最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 債権担保のために締結された売買予約の解釈 2 売買予約の形式をとる債権担保契約につき仮登記を経由した債権者から本登記をするについての承諾を訴求された後順位利害関係人の地位
1 警察官の拳銃使用上の注意義務遵守に関する立証の負担 2 国家賠償請求における加害公務員の特定の程度 3 国家賠償請求における消滅時効の起算点となる「加害者ヲ知リタル時」の意義
1 タクシー会社は、被用運転者の業務上の事故により生じた損害につき被用者に対し損害賠償請求権ないし求償権を行使しない旨の慣習の存在(消極) 2 タクシー会社から被用運転者に対する損害賠償請求権ないし求償権の行使が権利濫用にあたるとされた事例 3 タクシー会社から被用運転者に対する損害賠償請求ないし求償請求につき、車両あたりの水揚げ額、運転者の給与その他の事情を斟酌して過失相殺をした事例
1 国鉄が国労動労に対し団体交渉応諾義務あることを確認した事例 2 表彰制度の改正が公労法8条の団体交渉事項であると認められた事例
1 被用者による偽造手形の受取人が偽造の事実を知って手形を取得した場合と受取人からその手形を取得した者の使用者に対する損害賠償責任 2 偽造手形の取得者またはその使用者に対する損害賠償請求権と右取得者の前者に対する遡求権との関係
任意競売手続による時効中断の範囲 約束手形金債権や損害金債権を申立債権とする任意競売手続の申立は、その原因債権や元本債権についても時効中断の効力を及ぼすか否か
1 部落入会山林の管理処分権の帰属・ほか 2 和解の前提となる基本的問題の紛争の解明を留保し、または不問に附した場合と、和解の効果
1 船舶の衝突につき両船舶運航責任者のほぼ同等の割合による過失の競合を認めた事例 2 船員保険法よる行方不明手当金および遺族年金の支給と同法25条の保険代位者の成否 3 保険者代位の対象となる損害賠償請求権につき過失相殺がなさるべき場合における代位の範囲
1 職務外においての警察官に対する有形力の行使が就業規則にいう懲戒事実たる「著しく所員としての体面を汚し」「その情が重いとき」に当らないとして懲戒解雇が否定された事例 2 拘禁による13日間の無断欠勤が本人の責に帰し得ない事由によるものとして懲戒解雇事由たることを否定された事例
1 自動車の一時的貸主の運行供用者責任(積極) 2 借受けた車で夫婦子供が揃ってドライブ中に生じた事故において、夫婦の他人性が否定され、子供のそれが肯定された事例
1 同乗者が、運転者の疲労・飲酒を承知して運転を依頼した場合、運転者の同乗者に対する損害賠償責任 2 1の場合、同乗者の過失を斟酌し、傷害治療費4万6干円のうち1万円を同乗者の損害とした事例 3 好意同乗者に対し運転者の使用者の運行供用者責任が否定された事例
国家公務員に対する懲戒免職処分の執行停止の申立が、回復困難な損害を避けるため緊急の必要があるときに当たらないとされた事例(2件)
1 郵政職員につき就業規則とことなる労働慣行に従い勤務した者を就業規則違反の故をもって懲戒できないとした事例 2 郵政職員の年休の効力発生時を原則として意思表示のときとした事例 3 郵政職員の懲戒処分に対し不当労働行為を理由として取消訴訟ができるとした事例
国鉄労組員が駅長に暴行を加えその列車監視等の公務の執行を妨害したという公訴事実について実質的違法性を阻却するとした原判決の判断を誤りとした事例
公安委員会の付した許可条件に違反した集団示威運動(坐り込み)の指導につき、社会的に相当な行為でなく違法性が阻却されないとした事例
1 税務署員に贈賄する意思がないのに、その意思があるように申し向けて小切手等を交付させることと詐欺罪の成否 2 人を欺罔して交付させた小切手等の中に、その者への手数料報酬の趣旨が一部含まれていた場合と詐欺罪の成立範囲
1 法廷等の秩序維持に関する法律は憲法31条に違反するか 2 同法による制裁と証拠調の要否 3 法廷等の秩序維持に関する規則13条2項の代理人選任届には本人の署名を必要とするか 4 抗告状記載の複数の抗告人の氏名と氏名不詳者として監置の制裁を受けた複数の氏名不詳者との対応関係が明らかでない場合の抗告の適法性
執行官保管債権者使用許容の仮処分によって建物を使用中の債権者が現状を変更した場合、執行官は原状に回復させる職責があるか
1 当事者の運行に供した車が被害者を轢過したものでない旨を、右車の走行を記録したタコグラフチャートの示すところによれば、事故地点先で右車が一時停車することになり、目撃者のいう加害車停車位置と合致しなくなることを根拠に主張したのに対し、タコグラフの解析の結果えられる数値の誤差はプラスマイナス10%以内とはいゝきれないとし斥けた事例 2 5年9カ月の男児につき、事故後の言動などから交通の危険を弁識し、これに従って行動する能力をそなえていたものと認め、10%の過失相殺を認めた事例
交差点において、対向車のみの過失のため衝突のやむなきに至ったタクシーの保有会社が、受傷したタクシー乗客に対し支払った治療費その他の金員の一部をもって、対向車の運転車・使用者らのため事務管理として支出された有益な費用とみるべきであるとした事例
走行中フロントガラスに小石が当って破砕したため急停止した際、負傷した乗客に対し、保有者に責任を認め、被害者の月収中公序に反する行為の対価を排除した事例
5才の幼女が小走りに道路を横断しようとして車にひかれ即死した事故で免責を否定し、幼女に3割の過失を認め、その逸失利益につき18才~25才は女子労働者として、それ以後55才までは労働能力の喪失自体を損害とみて、女子平均賃金により算定した事例
振出人として甲会社Aと記載し、その名下に甲会社社長の職印が押されている場合に、甲会社の振出責任が否定され、A個人の振出責任が認められた事例
レインコートに関する登録商標が周知著名であるとし、はき物、かさ等の商品についても誤認混同のおそれありとの理由で、防護標章の登録を認むべきものとした事例
「眼鏡取付用反射鏡装置」に関する実用新案登録願について、引例の考案によっては生じない作用効果を有するときは推考容易とはいえないとした事例
「塩化ビニルを包含する単量体物質を重合させる方法」に関する特許発明につき、その特許を無効とする審決が出されたのちその確定前訂正を命ずる審決によって無効原因が除去されたとしてさきの審決を取り消した事例
「複写材」に関する特許権に基づく差止請求において、その特許発明の技術的範囲は発汗傾向を有する軟化剤を使用するものには及ばないとした事例
「トイビルディングブロック」に関する実用新案権に基づく差止請求において、右登録実用新案の技術的範囲は副突起が1個のものに限られ、群としての副突起を有するものには及ばないとした事例
「砂糖粒子を使用し貝殻、魚類等の型を現わした慶祝用砂糖」に関する実用新案権に基づく差止請求において、その登録請求の範囲の記載中方法に関する部分も構成に欠くことができない技術手段の一つであると認定した事例
民法752条の同居義務は、夫婦関係が通常の状態にあり、相互に夫婦としての信頼関係が維持されていることを前提とするものであって、夫婦相互間の信頼関係が全く失われ、もはや婚姻を継続しがたい重大な事由が認められるような場合には、同居義務の履行を求める申立は許されない
一夫一婦制度を前提とするわが国法の下において、戸籍は、一つの夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに編製されるのであり、夫と妻以外の女性間に出生した婚外子を同一戸籍に入れることは建前としては例外であり、この場合は妻その他同一戸籍関係者の意思は尊重されてしかるべきである
子の氏変更を家庭裁判所の許可にかからしめたのは、家庭裁判所が実質的判断を加えて許可が妥当か否かを判断すべき趣旨によると解せられ、家庭裁判所は氏の変更に異議を申し立てる側の利害をも十分検討し、両者の利害得失を比較勘案の上、許否を決すべき裁量権を有すると解する
1 家事審判・調停申立前に要扶養者の生活に要した費用を、現在及び将来の扶養料の請求から分離した独立の純粋に過去の扶養料として請求する場合には、通常の民事上の履行遅滞による損害賠償請求権として、地方裁判所の裁判事項に属する 2 扶養義務者の1人が扶養権利者に対し、自己の負担すべき額を超えて支出し、他の扶養義務者が十分な扶養の余力がありながら負担すべき額に満つるまで支出しない関係にある場合には、別段の事由がなければ、右負担の公平を是正するに足る不当利得返還ないし事務管理費用の償還請求権を扶養義務者の一方又は双方が取得する
1 相続人の1人が遺産に属する財産を処分して得た対価につき、相続人等の同人に対し有する代償請求権は遺産に準ずべきものとして遺産分割の対象とすべきものである 2 遺産の維持管理費用の負担については、遺産分割とは別に定めるべきものであって、遺産分割の審判においてその清算をなすべきものではない
民法958条の3の文言及び立法経過にかんがみると相続財産の分与は、特別縁故者から請求があった場合に限り、且つその者に対してのみなすことができる
内縁関係にあった夫が死亡し、事実上は夫婦として20年余に亘って夫の氏を使用し、その間夫方の叔父に婚姻届を依頼し、右届出は既になされているものと信じて今日に至っていることなど判示事情の下においては戸籍法107条1項の氏を変更するやむを得ない事由があるものと認められる
祖先の祭祀家名継続のため離婚後も婚姻中の氏を称し、それについて同家の親類縁者の承諾を得て日常生活をしているなど判示事実が認められても、それのみでは改氏の法定要件たるやむを得ない事由に該らない
壬申戸籍編製の際の取扱いとしては、同一戸籍内での父子異姓は認められなかったのであるから、その趣旨からすれば、同法に基づき創設した氏の効果は、戸籍に表示されているかぎりにおいては、申立人の父にも及んでいるものと解すべきであり、判示認定事情のもとにおいては、それが法律上許されないものといい得ないのは勿論、錯誤であると断定することもできない