最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
1 本判決は,小田急小田原線の一部区間を高架化すること等を内容とする各都市計画事業の認可につき沿線住民がその取消しを求めた訴訟について,いわゆる論点回付により原告適格の有無につき判断をした最高裁大法廷判決(最大判平17.12.7民集59巻10号2645頁,判タ1202号110頁...
《解 説》
1 本件は,X(原告,被控訴人,上告人)が,勤務先の日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプションを平成8年ないし同11年の各年中に行使して得た権利行使益について,これが所得税法34条1項所定の一時所得に当たるとして上記各年分の所得税の確定申告をしたところ,Y税...
《解 説》
1 本件は,債務者の債務を保証していた信用保証協会が,債権者に代位弁済した上で,債務者が保証協会に対して負担する求償債務の連帯保証人に対し,連帯保証債務の履行を請求する事案である。
2 保証協会が代位弁済をする前に,債権者が債務者の物上保証人に対し,抵当権に基づき不動産競売を...
《解 説》
1 本件は,冷凍保存していた夫Bの精子をBの死亡後に用いてされた体外受精により懐胎した妻Aが出産したXが,民法787条,人事訴訟法42条1項(なお,訴え提起当時は,平成15年法律第109号により廃止される前の人事訴訟手続法32条2項,2条3項)に基づいて,Y(検察官)に対し,X...
《解 説》
1 本件は,Xが登録自動車を目的とする留置権による競売を申し立てた事案である。
留置権による競売は,民事執行法195条により,担保権の実行としての競売の例によるとされているが,Xは,XのYに対する駐車場使用契約に基づく駐車料金等の支払請求を認容した確定判決について,これが民事...
《解 説》
1 本件は,平成12年7月12日,民事再生手続の申立てをして倒産したそごうグループのオーナー経営者であった被告人による強制執行妨害事件の控訴審判決である。
被告人は,倒産の約5年前の平成7年9月,グループ会社であり,被告人自身が代表取締役にも就任していた株式会社錦糸町そごうが...
《解 説》
1 本件は,不法残留を理由として被告・東京入国管理局主任審査官から退去強制令書発付処分を受けた外国人である原告が,同処分に先立って被告・法務大臣がした出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)49条3項に基づく裁決につき裁決書が作成されていないという違法があるなどと主張して...
《解 説》
1 本件は,鎌倉市内に事務所を有する団体(オンブズマン)が原告となって,鎌倉市(以下「市」という。)が市を退職した職員で市の外郭団体に再就職した者の給与の一部を,外郭団体に対する業務委託費の名目で支出したことが違法であると主張して,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前の...
《解 説》
1 事案の要旨
本件は,Yの設置する保育園の業務に従事していた保母であるXが解雇の無効を主張して,賃金等の支払を求めた事案である。原審は,上記解雇を無効とした上,解雇により雇用契約の終了すべき日の翌日である平成11年5月19日から平成14年12月31日までの期間(本件期間)の...
《解 説》
1 本件は,金融会社のブラックリストに登載された被告人が,別人を装い消費者金融から借入れを行うことを企図し,転出証明書の生年月日を変造して住民異動届とともに町役場に提出して転入の届出をし,虚偽の生年月日が記載された被告人名義の国民健康保険被保険者証(以下「国民健康保険証」という...
《解 説》
1 本件は,被告人が,18歳未満の女子高生とラブホテルで性交するなどし,その様子をデジタルカメラやビデオカメラで撮影し,その画像をコピーしたコンパクトディスクやその映像をダビングしたビデオテープを販売するなどしたことが,児童ポルノの販売目的製造,販売,販売目的所持の罪(児童買春...
《解 説》
1本件は,誤って併合罪関係にある事実を追加する内容の訴因変更請求をした場合に,その訴因変更請求を刑訴法254条1項の「公訴の提起」と同視できるかが問題となった事案である。
被告人は,詐欺,恐喝未遂,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成11年法律第155号に...
《解 説》
1 本件は,窃盗罪等について罰金刑を新設した「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成18年法律第36号)に関し,1審判決後にこの改正法が施行された場合に,控訴審判決が1審判決を破棄すべきか否かが問題となった事案である。
本件の被告人は,約2か月の間に,一部に住居侵入を...
《解 説》
1 本件は,弁護人の申し立てた証拠保全請求に基づき,裁判官が,警察が収集し保管している証拠の押収を行い,その正当性が問題となった事案であり,本決定は,原則として証拠保全手続の対象とならない旨を判示した。
2 事実経過等は原決定に詳しいが,その概要は次のとおりである。被疑者は,...
《解 説》
1 本件は,当時15歳10か月の高校生であった少年が,社員寮の管理人室で(少年の両親は,同社員寮の住み込み管理人として同管理人室に居住していたもので,少年も同居していた。),当時44歳の実父の頭部等を鉄アレイで殴打し,そのけい部を洋包丁で突き刺すなどして殺害し,さらに,当時42...
《解 説》
1 事案の概要
本件は,産業廃棄物処理業を営む株式会社である原告が,被告(税務署長)から平成10年8月期,平成11年8月期及び平成12年8月期(原告は8月決算。以下,これらの事業年度を合わせて「本件各事業年度」という。)の法人税について更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を...
《解 説》
1 本件は,夫婦ともに普通地方公共団体である大東市の一般職の職員であって,1台の自家用車両で通勤している場合において,車両名義人である配偶者の一方のみならず,同乗者である他方配偶者にも自動車通勤に係る通勤手当を支給することは,給与条例主義を定めた地方自治法204条の2及び地方財...
《解 説》
1(1) 本件は,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年12月5日公布。以下「法」という。なお,本件の適用法は平成15年7月16日の改正前のものである。)3条に基づき,原審被告において実施中の関西文化学術研究都市の土地区画整理事業及びこれに基づく宅地分譲事業...
《解 説》
1 本件事案の概要は次のとおりである。X2を除くX1ないしX16ら15名はYが設置する郵便局に勤務する者であり,X2は郵便局に勤務していた者である。Yは,平成15年11月21日,就業規則の一部である「日本郵政公社職員勤務時間,休息,休日及び休暇規程運用細則」(以下「本件運用細則...
《解 説》
1 事案の概要
(1) 甲は著名な大企業の創業者の長男であり,関連会社の代表者を務めている者,乙は当該大企業から派遣されて,甲の会社の監査役を務めていた者である。
(2) 乙は,関連会社の監査役を務めるうちに甲から信頼されるようになり,甲が相続した莫大な遺産の管理等の業務を...
《解 説》
Xらの子A(平成8年12月生)は,平成9年4月14日午前9時ころ,Y1の経営する保育園に登園し,同日午前10時45分ころ,サークルベッド内でぐったりしているところを発見され,医師の手当を受けたが,午前11時30分,死亡が確認された。Xらは,Aの死亡は,保育士Y2がAをベッドにう...
《解 説》
1 本件は,交通事故の被害者であるXが,加害者であるY1に対し,民法709条及び自賠法3条に基づく損害賠償を,Y1の父であるY2に対し,上記損害賠償債務についての連帯保証債務の履行を,加害車両の所有者であるY3並びに同人の両親であるY4及びY5に対し自賠法3条に基づく損害賠償を...
《解 説》
1 本件は,A(本件事故当時48歳。消防士)がかねて山鹿市(Y1)が開設する市立病院(以下「市立病院」という。)に入院中,容態の急変を受けて日本赤十字社(Y2)が開設する日赤病院(以下「日赤病院」という。)に移送されたものの,肺塞栓症により死亡した医療事故について,Aの遺族であ...
《解 説》
1 本件は,金融業を営んでおり,貸金業者としての登録を受けていた原告が,金融仲介業を営む第三者(仲介者)の仲介により,正当な権利者と称する者(売主)から平成14年4月5日(第1回取引)と同月9日及び10日(本件取引)の2回にわたり,本件各株券を含む各株券(いずれもいわゆる一部上...
《解 説》
1 Aは,平成10年6月1日,Yとの間で,契約者及び被保険者をA,死亡保険金受取人をX,死亡保険金を4500万円とする5年ごと利差配当付終身保険(本件保険契約)を締結した。その後,Aは,同年8月18日に死亡した。そこで,XがYに対し,死亡保険金受取人として生命保険金を請求した。...
《解 説》
1 本件は,ドレン滞留ポイントを簡便に見出すために使用する図表及び説明文について,被告の使用する図表及び説明文(被告チャート)が原告チャート(1)ないし(5)に類似すると主張して,原告が被告に対し,原告チャート(1)ないし(5)について原告が著作権を有することの確認,同著作権が...
《解 説》
本件は,被告人が,共犯者AないしEらと共謀の上,平成12年5月から平成15年4月までの間,FないしMの8名に対し,覚せい剤(合計5.45グラム)を代金合計18万5000円で譲渡したほか(判示1(1)ないし(7)),多数回にわたり,熊本県内,福岡県内等において,氏名不詳の多数者に...