最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、太平洋戦争中、日本国海軍の軍属として勤務中戦傷を負った原告が、戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下「援護法」という。)がその一一条二号、一四条一項二号等(以下「国籍条項」という。)及び同法附則二項(以下「戸籍条項」という。)により在日韓国人を同法による援護の対象から除外...
《解 説》
一 公立高等学校の体育教師であった被災者は、死亡前日に労作型の不安定狭心症の発作を起こし救急車で病院に運ばれ、入院のうえ安静を保つことが必要な状況にあったのに、その日は学校に戻り午後からの勤務に就き、更に翌日も出勤して授業の打合せを行った後、同僚の勧めで再度専門医の診察を受け、...
《解 説》
一 本件は、特別縁故者に当たると主張する者の遺言無効確認の訴えの訴えの利益(原告適格)が問題となった事案である。
二 昭和六一年一月に死亡したAは、法定相続人がおらず、いとこであるY1とその妻Y2に対し全財産を遺贈する旨の自筆証書遺言をしていた。本件は、AのいとこでY1の弟で...
《解 説》
一 本件事案と訴訟の経過は、次のとおりである。
Xの家族は、昭和五八年二月、神奈川県座間市にあるスーパーマーケットY店内でぺットショップを営んでいたテナントAから、手乗りインコ二羽を購入した。ところが、このインコがオウム病クラミジアを保有していたため、間もなく、家族がオウム病...
《解 説》
一 本件は、姉甲が弟乙のために損害賠償請求訴訟(前訴)を提起し、一審で敗訴判決を受けた後、禁治産宣告手続をとって乙の後見人に就職し、民訴法四二○条一項三号を理由に再審の訴えを提起したという事件である。事実上の後見人として行動していた者が後に適式に後見人に選任された後に、自己の無...
《解 説》
一 XとYが各自の有する公正証書に基づきAの給料債権を二重に差し押さえたため、執行裁判所は、供託された被差押債権額をX、Yの債権額で按分して配当する旨の配当表を作成した。そこで、XはYに対し、Yの公正証書債権は実在しないとして、供託額の全額をXに配当することを求める配当異議訴訟...
《解 説》
一 本件は、昭和六〇年に東京都町田市の和光大学で発生した内ゲバ事件に関し、逮捕及び逮捕に伴う所持品等の差押えの適法性が争われた事案である。本決定は、被告人の上告を適法な上告理由の主張に当たらないとして斥けたが、準現行犯逮捕と、逮捕に伴う所持品等の差押えの各適法性について、以下の...
《解 説》
一 原告は、平成元年三月、他人名義の旅券を用いてわが国に不法入国し、平成三年一〇月、勤務先のスナックの客の日本人男性と婚姻して、同年一二月、その男性との間に長女を出産し、平成四年四月、東京都足立区長に対し外国人登録上の居住地を同区内とする申請をした。そのころ、原告の不法入国の事...
《解 説》
一 東北郵政局長は、平成元年四月二一日、「職員胸章要綱」を制定し、これを受けた管内の各郵便局長は、「職員胸章内規」を制定し、Xらを含む全郵政職員に対し、胸章(ネームプレート)の着用を義務付けた。Xらは、右ネームプレートの着用を拒否したが、それにより、各郵便局長から、指導、警告、...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年六月当時、長崎県立壱岐高校の一年生であり、同月一五日から同月一七日まで、同校敷地内のセミナーハウスを使用して行われる「宿泊学習」に参加したものであるが、同月一六日深夜、女子生徒宿泊室内にいることが発覚し、指導監督教諭から頭部等を殴られ、廊下に倒れて顎から出...
《解 説》
一 宗教法人を含む公益法人等は、収益事業を営む場合に限り収益事業から生じた所得について法人税が課税されるが、収益事業以外の事業(非収益事業)から生じた所得については法人税を課さないこととされている(法人税法七条)。不動産貸付業は原則として収益事業とされるが、公益法人等が行う不動...
《解 説》
那覇防衛施設局長は、国が使用権限を取得して米軍に使用を許している沖縄県に所在する米軍施設用地について、使用期間の満了後も引き続き同用地として提供する必要があるとして、二五四筆の土地につき、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本...
《解 説》
一 A市の教職員の互助会であるB厚生協会は、かつてC組合の組合員でなければ加入できないと定めていたが、C組合の組合活動に批判的な組合員らがC組合を脱退してD組合を結成したので、規約を改正してC組合の組合員でない者にも加入資格を認めたが、加入の意思がある者は未加入期間の会費相当分...
《解 説》
一 本件は、中学校及び高等学校を経営する学校法人であるYに一年の試用期間付きで専任講師として雇用されたXが、試用期間経過後Yに本採用されず、雇用契約の終了を主張されたため、Yに対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び未払の賃金・一時金の支払を求めたという事案である...
《解 説》
本件は、九州のY2県内に山林を所有し、大阪府に居住するXが、当該山林内にY1町が設置した林道及びY2県が設置したダムの敷地の明渡し、再植樹に要する費用の賠償、土地使用料相当の損害の賠償を求めた事案である。
これに対しYらは、各工事についてXの承諾ないし追認を得たこと、地元の要...
《解 説》
一 事案の概要
債務者大井隆一は、自己所有の本件建物を第三債務者㈱クボタに賃貸していたが、債務者大井の債権者である被告㈱アイチ(控訴人)は、執行力ある公正証書に基づき、債務者大井の第三債務者㈱クボタに対する賃料債権につき差押命令を申し立て、執行裁判所は、平成三年六月三日、右賃...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年一二月当時、Yとともに、訴外会社に勤務していたものであるが、同月一三日夜、職場の忘年会が開催されたため、通勤に使用していた普通乗用車に乗車して、忘年会場に赴いた。忘年会終了後、気の合った者が二次会に行くことになり、Aも、Yとともに参加したが、二次会場には、...
《解 説》
一 本件は、うつ状態のため強い自殺念慮を有した亡きAがYの運営する本件病院に入院した後、自殺防止措置として施された抑制帯のひもを利用して縊死自殺を遂げたという事案において、亡きAの相続人であるXらが、亡きAに強い自殺念慮が存したことから、Yにおいて自殺予防のために厳格周到な監視...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
平成三年一月八日、被告Y1学園が運営する高校の一年生であったAは、体育授業の持久走に参加して意識不明となり、救急車で大学病院に搬送されたが、間もなく急性心不全によって死亡した。
Aの両親X1、X2が、Y1学園及びY1学園の生徒の健康診断業...
《解 説》
一 被相続人がその所有する不動産及び動産を全て長男である原告Xに譲る旨の自筆証書遺言を残して死亡したところ、他の相続人の一人である長女AがXに対して右遺言書の無効を主張するとともに、右遺贈について遺留分減殺請求の意思表示をして遺留分相当額の支払を求めた。そこで、Xは、相続人全員...
《解 説》
Yの株主であるXら(但し、一名は控訴審係属中にその地位を失った)は、Yの新株発行が無効であるとして商法二八〇条の一五に基づく無効の訴えを提起した。Xらは、新株発行の無効原因として、①新株発行差止仮処分に違反したこと、②商法二八〇条の四第二項に違反したこと(新株割当日の定めなし)...
《解 説》
一 A会社の代表取締役であるY1は、関連会社であるB会社の代表取締役も兼ねており、両会社を代表して、B会社の所有する土地・建物(第三者に賃貸中)について売買契約を締結した。Y1は、右取引に際しA会社の取締役会の承認を得ていたが、A会社の株主であるX1及びX2(X1は会社で、X2...
《解 説》
一 本件事案の概要は、以下のとおりである。
Y保険会社は、訴外Aと平成二年一二月に死亡後遺障害担保特約つき所得補償保険契約を締結したが、右保険契約には、Aが書面で通知することにより、いつでも保険契約を解約することができ、その場合に、Yは、領収済みの保険料からあらかじめ定められ...
《解 説》
一 南アフリカ共和国のバーキン社は、一九八三年(昭和五八年)頃から「BIRKIN」又は「BIRKIN SEVEN」という名称で、セブン型と呼ばれるレーシングカータイプの乗用車(バーキンセブン車)を製造販売していたところ、日本国内で自動車の輸入販売業等を営むXは、昭和六三年にバー...
《解 説》
一 Xは、Yに対して不法行為に基づく損害賠償を求める訴え(以下「本案訴訟」という。)を提起した者であり、甲は、右本案訴訟の担当裁判長である。
また、申立人は、別件訴訟(他部に係属)において、右本案訴訟とほぼ同一の事実関係に基づいて、Yと共にA銀行らを共同不法行為者として、同人...
《解 説》
根抵当権に基づく本件競売の債権者Xは、当該根抵当権を譲り受けてその付記登記を得ていた者である。抵当権設定者は訴外Aである。その付記登記より前に、本件競売の債務者二名(Yら)が、競売土地について所有権を主張し、仮処分債権者となって、競売土地につき処分禁止仮処分があり、その登記がさ...
《解 説》
本件は、前訴(土地賃貸借の終了を原因とする建物収去土地明渡請求事件)で敗訴が確定した賃借人Xが賃貸人Yに対して、建物買取請求権を行使するとともに、前記債務名義の執行力の排除を求めたのに対して、Yは、本件の場合に建物買取請求を認めることは確定判決の既判力ないし遮断効に抵触する、建...
《解 説》
一 本件は、昭和六二年一〇月に開催された沖縄国体の少年男子ソフトボール競技会(読谷村平和の森球場)の開始式中に、被告人が、同球場外野スタンドの諸旗掲揚台兼スコアボードの側壁面をよじ登ってその屋上に侵入し、センターポールに掲揚された日の丸旗を引き降ろして火をつけ、その半分程を焼失...
《解 説》
一 本件は、不法残留中のイラン国籍の被告人が、タイ王国に在留していた実兄と共謀し、営利目的で、あへん約七五〇グラムを国際宅配便を利用して輸入するとともに、関税定率法上の輸入禁制品であるあへんを輸入したという出入国管理及び難民認定法違反、あへん法違反並びに関税法違反の事案である。...
《解 説》
一 本件は、抵当不動産について将来発生する賃料債権が他に包括的に譲渡されその対抗要件が具備された後であっても、抵当権者は当該賃料債権に対して物上代位権を行使することができると判示したものである。
二 事案は本来複雑であるが、原審が整理したところを右判示に関係する範囲で簡略にす...