最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 旧著作権法(明治32年法律第39号)30条1項2号にいう引用の意義 2 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合と著作人格権の侵害
約束手形の所持人と裏書人との間において支払猶予の特約がされた場合と所持人の裏書人に対する手形上の請求権の消滅時効の起算点
同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕勾留とが競合している場合における刑訴法39条3項の接見等の指定権
旅行業者が参加者を募集して行った外国団体旅行において、帰路の予定航空便が確保できなかったため、参加者の承諾を得ないで他の便に振り替え、日程の一部を変更したことが、債務不履行(不完全履行)に当るとして、旅行業者に慰藉料の支払いを命じた事例
保証人の預金債権につき差押命令が発送されたときは主債務者の負担する一切の債務が当然に期限の利益を失う旨定めた銀行取引約定書5条1項3号が有効とされた事例
自己所有地の南側に9階建のマンションを建設したことによって日照を阻害されたことを理由とする損害賠償請求を、附近が第三種容積地区等に指定され、周辺に8階ないし14階建の建物がすでに数棟存在していることなどを理由に、右の阻害が原告らの受忍限度をこえないものとして棄却した事例
甲男が妾関係の維持継続の目的で乙女に不動産を贈与し所有権移転登記を経由したときは、妾関係解消後においても乙女に対し右不動産の返還を請求することは許されない
1 借地人が借地を隣接地上に所有する建物への往来のための道路として使用する場合と借地法の適用(積極) 2 貸主が公道として使用することを理由とする借地契約の更新拒絶及び異議につき正当事由が認められた事例
地主の建物収去土地明渡請求訴訟に対して、借地人が到底容認され得ない主張を掲げて不当に応訴、控訴、上告し、更に強制執行妨害をしたのが、地主に対する不法行為を構成するとした事例
1 ガス風呂入浴中一酸化炭素中毒により死亡した事故の原因が、建物建築工事を施行した請負人の過失に起因するとした例 2 日本住宅公団から委託を受けて右建築工事を注文し、監理した県公営企業管理者につき、注文者ないし使用者としての事故責任を否定した例 3 右事故の被害者につき、窓を閉め切って換気に注意しなかった過失があったとして、2割の過失相殺を認めた例
1 同一小売市場内における競合関係の商品の販売につきその差止請求が否定された事例 2 信用、名誉を侵害する行為につき差止請求の認められた事例
建設業者の建物建築工事により隣地のビル所有者が被害をうけたとしても、右ビルの基礎造りが適切でなかったなどの原因によるもので、建設業者に過失はなかったとされた事例
1 不動産仲介業者が、その仲介業務を行なう過程において、善管義務を怠ったとしても、右仲介により、現実に売買契約が成立し、その履行も終った以上、報酬請求権は発生する 2 売主から1区画の土地の売買の仲介を依頼された不動産仲介業者が、その仲介により、巾50センチメートルのそれだけでは使用価値のない土地部分を残して、他の大部分の土地を売却する旨の売買契約を成立させた場合において、委託者に右の如き拙劣かつ不適当な売買をしないよう適切な助言をしない限り、善管義務を怠ったものとして、不動産仲介業者の委託者に対する損害賠償責任の認められた事例
8才の児童が道路わきの水路へ転落して死亡した事故につき、転落防止用の安全柵等を設置しなかったことが道路の管理の瑕疵にあたるとして損害賠償請求が認容された事例
前期破水後における細菌感染による発熱を一過性のものと誤診し抗生物質の投与を遷延する等したため、産婦を死亡するに至らせた産婦人科医の過失責任が肯定された事例
強皮症が交通事故に基づいて発生したものであるが被害者の体質も右発生に寄与しているとして相当因果関係の範囲において賠償責任があるとして4分の3につき損害賠償義務を認めた事例
バーのホステスの交通事故による受傷につき最低保証給として年間150万円ないし170万円の収入を得ていたことを認めることができないとされた事例
1 友人同志が2名1組となって自動車持込による配送業務に従事していたアルバイト先からの帰宅途上において、その一方の運転中に発生した事故について、同乗していた他方の共同運行供用者性が否定された事例 2 親が車の購入代金も維持管理費用も負担しておらず、子がこれらの代金費用を支弁し専ら自己の用に供し、親との間には単に親子の身分、扶養の関係があるに過ぎない場合について、親の運行供用者責任が否定された事例 3 車持込みによる配送業務のアルバイト先からの帰宅途上の事故について、アルバイト先の会社の運行供用者責任が肯定されたい事例 4 注文者からの配送業務が収入の8割を占める請負人の被用者による事故について、注文者の運行供用者責任が否定された事例
貨物自動車の荷台からの転落事故について、転落当時、同車が走行していたかどうか不明でも車の運転によって生じたものと解しうるか(積極)
1 配偶者の一方に自活能力があるからといって、他方配偶者の応分の婚姻費用分担義務を否定することはできない 2 離婚訴訟が係属中であっても、夫婦である以上、現実に婚姻解消に至るまでは婚姻費用分担義務を免れるものではない 3 婚姻費用については、審判時から過去にさかのぼって分担を命ずることができる
父母の協議離婚により親権者の父と同居していた子(7歳及び5歳の男児)をその母が無断で連れ出して父のもとへ帰さなかった事案につき、母に対し子を請求者(父)に引渡すべき旨を命じた事例
1 借地上建物が遺贈された場合において遺言執行者が受遺者に対する当該建物の引渡又は所有権移転登記前にした借地法9条の2第1項に基づく賃借権譲渡許可申立の適否(適法) 2 借地上建物所有者がその居宅たる同建物を同居中の事実上の養子に遺贈した場合における土地賃貸人の借地法9条の2第3項に基づく譲受申立が棄却された事例