最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 民法上の組合的性質を有する頼母子講の性質 2 未落札者全員のみでした頼母子講の解散と既落札者の返掛金の分割弁済の利益
他人に属する債権を目的とする債権譲渡があリ、しかもその対抗要件を具備した後、譲渡人が当該債権を取得した場合と右対抗要件の効力
1 地代の支払延滞を事由とする無催告解除の特約の効力が否定された事例 2 借地権の一部を無譲渡したため借地契約が解除された場合における解除の効力の及ぶ範囲
1 診療事故における医師の過失の認定と立証の負担の転換 2 被害者の死亡に基づく慰藉料請求を傷害に基づくものとして一部認容した事例 3 共同不法行為者の一方に対してなされた債務免除の相対的効力
1 計量法第12条第1号の長さ計に該当する事例 2 非法定計量単位を付した長さ計の販売と計量法第10条第1項本文違反の成否
1 執行猶予の要件に関する前科事実の誤認と控訴理由 2 前科調書の作成過程における検察事務官の記載洩れ等の手違いと刑事訴訟法第382条の2第1項にいわゆる「やむを得ない事由」
結婚を前提としない専ら情欲を満足させることを目的とする情交と新潟県青少年保護育成条例第9条第1項にいう「みだらな性行為」
1 刑事訴訟法第282条第1項にいう公判廷の意義 2 第一審公判手続に違法があるとして破棄された事例 3 罰条変更に関する釈明権不行使が審理不尽にあたるとされた事例
1 公訴権濫用に関する主張が排斥された事例 2 戸別訪問の禁止(その1その2)または法定外文書頒布等の禁止(その3)の規定と憲法第21条
傷害が重大なものであるのに、これを軽微なものであると双方とも誤信し、これを前提として締結したことに要素の錯誤があるとして、示談契約を無効とした事例
1 製材工の無断運転について業務執行についての事故と認めた事例 2 物件事故(追突による)について慰藉料の請求を認めなかった事例
1 変形交差点における運転者の注意義務 2 入院に際し購入した品物の費用を損害として認めなかった事例 3 慰藉料として80万円を認めた事例
1 公認の私立保育所に対抗して同一地区内に設立された町立児童館の設置が違法でないと認められた事例。 2 本来保育所において保育すべき児童を児童館で保育する旨の町長の指置が、児童福祉法の第24条但書の「やむ得ない事由」に該当するとして、違法でないと認められた事例
1 任期満了により退職した市議会議員に対する記念品料及び視察旅行旅費の支給を違法と認定したうえ、支給をなした市長に、市に対して損害の補てんを命じた事例 2 予算の執行の如き事実行為の取消は無意味だとして、処分取消の訴を却下した事例。 3 市長の違法な支出行為は、民法709条の不法行為であり、市の有する損害賠償請求権の消滅時効は民法724条によるべきである。 4 右支給行為後に就任した市長に対する不当利得返還請求権を怠ったことを理由とする損害賠償請求を、その不作為と損害との間に因果関係がないとして否定した事例
1 争議行為として正当でないと認められた事例 2 使用者から借受使用している労動組合事務所を争議本部として利用しうる限界
「熔融金属の真空脱ガス用排気装置の発明が2つの公知文献の記載から容易に推考せられ、旧特許法1条の発明を構成しないと認められた事例
専用軌道上において高速度電車を運転する電車運転士の注意義務(平素一般人が多数通行している専用軌道の線路用地内を、進行中の電車に対面して歩行して来た、事理の弁別能力ある成人が右電車直前においてよろめいたため電車のフットステップに接触して即死した場合)
左右の見とおしのきかない交差点であっても、交通整理の行われているもの(例えば、被告人の進行道路と交差する道路に道路交通法43条の一時停止の道路標識が設けられている場合)と道路交通法42条所定の徐行義務の有無
1 業務上横領罪の訴因に、占有の具体的態様のほか、その占有が事実的支配または法律的支配のいずれにあたるかについての評価を明示することの要否 2 抵当権設定による業務上横領罪において、後日抵当権を消滅させる意思の存否と不法領得の意思との関係 3 不動産の登記簿上の所有名義人でなくても、不動産に対する法律的支配があるとして業務上横領罪における占有の存在を認めた事例 4 会社の機関による不動産の横領と事実的支配の要否
1 薬品名を詐称し、若しくは薬品について通商産業大臣の輸出承認を得ることなく輸出手続をし、当該薬品を通関の上輸出した場合と無免許又は無許可輸出罪の成否 2 本邦にある日本商社が香港に居住する非居住者の依頼により同人のため同人の差し向けた氏名不詳者(非居住者かそれとも居住者か不明)に日本円を支払った場合の擬律
乗合バスの進行中車輪滑り止めの鎖が切断し、その切れ端がオイルブレーキのパイプを折損したため、制動機能を喪失し車体を道路端の溝に落ちこませ乗客多数に負傷を与えた案件につき右バス運転手の過失を否定した例
1 国鉄の職員および組合のいわゆる順法闘争の正当性の一基準 2 右順法闘争に正当性のない事例 2 右順法闘争に正当性のある事例
氏名、本籍、生年月日等が汚損のため不鮮明な自動車運転免許証の写真を貼り代えた行為につき、公文書偽造罪の成立を肯認した事例
手形を偽造してAに対し提出行使したのち、発覚をおそれ回収して、その支払期日のみを書き改め、更にBに対し提出行使した場合、当初の手形偽造行為とその後の支払期日を書き改めた行為とは、包括して1個の有価証券偽造罪と評価すべきである。
公職選挙法第142条第1項の禁止する法定外選挙運動用文書の頒布に当らないとされた一事例(求刑罰金5、000円、公民権停止検察官控訴) 特定政党の予定候補者一覧表を配布する行為であっても、それが労働組合に対し、候補者の推せん決定を依頼し、それに必要な討議資料を提供するものとしてなされたのであれば、選挙告示の前後を問わず、法の禁止するところとはいえない。
殺人罪で懲役10年に処せられ、満期出所した4ケ月余のちに、さらに強盗殺人罪(および3個の窃盗罪)を犯した被告人に対し、死刑を言渡した事例
特定債権者の利益を図る目的で破産財団に属する財産を譲渡担保に供しても、それが既存の増担保契約上の義務の履行としてなされたものであるときは、破産法374条1号の罪および同法375条3号の罪のいずれをも構成しない
拳銃不法所持罪の罪数 訴因上所持の日時、場所を異にし一罪性をうかがえない数個の拳銃につき、その実質的事実関係に着目して、包括して1個の不法所持罪が成立するとした事例
1 新潟県青少年保護育成条例9条1項にいわゆる「みだらな性行為」の意義 2 アパートの自己の居室で16歳の少女と性交をした行為と右条例9条違反の成否
診断書に、加療5日を要する左下腿擦過傷、左側大陰唇内側皮膚粘膜充血との記載のある場合に、右は軽微な損傷で、強姦致傷罪にいわゆる傷害にあたらないとされた事例
被告人が、1秒間くらい停止して進行した旨主張した事案において、現認警察官の供述により一時停止義務違反の事実を認定した事例
窃盗の被害に接着した日時、場所で贓品を所持していた被告人が、第三者より買却方の依頼を受けたものである旨弁解した事案において、情況証拠により被告人を窃盗の犯人と認定した事例
1 占有権(不法占有を含む)に基き設定された境界は境界毀損罪(刑法262条の2)にいわゆる境界にあたるか 2 自己の所有に属する両地間の境界の毀損行為と境界毀損罪の成否 3 右所有権の帰属につき係争中であった場合と同罪の成否
経済的に困窮している扶養義務者に、このうえ多くの出費を求めることは扶養義務者との間に正当な家庭を営んでいる妻子に対し酷であるが、義務者(認知した父)の権利者(未成熟子)に対する扶養の義務が生活保持の義務であることを考慮し、義務者が嗜好品として費消している煙草代の一部1、500円を節約して支払うことを命じた事例
すでに老令に達し自ら耕作することが困難であるとしても、他に親族等の補助者を得て耕作することが可能である事情等を考慮した上、被相続人の配偶者に遣産たる田畑の一部を分割取得させた事例
改名申立が却下された場合に、その審判確定時に近接し、ないしは同一事由に基づく再度の申立は申立権の濫用として許されない。
妻の性格が勝気であり協調性に乏しいことが婚姻関係破綻の一因をなしているとしても、主たる原因が妻と姑との不仲にあり、その結果として夫が離婚を意図するに至った場合は、結局婚姻破綻の責任は夫にあるとして婚姻費用の分担を命じた事例
被廃除者の所在が長期判明せず、かつ証拠によりその著しい非行性が認定できる場合に、被廃除者の意見を聴くことなく廃除の審判をした事例
1 旧樺太土人たるオロッコ族人は、とくに外国国籍を取得した事情のない限り平和条約発効後もなお広義の日本人としての地位を保有しているものと解するのが相当である 2 右オロッコ族人がソ連国籍を有する場合に、それが自己の志望による外国国籍の取得でないとして就籍を許可した事例
出生届に際し、親権者の一方がほしいままに命名して届け出でた名を、その後両者協議して命名した名に訂正する申立を認容した事例
虚偽の申立をして出生年月日の訂正許可審判を得た後、長年の間それを基本とした法律関係をみずから形成してきたときには、再度従前の戸籍に訂正許可の申立をすることは許されないとした事例
戸籍上韓国人夫婦の子として記載されている子と日本人である母との間との母子関係存在確認につき、準拠法として法例第18条を類推適用し、家事審判法第23条の審判をした事例
1 日本人妻が米国人(イリノイ州)夫との婚姻解消後300日以内にドイツ人男との間に生んだ子につき、離婚当時の母の夫の本国法たる米国法により、その嫡出推定は覆えしうるとして嫡出でない子と認定した事例 2 当該子に対するドイツ人男の認知につき、準拠法たるドイツ法には認知制度はないが、このような場合には強制認知による父子関係の確定は許されるとして家事審判法第23条により認知の審判をした事例
1 少年保護事件についても日米安保条約第6条に基づく協定第17条が適用される 2 合衆国軍隊の構成員の家族である少年が犯した業務上過失致死事件について、右事件を審判不開始にした事例
1 東京都公安条例に基づき公安委員会が集団示威運動につきなした条件付許可処分の条件中進路の変更に関する部分が違法であるとした事例 2 行政処分につき執行停止の必要を認めた一例
1 労働契約所定の種類及び範囲外の労務の提供を命ずる配置転換命令の効力 2 職種の変更は会社の人事権に属する旨定めた労働協約の効力