最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、平成三年四月七日施行の統一地方選挙における愛知県の県議会議員の選挙に関する定数訴訟である。
原判決(名古屋高判平4・8・5本誌七九二号二六四頁)は、愛知県議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区の議員の数に関する条例(昭和三八年愛知県条例第二号。以下「本件条例」と...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月二六日に行われた参議院(選挙区選出)議員選挙の大阪府選挙区における選挙について、右選挙区の選挙人である原告(選定当事者)が、右選挙当時の参議院(選挙区選出)議員の定数配分規定(本件配分規定)によると、各選挙区の議員一人当たりの選挙人数の最大較差が最大六・...
《解 説》
一 本判決は、「株の損失保証は無効」との見出しで新聞紙上に大きく取り上げられたものであり(判決言渡当日の朝日新聞夕刊一面等)、国民的関心事となった証券取引上の損失保証及び利益保証の私法上の効力についての初めての司法判断であるとともに、多数の類似事件が全国の裁判所に係属する中で、...
《解 説》
一 当事者の主張の概要
1 原告ら
Xら四六名は、かつて水俣市周辺に居住し、その後、京都市、大阪市等に移住した者であるが、水俣市周辺に居住していたころ、水俣湾、不知火海産の魚類を食し、水俣病に罹患したと主張し、アセトアルデヒドを製造する工場から水銀化合物を排出していたY1、...
《解 説》
一 本判決は、保険契約者(兼被保険者)によって保険金受取人として指定された指定受取人の死亡後に、指定受取人の法定相続人の一人である保険契約者(兼被保険者)が受取人の再指定をしないまま死亡した場合の商法六七六条の適用関係について最高裁としての判断を示したものである。後記のとおり、...
《解 説》
一 本件の事実関係及び問題点
本件は、弁護士資格を有しない被告人が、実在の第二東京弁護士会所属の弁護士甲野一郎(仮名)と同姓同名であることを利用して、同弁護士であるかのように装い、被告人を弁護士と信じていた不動産業者Fから弁護士報酬を得ようとして、「第二東京弁護士会所属、弁護...
《解 説》
本件は、前面が広い道路に面している自宅敷地の横にも道路があり、自宅敷地の一部がその横の道路の敷地にかかっている原告が、約三〇年前にされた建築基準法四二条一項五号に基づくその道路の道路位置指定について、その申請が自分の承諾を経ないで行われたから重大明白な瑕疵があり、無効であるとし...
《解 説》
和歌山県海草郡下津町の住民であるXら三名は、同町出納室長Aが公金一〇億円余を横領したことについて当時の町長Y1、助役Y2、収入役Y3にもAの不法行為を防止する職務上の義務の懈怠があったと主張し、町に代位してYらに一〇億円余の損害賠償を求める住民訴訟を提起した。なお、Y3に対して...
《解 説》
一 本件は、大阪府の住民であるXらが大阪府における在職二五年議員に対する庁用車の専用自動車としての配車が違法であるとして、大阪府に代位し配車決定を行った知事の被告Y1らに対して損害賠償を求めた住民訴訟である。大阪府では、一般の府議会議員に対しては三名に一台の庁用車が配車されてい...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六〇年四月、岩槻市高齢者事業団に入会し、Y1会社に派遣されて同社の作業場においてキャリーの組立作業に従事していたものであるが、昭和六二年六月二五日、コンビテナーを組立作業現場まで運搬するよう命じられたため、作業場の前庭の鉄製ラックに近づいたところ、突然コンビテ...
《解 説》
原告は、社団法人である被告アマチュア無線連盟の会員であり理事でもあったが、中国チベットにおいて無許可で電波を発信したことを理由に理事会において理事辞任の勧告を受け辞任した。ところがその直後に行われた理事選挙に立候補し当選したため、会員の一部から原告に自責の念が足りないなどとして...
《解 説》
一 Yは芸能プロダクションであり、テレビ・映画等で活躍中の有名タレント加勢大周が所属している。XはYとの間で業務協力契約(以下「本件契約」という。)を締結し、Yに総額一〇〇〇万円を融資するとともに、Yの業務顧問として助言協力をしてきたものである。本件契約には、①XはYの業務顧問...
《解 説》
X1名義の定期預金四口(満期は一年六か月後)合計一億円が預入れの二日後に全額、他人であるAにより払い戻され、同様にX2名義の定期預金(満期は同じ)一口一億円が預入れの約二か月後にAにより払い戻された。右の各払戻し時には、いずれも定期預金証書の呈示がなされなかったものの、払戻請求...
《解 説》
この判決は本誌八一三号二六六頁で既報の東京地裁平4・9・22判決の控訴審判決である。
事案の説明は、詳しくはそのコメントに譲って、ここでは判旨理解に必要な点に絞るが、要するに、四人の子の内両親(A夫婦)と同居していた長男夫婦(X1、X2)が両親と不和になったことからの遺族間紛...
《解 説》
本件事案は次のとおりである。X(原告)は、昭和五二年一〇日一日、Aを被保険者、Xを保険金受取人としてY(被告)との間で定期付養老保険契約を締結し、その際、災害割増特約及び傷害特約をそれぞれ付した。Aは平成三年七月三一日、日射病を原因とする急性心不全により死亡した。そこで、XがY...
《解 説》
Xは市であるYが施行した土地区画整理事業の換地処分取消訴訟の原告であるが、昭和五一年一一月一日付けの建設省都市局区画整理事業課長の「土地区画整理補助事業の実施細目について」と題する通達に基づいてYが作成した本件事業の実施計画書が民事訴訟法三一二条三号前段又は後段に該当する文書で...
《解 説》
Xは昭和六三年九月当時、Y市立養護学校高等部二年に在籍する生徒で、視力障害、中度の精神薄弱、左半身麻痺及びてんかん等の障害を負っている男子であるが、学校内で加療約三週間を要する右眼結膜下出血の傷害を負った(本件事故)。Xは帰宅後、父親AにB教諭から体罰を受けたと話したので、Aは...
《解 説》
Xは医師Aに対する執行力ある判決正本に基づき、平成二年一月、Aの社会保険診療報酬支払基金に対する診療報酬債権を差し押えたが、支払基金は、AからYに債権を譲渡した旨の通知を受けていることを理由に被供託者をA又はYとして法務局に供託した。Yは、昭和六一年内にAに対して金銭を貸し付け...
《解 説》
一 ①、②の判決を総合すると、本件の事実関係は次のとおりである。被告人は、平成四年三月二八日、当時の住居(東京都北区)において、かねてから性的関係をもっていた中学一年生のA女(当時一三歳)に対し、同女が自分から離れて、他の若い男性と交際しているのではないかとの嫉妬心に加え、もは...
《解 説》
一 本件は、住民基本台帳法に基づいて作成され、札幌市の各区役所で希望者に閲覧を許している住民基本台帳閲覧用マイクロフィルム(住民基本台帳に記載されている事項のうち住民の氏名、生年月日、性別、住所を転記したマイクロフィルム)を、閲覧のためとして正規の手続きで借り出した上、複製の目...
《解 説》
本件はいわゆる第二次原野商法詐欺の事犯である。第一次原野商法詐欺に遭って購入した北海道の土地を処分できずに困っている被害者に対し、会社で土地の転売を仲介する意思も見込みも全くないのに、営業マンをして「(税金対策のために)お宅の土地を欲しがっている人が沢山います。お宅の土地はいい...
《解 説》
一 本件は、自家用砂利船と営業砂利船との一本化に伴い、「一身限り」の制限(自家用船から営業船に転用した船については、引当資格が当該船舶所有者とその相続人に制限されていること)が付されたことに端を発し、これを撤廃しようとした全国砂利石材自家用船組合連合会(以下「全自連」という。)...
《解 説》
本件の被告人は、初め覚せい剤共同所持の疑いにより現行犯逮捕され、その後の採尿により覚せい剤が検出されたことから、覚せい剤自己使用の被疑事実による通常逮捕に切替えられた。右自己使用の事実によって起訴された公判において、被告人が有罪の陳述をしたので、原審は簡易公判手続により審理をし...