最も長い歴史をもつ判例実務誌
無許可の集団示威運動の指導者につき相当の理由に基づく違法性の錯誤があったとして昭和25年東京都条例第44号、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例5条の罪の成立を否定した原判決に事実誤認があるとされた事例
1 キノホルムがスモンの唯一の病因であるとした事例 2 スモン被害を惹起させた製薬会社に対して無過失責任を課すことの可否(消極) 3 製薬会社に要求される医薬品の副作用に関する注意義務(予見義務及び結果回避義務)の内容 4 医薬品の副作用の予見可能性の程度 5 昭和31年1月当時キノホルム剤のヒトに対する神経障害の予見は可能であり、製薬会社にはその結果回避義務の違反があったとされた事例 6 昭和31年1月当時製薬会社にはキノホルム剤についての動物実験義務の不履行があったとされた事例 7 違法な医薬品の製造承認は第三者たる国民に対して不法行為となりうるか(積極) 8 昭和23年及び同35年薬事法の立法趣旨及び目的 9 昭和35年薬事法は、昭和42年9、10月の薬務局長通知によリ、同年11月1日を基準時として、不良医薬品の取締りを目的とする行政警察法規から医薬品の安全確保を目的とする法規へとその基本的性格が修正されたとした事例 10 キノホルム剤についての許可・承認に違法がないとした事例 11 行政庁の規制権限の不行使が違法となる要件 12 昭和43年11月1日当時厚生大臣にはキノホルム剤について規制権限の不行使の違法及び過失があったとされた事例 13 医薬品被害についての国の責任の性質及び範囲 14 慰藉料の算定にあたって、原告側の一般的な被害状況のほか、罹患者の症状及びその経過、入通院期間、年令、職業、扶養親族の有無、主婦としての家族への寄与度、スモン罹患による生活状況の変化、鑑定による症度区分等を総合勘案した事例 15 毎月払いの介護費用の請求を排斥した事例
相続人以外の者に包括遺贈された財産につき相続人からなされた処分禁止仮処分に対する異議訴訟の係属中に遺言執行者が選任され、右遺言執行者が右訴訟に当事者参加した場合の訴訟法律関係
任意競売を申し立てられた数個の不動産のうち裁判所が選択したある不動産のみを競売に付しその不動産の売得金が債権及び競売費用を弁済するに足りる場合において、債務者が他の不動産を指定する機会があるのにこれをしないとき、裁判所がその不動産のみを競売したことは違法か(消極)
空冷式エアコンプレッサーのオイル・クーラー・ファンによる手指損傷事故につき、ファンの外周部に空間部分が設けられていたことをもって製作会社に過失があるとはいえないとされた事例
1 登記義務者が不動産登記法44条ノ2第2項により登記官に対してした登記申請に間違いがない旨の申出と無権代理人によってなされた登記原因たる法律行為又は申請行為に対する追認の成否 2 法定追認を定めた民法125条は無権代理行為に適用があるか(消極)
1 住民訴訟を本案とする仮処分の可否(積極) 2 町長の小学校旧校舎取毀行為が違法でないとして右取毀の差止を求める仮処分が却下された事例
債権差押・転付命令の基本となった債務名義につき執行債務者が執行停止決定を得ていたが、これを執行裁判所に提出する以前に、債権差押・転付命令が発せられ第三債務者に送達された後に右停止決定を追完することによって債権差押・転付命令の取消を求めることの適否(消極)
ホステスが経営者に対し指名客の飲食代金につき責任を負う旨の契約は、ホステスが指名客の業者に対して負担する飲食代金を取立ててこれを業者に入金すべき独立の債務を負担した契約であると解し、かかる契約は公序良俗に反し無効とされた事例
慰謝料請求訴訟において、原告代理人が真摯に訴訟を遂行し、その請求にかかる権利の実現を図る意図がないとして、原告不出頭のまま弁論を終結し請求棄却の判決を言渡した事例
1 国の国家公務員(自衛隊員)に対する安全配慮義務違背を認めた事例 2 入隊直後に野外訓練において露営就寝中落石事故により死亡した自衛隊員の逸失利益の算定に関し、将来にわたる同隊員の職業を自衛隊員として固定しないで算定した事例
店舗賃貸借契約の更新拒絶・解約申入において、1000万円の立退料の提供にもかかわらず、賃貸人の悪質な営業妨害行為等を理由に正当事由を否定した事例
委任状に押捺された印影が印鑑証明書の印影と異なっていることを看過して、偽造の委任状に基づく登記申請を受理した登記官に過失がないとして国家賠償請求を棄却した事例
任意競売の目的である土地が、評価書記載のような道路に接せず袋地であったとしても、右は物の瑕疵にあたるとして、担保責任の成立を否定した事例
1 行政不服審査法に基く検証が違法とされ、県公安委員会がなした棄却裁決が取消された事例 2 原処分取消請求が棄却されても、審査請求棄却裁決を取消す実益があるとされた事例
道路防護柵に腰をかけていて体の平衡を失った幼児の転落事故が道路の設置又は管理に瑕疵があったことによるものとは認められないとされた事例
保育所入所措置処分のような受益処分の取消は、当該処分が、詐欺、強迫その他不正な手段に基づいてなされたとか、相手方の既得権・利益を剥奪しても止むを得ない公益上の必要があることを要し、単に当該処分に瑕疵があったというだけの理由では取消すことはできないとされた事例
1 同和地区住宅改修資金貸付条例に基づく資金借入申込書に部落解放同盟県連支部長の認印のないことを理由として右借入申込につき何らの応答行為をしない市長の不作為は違法である 2 市長の不作為の違法を理由とする損害賠償請求が認められた事例
1 いわゆる仮放免期間延長請求は、その性質は出入国管理令54条1項による新たな仮放免の請求に当る 2 仮放免期間延長請求に対する不許可処分取消請求訴訟の係属中、他の理由(病気)により仮放免が許可された場合、右取消請求は訴えの利益を欠く
1 法人税法に定める法人の解散と商法の会社の解散との間の同一性の有無(積極) 2 税法上の禁反言法理・信義則違反の主張が排斥された事例
物件を競落取得する目的で競売屋に対し支払われた情報収集のための手数料は、右物件が競落されたときには法人税法施行令54条1項1号にいう取得価額を構成する
1 地方公務員の懲戒処分説明書に記載されない事実をその取消訴訟において処分理由として主張できるとした事例 2 地方公務員の争議行為が人事院勧告の完全実施を目的としていても、この勧告制度が機能を喪失しているとみられる事態でない以上、この争議行為を目的においてできない行為であるとはいえないとした事例
争議行為を実施する旨の決議をなすに当り労組法5条所定の直接無記名投票によらず、かつその実施までに労調法37条所定の予告期間をおかなかった場合、この争議行為は違法であるとし、かつ整理解雇に当りその主謀者を人選したからとて不当労働行為にはならないとした事例
1 自動車教習所が被解雇者(技能指導員)の原職復帰を内容とする緊急命令履行の前提として相当期間をこえる学習を課したことをもって緊急命令の不履行とした事例 2 第一次解雇につき救済命令並びに緊急命令が発せられ後に第二次解雇がなされたとき、使用者は右緊急命令に従う義務があるか(積極)
1 中卒又は高卒者を対象とする製鉄会社の現場作業員募集に対し、真実は高卒で大学在学者(但休学中)であるのに中卒と申告し、その他職歴、家族関係にも虚偽の申述をした結果採用された者が、就業規則所定の重要な経歴をいつわった者に該当すると判断された事例 2 経歴詐称と判定するには詐称による実害の発生を必要としないとされた事例
1 人事委員会の転任処分承認判定に対し再審請求をしたところ、実体法上の理由により棄却決定を得た場合、この再審決定に行訴法14条4項にいう「審査請求に対する裁決」にあたるとした例 2 市内中学校教員の年令構成、経験年数、男女比率の不均衡是正の一環としてなされた転任処分に裁量権の逸脱なしとされた例 3 転任により当該職員の申立てていた勤務先中学校の休憩設備等の設置を求める措置要求につき、その者は申立適格、判定取消訴訟適格を失うことになるが、その転任は故意に措置要求を妨害し、申立人をそれ故に不利益に取り扱ったとは認められないとした事例
1 自動車が狭隘化した道路に進入、対交の際路肩から沢に転落し、同車荷台同乗者が死亡した事故につき、右自動車を所有する牧場と道路管理者である道の責任をともに肯定した事例 2 自動車の転落事故による被害者が荷台に乗車していた事実を、運行供用者について考慮せず、道路管理者について斟酌し、その残余について両者の連帯支払いを命じた事例
戸籍法施行規則60条所定の当用漢字等以外の文字であっても、その文字が珍奇難解なものでない限り、戸籍法107条2項の改名の正当事由があるとされた事例
商法270条1項の仮処分により選任された取締役職務代行者は右仮処分取消決定に対し抗告を提起することができるか(消極)
共同出願における拒絶査定の謄本の送達は、特許法14条本文により、共同出願人の一人にすれば、共同出願人全員について効力を生ずるか(積極)
特許登録された発明が未完成であって、特許法2条1項にいう発明に当らないとして、無効審判請求をしりぞけた審決を取消した事例
文字よりなる商標が、図形もしくは図形と文字との組合わせよりなる商標と類似するとして登録拒絶した審決を維持した二つの事例