最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,内縁の夫Aの運転する車両に同乗中の交通事故により傷害を負ったXが,その相手方車両の運転者兼運行供用者であるYに対し,自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求をしたという事案である。Yは,Xの内縁の夫であるAの過失を被害者側の過失として考慮して過失相殺を行うべきで...
《解 説》
1 本件①,②事件は,いずれも中国人を原告とする戦後補償事件である。①事件は,全国各地に訴訟が係属した中国人強制連行事件の1つ(広島訴訟)であり,第二次世界大戦中に中国から日本国内に強制連行され被告(西松建設)の下で強制労働に従事させられたと主張する原告らが,被告に対し,安全配...
《解 説》
1 本件は,いわゆる1億円ヤミ献金事件に関する控訴審判決である。
2 本件事案の概要は,次のとおりである。被告人は,C党の一派閥の会長代理の地位にあったものであるが,政治団体であるその派閥の会計責任者と共謀の上,派閥が別の政治団体から1億円の寄附を受けたにもかかわらず,それを...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,愛知県(以下「県」という。)商工部万博誘致対策局が,県に国際博覧会(以下「万博」という。)を誘致するため,平成8年1月から3月にかけて各種の懇談会(以下「本件懇談会」という。)を開催し,そのために食事代等の食糧費を支出したところ,Xから,愛知県公文書公...
《解 説》
1 本件は,統合失調症によりYの開設する精神科病院であるA療養園に入院していたBが,消化管出血による吐血等の際に吐物を誤嚥して窒息死したことにつき,Bの両親が,担当医師にBを適切な時期に転院させなかった過失があるなどと主張して,Yに対し,債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案で...
《解 説》
1 本件は,控訴審の審理途中に所在不明となった被告人に対する付郵便送達の効力が問題となった事案である。本件の審理経過その他の事実関係は本決定1に摘示されているが,おおむね次のようなものである。
被告人は,滋賀県草津市内の飯場に居住していた昭和62年に本件交通事故を起こし,業務...
《解 説》
本件は,所属弁護士会から戒告の懲戒処分を受けた弁護士Xが日本弁護士連合会Yに審査請求したところ,審査請求を棄却するとの裁決を受けたため,その取消しを求めた行政訴訟の事案である。
懲戒処分の理由は,①Xが懲戒請求人A社から分譲地を買い受け,自宅建築のため,自己が共有持分を有する...
《解 説》
1 本件は,戸籍上男性であるXが,有罪判決の確定を受けて受刑するに当たって,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(刑事施設法)37条1項の規定に基づいて実施される調髪処分の差止めを求めた事案である。
懲役受刑者等の処遇について規定する刑事施設法は,受刑者には調髪を行わせるこ...
《解 説》
1 本件は,Xが,埼玉県警察を設置・運営するY(埼玉県)に対し,警察官が前夫AのXに対する住居侵入・暴行事件(本件事件)の捜査を懈怠し,公訴時効を完成させたなどとして,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料等の支払を求めた事案である。
本件は,警察官の不作為の違法性を問う事案で,...
《解 説》
X(日本人)は,平成12年分の所得税について,同年にXが所有していた韓国法人A社の株式8000株(本件株式)を同社に代金3541万3997円で売り渡したが,譲渡益については韓国で納付済みであるとして,総所得金額2221万7097円,納付すべき税額99万2100円として確定申告し...
《解 説》
1 本件は,日本航空株式会社の客室乗務員として勤務していたXが,日本・香港間の国際線に乗務するため滞在していた香港のホテルにおいて,脳動脈瘤の破裂に起因するくも膜下出血(以下「本件疾病」という。)を発症し(以下「本件発症」という。),療養及び休養したことから,Yに対し,労働者災...
《解 説》
X(昭和22年生)は,航空会社の客室乗務員(チーフパーサー)として勤務していた者であるが,平成8年5月,乗務のため滞在していた香港のホテルの客室内で脳動脈瘤破裂に伴う出血に起因するくも膜下出血を発症し,療養及び休業したことについて2回にわたり労働基準監督署長Yに対し労災補償を求...
《解 説》
1 本件事案の概要
Y1会社の従業員であるXは,従業員で構成されるY2持株会の会員となり,Y1会社株式の持分などを持っていた。Y2持株会の代表者(解散後は清算人)であるY3は,平成15年3月,会員から提出された同意書で過半数の同意があったときは,保有する株式をY1会社に売却し,...
《解 説》
1 本件は,原告らが,被告Y1から,土地建物(以下,このうち建物を「本件建物」という。)を購入したところ(以下「本件売買契約」という。),本件建物に白ありの侵食による欠陥があり損害を被ったと主張して,①売主である被告Y1に対して主位的に不法行為(宅地建物取引業法〔以下「宅建業法...
《解 説》
1 本件は,保育園児であるX1(女児・当時4 ~ 6 歳)が,保育中に同じ保育園児(男児・当時4~6歳)にいじめや性的嫌がらせを受けてPTSDを発症したなどとして,X1とその親権者であるX2が,男児の親権者であるYらに対して,民法714条に基づき損害賠償を求めると共に,Yらから...
《解 説》
1 X1(昭和23年生)は,平成12年1月20日,激しい頭痛に見舞われたため,救急車でYの開設するA病院に搬送され,CT検査を受けたところ,くも膜下出血を発症していると診断され,直ちにA病院に入院した。
そして,X1は,同月21日,B医師の執刀により,脳動脈瘤頚部クリッピング...
《解 説》
1 Xは,平成16年6月,ローン会社であるAのローンを利用して,本件自動車(メルセデスベンツ)を購入したが,その際,Aとの間で,ローンを完済するまでは,本件自動車の所有権をAに留保する合意をしていた。
Xは,同年10月,大雨の中,本件自動車を運転して県道を走行中,同県道が,国...
《解 説》
1 事案の概要
原告は,「杏林製薬株式会社」なる商号の製薬会社であり,被告は,平成14年5月15日に現在の商号「杏林ファルマ株式会社」に変更するとともに,医薬品・医薬部外品の販売等を目的とし,健康食品等の販売等を行っている。
本件は,原告が,被告が周知営業表示たる原告の商号...
《解 説》
1 甲不動産,乙不動産及び丙不動産を競売手続で買い受けたXは,甲不動産を占有するY2及びA,乙不動産を占有するY1,Y2,AないしC(単に「Yら」という),丙不動産を占有するY2に対する各引渡命令の執行力ある正本に基づく強制執行を行い,それが終了したとして,裁判所書記官に対し強...
《解 説》
1 本件は,平成16年改正前商品取引所法97条の2に定める指定弁済機関である商品取引受託債務補償基金協会(訴外協会)が,商品取引員(先物取引会社)である破産者の委託者からの受託債務につき,事前求償権30億円の債権届出をして,委託者債権者らに同額を弁済し,訴外協会を承継したXが同...
《解 説》
1 本件は,被告人が,夜間人通りの少ない路上で,女性に暴行脅迫を加えて強いてわいせつ行為をし,同女を人気がなく暗い畑内に連れ込んでからも同様にわいせつ行為を続けるうちに,強姦を決意し,既に反抗抑圧状態にあった同女をその場で強いて姦淫しようとしたが,姦淫だけは避けたいと考えた同女...