最も長い歴史をもつ判例実務誌
主として、自宅などで療養する患者への適切な医療や的確な療養の確保など結果回避義務の一環としてなされる説明(療養指導)義務について
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
政府は、昭和五七年度に人事院勧告の実施を凍結し、翌五八年度は人事院勧告の引き上げ率を圧縮して実施した。北海道当局も、北海道人事委員会勧告を同様に取り扱った。これに対して、北海道教職員組合(北教組)は、①昭和五七年一二月一六日に同年度の人...
《解 説》
一 本件は、いわゆる北方領土地域内の土地についての登記申請の可否が争われた事案である。その概要は、(1)同地域内の水晶島の元住民が同島内に所有する土地について、釧路地方法務局根室支局登記官に対し、登記簿上「根室郡根室町字鳴海町参丁目壱番地」と表示された右元住民の住所を、現在の住...
《解 説》
本判決は、不作為の不法行為(及び債務不履行)の成否が問題とされた限界的な事案において、いわゆる事実的因果関係の存否に関する判断の在り方につき論じたものである。
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。A(男性・当時五三歳)は、昭和五八年一〇月に肝硬変に罹患しているとの診断を...
《解 説》
1 本件は、警察官である被告人が、職務として行った発砲の適法性が争われた事案である。第一審判決(本誌六五五号二五二頁)は、発砲を適法と認めて被告人を無罪としたが、控訴審判決(判時一五四五号一一六頁)は、逆に発砲を違法として被告人を有罪(懲役三年・三年間執行猶予)とした。第一審判...
《解 説》
一 事案の概要
仙台市は、国鉄から取得を予定していた宿舎跡地につき、いわゆる「民間活力の導入」として、右土地の開発計画提案を広く募集した上で優秀計画を選考し、提案者をもって開発協力予定者とすることを基本方針として、開発計画提案を公募したところ、七グループから提案があり、そのう...
《解 説》
Z株式会社(補助参加人)は、平成四年六月、産業廃棄物処理施設(安定型最終処分場)の設置について廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成三年法律第九五号による改正前のもの)一五条一項に基づきY知事に届出、同五年二月、最終処分場の設置を完了した。Yは、同年三月、改正後の法一五条四項(...
《解 説》
X(農業協同組合、原告、被控訴人)とY(組合員、被告、控訴人)は、昭和五七年に金銭消費貸借契約(以下「当初契約」という。)を締結し、その後計七回の書き換えを経て、平成四年に右貸金について準消費貸借契約を締結した。XがYに準消費貸借契約に基づいて金銭の支払いを請求したのに対し、Y...
《解 説》
本件は、タンクローリー車に乗務してカラーアスファルトの配送作業に従事していた被控訴人(附帯控訴人・被災労働者)が、カラーアスファルトを積載したタンクローリー車の上で、火気を使用して作業中、その火気がタンク内の可燃性ガスに引火して負傷し、後遺症を残したという労災事故について、被控...
《解 説》
建物賃借人から賃貸人に対し借地借家法三二条一項に基づいて賃料減額請求がなされた場合、その当否及び金額について裁判手続で争われるケースが多く見受けられるが、本件は、減額を正当とする裁判が確定する前の段階における賃借人の賃料支払義務について判断した事例である。
賃貸人である原告は...
《解 説》
1 事案の概要
原告及び被告は商社であり、両社と訴外大市物産との三社間において、次のようないわゆるつけ売買又は介入取引と呼ばれる取引が行われていた。第一に、大市物産から、被告、原告、大市物産へ順次商品を転売する取引(以下「順方向取引」という。)、第二に、原告、被告、大市物産へ...
《解 説》
一 Xは寺院であり、詐欺容疑で強制捜査を受け、主要幹部全員が逮捕、勾留されるという事態も予測されることから、Yに二億三〇〇〇万円を預託したが、その後、Yから一億七〇〇〇万円の返還を受け、残る六〇〇〇万円の返還を求めて訴訟を提起した。
これに対して、Yは、X側がYの受任していた...
《解 説》
一 本判決は、原判決・岡山地判平9・3・18本誌九五九号二〇七頁に関する控訴審判決である。
事案の概要は、被控訴人(一審被告)日蓮正宗に所属する被控訴人寺院が、境内地内の客殿に設置した納骨室の経営につき、墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)一〇条所定の許可を要するにもかかわらず...
《解 説》
一 本件は、被告銀行との間で、デリバティブ取引の一つである通貨スワップ取引を行った原告会社が、ベルリンの壁の崩壊に伴いドイツマルクが急騰したことにより損害を被る見込みとなったために、リスクヘッジをする目的で、さらに、複数の通貨スワップ取引を行い、その結果として被った損害について...
《解 説》
一 本件は、世界的に著名なロックグループである「キング・クリムゾン」のリーダーが、右グループの肖像写真やレコードジャケット写真などを多数掲載した書籍を無断で出版したラジオ局に対し、パブリシティ権の侵害を理由として、その印刷及び販売の差し止め、廃棄並びに損害賠償を求めた事案である...
《解 説》
一 本件は癌の誤診とその告知が問題となった事例である。
原告Xは、平成三年八月、嘔吐を伴う心窩部痛でY1病院を受診して、Y3医師の診断の下で治療を受け、平成四年六月からはY3医師の転勤先であるY2病院でも治療を受けた。Y3の診断は、Xの肝臓には腫瘍があるが、これは悪性の肝性癌...
《解 説》
一 本件は、商標権に基づいて、商品の販売等の差止め等を求めた事案であり、その概要は、以下のとおりである。
判決添付目録記載の登録商標の商標権は、もとエレッセ・インターナショナル・エス・ピー・エー(SPA)等が有していたが、指定商品を分割した上で、Xが譲渡を受けた。Yは、本件登...
《解 説》
一 本件は、部品について不正競争防止法二条一項三号の「形態模倣」が成立するかどうかが争われた事案である。
Xは、遊戯銃(エアーソフトガン)及びその部品を販売する者であり、Yらは、Xの遊戯銃に当初から組み込まれている部品と交換して、Xの遊戯銃の性能、機能、外観等を変化させ、向上...
《解 説》
一 本件は、XらがYに対し、Yが使用する広告器の形態が、X1が意匠権を有する意匠に類似し、かつ、X2の商品等表示として周知な広告器の形態と類似しておりこれと混同を生じさせると主張して、差止め、廃棄、損害賠償及び謝罪広告を求めた事案である。
X1の登録意匠及びX2が周知であると...
《解 説》
甲事件は、Xが、Yらの使用する標章(Y標章)が、Xの周知、著名な登録商標(本件登録商標。一つは「ELLE」(但し、頭の「E」の文字が、他の文字に比べ若干大きい。)、もう一つは「ELLE」の下に「エル」を横書きしたものである。)又は商品等表示(X商標。「ELLE」。)に類似するも...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案である。本判決が認定したところによると、本件におけるXY間の契約は売買契約であり、Yがカリフォルニア州で売りに出されたクラシックカー二台を購入し、さらに、右自動車が制作された当時の部品を調達によりオリジナルに近い...
《解 説》
一 本件は、被告人が警察に対する不満を晴らすため、仮交番(現住建造物)から約一メートル程度の至近距離でガソリン入りのポリタンクを倒し、同交番に向けてガソリンを路上に流出させた上、これにライターで点火し、その火を同交番の床板裏面等に燃え移らせて右床板等約三平方メートルを焼損したと...
《解 説》
本件は、他人名義のクレジットカードを使用して商品を購入し換金することを依頼された被告人が、他人名義のクレジットカードを使用して商品を購入したという事案において、被告人がカード名義人の承諾があると認識していたとしてもカード名義人がカード会社からの請求に応じないことをも認識していた...
《解 説》
一 本件は、銀行とYとの間で締結されたカードローン契約について信用保証したXが、盗難カードの不正使用により実行されたカードローンについて銀行に代位弁済したうえ、Yに対して求償金を請求した事案であり、Yがカードの不正使用に関し銀行に支払義務を負うか否かが争われたものである。
そ...