最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,通勤途上に,ひき逃げ事故により負傷し,後遺障害等級別等級表別表第一第1級1号相当の後遺障害を負ったXが,Y(国)に対し,政府保障事業(自賠法72条1項)による損害のてん補(限度額4000万円)を求めたところ,2312万円余のてん補を受けたが,そのてん補の額に不服があ...
《解 説》
1 本件は,建設会社の代表取締役社長であった被告人が,同社が建築を請け負い施工したホテル(以下「本件ホテル」という。)の構造設計にかかる構造計算書が改ざんされていることを知り,建築基準法に規定する構造計算方法によって安全性が確認されていないことを認識するに至りながら,これを知ら...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 本件は,学校法人Yの設置する大学(以下「本件大学」という。)の国際学部教授(専攻は比較政治論等)であるXが,地元新聞紙上で行った発言等を理由として,Yから戒告処分(以下「本件戒告処分」という。)を受け,さらに,教育諸活動を中止することなどを要請された(...
《解 説》
1 本件は,競売により本件土地を買い受けたXが,本件土地上に存する本件建物の共有者であるYらに対し,建物収去土地明渡しを求めた事案であり,法定地上権の成否が争われた。
2 本件の事実関係は,次のとおりである。
本件土地の所有者はY1,本件建物の所有者はその夫Aであったところ...
《解 説》
1 本件は,Aの破産管財人であるXが,貸金業者であるYに対し,Aが破産宣告前のYとの間の金銭消費貸借契約に基づいてした弁済について,各弁済金のうち利息制限法所定の制限額を超えて利息として支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,過...
《解 説》
1 本件は,中小企業災害補償共済の被共済者が,もちをのどに詰まらせて窒息した事故が,共済規約に規定された災害補償費支払事由である「急激かつ偶然の外来の事故で被共済者の身体に傷害を受けたもの」に該当するか否かなどが争われた事案である。
2 A(当時82歳,パーキンソン病の持病あ...
《解 説》
1 本件は,被告人(当時37歳)が,女性を強姦するとともに金員を強取しようと企て,京都駅前の路上で声を掛けた女性(当時23歳)を脅迫して自動車に乗せ,いわゆるラブホテル内で強姦するとともに現金2万円及び携帯電話を強取したという強盗強姦罪で起訴された事案である。
被告人は,捜査...
《解 説》
1 本件は,自己の口座の預金を引き下ろす行為が詐欺罪に当たるかが争われた事案であるが,判示事項に関する事実関係の概要は次のとおりである。
個人で建設業を営む被告人は羽曳野市から下水道工事を受注し,その前払金として480万円の振込みを受けたが,うち400万円は下請業者に対する支...
《解 説》
1 本件は,いわゆる体感器と称する電子機器を使用してパチスロ機からメダルを不正に取得する目的でパチンコ店に侵入し,体感器を用いて大当たりを出しメダルを不正に取得したという建造物侵入,窃盗の事案である。事実関係は,被告人が,あらかじめ自己の身体に体感器をひそかに装着してパチンコ店...
《解 説》
1 医師法7条2項は,医師が4条各号のいずれかに該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあったときは,厚生労働大臣は,その免許を取り消し,又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる旨規定し,同法4条3号は「罰金以上の刑に処せられた者」を,同条4号は「前号に該当する者...
《解 説》
1 地方税法上,固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)は,課税標準に従って課税されているところ,一定規模以下の小規模宅地で住宅用地として利用されている土地については,課税標準の6分の1及び3分の1に軽減する特例(課税標準減額特例)が適用されているが,地上建物が取り壊されたりし...
《解 説》
1 熊本県内の公立中学校の教諭であったXは,平成15年11月18日,生徒の氏名等が保存されていた光磁気ディスク(以下「本件MO」という。)を帰宅途中に紛失した(以下「本件紛失」という。)ものであるが,同月21日夜,当日開催された研究会の反省会(宴会)の最中に,上記帰宅途中に立ち...
《解 説》
1 本件は,株式会社A銀行の従業員であったXが,在職中の過重な業務が原因でうつ病を発症し,その後増悪したことにより退職を余儀なくされたとして,札幌東労働基準監督署長に対し,労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付の支給を請求したところ,同署長から同給付を支給しない旨の処分を受け...
《解 説》
1 本件は,木造2階建ての棟割り賃貸アパート(本件建物)に居住していた住民(A,身長約157センチメートル)が,その2階の窓(本件窓)から転落して死亡した事故について,死亡したAの夫と子(Xら)が家主であった者の相続人(Y)に対して,債務不履行ないし土地工作物責任に基づき損害賠...
《解 説》
本件は,原告青森県住宅供給公社の経理事務を担当していたBが約8年半の間に合計約14億6000万円を同公社の預金口座から着服横領したことについて,同公社が,上記期間内にそれぞれ同公社の理事長,監事,副理事長,専務理事,常務理事,総務部長又は総務部課長の地位にあった被告らに対し,委...
《解 説》
1 本件は,私立大学の入学試験に合格した者が,入学金及び授業料等(以下,これらを総称して「学納金」という)を納付した後に,入学を辞退したため,大学に対して学納金の返還を求める,いわゆる学納金返還訴訟である。
具体的には,原告らは,私立大学の入学試験を受験して合格し,各大学の定...
《解 説》
本件は,7歳(小学1年)の女児Aが,歩道上を子供用自転車(18インチ)に乗って走行中,Y1方の生け垣が歩道上に張り出して生い茂っている付近で車道上に転倒し,走行して来たY2運転の貨物自動車(2トントラック)に轢過されて死亡した事故につき,Aの両親であるXらが,Y1,Y2,貨物自...
《解 説》
1 訴外A(昭和19年生)は,平成5年10月18日,尿管結石,腎結石のため,Yの経営するB病院に入院したが,同月21日,急性腎不全及び急性心不全により死亡した。
そこで,Aの遺族であるXらは,Yに対し,担当医師らが,結石に対する治療方法の選択を誤り,早期に血液透析療法を導入す...
《解 説》
本判決は,未成熟の子がある有責配偶者の離婚請求を原判決を取り消して認容するに当たり,慰謝料と養育費に関する一部和解をしたほか,控訴審において子の監護についての離婚した場合の影響の有無につき,家庭裁判所調査官による事実の調査をした事例である。判断の内容のみならず,人事訴訟の手続の...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 被告(JASRAC)は,音楽著作権等管理事業者であり,作詞者,作曲者,音楽出版社等から委託を受けて音楽著作物(管理著作物)の著作権を管理している。原告は,携帯電話向けストレージサービス等を業とする会社であり,au WIN端末のユーザを対象として,CD等...
《解 説》
1 本件は,木製サッシの製造販売を業とする被控訴人(原審原告)Xが,それまで使用していた焼却炉が廃棄物処理法施行規則が定めたダイオキシン排出基準に適合しなかったため,控訴人(原審被告)Y製造の焼却炉(本件焼却炉)を購入して使用したところ,同焼却炉の設計上の欠陥又は指示・警告上の...
《解 説》
1 本件は,離婚後の夫婦間において,両者間の子である被拘束者らの父であり親権者である請求者が,被拘束者らの母である拘束者に対し,現在拘束者のもとで生活している被拘束者A(本件審問終結当時13歳)及び被拘束者B(本件審問終結当時8歳)を,人身保護法に基づき,請求者のもとへ引き渡す...
《解 説》
1 本件は,法廷等の秩序維持に関する法律(以下「法秩法」という。)による制裁裁判(監置決定)に対する抗告事件である。
2 本件に至る経緯は次のとおりである。すなわち,本人は,東京地方裁判所に係属する傷害致死被告事件の審理を傍聴していた者であるが,同裁判所の法廷において閉廷後も...