最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本件は,平成16年7月11日に施行された参議院(選挙区選出)議員選挙(以下「本件選挙」という。)について,東京都選挙区の選挙人である原告らが,公職選挙法14条2項,別表第3が定める議員定数配分規定(以下「本件定数配分規定」という。)が憲法14条等に違反すると主張して,同選挙...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。A(被災時21歳)は,平成4年9月に保育士資格を取得し,同5年1月1日付けで,K市内において4か所の無認可保育所を設置し運営していたB幼児園に保母として採用され,同月6日から,B幼児園が運営する無認可保育所のうちの1つであるC園で保母として...
《解 説》
1 本件は,大学助手であった被告人が,いわゆるファイル共有ソフトの1つである「Winny(以下「ウィニー」という。)」を開発して同人のホームページ上に公開し,その改良(バージョンアップ)を継続的に繰り返しながら,インターネットを介して不特定多数の者にウィニーを提供していたところ...
《解 説》
1 本件は,平成9年11月に都銀初の経営破たんとなった北海道拓殖銀行(以下「拓銀」という。)の頭取であった被告人甲野及びその後任の被告人乙野が,頭取在職中,被告人丙野が実質的な経営者であり,かつ,実質破たん状態にある3社(以下「Aグループ」ないし「A」という。)に,十分な担保を...
《解 説》
1 事案の概要と争点
本件は,類型証拠開示(刑訴法316条の15)に関する裁定請求棄却決定に対する抗告審決定である。本案は,被告人が自宅で3歳の被害児童に対しその母親と共に虐待を加えて死亡させたという傷害致死の事案である。原審では22回の公判が開かれた後に期日間整理手続に付さ...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,米国法人インテル・コーポレーションから,日本の子会社であるインテル株式会社の取締役Xに付与されたストックオプションの権利行使益に関し,平成11年分の所得税に係る更正及び過少申告加算税賦課決定(本件賦課決定)の適否が争われた事件である。原審は,この権利行...
《解 説》
1 本件の事案は,次のとおりである。
(1) 請求の内容(一部略)
Y(会社)は,A県X市において,昭和40年代後半から50年代中盤にかけて3回にわたり,都市計画法29条所定のA県知事の同意を受けて,宅地開発を行い,道路及び公園を設置した。X市は,その敷地がY名義で登記され...
《解 説》
1 本件は,原告の製造・授与・販売に係る動物用エックス線デジタルCCDセンサー等の製品は薬事法64条・55条2項・2条4項等にいう医療用具に該当するにもかかわらず,その製造等の許可を受けていないとして,被告が原告に対してした当該製品の回収を命じる処分(以下「本件処分」という。)...
《解 説》
1 本件は,Xが歩道を散歩中,対向方向から自転車が走行してきたため,歩道の一部である蓋付U形側溝上に退避して立ち止まり,自転車をやり過ごした後,そのまま側溝上を歩行したところ,5センチメートルほど持ち上がっていた蓋に足を取られて転倒して負傷した事故につき,Xが,歩道の管理者であ...
《解 説》
1 本件は,フリーのジャーナリストである原告が,札幌地方裁判所の職員に判決言渡期日における傍聴席の確保と判決要旨の交付を申し入れたところ,北海道司法記者クラブ加盟の報道機関の記者にはこれらが確保・交付されたにもかかわらず原告の申入れが認められず,また,東京地方裁判所の公判期日に...
《解 説》
1 Xは,全国で衣料品店を展開する会社で,自社店舗の床材に中国産花崗岩(本件資材)を輸入して使用している。新築した建物には,不動産取得税が課されることになるが,その課税標準は,不動産を取得した時における不動産の価格であり(地方税法73条の13第1項),その価格とは,「適正な時価...
《解 説》
1 事案の概要
原告はタクシー乗務員であり,被告は原告の使用者である。本件は,被告が,喫煙車両内における乗務員の受動喫煙による被害防止義務を怠り,原告に対して,喫煙車両での乗務を事実上強要し続けたため,原告は,慢性気管支炎との診断を受けた上,受動喫煙の恐怖におののきつつ,また...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。Xは,企業,団体,個人に対してプロジェクトマネジメント(以下「PM」という)に関する講座を提供することを主な業務とする会社である。PMとは,チームに与えられた目標を達成するために,人材・資金・設備・物資・スケジュールなどをバランスよく調整し...
《解 説》
1 本件は,催告後6か月以内・本来の時効期間経過後にされた承認に,時効中断効があるかどうかが争われた事案である。承認がされたのは,平成16年法律第76号による民法改正前である。
2 事案の概要は,次のとおりである。A1は,平成2年9月27日,本件土地を所有しており,A2(会社...
《解 説》
1 本件は,軽四路線便業務(以下「軽四便業務」という。)の受託を前提に被告を希望退職した原告が,その後軽四便業務が廃止されて収入を失ったことに関し,原告が退職時に支給された退職金は,軽四便業務の受託により得られる収入を控除したものであったから,原告が喪失した収入分は,法律上の原...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,ねこの里親を探すボランティア活動をしているXらが,Yに対し,Yがねこを適切に飼う意思がないにもかかわらず,里親としてねこを飼養する等虚偽の事実を告知して,その旨誤信したXらから同人らが飼養していた各ねこを詐取したこと等を理由として,所有権に基づき,各ね...
《解 説》
1 本件は,ビル(本件建物1)の屋上に広告看板(本件看板1)を設置する契約を締結して看板を設置していたXが,同建物の隣接地にYが建築したビル(本件建物2)の完成及び広告看板の設置により,本件看板1に対する観望に制約が生ずる結果となったため,XとYとの間の本件看板1と同様の看板を...
《解 説》
1 訴外A(昭和62年生)は,Y1の経営するスイミングスクール(以下「本件スクール」という。)の生徒であるところ,平成13年11月23日,本件スクールに設けられた長さ25メートルの本件プールで,200メートル個人メドレーのタイムを計測する進級テスト(以下「本件テスト」という。)...
《解 説》
1 患者は,平成8年1月24日14時55分,訴外医院において第2子を出産し,同日15時2分に胎盤を娩出したが,その直後から大量の出血が始まったため,患者は,被告病院に転送され,24日16時15分ころに被告病院に到着し,16時57分には輸血が開始された。翌25日1時には止血のため...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,本人につき後見が開始され,家庭裁判所が職権により本人と先妻との間の子を成年後見人に選任したところ,本人と後妻との間の子である抗告人が,原審判の取消を求めて即時抗告した事案である。
家庭裁判所は,後見開始の審判をするときは,職権で成年後見人を選任するこ...
《解 説》
1 本件は,紙葉類識別装置の光学検出部の発明に係る拒絶査定不服審判の審決に対する取消訴訟において,発明の課題及び目的が相違する引用発明(紙葉類の積層状態検知装置)との対比において摘示された相違点について,技術的思想を異にする紙葉類識別装置を前提とする新規の技術事項であり,引用発...
《解 説》
1 本件は,クレオソートを主剤とする胃腸用丸薬(本件医薬品)を指定商品とする登録商標「正露丸」「SEIROGAN」の商標権者であり,包装に「正露丸」「SEIROGAN」の各表示を付した本件医薬品を製造販売している原告が,同じく包装に「正露丸」「SEIROGAN」の各表示を付した...
《解 説》
1 シンガポール共和国に本店を置く会社である原告は,その役員であった被告に対し,信任義務違反又は背任行為を理由とする損害賠償を求める訴えを,シンガポール高等法院に提起した(以下この訴訟を「別件訴訟」という。)。被告は,同裁判所から召喚状謄本等及びその訳文の送達を受けたが,同裁判...
《解 説》
1 訴外Aは,第一種知的障害者と認定されているB(Yの兄)になりすまし,貸金業者であるXとの間で金銭消費貸借基本契約を締結した。Yは,同契約から生じる債務について連帯保証契約を締結した。約定の支払期日を過ぎても,Aが弁済をしなかったため期限の利益を喪失したとして,Xは前記連帯保...
《解 説》
本件は,教会の主管牧師であった被告人が,その信者である13歳未満の子供を姦淫し,あるいは姦淫しようとしたが未遂にとどまり,抗拒不能の状態にあった13歳になった後の子供を姦淫したとして起訴され,全ての事実について有罪判決を受けた事案である。被告人は,捜査段階では犯罪行為を否認し,...
《解 説》
本件は,被告人が,経営する株式会社と同じ事務所を共同利用していた有限会社の女性経営者が行方不明となり,同女が保管していた有限会社の預金通帳や銀行届出印等を入手したことから,これらを冒用して払戻し請求書等を偽造,行使し,都市銀行から,預金払戻しの名目で現金をだまし取った事案である...