最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 可罰的違法性なしとして無罪とした事例 2 議場内に於て議事進行に関して議員が公務執行の妨害をしたとして起訴せられた場合と議員の免責特権
賃金過払による不当利得返還請求権を自働債権とし、その後に支払われる賃金の支払請求権を受働債権としてする相殺と労働基準法24条1項
1 第三者に対する鉄微粒粉飛散によるニューサンスが、工場建物の賃貸借におけるニューサンス禁止の特約違反にあたるとされた事例 2 ニューサンス禁止の特約違反が工場建物の賃貸借解除の理由にあたるとされた事例
1 取消差戻の控訴審判決を得た控訴人と上告の利益の有無 2 議決権行使の代理資格を株主に制限した定款の定めと議決権行使許容の仮処分の効力
1 交通事故により重傷を負った被害者を、その近親者が無償で附添い看護した場合、被害者がこれを損害として附添費相当額を請求することの能否 2 信用組合の従業員が自動車修理会社から、修理の終った組合理事個人の所有にかかる自動車を右理事その他組合上司に無断で受領し、私事のためこれを運転中人身事故を起した場合、右理事が自動車損害賠償保障法3条にいう運行供用者に当るとされた事例 3 自動車事故による損害賠償請求において、右事件の弁護士費用についての請求が否定された事例
会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇入れられたときは懲戒解雇すると定める就業規則条項に該当するとしてなされた懲戒解雇が解雇権の濫用であるとされた事例
1 貿易外取引に関する省令別表にいわゆる「本邦法人の支配する現地法人」の意義 2 外為法30条、外為令13条の規定に違反し行われた対外取引の私法上の効力 3 外為令13条にいう大蔵大臣の許可は執行の要件か 4 一部保証ある場合における一部弁済の効力
1 好意同乗者の死亡事故につき、運行供用者の損害賠償責任を量的に制限した事例 2 死者の慰藉料請求権の相続を認めた事例
1 土地の売買契約の成立と右土地の売渡の差止めを求める納税者訴訟の訴の利益 2 公有財産の売却方法と地方公共団体の長の裁量権 3 区有地の随意売却が適法とされた事例
1 日共泉州地区委員会を民訴法46条の社団と認めた事例 2 日共党員の政治活動に対する妨害につき右委員会に当事者適格を認めた例 3 政治活動に対する妨害禁止請求は可能であるとした例 4 政治活動に対する妨害行為がいまだ表現の自由の範囲内であって違法性を帯びないとされた例
1 共産党活動ゆえの配置転換命令であるとの主張が排斥された事例 2 共働きを予定して婚約中の労働者に対し発せられた配転命令が「不当配転は行なわない」旨の労働協約に違反しないとされた事例
1 いわゆる両罰規定により行為者のほかに事業主をも処罰することと憲法39条 2 重加算税と刑罰との併科と憲法39条 3 昭和40年法律第34号による改正前の法人税法48条1項の逋脱罪の成立時期と修正申告の効果
1 道路交通法42条にいわゆる左右の見とおしのきかない交差点に当る事例 2 道路交通法42条の徐行義務違反と刑法上の業務上の過失との関係 3 道路交通法42条の徐行義務に違反した自動車の運転者に対し、業務上過失致死罪の成立を認めなかった事例
刑の執行猶予言渡の取消決定に対して即時抗告の申立があり、抗告審がその記録を受理したとき、既に刑の執行猶予期間が経過していた事案につき、右決定をそのまま維持することは明らかに正義に反するものとして、右決定を取消した事例
1 権利能力のない社団の会長たる資格に基づき個人名で訴訟を提起した当事者が死亡した場合における訴訟終了の有無 2 この場合における受継義務者
農業協同組合の組合長が組合長を辞任した後に、しかも組合役員会の懲戒免職処分をなすべき旨の決議に反して職員を依願免職にしたことが有効とされた事例
白紙委任状等を冒用し無権限で土地建物を担保に供し所有権移転登記をされた者が、登記名義回復等のため一連の訴訟事件に要した弁護士費用と不法行為による損害額の認定
家屋収去土地明渡請求訴訟につき家屋所有者敗訴の確定判決がある場合に、右訴訟の口頭弁論終結後に右家屋に対してなされた仮処分と土地所有者から提起された第三者異議
1 死亡した6才の女児について、女子労働者の平均給与額によって得べかりし利益の額を算定した事例 2 香奠返しの費用は不法行為による損害に含まれるか(消極)
自動車販売業者につき、顧客に車を引渡す際、運転免許証の有無を確認する義務はないとして、民法715条の責任を否定した事例
1 横断禁止場所を横断中、事故のあった歩行者の過失割合 2 高額所得者の逸失利益算定につき、その生活費を所得の2分の1とした事例
1 増改築許可の裁判と借地法7条の土地所有者の異議権 2 増改築許可に伴う付随処分として、更地価格の約3%にあたる金銭の支払を命じた事例
1 増改築許可に伴う付随処分として、更地価格の4%に当る金銭の支払いを命じ、賃料を改定した事例 2 付随処分として借地残存期間を延長することは、期間満了時の更新拒絶権を奪うことになるので相当でない
1 増改築許可に伴う付随処分として、更地価格の約1%に当る金銭の支払を命じた事例 2 財産上の給付額算出につき借地契約時の金銭授受および残存期間が考慮された事例
増改築許可に伴う付随処分として、更地価格の約4.85%に当る金銭の支払および当事者双方の意見を考慮の上、借地期間を20年延長した事例
「屋根用金属板」という登録実用新案について、何ら限定すべき理由がないときは「図面に示すように」の文言があってもその技術的範囲は図面に示された特定の構造とおりのものに限られるべきものではないとされた事例
「黒板塗料」についての特許出願に対し、拒絶理由として引用されたものが雷管であっても非磁性物品に磁性の塗料膜を設けるための塗料という技術分野において一致し、特許を拒絶するのが相当とした事例
「袋」に関する実用新案登録願について、拒絶理由である刊行物記載の細紐とは物品を異にしても技術分野を異にするとはいえないとして登録拒絶を相当とした事例
「耕耘爪」に関する特許出願について、その刃先部における硬度を限定したことによる出願人の主張が排斥され拒絶相当とされた事例
1 被服などの商品に関する「トウキョウグッド」という商標の登録出願につき「東京で製作又は販売された優良品」との観念を生じ、産地販売地品質を示すものとして登録拒絶を相当とした事例 2 右登録出願について同一機構の商標が商品を異にして登録されている事実は右登録拒絶の判断を左右するものではない
商品ハムについて「ケンコーハム」という称呼を有する商標登録出願について食肉等に関する「ヘルス」という既登録商標をもって登録拒絶を相当とした事例
「半導体高周波増幅変換装置」という特許出願について、所定の期間内に補正書を差し出した事実を看過して審決をした違法があるとされた事例
1 「精紡機のローラースタンド」に関する実用新案登録出願について、出願当時公知の事実を参照し、説明書に明記されていない技術内容を含むものと認めた事例 2 右出願について、出願前公知の事実を組み合わせたものであっても、これらを総合応用したところに考案があるとし、拒絶相当とした審決を取り消した事例 3 右出願が新規な型の工業的考案であることを、その実施品が多くの一流メーカーによって広く賞用されたことをその理由の一つとした事例
「運動靴スパイク」に関する登録実用新案における登録請求の範囲の解釈について、出願前公知の技術を参照し、凹溝が連通していることがもっとも重要な要件であり、この要件を欠くイ号物件はその技術的範囲に属しないとした事例
手袋に関する意匠権について、権利者から委託を受けてその実施品の縫製加工を行なっていたにすぎない者は実施許諾を得たとはいえないとされた事例
出生国不明であるが、平和条約発効前の朝鮮戸籍令の適用を受け朝鮮戸籍に登録されていて日本国内に居住している者の国籍 外国人登録法の関係において朝鮮人と認めた事例
刑事訴訟法382条の2第1項にいう「やむを得ない事由によって取調を請求することができなかった場合に」当らないとされた事例
犯罪年月日につき、認定事実と挙示の証拠との間に1月以上または1年の相違がある場合、これを単なる誤記とは認め難く、理由にくいちがいがあるとして破棄された事例
業務上過失致傷被告事件につき、被害者の受傷態様に関する認定事実と挙示の証拠との間に存する差違が、刑訴法378条4号にいう「判決に理由のくいちがいがある」場合にあたらないとされた事例
1 殺人罪の起訴に対し殺意を否定して傷致死罪を認定した事例 2 被告人は犯行当時飲酒による病的酩酊状態にあって、行為の是非善悪の判断を全く欠いていたという精神鑑定の結果を排斥して、心神耗弱を認定した事例
軽愚級の知能しかもたない気分昂揚性、易変性、爆発性精神病質者の衝動的な放火行為につき、その動機目的の不明確性、放火後の異常な行動等が常人の理解をこえるものであるとして心神耗弱を認めた例
1 国鉄大阪駅ホームにおける学生約100名による国鉄運賃値上げ反対のデモ行進につき業務妨害の犯意、構成要件の充足、実質的違法性を認めた事例(但し、列車遅延については責任がないとする) 2 右事件につき共謀を認めなかった一事例
自動車後退に際し、被害者の不存在を確認し安全運転のための注意義務を尽したとの主張を排斥し、ただ漫然と見たにすぎないと認定し、右注意義務を尽していないと認定した事例
追突事故による被害者の負傷が一見して重大なものにみえなかった場合においても、その事故を起した自動車の運転者に救護義務違反の未必的犯意が認められるとされた事例
原動機付自転車の運転者が、その後部荷台に成人男子を乗車させ、交通整理の行われていない交差点に進入後、左方の道路から同交差点に進入せんとする普通貨物自動車を発見して急加速の処置をとりながら進行して間もなく、後部荷台の乗人が転落死亡した場合に、運転者の過失を否定し、無罪を言渡した事例
1 民法768条にいわゆる財産分与の性質は、夫婦の双方が婚姻中協力して得た財産の清算という要素にとどまらず、離婚後生活に困窮ないし不安を生ずる夫婦の一方に対する扶養、離婚に伴う慰藉料等損害賠償的要素も包含するものと解すべく、これら諸要素にわたり、婚姻期間、婚姻生活状態、夫婦双方の協力によって得た財産ないし各人の資産、生活能力等一切の事情を考慮して、その分与の是非、方法、額を決すべきものと解する 2 相手方(夫)からの財産分与により、申立人(妻)は申立人両名(子)の養育手段を確保することができるから、右の財産分与は同時に申立人名(子)に対する扶養方法ともなるとした事例
1 認知を請求する権利は何びとにおいてもこれを放棄することができない 2 子の認知請求権を放棄することの代償として多額の金品の交付を受けたことなど判示事情のもとにおいても、認知請求権の放棄を許さない性質よりして、母を代理人とする子の認知請求権の行使が権利の濫用となるものではない 3 長期間にわたって夫婦の同棲が失われ、たんに戸箱の上にだけ婚姻の形骸が残っているような場合の、民法772条の推定を受ける子の父子関係を決する方法については、母の夫から嫡出否認の訴がなされないままでも実の父に対する認知請求が許されるものと解する
精神分裂病で通院している者を相手方とする親権者変更申立事件につき相手方に特別代理人を選任したうえその旨の審判をした事例
事件本人は既に養親となるべき者に養育されているが親権者が行方不明のため養子縁組ができない場合には、代諾により養子縁組をさせるため所在の明らかな一方の親に親権者を変更するのが相当である
1 抗告人は被相続人の死亡まで本件家屋に被相続人と同居し一緒に農業をしていた唯一の子であること、被相続人は老後は抗告人にかかるから本件家屋を抗告人に贈与する旨約したこと、我が国では生前健康時に死後の財産の処理をしておくことは稀で、むしろ重病になったり死を予期して財産の処理をすることは世上よく行なわれていることであることなど判示事情のもとにおいては、本件家屋の登記が被相続人の病気重態中になされたことの一事をもって直ちに被相続人の意思に基づかないものであると速断することはできない 2 昭和24年以来被相続人と農業に専従して生活を維持して来た抗告人から耕作地を全部取り上げる結果となる遺産分割は合理的な根拠がない
遺産分割の審判時と相続開始時との間で分割の対象たる物件の価格に変動があって、審判時の価格をも考慮に入れなければ分割の結果に不均衡を生ずる場合は別として、右両時点における評価額に大差がない場合は、遺産分割の効力が相続開始の時にさかのぼるものと法定されていることに鑑み、相続開始時における物件の評価額をもって均衡の調整をはかるのが相当である
遺言執行者として職務上の過怠を指摘されることがなくても、相続人の一部の者と緊密な関係にあり、相続人全員の信頼を得られないことが明瞭な案件である以上、その遺言執行者は適任者でなく、解任について正当事由があると解すべきである
10数年前から公認各種学校である編物学院を経営してその院長を勤め、編物に関する協会・団体等の各種役職にあり、また、24年間の長きにわたる婚姻生活中公私共にその氏を使用して活動してきたことなど判示事情があって、離婚により復氏したことが当事者に不当な不利益を強いる場合においては、戸籍法107条1項により離婚前の氏に変更することができる
通名として永年使用して来たことを理由に改名を許可する場合には、通名と戸籍名とのそごによる社会生活上の著しい支障がなくなれば充分であり、申立人が旧字体への改名申立を固執しても、字画のごときいわれなき迷信に加担してまで改名を許さなければならない理由はない
1 韓国新民法施行前に届出た韓国人男と日本人女の重婚は無効と解されていたので、その間の子は母の非嫡出子にして日本国籍を取得し、その後の法令の改正により右婚姻が取消しうるものとされたとしても子は日本国籍を失わない 2 右の子につき、法令改正後に韓国人父から出生届のなされた場合に子についての戸籍の記載を戸籍事務管掌者の処理に委ねる旨の戸籍訂正審判をした事例
旧樺太在籍当時から事実上離婚状態にあった甲乙夫婦が引揚げ後、甲男が先に就籍して丙女と婚姻している場合でも、乙女は単独で就籍できず、夫婦として甲男の戸籍に就籍すべきであるとされた事例
韓国新民法施行前になされ、同法施行前にその実体が失われている韓国人男と日本人女との重婚については、同法附則2条但書により、新法は遡及適用されず無効である
韓国人間の母子関係不存在確認事件の準拠法は、婚外親子関係発生の問題に関する法例18条1項の趣旨を類推して定めるのが相当である