最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という)24条1項は原子炉周辺の住民の生命・身体等をも保護法益とするから、周辺住民は原子炉設置許可処分取消訴訟の原告適格を有するとした事例
2 原子炉設置許可処分は行政庁の裁量処分である
3 原子炉設置の安全性に関する司法審査置は安全性を肯定する行政庁の判断に現在の科学的見地からして当該原子炉の安全性に本質的にかかわるような不合理があるか否かという限度で行うのが相当であり、安全性を争う側において行政庁の判断に不合理があるとする点を指摘し、行政庁においてその指摘をも踏まえ自己の判断が不合理でないことを主張立証すべきものである
4 原子炉設置許可処分が手続的にも内容的にも適法であるとされた事例
5 スリーマイル島原子力発電所の事故は原子炉設置許可のさいの安全審査の合理性の判断に影響を及ぼすものではないとした事例
いわゆる複合ビルの火災により多数の死傷者が出た業務上過失致死傷被告事件において、ビルの防火管理者及び同ビル内のキャバレーの管理権限者・防火管理者の過失が否定された事例
1 地方税法122条1項の不納入罪の成立と更正処分との関係
2 計算違いによる超過請求代金が地方税法113条2項にいう料金にあたるとされた事例
競売法(昭和54年法律第4号による廃止前のもの)による不動産競売手続において、民事訴訟法699条(昭和54年法律第4号による改正前のもの)が準用され、競落人が債権者として差引計算をするこどか認められるためには、利害関係ある他の債権者等から差引計算による代金納付について異議がないことが必要であるとして、差引計算による代金納付が認められなかった事例
1 目的不動産を占有する第三者に対する不動産譲渡担保権者の賃料相当損害金賠償請求の能否
2 不動産譲渡担保権者が目的不動産所有権を確定的に取得する時期
仮登記担保権者が既に本登記を経ていたため負担した公租公課、並びに、仮登記担保権者が目的土地保全のため支出した不法占拠者排除に要した費用は、債務者が受戻請求に際し提供すべき債権等の額に含まれる
1 下請負人が材料、労務の全部を供給した場合であっても、注文者が元請負人に対して建物完成前に請負代金の全額を弁済しているときは、元請負人から下請負人に対して下請代金の一部しか交付されていなくても、建物所有権は完成と同時に注文者に帰属するとされた事例
2 建物建築を請負った者は完成建物についての留置権に基づいて、能動的に注文者の立入りを拒みうるか(消極)
質権者甲が、債権質権に基づいて第三債務者乙から直接保険金を取り立てた場合、保険事故が被保険者丙の故意によってひき起こされたものであって、乙に保険金支払義務がないときは、甲と乙との間に不当利得が成立するとして、乙の甲に対する不当利得返還請求が認容された事例
債権者たる被告が法定代位権者たる原告の取得する求償権の範囲につき、法定代位権者間に成立した同法501条但書4号ないし5号と異なる特約(原告の負担部分は零)を知らずに代位行使の目的となる抵当権を放棄した場合、原告は、民法504条により被告に対し当該抵当権を全部代位行使できず、全額償還を受けられなくなったとして自己の提供した抵当権の抹消登記手続を請求し得るとした事例
建物に関する負担付死因贈与契約において、既にその負担の履行が終了しているとして、右贈与契約の取り消しが認められなかった事例
不動産の売買取引に際し、買主から売主の同一性の確認を依頼された金融機関の職員がその確認を誤ったとしても、巧妙に替え玉作戦がなされていたなど判示のような事実関係のもとにおいては、右職員に過失があるとはいえないとされた事例
登記原因の無効を理由とする所有権移転登記の抹消請求を、仮登記担保権の実行に伴う清算金の支払請求に交替的に変更することが許されるとされた事例
夫が生前妻に渡していた生活費は夫婦共有財産であり、夫の死後妻が夫の社会的地位に応じて支弁した葬式費用は相続財産の負担となる
会社のために手形割引をする権限を付与されていた監査役が、会社の代理人として信用金庫から600万円を借り受ける旨の貸金契約を締結した場合、右金庫において右監査役に代理権があると信ずるにつき重大な過失があったとして、民法110条の表見代理の成立が否定された事例
5歳の幼児が町立中学校のテニスコートに設置してあった審判台で遊んでいるうち審判台とともに倒れて死亡した事故につき、審判台の設置・管理に瑕疵があったとして町の国家賠償責任を認めた事例
第2種住居専用地域内における2階建事務所の建築に対し、付近住民よりなされた日照妨害を理由とする建築禁止の仮処分申請が却下された事例
国有林の立木伐採禁止等の仮処分につき、仮処分が取り消されれば公共の福祉が害される危険性があるとして、民訴法759条の特別事情による仮処分の取消しを認めなかった事例