最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 労組中央執行委員会からリコール申立てを不適法として中止を命ぜられこれに従わなかった者に対する権利停止処分が無効とされた事例 2 組合幹部リコールの要件はできるだけ広く解して小数者の批判の自由を尊重すべきものとした事例
私立高校教諭の勤務成績不良を理由とする解雇が根拠薄弱であり、労働条件改善のための活動を理由とするものであるとして、無効とされた事例
1 女子従業員の結婚退職制を定めた労働協約が無効とされた事例 2 右結婚退職制が第一子出産までの雇用延長制を採用することによっても、その不合理性が是正されないとして、出産を理由とする雇用契約の更新拒否を無効とした事例
借家法1条の2に基づく解約を理由とする家屋の明渡訴訟において当事者の明示の申立額を超える立退料の支払と引換えに明渡請求を認容することを相当と認めた事例
1 土地区画整理事業の施行者が仮換地上の建物の移転除却を怠った不作為と土地所有者に対する損害賠償義務 2 国家賠償法に基づく普通地方公共団体に対する損害賠償請求権の消滅時効と民法145条の適用
警察の自動車が自動車専用道路において転回行為をするについて過失があり自動車損害賠償保障法3条但書による免責を得られないとされた事例
1 電気工が、14才の少年に、川の対岸までロープを渡すよう依頼し、少年が溺死した場合の不法行為の成否 2 下請人の被用者の不法行為につき元請人の使用者責任が認められた事例
幼児を拘束する夫婦の一方の拘束が、平穏に、不穏当な手段を用いることなく開始された場合における、人身保護法による救済の成否
1 父の保有車を運転する父の被用者の過失により死亡した子が、自賠法3条の他人に該当し、その母は、同法16条により、逸失利益および慰藉料請求をも請求しうるとされた事例 2 右被害者請求に要した弁護士費用は、事故と相当因果関係ある損害とはいえないとされた事例
後遺症のため労働能力が低下している被害者に事故減収がない場合について、労働能力減少による財産的損害を認めることの可否
1 「希望、死亡、停年、休職期間満了および事故欠勤が1か月以上で特別の事由が認められないとき退職とする。」との協約条項は、事故欠勤につき当然退職を定めたものでなく解雇理由を定めたものと解した事例 2 反戦系労働者をデモ参加逮捕勾留による欠勤を理由として解雇したことが権利濫用と判定された事例
条件付採用中の町立保育所保母に対する成績不良を理由とする免職処分が処分事由につき疑問ありとしてその効力を停止された事例
1 刑訴法435条6号にいう「証拠をあらたに発見したとき」にあたらないとされた事例 2 弁護人の変更と再審請求におけるいわゆる証拠の新規性
併合罪としての処断刑に変りがなくともその一部に法令の適用を誤ったため判決に影響を及ぼすことが明らかであるとされた事例
検察官の証拠物閲覧が閲覧権の範囲を逸脱した疑があり、少くとも閲覧場所につきあらかじめ裁判所の承認を得なかったのは違法であるとされた事例
1 大阪市条例1条で公安委員会の許可を要する集団示威運動とはいかなるものを指すか 2 大阪市条例が可罰的なものとしているジグザグ行進やフランス式デモ行進とはいかなるものを指すか
建物および動産の賃料増額請求において、前賃料額が定められたのち3年半以上経過した場合に月額16万円から20万円までの増額が認められた事例
1 所有権確認の利益を有するものと認められた事例 2 土地の転借人が土地所有権を取得した場合における土地転貸人の土地使用継続の関係 3 土地賃貸借の更新拒絶について正当理由があるものとされた事例
甲が自己所有の不動産の登記済権利証、白紙委任状、印鑑証明書を乙に交付し、乙から右書類の交付を受けた丙がこれを利用し、甲の代理人として丁と不動産の処分に関する契約を締結した場合における民法109条の適用の有無
1 訴訟費用額確定決定の手続費用を訴訟費用として計上することの適否(積極) 2 訴訟費用額確定決定手続と狭義の弁論主義の原則の適用の有無
銀行が預金債権の上に質権を設定した後、質権実行前に右債権が譲渡され、対抗要件を具備した場合に、右銀行が右質権を実行し、被担保債権である手形債権の満足を得たときの、右手形を返還すべき相手方
建物賃貸借に附随して敷地の一部に、倉庫を建築することを許された場合に、建物賃貸人の必要があるときは正当事由の有無にかかわらず、右倉庫を取り払う旨の契約と借家法6条の適用の有無
所有権取得原因として、甲から買い受けたという主張に対し、甲から乙丙に譲渡され、丙から買受けたと認定しても弁論主義に反しない
1 建物保護法による借地権の対抗力は、当該土地の分筆により生じた建物の存在しない地番の土地にも及ぶか(積極) 2 代理人たる弁護士が違法に仮処分を利用した場合において本人たる仮処分債権者について民法715条による責任を認めた事例 3 建物収去土地明渡を内容とする和解調書に基づいて、当該建物の第三取得者に対し承継執行文を得ることなしに強制執行をなしうるとした事例
1 賃料支払の催告が過大催告であっても適正賃料額の限度において有効な催告とされた事例 2 受領遅滞にある賃貸人のなすべき催告の要件
1 無効な転付命令によって信用金庫に支払われた不当利得金につき現存利益が存しないと認められた事例 2 受益と損失との間に第三者の行為が介在しても両者の間に因果関係があると認められた事例
身元保証人に対する損害賠償請求につき、使用者である銀行にも行員の不正の予防ないしは早期発見の方策が不十分の過失があったとして、損害賠償額の算定について斟酌された事例
建物賃借人に、賃貸借当事者間相互の信頼関係を破壊して賃貸借の継続を著しく困難ならしめるほどの不信行為ありとして、賃貸人からの契約解除を認めた事例
消費貸借契約に際して抵当権設定契約とともに締結された停止条件付代物弁済契約につき、債権額と物件の価額との間に合理的均衡を失しない等の理由で、本来の意味の代物弁済契約(非清算型)と認めた事例
1 家事労働に従事している者の逸失利益の有無 2 停車中のバスを追越そうとしている自動車がバスの発進により急停車したため、後続車に追突された場合における過失相殺の原因としての過失の有無
交通事故による損害賠償請求訴訟の弁護士費用につき、同訴訟が相手方の不当抗争によるものでないとして、賠償が認められなかった事例
むち打症と心窩部痛症等との因果関係が否定された事案で、上記各疾病の治療とが合わせて行なわれていた場合に、むち打症の治療費であることにつき特段の証拠なき限り、その半分について治療費請求を認めるべきとした事例
運行供用者と任意保険会社とに対する訴を同時に提起した保険金代位請求事件において、賠償額の事前もしくは同時確定が必要と解すべき根拠が見当らないとし、必ずしも併合訴訟でなくてもよいかの如き文言を用いた事例
右眼失明の後遺障害を有するブロック工労務者の逸失利益について、受傷前と同程度の収入を得ることができたとしても、現実損害の証明はないが月2万円の喪失があると認定した事例
腰痛等の後遺症の原因である腰背部挫傷等のうち、脊椎分離症を除いた傷病が事故又は検査に関連ありとして、右脊椎分離症については、事故により増悪したとし、対症療法、当面の苦痛および休業に限定し因果関係ある損害と認めた事例
酪農経営者の死亡による逸失利益を、現実の収入ではなく、同程度の経験・能力を有する者を雇傭した場合に支出しなければならない金額に基づいて算定した事例
1 自賠法3条本文の「その運行によって」(因果関係)の主張立証につき、その程度において、接触の形態までは必要でないが、接触の可能性のある車両の特定と、その運行の主張立証だけでは足りない、とした事例 2 トラックの左側を併走していた原付自転車が、転倒(死亡)した事故について、両者の接触に因果関係なし、とした事例
1 車両交通量の激しい車道中央で、酩酊し横臥中、轢過された被害者に、5割の過失相殺がなされた事例 2 逸失利益につき、生活費を6割控除した事例
1 運転者の過失は認められない、としながら、その運行供用者に対しては、自賠法3条但書の免責までは認められない、として支払いを命じた事例 2 単車と普通車が衝突し、単車の荷台に同乗していた、同車の運行供用者が死亡した事故で、単車の運転者と、普通車の運転者およびその運行供用者を共同被告として提起した事案につき、単車の運転者と、死亡した運行供用者に重大な過失があった、として弁論を分離し、先ず同車の運転者に対し単独支払いを命ずる判決をなし、その後普通車の運行供用者に対してのみ、被害者に4割5分の過失相殺をした上で、単独支払いを命じた事例
入院治療期間5ヶ月、通院治療期間18ヶ月を要した、いわゆるむちうち損傷事案につき、休業期間を6ヶ月間とし、慰藉料額を70万円とした事例
2年前の事故のために、むちうち後遺症が残っていたため軽微な本件追突事故を契機に、いちじるしく右症状が悪化し長期の治療を要した(入院11月・通院3月)事案につき、「原告に身体上の特殊の事情があり、損害が拡大されるに至ったことにつき、事故当事者間に予見可能性があったものとして生じた損害を全部負担させることは相当でない」として、事故後6ヶ月間の範囲内における損害のみしか認めなかった事例
1 頭蓋骨々折、顔面挫創等の傷害のため20才の未婚女性の顔面3ヶ所に瘢痕を残した事案につき、慰藉料を200万円とした事例 2 好意同乗者であることを慰藉料の減額事由としなかった事例
幅員五米の東西に通ずる道路を西に向って歩行していた被害者が道路左側の電柱の支線を避けるために、わずかに道路中央寄りに動いたとき、後方より時速10粁で進行してきた事故車が衝突した事案につき、過失割合を前者1、後者9とした事例
追突事故により、むちうち損傷兼第六頚椎骨折の傷害をうけ、入院治療期間6ヶ月、通院治療期間約10ヶ月を要した事案につき、休業期間を16ヶ月とした事例
1 右折開始後、交差点中央やや対向車線内においてエンスト停車した原付自転車と直進自動車との衝突事故につき、過失割合を5対5とした事例 2 祭日出勤者の事故につき、会社の使用者責任を認めた事例 3 夫の傷害事故につき、妻の慰藉料請求を認めた事例 4 慰藉料総額を420万円とした事例
1 信号機による交通整理の行われている見透しのよい交差点に向って加害車が南から北へ交差点の青信号に従い時速40粁で直進して交差点に進入したところ対向車線右前方に被害者が自転車に乗って交差点北側の北東より南西に向って右斜めに横断し、センターライン附近にまで進行してきたので急ブレーキをかけたが交差点センターラインよりやや西側の地点で加害車の左前部と被害車の左後部とが衝突した事案につき過失割合を加害者側7、被害者側3とした事例 2 66才と11月の農業経営者の就労可能期間を53年間とした事例
1 市街地域の商店街で人車の通行量の多い幅員14.5米の道路上の西行車線上に停滞中の車輌の間からセンターラインを少し越えた地点へ、小走りに走り出た老女に、東行車線上を時速3.5粁で進行してきた事故車が衝突し、はねとばした事案につき、過失割合を前者3.5後者6.5とした事例 2 炊事子守等の業務に従事する67才の老女の就労可能期間を5年間とした事例
1 南北に通ずる巾員62米の道路の横断歩道北側の北行車線上に貨物自動車2台が並んで駐車しており、道路の西側は遊園地、東側は雑貨店等がある見透しの悪い地点を、北より南に向って時速30粁に減速しただけで慢然と進行した事故車が、右横断歩道上を西より東に7才の姉につづいて小走りに走り出てきた3才8月の幼女に接触転倒させた事案につき、過失割合を前者9、後者1とした事例 2 傷害事故につき慰藉料を300万円とした事例
入院期間約11ケ月、通院治療期間約10ケ月を要した、いわゆるむちうち損傷事案につき、休業期間を1年間とし、慰藉料額を90万円とした事例
1 信号機のない交差点において制限速度を20粁オーバーして60粁で直進してきた車と20粁の速度のまま慢然と右折を開始した車との衝突事故につき過失割合を前者4、後者6とした事例 2 左足切断の後遺症による労働能力喪力率を50%とした事例 3 傷害事故につき慰藉料として330万円を認めた事例
1甲を使用者であるとして訴訟中、本件事故後3年以上経過した第2回口頭弁論期日に、甲の答弁により、甲の父乙が運行供用者および使用者であることを知った場合、乙に対する損害賠償請求権の消滅時効はその日から起算すべきものであるとされた事例
交通量の多い幅員176米の道路を横断すべく、センターラインをまたいで停止していた足踏自転車の後方を通過しようとしてセンターラインを1米ほどオーバーして対向車線内を進行してきた自動二輪車が右自転車の後方に接触し、横転の状態で対向車線内に進入してきたのを対向車線のセンターライン寄りを時速40粁で進行してきた加害車が30米先に発見し、急ブレーキをかけたが回避できず衝突した事案につき、加害者側の免責を認めず、その過失割合を25%とした事例
事故車の前方路上(巾員3.9米・車の駐車および人通りの多いショッピングストア入口)へ、よちよちと歩きだした他人の幼児(1年5月)を危険から護るべく、連れ戻すことに気をとられ、自己の被害幼児(3才)の動静について監視を怠ったために、母親の後を追って歩みだした被害幼児が、前方の安全を確認せず発信した事故車に衝突され死亡した事案につき、被害者側の過失割合を15%とした事例
車線を変更して追突車の進路前方に進入してきた追突した事案につき、追突車運転者の過失の有無を認めるに足りる証拠がないとして不法行為責任を認めず、追突車所有会社の運行供用者責任のみを認め被害者と会社との関係で原告の損害につき3割の過失相殺をした事例
1 自宅階下で建具の製造・販売・運搬・取付等を業とする従業員4名の個人会社の代表取締役に代理監督者責任を認めた事例 2 自動車(加害者)と自転車との衝突事故につき、過失割合を7対3として過失相殺しながら、加害自動車の修理代金を相殺の自動債権として認めなかった事例
夫婦、親子間の損害賠償請求権に基く自賠法16条の被害者請求につき、現実の出捐である治療費等の他、逸失利益請求権をも認めながら、慰藉料請求権が消滅しているとして認めなかった事例
1 運送業者が病気のため息子に経営一切を事実上やらせていた事案につき、運送業者の運送支配は喪失していないとした事例 2 運転者と共に飲酒し、運転者の酒酔状況を知りながら運転者に運転させ、これに同乗中の事故につき、同乗者に損害の一切を負担させた事例
1 建物の構造に関する借地条件変更許可に伴う附随処分として更地価格の10%にあたる金銭の支払いを命じた事例 2 借地法7条ノ2第1項の「事情の変更」の有無認定の基準時
1 家事審判のごとき非訟事件の申立ての範囲を拡張する場合には、必ずしも書面をもって明示的にすることを要しない 2 婚姻費用分担の請求者が同居する未成熟子の生活費を併せて請求することは、本来あるべき婚姻共同生活を維持継続するために必要な費用であるから当然に許容されるべきところであり、右未成熟子がすでに成年に達しているとしても、生来病弱で再三にわたり入院加療を続け、現在もなお自宅で専ら母の世話になって療養生活を送っており到底独立して生活を営むに足る能力を有しない場合は、法律上の未成熟子とみるのが相当である
財産分与請求権の性格について、離婚に際して夫婦財産の清算を請求する権利を中核とし、離婚後の扶養を請求する権利および離婚そのものによる慰藉料請求権とが複合する包括的な離婚給付請求権と解しつつゝ本件においてはもっぱら夫婦財産関係の清算のみを考慮すれば足りるとして財産分与額を算定のうえ、離婚が申立人の不貞行為に原因し、相手方に対し相当額の慰藉料を支払うことを要する事情を考慮してこれに相当する額を減額した事例
相手方から申立人に対し事件本人の引渡しを求めた別件訴訟において相手方が勝訴した場合でも、事件本人の親権者を父母のいずれにすべきかは、右訴訟の結果とは別個に事件本人の福祉を中心にこれを考慮するのが子の利益のために必要である
離婚により子と共同生活関係をしなくなった父親が、新たな妻子との共同生活を営み生活保持の義務を負っている場合は、現在の共同生活に必要な最低生活費を切りつめてまで他の生活体にある未成熟子の扶助をすべきことを期待することはできない
遺産分割審判事件においては、遺留分減殺請求の効力等に争いがあり、すでに民事訴訟が係属している場合でも、また減殺請求の目的となった遺贈物件以外に遺産がない場合でも、家庭裁判所は、減殺請求の効力等につき独自の判断を行ない、分割すべき遺産の範囲を確定したうえ分割の審判をなすべきものと解する
生存養親とのみの離縁により養子を実方に復氏させる戸籍上の取扱いに疑問はあるが、右取扱いについて論じ合うことによる時間経過の不利益を申立人らに負わせるのは相当でないとして、戸籍法107条による氏の変更を認めた事例
度牒を受けあるいは得度して僧になり僧名を称することになったとしても、現に宗教活動を行なわず、また宗教活動に従事するとしても、それぞれ社会生活ないし社会活動の一部をなすにとどまり、一般的社会的にみて宗教生活を送っていると認められない場合には、僧名に変更するに足る正当な事由がない
虚偽出生届にもとづく表見上の父母と子との間の親子関係を確定する準拠法は、法例18条1項を類推適用して、父母と子との双方の本国法を準拠法とするのが相当である
中国人母子間で、母の債務の担保として子の不動産に抵当権を設定する事案において、中華民国法上は親子間に利益相反関係ある場合、未成年者のために特別代理人の選任を要する旨の規定はないから、法定代理人である母は、適法な代理行為をなす権限を有するとして特別代理人選任の申立を却下した事例