最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、昭和五七年二月八日未明に発生したホテル・ニュージャパン火災事故に関するものである。被告人は、本件建物を所有して本件ホテルを経営していた株式会社ホテルニュージャパンの代表取締役社長であり、一審で禁固三年の実刑となり、控訴も棄却された。
二 本件ホテルの建物は一〇階建...
《解 説》
XはA国立大学教授であるが、結婚前の旧姓名を用いて研究活動をしており、日頃、大学当局に対して各種文書、ポスター、情報等に旧姓名を使用することを申し入れていたが、大学側では、Xの氏名について取扱文書(本判決末尾に添付)を策定し、これにより人事記録等においては戸籍上の氏名、学内施設...
《解 説》
本件は、いわゆるロッキード事件児玉ルートで被告人として起訴されたAがY税務署長に対し、昭和四六年ないし同五〇年分の所得税の更正処分等の取消しを求めた訴訟についての控訴審判決である。なお、Aは第一審係属中に死亡し、Xら七名が訴訟を承継している。
右訴訟の争点は、極めて多岐にわた...
《解 説》
アメリカ人男性のXと日本人女性のYは、昭和五七年七月婚姻し、娘Aをもうけたが、同五九年五月、テキサス州地裁判決により離婚し、右離婚判決において、Aの単独支配保護者(わが国の親権者に相当する)をY、一時占有保護者(休暇等において子を一時的に保護下におくことができる者)をXと定めら...
《解 説》
本件は、下請が材料を提供して施工した工事出来形の所有権の帰属が争われた事件である。確定された事実関係はおおよそ次のとおりである。注文者Yが自分の土地に建物を建てることを建設業者Aに発注したところ、Aがこの工事を一括して建設業者Xに下請に出し、実際の工事はXが自ら材料を提供して行...
《解 説》
一 本件は、不正競争防止法一条一項二号に基づき営業表示の使用の差止めと商業登記中の商号の抹消登記手続を求めた事案である。
X(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド)は、一八五〇年に創立された米国法人であって、クレジットカードサービス及び旅行小切手...
《解 説》
一 京都市長が大文字山に都市計画法四三条、五八条一項の許可を得ることなく建物を建築した原告に対して除却命令を出し、原告がこれに従わないので行政代執行により除却してその費用納付命令をした。本件は、原告が、代執行が違法であるから、代執行費用の納付命令も違法となるとして、費用納付命令...
《解 説》
本件の原告は、市議会議員であって、市議会定例会本会議において、市長が指定緑地所有者について固定資産税を全額免除した件、第一種生産緑地の指定を受けていることを理由とする固定資産税の減免の件、下水道工事負担金や固定資産税の免除を受けている個人立幼稚園に関する件について三回にわたり質...
《解 説》
一 本件は、旭川刑務所に服役中の原告が、平成元年八月四日午後四時四六分ころ、同房の服役者から一方的に殴る蹴るの暴行を受けて傷害を負った際、右状況の一部を目撃した刑務所係官が、原告にも「暴行のおそれ」等があるとして、直ちに金属手錠を使用して原告を拘束し、その後、右「暴行のおそれ」...
《解 説》
Y(国)は、平成元年版警察白書(本件白書)において「北朝鮮工作員の指示の下に活動していた日本人女性の逮捕(横須賀事件)」の見出しを付して、日本人女性A(32)が北朝鮮工作員の指示を受けて我が国をはじめ東南アジア、ヨーロッパで調査活動に従事していたこと、特に、我が国については、指...
《解 説》
一 原告はレース用自動車の製造販売業者である。被告税務署は、原告が製造移出した競争用自動車(FJ1600・フォーミュラーカー)を物品税課税物品に該当するとして、物品税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分をした。本件は、原告が右自動車は課税物品でないとして、右処分の取消を請求し...
《解 説》
一 本件は、A町住民Xらが、B社がA町から請け負った工事に手抜きをしてその代金につき不当に利得した等と主張し、①収入役(Y1)に対し、地方自治法一七〇条を根拠に、B社に対する不当利得返還請求等をなすべき義務があるのにそれを怠っているのは違法であるとして、同法二四二条の二第一項三...
《解 説》
本件は、使用者であるY会社が現場監督業務に従事していた従業員Xに対し、Xの病気(バセドウ病)を理由に自宅において治療することの業務命令を発し、この間(約四か月間)の賃金を支払わなかったので、XがY会社に対し、右業務命令はその必要性なくして、または、不当労働行為として発せられたも...
《解 説》
一 本件は、リース会社であるXが、リース契約の借主兼割賦販売契約の買主であるY1と連帯保証人であるY2及びY3に対し、リース料金及び割賦代金の残金の支払いを求め、Y3の妻Y4に対し、詐害行為取消権に基づき自宅の売買契約の取消しを求めた事案である。
Y1は、A社のスーパーチェー...
《解 説》
本件は、利用休止手続をとってあった母親Y加入名義電話について、その子Aがその利用再開手続を勝手に行って国際電話を利用したことにより生じた国際通話料金の支払を、X国際電信電話株式会社(KDD)から、Yに対して請求した事案である。
KDDの利用契約は、日本電信電話株式会社NTT電...
《解 説》
一 被害者Aは、Y1とともに本件事故の数日前に普通乗用自動車(加害車両)を窃取し、以後A、Y1、Y2の三名で、ガソリン代を負担し合いながら、運転を交代して加害車両を乗り回していた。本件事故当日も、右三名が、シンナーを吸引しつつ、運転を交代しながら加害車両でドライブしていたが、途...
《解 説》
1 本件交通事故は、Y1が駐車車両の運転席ドアを開けたため、県道を足踏自転車に乗って走行してきた女子高校生がそのドアに衝突して車道に飛ばされ、折から、後方より進行してきたY2運転の大型貨物自動車に接触した上はね飛ばされて死亡したというものであり、被害者の相続人らがYらに対し、死...
《解 説》
X1(男子)は、Y1(江東区)立小学校四年生在学当時、給食前の衛生検査の時間中担任教師のいる教室内で同じクラスの男子Aから足を掛け転倒させられる暴行を受け、入院二〇日、通院五一日を要する傷害を負った(本件事故)。
X1及びその母であるX2は、Aは本件事故発生前から粗暴な行動を...
《解 説》
Xの夫であるAは、昭和五〇年四月四日付け公正証書遺言で本件建物及び本件土地を含む全遺産を先妻との間の子であるZに対して相続させること、遺言執行者をZ及び弁護士のBとすること等を骨子とする遺言(第一遺言)をしていたが、昭和六三年九月一四日、末期的な胃癌で入院していた病院において、...
《解 説》
本件は、当初は気仙沼市から北海道へ転居をする意思で昭和五七年一二月二八日に転居届出をした後に転居を取り止め、すぐに元の気仙沼市に戻り、その後一〇年以上を経過した平成五年五月二七日に職権で住民票が回復されるまで、そのまま転居届出を放置していた者に対する気仙沼市役所からの過料通知事...
《解 説》
本件は、埼玉大学学長という従来拐取罪の対象になった例に乏しい立場の者を誘拐した事件として世間の耳目を集めたものである。
事案の概要は、被告人らが埼玉大学学長を誘拐してその安否を憂慮する大学の幹部からみのしろ金を取得しようと企て、通勤途中の同学長を詐言をもって自動車内に閉じ込め...
《解 説》
本件は、プレジャーボート(モーターボート、ヨットなどのレジャー用船舶)の転覆事件の判決である。事案は、四級小型船舶操縦士の免許を有し、または同免許の実技終了試験に合格し海技免状の交付を待つばかりになっていた被告人三名が、プレジャーボート(総トン数約二・四トン、定員一〇名)に家族...
《解 説》
本件は、昭和六一年二月一一日静岡県賀茂郡東伊豆町のホテル「大東館」で発生した火災事故についての第一審判決である。
ホテル「大東館」は、伊豆熱川温泉のコンクリート建ての旅館が立ち並ぶ密集した温泉旅館街にあり、建物施設は、本館、別館山水、ロイヤルホテルの三つから構成されていた。別...
《解 説》
一 本判決は、株式会社の代表者が自己又は第三者の利益を図る意思で訴訟行為をし、かつ、相手方において右代表者の意思を知り又は知り得べきであったという事情の下にされた判決が確定した場合に、民訴法四二〇条一項三号の再審事由があると解すべきか否かについて、最高裁として初めての判断を示し...
《解 説》
一 Xは昭和六二年一〇月、激しい頭痛に襲われ、Y市の運営する病院で診察を受けたところ、小脳付近に脳動静脈奇形(AVM)が発見され、大腿動脈を経由するバルーンカテーテルを用いた塞栓術を受けることとなった。Xは同年一二月、右手術を受けたが、その最中に昏睡状態となり、後に意識を回復し...