最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 Aは昭和五〇年八月六日以降、Y3市(所管は、Y1市福祉事務所長)から生活保護を受け、妻B、長男C、長女X1、二女X2と共に同一世帯において生活していたが、Cは平成二年四月に高校卒業と共に自活し、Bは同三年三月病死した。Aは、これに先立ち、昭和五一年六月に被保険者をX1とする...
《解 説》
一 Y電力会社は、昭和六三年八月二二日通産大臣から石川県羽咋郡志賀町に出力約五四万キロワットの沸騰水型原子炉を設置することの許可を受けた。主として石川、富山両県に居住する者二〇〇名(中には北海道、九州に居住する者らもいる)がYに対し、環境権及び人格権に基づき、原子力発電所の建設...
《解 説》
一 本件は、平成九年七月六日施行の東京都議会議員の選挙(本件選挙)について、選挙人であるXらが、平成八年一部改正(本件改正)後の東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(本件条例)が千代田区選挙区を公職選挙法二七一条二項の特例選挙区として存置した...
《解 説》
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の有効性については、かねてより活発に議論されていたところであるが、本判決は、この問題について、最高裁の考えを明らかにしたものである。
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。本件の被告Y社は、昭和五七年一一月一六日、医師であるAとの...
《解 説》
一 亡Aは、平成元年九月、X銀行に対する四億円の債務を担保するため、所有する不動産に極度額四億四〇〇〇万円の本件根抵当権を設定したが、その設定登記手続がされないまま、Aは、平成七年一月に死亡した。Xは、本件根抵当権について、仮登記仮処分命令(不動産登記法三三条)を得て、同年三月...
《解 説》
一 本件は、出入国管理及び難民認定法上のいわゆる永住者ないし日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法上の特別永住者(以下「永住者等」という)等である原告らが、被告国に対し、平成四年の外国人登録法の一部改正(以下、同法を単に「法」といい、同年改...
《解 説》
一1 原告は、被告(県知事)に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)一四条四項に基づく産業廃棄物処理業の許可申請及び同法一五条一項に基づく産業廃棄物処理施設の許可申請をしたところ(以下「本件申請」という。)、被告は、原告が県の産業廃棄物処理施設の設置及び維...
《解 説》
一 本件は里道に関する建築基準法四二条二項の指定処分が争われた事件である。
本件道路はX所有地の南側に存在する道路であるが、平成元年六月にXの子が建物を新築する際にY(奈良県)の高田土木事務所から本件道路が建築基準法四二条二項道路(みなし道路)であるとの回答(以下「本件回答」...
《解 説》
一 本件は、海外で開催されるスポーツイベントの主催団体等である米国法人からそのテレビ放映権の許諾を受けて、右権利を日本国内の放送事業者に譲渡する業務等を行っている控訴人(原告。以下「X」という。)が、右米国法人に対して支払った金員を日本国内源泉所得に当たるとして源泉所得税の納税...
《解 説》
一 本件は、被告会社の労働組合分会の分会長であった原告に対する整理解雇(本件解雇)につき、原告が被告会社に対し、右解雇は解雇権の濫用ないし信義則違反によるものであり、また、組合活動を理由とする不当労働行為であるから無効であるとして、従業員たる地位の確認及び解雇の日から定年退職の...
《解 説》
Xら三名は、Yの経営するホストクラブに勤務するホストであるが、同クラブにおいては、①飲食代金を掛売りとした場合、指名を受けたホストの責任において締切日の月末までにYに入金する、②売掛金が月末までに入金されない場合、Yがホストに支払うべき給料と相殺する、③売掛金が未回収のために給...
《解 説》
一 Xの夫である亡Aは、Y1を仲介者として、不動産業者のY2から本件土地を買い受け、木造平屋建の自宅を新築した。ところが、その南側隣接地に県道バイパス工事として高さ約八メートルのコンクリート擁壁造の高架道路が建設され、日照、通風等の被害を被ることになった。
亡Aの訴訟承継人で...
《解 説》
Xは、アニメーションやイラスト等を制作する作家であるが、平成三年七月ころ、アニメキャラクター制作、商品化許諾等を業とするY1(代表者Y2)との間で期間を一年(更新可能)として「著作物制作顧問および著作物管理契約書」を交わした。右契約(「著作物管理契約」という)は二回更新されたが...
《解 説》
本件は金先物取引による商品取引会社Xから顧客Y(第二種身体障害者四級に認定され、年金と内妻の収入で生計を立てていた)に対する差損残金五四四万円余を請求した本訴事件と、YからXに対し、Xの商品取引行為が不適格者排除原則、説明義務に違反し、両建て、因果玉の放置、ころがし、断定的判断...
《解 説》
本件は、暴力団同士の対立抗争の最中、対立する組の者と誤認されて射殺された者の両親であるXらから実行行為者の所属する暴力団組織の最高責任者である会長Y1及びその下位(二次)組織の最高責任者である総長Y2に対し、使用者責任、又は選択的に共同不法行為により損害賠償を求めた訴訟の控訴審...
《解 説》
Xは国会議員であり、建設政務次官の地位にあったが、破産宣告の申立てを受け、議員歳費の差押えを受けるに至った。出版社Yは、週刊誌上に「『破産・代議士』甲野太郎氏のそれでも政務次官」との見出しのもとに評論家の談としてXについては利権がらみの話でよく名前が取り沙汰される等と引用し、そ...
《解 説》
一 本件は、「事案の要旨」にも説明がある通り、脳出血の治療のための脳内血腫吸引手術後の患者の死亡につき、病院側の措置の当否が争われたものである。
平成三年三月六日、当時六五歳であったAは、被告Yが運営している病院で脳内血腫の吸引除去手術を受けた。その五日後からAは呼吸不全とな...
《解 説》
一 本件は、株式会社ニッポン放送の株主が、同社の取締役である被告らに対し、同社に損害を賠償するように求めた株主代表訴訟である。
ニッポン放送の株主である原告の主張の要旨は、次のとおり。ニッポン放送は、株式会社フジテレビジョンの株式を五一・一パーセント保有していたのに、フジテレ...
《解 説》
一 本件は、特定疾病保障定期保険契約の契約条項が争われた事件である。
Xは、平成五年一一月二四日から一二月一日にかけて、相次いでY1ないしY3の生命保険会社三社と、保険金額をそれぞれ二〇〇〇万円とする特定疾病保障定期保険契約を締結した。これらはいずれも、被保険者が保険期間中に...
《解 説》
X、Yとも、大学受験用に古文単語を暗記するため、古文単語の語呂合わせを掲載した書籍を執筆した。Xは、Y書籍が、Xの書籍についての著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害したものであるとして、Yに対し、損害賠償の支払を求めた。
本件の争点は、①...
《解 説》
一 X1は、版画に関する作家、作品、技術等の情報の紹介を内容とする季刊の雑誌「版画藝術」(以下「本件雑誌」という。)を出版していた。X2は、X1の従業員であった者で、本件雑誌に掲載する写真の撮影をしていたが、原告会社を退社し、退社後も、本件雑誌に掲載する写真の撮影をしていた。Y...
《解 説》
Xは、動植物等のイラストを得意とするイラストレーターである。Xは、ティラノサウルスを中心に大きく配置し、その後方に飛翔する翼竜を小さく配置したイラスト画(本件著作物)を創作した。
Y1は、多数のイラストレーターから作品の登録を受けて、そのポジフィルムを預かり、管理及び貸出を業...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X1銀行は、Y1所有の不動産(以下「本件不動産」という)の第二順位の抵当権者であるが、平成五年六月、本件不動産の競売の申立てをし、開始決定を受けた(以下「先行事件」という)。執行裁判所は、X1銀行には配当がいかないことが分かったため、X1銀...
《解 説》
一 破産宣告と同時に破産廃止の決定を受けたYは、その免責手続において破産裁判所から任意配当の指示を受けたが、Xを債権者とする債権差押命令により、Yの給与債権の一部が差し押さえられていたことから、これを取り消さなければ任意配当に支障が生ずるとして右差押命令の取消しを申し立てた。な...
《解 説》
一 本件は、首都高速湾岸線東行道路東京港トンネル内において発生した自動車七台の追突事故に関するものであり、事故直後の状況は、先頭から四番目の大型貨物自動車(以下「甲車」という)に先頭から五番目の普通乗用車(以下「乙車」という)が押し込まれて、乙車の運転者が死亡し、先頭から六番目...
《解 説》
一 本件は、自宅で八六歳の実父の頭部や頚部等をプラスチック製まな板で強打して外傷性ショック死させたとして、五三歳の女性を尊属傷害致死罪で起訴したところ、裁判所が、現時点で黙秘権の告知等が不可能であり訴訟能力がないとして公判手続を停止し(東京地八王子支決平2・5・29本誌七三七号...
《解 説》
一 本件は、「徐放性ジクロフェナクナトリウム製剤」についての特許権(本件発明)を有する原告が、Yらが製造・販売しようとしている医薬品(Y医薬品)は、いずれも原告の右特許権を侵害するものであるとして、Yらに対し、Y医薬品の製造・販売の差止め及び廃棄を求めた事案である。
本件発明...