最も長い歴史をもつ判例実務誌
洗剤パニックの原因が業界の生産制限、出荷操作にあると指摘した東京都の合成洗剤調査報告が誤っているとして、洗剤メーカーの名誉毀損の成立を認め東京都に対し100万円の損害賠償支払を命じた事例
文化財享有によって得る学術研究者などの利益は、法律上保護された利益ではないから、史跡の指定解除処分を求める適格を有しないものとされた事例
1 民法915条1項の「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは相続人が被相続人の死亡、自己が相続人であることを知ることに加えて積極財産の一部または消極財産の存在を確知した時であることを要するか(積極) 2 行方不明であった被相続人の着衣、身回り品、僅かな所持金、遺体などの引渡を所轄警察署から受けても民法921条1号の、相続財産の一部を処分した」ものといえないとされた事例
1 民訴法198条2項の損害賠償義務と民法509条にいう「不法行為二因リテ生シタ」債務 2 民訴法198条2項の原状回復及び損害賠償が別訴で請求された場合にその債務者が前訴請求債権と請求の基礎を同じくする債権をもってする相殺
1 借地人が第三者に対し囲繞地通行権を主張して訴を提起している場合に家屋賃借人が借地人に代位して右の第三者以外の者に対し同一の通行権を主張することの当否(積極) 2 借地人と囲繞地通行権の取得 3 国が通行権を前提としないで宅地の払下をしたが、袋地が生ずべき場合において、その宅地は民法213条の囲繞地としての物的負担を免れるか(消極)
資本金1億円未満の株式会社の取締役が会社に対し訴を提起した場合において、商法特例法24条による会社代表者が選出されていないときに受訴裁判所がとるべき措置
1 いわゆる漁権(農林大臣の許可を受けて指定漁業を営むことのできる地位)は、担保の目的となりうる 2 債権者が抵当権等の担保権を解除して債務者に当該担保物件の任意処分を許したことが法定代位者のための担保保存義務に違背するとされた事例
1 民訴法321条1号にいう「挙証者ト文書ノ所持者トノ間ノ法律関係二付キ」作成されたとの意義 2 関係者の調査協力拒否の虞れがある場合における航空自衛隊の事故調査報告書の提出義務
抵当権と併用された担保目的の賃借権を譲受けた者は民法395条の短期賃借権をもって仮登記担保権者に対抗できるか(消極)
訴の取下の同意はいわゆる与効行為であって、一たん訴の取下に同意をした以上、その同意を撤回することは許されないとされた事例
1 仮登記権利者の第三者異議請求を認容した事例 2 利害関係人の承諾書の添附がないままなされた仮登記にもとづく本登記を有効とした事例
妻子ある男性と肉体関係を持ち、婚姻生活を破綻に至らせた女性に対し、慰藉料として妻に60万円、子2名に各20万円を支払うべきことを命じた事例
当初から婚姻の意思がないのに、婚姻を希望する女性を1年余にも及ぶ性関係を含む交際を持続した男性に対し、慰藉料100万円の支払を命じた事例
倉庫に貯蔵していたセルロイドの、高い気温と湿度による自然爆発事故につき、失火法の適用はなく、保管者に過失ありとして不法行為責任を認めた事例
信用保証協会が連帯保証人兼物上保証人との間で締結した代位弁済による求償権等の範囲に関する特約は、後順位担保権者、第三取得者に対抗できるか(消極)
国会議員の多数が公選法13条、別表1、同法附則所定の選挙区及び議員定数の定めによって生ずる国民の選挙権の投票価値の不平等を是正するため立法権を行使しなかったことにつき、右国会議員らに故意又は過失がなかったとされた事例
企業の組織・規模から見て、その経営者が自ら事故の発生を予見することはできなかったとして右経営者の過失責任を否定し、使用者責任を認めた事例
いわゆる「村八分」を理由とする慰藉料請求事件につき、被告らの所為に共同不法行為としての違法性が認められないとして、請求を棄却した事例
1 土地区画整理事業の施行者たる市長に対する仮換地指定処分による損失補償請求棄却の確定判決の既判力は同市長所属の地方公共団体たる市に対しても及ぶか(積極) 2 中間確認の訴はその前提となる本来の請求の訴が却下される場合には不適法となるとされた事列
国がした東京都水道局長の横田飛行場内・都水道用地使用不許可処分に対する審査請求に対し、東京都知事が6年余にわたり裁決をしないことは違法であるとされた事例
集団示威行進の参加人員が23人程度の主婦、子供、市民グループであっても、他集団の多数の押しかけ参加が予想される場合は、一般の交通阻害及び不測の事態の生ずるおそれがあり、道路使用一部不許可処分は適法であるとされた事例
風俗営業等取締法4条の6第1項にいう「個室に自動車の車庫が個個に接続する施設」とは、特定の車庫と特定の個室が平面的、立体的に接着しているか又は専用の出入口、通路、階段等により接続している構造設備であって、利用客の行動の秘匿性の高いものをいう
中労委が不当労働行為と認定した論拠の重要な部分に誤りがあり救済命令の維持可能性に疑義があるとして緊急命令の申立を却下した事例
1 いわゆる整理解雇が解雇権の濫用に該るとして無効とされた事例 2 原告らが加入する労働組合と被告会社との間にはいわゆる解雇協議約款を含む労働協約が存在するのに、組合は被解雇者の人選及びその基準について被告会社側に委ねてしまい協議しようとしなかった場合において、それが会社側の妨害、組合幹部の独断もしくは会社との共謀によるものといった特段の事情がないから、労働協約違反により無効とはいえないとした事例
1 航空機乗務員に対する乗務手当が付加給であり固定給の一部を構成するものと解された事例 2 労働者の同意を得ないで就業規則を改訂することが許されるための要件
妻及びその親族にいやがらせの電話や通信を繰り返えして執拗に離婚を迫った夫に対し500万円の慰藉料請求が認容された事例
相続開始前の相続の事前放棄は許されず、また、相続しない旨言明し、遺留分放棄の許可まで得ている相続人が相続開始後相続権を主張しても、権利の濫用に当らないとされた事例