買い取り、個人営業を法人成りさせ、同地上にビルを建築することとした。その結果、昭和五二年八月、有限会社Y8が設立され、同五三年六月、新築ビルにつき所有者をAとする建物表示登...
《解 説》
Xの夫Aは、Yとの間で基本契約死亡共済金を四〇〇万円、その死亡が不慮の事故等を直接の原因とする場合に支払われる災害死亡共済金を四〇〇万円、発効日を平成四年六月一日、満期日を同五年五月三一日とする共済契約を締結していたところ、Aは同年同月二三日、米国カリフォルニア州ビバリーヒルズ...
《解 説》
一 本件は、発明の名称を「鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具」とする特許権を、A会社と持分二分の一の割合で共有しているXが、Yに対して、Yが製造販売する補強金具の製品が、右特許権を侵害すると主張して、右製品の製造販売の差止めと不法行為に基づく損害賠償の請求をした事案であり、本判決...
《解 説》
一 Xは、A社の破産管財人である。A社は、平成六年一月に和議手続開始の申立を行ったが、再建に失敗し、和議開始の決定にも至らないまま、同年七月六日に和議申立を取り下げ、同月八日に自己破産の申立を行い、同月一三日に破産宣告がなされた。
Yは、破産債権者である。A社は、和議申立の後...
《解 説》
一 いわゆる佐川急便事件は四つの特別背任事件に大別できるが、本判決は、このうち二件(平和堂グループ関係・暴力団関係)について、東京佐川急便の代表取締役社長に対して言い渡された第一審判決である。平和堂グループ関係事件は、被告人Aが、個人的に親しいBを代表者とする平和堂グループ各社...
《解 説》
一 本件は、被告人が自分と不倫関係にあった女性の実母から多数回にわたって金銭を喝取し、犯行の発覚を防ぐためや新たな恐喝に利用するために強姦あるいは準強姦の犯行にも及んだという事案である。
二 本件では、各強姦の事実についての被害者の告訴が、刑訴法二三五条一項の「犯人を知った日...