最も長い歴史をもつ判例実務誌
〔解 説〕
1 本件は,神奈川県藤沢市内に工場を有するXが,神奈川県臨時特例企業税条例(以下「本件条例」という。)に基づき道府県の法定外普通税である臨時特例企業税(以下「特例企業税」という。)を課されたことから,本件条例は法人事業税の課税標準である所得の金額の計算につき欠損金の繰越控除を定め...
〔解 説〕
1 本件は,未成年者の父であるXが,未成年者の母であり,未成年者を単独で監護するYに対し,Xと未成年者との面会交流に係る審判に基づき,間接強制の申立てをした事案である。
2 事実関係の概要等は,次のとおりである。
XとYは,平成16年5月に婚姻の届出をし,平成18年1月に長女...
〔解 説〕
1 平成24年(許)第41号事件(①事件。以下「41号事件」という。)平成24年(許)第47号事件(②事件。以下「47号事件」という。)は,いずれも,未成年者の父が,未成年者を単独で監護する母に対し,面会交流に係る審判(41号事件),面会交流をすることを定めた調停調書(47号事件...
〔解 説〕
1 本件は,Xらが,Yに対し,Xらがそれぞれ所有するなどする土地を要役地とし,Yが所有する土地を承役地とする通行地役権の確認等を求める事案である。
2 事実関係の概要は次のとおりである。
A株式会社及びその代表取締役は,数筆の土地(以下「Y所有地」という。)を所有していたとこ...
〔解 説〕
1 損害保険会社であるXは,Yがその費用で管理する河川の管理用通路(以下「本件通路」)の一部が陥没し,本件通路上に停止していたA所有の工事用車両(本件通路沿いに点在する資材置場等に出入りするダンプトラック)の車輪が陥没部分に落下して損傷した事故について,Aとの自動車保険契約に基づ...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,A大学大学院において,「商標法1」の授業を履修してその単位を取得し,同大学院を修了したものであるが,弁理士試験を行う工業所有権審議会(以下「審議会」という。)に対し,弁理士法11条4号に基づき,短答式試験の一部科目の免除を認めるよう申請したが,審議会から,...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,第二次世界大戦において,日本各地でアメリカ空軍による空襲に遭い,身体障害を受けるなどした一般民間人である空襲被災者が原告となり,国に対し,国が原告ら空襲被災者を何ら救済せずに放置したことは,憲法上又は条理上の作為義務を根拠として認められる立法義務に違反す...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,平成19年4月1日から平成20年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)終了時に保有する米ドル建社債(以下「本件米ドル建社債」という。)について,本件事業年度終了時の外国為替の売買相場により円換算した金額とその時の帳簿価額との差額(...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,私立大学(以下「A大学」という。)を設置する原告が,同大学の入学試験日において,入学試験会場となるキャンパス及び指定会場周辺での情報宣伝活動の禁止を求める事案である。
原告は,都内や川崎市内に校舎を有しており,毎年度の入学試験の際,上記各校舎やその他数...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,土地の賃貸借契約を締結して,営業中のゴルフ場の用地(以下「本件土地」という。)をゴルフ場会社Yに貸していたXらが①主位的に,上記賃貸借契約に係るXらとYとの信頼関係が損なわれたとして,債務不履行解除による上記賃貸借契約の終了に基づき,②予備的に,期間満了...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成11年3月,本件建物の所有権と本件土地の借地権を有するAとの間で本件土地建物の賃貸借契約を締結した。XがAに対し建築協力金,テナント解約貸付金及び建築準備保証金合計5億6000万円余を差し入れたところ,賃貸借期間20年間の分割(月賦)で償還する旨合意さ...
〔解 説〕
1 事案の概要及び争点
本件は,原告(建築設計事務所)が,被告(施主)から被告宅新築工事の設計監理業務を委託されて設計(基本設計・実施設計)業務を行ったが,設計段階で中途解約されたため,解約時までの設計業務に対する報酬の支払を求めた事案である。
建築工事において建築主が建築士...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Y1がクレーン車を運転中にてんかんの発作で意識を喪失し,歩道上を通学のために歩行していた児童6名に衝突して同児童らを死亡させた事故について,同児童らの各両親,兄弟姉妹及び祖父母が,①Y1には,事故前夜の抗てんかん薬の服用の失念等により自動車の運転を厳に差...
〔解 説〕
1 事案の概要
控訴人は,A外9名を被告として提起した別件訴訟において,別件訴訟係属裁判所に対し,調査嘱託の目的をAに対して訴状副本及び期日の呼出状等を送達するため等と調査嘱託を必要とする経緯を記載して,被控訴人を嘱託先として,Aが使用していた携帯電話番号について,契約締結時か...
〔解 説〕
1 事案の概要
ジャスダック市場に株式を上場しているYは,普通株式750万株を発行価額1株100円で発行することにより第三者割当増資を行うことにした(それまでの発行済株式数は555万1000株,発行に係る取締役会決議当日の株式の終値は560円)。Yは,平成21年9月18日付けの...
〔解 説〕
1 事案の概要
Xは,平成20年10月10日に死亡したAの妻であるところ,Yの発行する新聞に掲載された記事によって,Aの名誉が毀損されたと主張し,Aの相続人として,Yに対し,不法行為に基づく損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた。
2 問題となった記事が掲載されるまでの経緯
昭...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,平成21年8月に兵庫県佐用郡佐用町付近で起きた集中豪雨のため,Aが運転し,妻B,長男C及び二男Dが同乗する自動車が,冠水していた道路に進入し,走行不能になったため,A,B,C,Dが車両から降車したが,避難する際,A,B,Cが濁流に流されて死亡した(Dは奇...
〔解 説〕
1 本件は,美容整形手術として脂肪吸引手術(以下「本件手術」という。)を受けた原告が,手術翌日に心肺停止状態となり,救命措置により蘇生するも身体障害者等級1級の後遺障害(以下「本件障害」という。)が残った事案について,執刀した被告に手技上の注意義務違反及び術前の説明義務違反があっ...
〔解 説〕
1 事案の概要
鉄道・ホテル経営をメインとする大企業Sグループは,一連の組織再編を実施した。Sグループ創業者である亡Aの法定相続人であるXは,Sグループの事実上の持株会社であった株式会社Bの株式の大半はその株主名簿記載の株主ではなく,Aの未分割遺産としてXを含むAの相続人及びそ...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,保険者が,被保険者を団体信用生命保険契約に追加加入させるに当たり,当該被保険者に告知義務違反に該当する事実があったことを知らなかったことにつき,過失があったか否かが争われた事案である。
原告の父であるA(被保険者)は,B社(保険契約者)から住宅購入資金...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,発明の名称を「電池式警報器」とする被告らの特許に対する原告の特許無効審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求める事案である。
本件審決の理由は,要するに,本件発明は,①引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,原告が「画像印刷装置および方法」という名称の発明(本願発明)について特許出願したが,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判を請求するとともに,出願に係る発明について補正を行ったところ(本件補正),特許庁が本件補正を却下した上,本願発明の進歩性も否定し...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,Xが,発明の名称を「ダブルアーム型ロボット」とする本件特許に対する無効審判請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした審決の取消しを求めた事案である。
本件発明は,旋回半径が小さく,また,装置の大型化・複雑化を伴わない上下移動機構により構成可能なダ...
〔解 説〕
1 事案の概要
(1)事案の要旨
本件は,日本法人である原告大林精工株式会社が有する六つの我が国の特許権(「目録1の各特許権」),日本人である原告Aが有する二つの我が国の特許権(「目録2の各特許権」)及びその分割出願である四つの出願(「目録3の各出願」)に係る発明の特許を受ける...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Y)の民事再生事件において,多額の民事再生債権を有していた三井住友銀行(X)への弁済額をいくらとすべきかが問題となった事案である。事案が錯綜しているので,判旨との関係で問題となる事実を,事案を簡略化して説明すること...
〔解 説〕
1 事案の概要
本件は,X(原告)から店舗を借り受けていたA社が民事再生法に基づく再生手続中に店舗の賃貸借契約を中途解約した後に再生手続から破産手続に移行したため,A社の破産管財人Y(被告)に対し,中途解約違約金,店舗明渡しまでの賃料相当損害金及び原状回復工事代金のいずれも破産...
〔解 説〕
1 事案の概要と裁判所の判断
本件は,被告人が,2回にわたり,いずれも13歳未満の被害児童を公園の公衆トイレに誘い込んでトイレ内に監禁し,その間,被害児童に対してわいせつ行為をするとともに,その姿態を携帯電話で撮影,記録したという事案である。
被告人の各被害児童に対する行為は...
〔解 説〕
1 事案の概要及び争点
本件は,犯行時16歳の少年であった被告人に対して成人後時効期間満了の直前に公訴が提起された業務上過失傷害被告事件について被告人を執行猶予付き懲役刑に処した原判決に対して,控訴審で,捜査官の措置に公訴提起の効力に影響を及ぼす違法があったとして,公訴の受理に...