最も長い歴史をもつ判例実務誌
争点等整理手続への当事者等の参加・争点等整理手続への書記官の関与と役割・代理人からみた争点等整理手続・裁判官からみた争点等整理手続
《解 説》
一 本件は、酒税法(以下「法」という。)九条一項に基づいて酒類販売業の免許(以下「酒販免許」という。)の申請をし、昭和六三年一二月一九日にその拒否処分(以下「本件処分」という。)を受けた原告(大手コンビニエンスストアのフランチャイズ店)が、本件処分をした被告(税務署長)に対し、...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、福井県吉田郡松岡町の住民である原告ら三名が、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一項四号に基づき、町長による道路予定地と代替用地であった町有地(以下「本件土地」という。)との交換契約の締結が違法であると主張して、契約外の第三者である本件土地の...
《解 説》
一 本件は、土地建物に共同抵当権が設定された後に建物が取り壊されて新建物が建築された場合に法定地上権が成立するかどうかが争点になった配当異議事件である。
Aは、Xに対し、所有する本件土地とその地上建物(旧建物)に順位一番の共同抵当権を設定し、更に、Y1、Y2に対し、本件土地に...
《解 説》
一 Xは、その著書の中で、ベトナム人僧侶の焼死事件である「ファム・ヴァン・コー事件」について、これが堕落した僧侶の心中行為であるとする政府系仏教協会副会長ハオ師の談話を紹介した。Y1は、この事件がベトナム政府の宗教政策に抗議する集団自殺であるとした上、この事件に関するXの執筆姿...
《解 説》
一 本件は、血縁上の父であると主張する者が、子を認知するために、その前提として、戸籍上の父と子との間の親子関係不存在確認を求める訴訟であり、本件が一審に係属中に子を第三者の特別養子にする家庭裁判所の審判が確定したため、訴えの利益の存否が問題になり、最二小判平7・7・14民集四九...
《解 説》
一 本件は、「長崎原爆松谷訴訟」と呼ばれる事件の控訴審判決で、原審は長崎地判平5・5・26本誌八一六号二五八頁である。
Xは、三歳の時に長崎市内で被爆して頭部外傷を負い、現在は右半身不全麻痺で、特に右上下肢に著しい障害を有している者であるが、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律...
《解 説》
一 Xは、Yに対し、平成六年一〇月六日、高知県情報公開条例(本件条例)五条に基づき、県の公立学校教員採用候補者選考審査に係る択一式問題の一部及びその解答(本件文書)の開示を請求した。これに対し、Yは、同月一八日、本件文書を開示すると、今後実施する教員選考審査事務事業の適正な執行...
《解 説》
一 本件は、X(当時一八歳)が道路交通法違反(共同危険行為等の禁止違反)の被疑事実で逮捕され、取調べを受けていたところ、取調べに当たった警察官であるY1から腹部を手拳で四、五回殴打され、そのはずみで取調室内の壁で額を強打し、その結果、腹部打撲傷、左右前額部の表皮剥離及び皮下出血...
《解 説》
一 本件は、当時二一歳の大学生Zが、スキー場のスキーコースを滑降中、バランスを崩してコース途中の橋から転落して死亡した事故につき、Zの両親であるXらが、当該スキー場及び橋の設置・管理主体であるY(野沢温泉村)に対し、国家賠償法二条一項に基づき、逸失利益や慰謝料等の損害賠償を求め...
《解 説》
一 Xら(一審原告、控訴人)は各々所有する各土地の平成三年度における固定資産課税台帳の登録価格が高すぎるとして審査の申出を行ったところ、Y(一審被告、被控訴人)はいずれも審査の申出を棄却する決定をした。
本件は、Xらが、Yの各審査手続が違法である、また、審理が尽くされていない...
《解 説》
一 Xは、群馬県内に住所を有する者であるが、平成六年一二月、群馬県公文書の開示等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき、Yに対し、Zが作成してYに送付したゴルフ場開発に係る環境影響評価書(以下「本件文書」という。)の写しの交付を求める開示請求をした。これに対し、Yは、...
《解 説》
一 Xの夫である訴外Aは、昭和五九年一月に建設会社に雇用され、同日から、長野県南佐久郡南牧村所在の導水路巻替工事現場において抗夫として就労し、道水路用既設トンネルのコンクリート斫り作業等に従事していたが、同月三一日、抗内の斫り作業用仮設ステージのズリ落とし用開口部から約六〇セン...
《解 説》
一 本件事案の概要は、青年海外協力隊訓練所に雇用されている外国人の語学講師(Xら)が、雇用主である国際協力事業団(Y)を相手に、一定の年次有給休暇の日数を有することの確認と、年休を超過した分としてカットされた賃金の支払を求めたものである。Xらは毎年雇用期間一年の契約を繰り返し締...
《解 説》
一 本件における被告らは、もともと低層老朽アパートの住民であり、アパートでペットを飼っていたところ、アパートが再開発事業により高層集合住宅に生まれ変り、アパートの住民も高層集合住宅に移り住むこととなったが、再開発組合の定時総会においてペット飼育禁止の案件が多数決で可決され、新し...
《解 説》
一 本件は、建物の所有権を根抵当権の実行による競売に基づいて取得した原告Xが、建物の一部について賃借権を有すると主張する被告Y1、Y2に対し、その賃借権は根抵当権者を害する目的で設定されたからXに対抗できないと主張して、Yらが賃借権を有しないことの確認を求めた事案である。
二...
《解 説》
一 本件事案の概要は、以下のとおりである。
Xは、従前、Y銀行と預金・貸越等の総合口座取引契約を締結し、本件当時、四八万二四二七円の預金残高を有していた。当日の午前八時五〇分ころ、何者かがX方に侵入し、本件預金通帳等を窃取したが、右通帳の届出印は、盗難を免れた。同日午前一一時...
《解 説》
パナマ法人Xは、平成四年六月一九日、日本法人A社との間でLPG等輸送船造船契約を締結し、同年七月六日、日本法人Y銀行からAのXに対する造船代金前払金返還債務について保証状の発行を得た。保証状の支払限度額は九億五七〇〇万円と年八パーセントの割合による利息であり、支払条件として、X...
《解 説》
本件は、居住用不動産を二度の取引により譲渡し、二年度にわたる譲渡所得の申告をして既に税金の納付を終えたXが、これらの取引を一括して申告していたならば居住用不動産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例による軽減措置を受けられたはずであるのに、Xから税務申告手続を受任した税理士で...
《解 説》
Xは昭和九年生まれ(大卒)の女性であるが、証券会社Yの社員Aの勧誘により、昭和六二年七月から平成三年七月までの間、Xの夫B及び長男Bの名義で二〇〇回以上、ワラントを購入し、結局、差引二億〇〇三三万円余の損失を被った。XはYに対し、Y又はその社員Aがワラントの危険性についての説明...
《解 説》
Aは、精神分裂病で、平成五年二月二日、Yが経営する精神病院(Y病院)に入院したが、同月一五日に肺炎のためB病院に転送され、同月二一日にB病院で死亡した。
Aの相続人であるXらは、AはY病院内において他の入院患者等から暴行を受け、多発外傷に伴う肺挫傷から発症した肺炎及び多臓器不...
《解 説》
一 本件は、Y1の発行する「週刊○○○」平成七年一二月一日号に掲載された「『A謀略公判』のウラで『X弁護士逮捕』のウルトラC」と題する記事(同記事中には、弁護士であるY4のコメントが紹介されている。)により名誉を毀損されたと主張するXが、Yらに対し、不法行為に基づいて損害賠償を...
《解 説》
Aは乳癌により入院中の平成九年六月四日、病院内において弁護士X1ほか二名立会いの下に危急時遺言をした。X1は、民法九七六条二項に基づき、家庭裁判所に同遺言の確認を申し立てたところ、同日、家庭裁判所調査官がAに真意の確認の調査をした。Aは、同年七月一三日死亡した。同家庭裁判所は、...
《解 説》
一 本件は、株主代表訴訟の被告取締役に会社が補助参加することを許可した決定に対する抗告事件である。
基本事件は、株主(原告・抗告人)が、会社(補助参加人・相手方)の代表取締役(被告)に対して、子会社への融資が取締役としての注意義務に違反したものであるとして、商法二六七条により、...
《解 説》
X(株式会社)は、X所有の四階建の本件建物(旅館)を目的として、Y1保険会社と店舗総合保険契約、Y2保険会社と火災保険契約をそれぞれ締結したところ(以下、一括して「本件保険契約」という。)、本件建物が平成六年四月に火災により二階の全部と三階の一部が焼失したとして、Y1及びY2に...
《解 説》
一 X1は、長崎市内で「べっ甲製品」の販売を業としている者であるが、平成四年一〇月、長崎市内でべっ甲資材の販売を業とするX2と共同して、長崎市内の業者を介して、段ボール箱一九二個のべっ甲材料を一億円で購入し、そのうち一六〇箱をX1の倉庫に搬入し、同所でこれを保管していたところ、...
《解 説》
一 Y社所有の未登記船舶(本件船舶)の艤装工事をしたX社が、Y社が工事代金を支払わないとして、商法八四二条八号所定の船舶先取特権に基づき、船舶競売の開始決定を求めた。
船舶の艤装に伴う先取特権は、商法八四七条二項により船舶の「発航」によって消滅するものとされているが、本件船舶...
《解 説》
一 原告は、指定商品をコーヒーその他の商品とし、登録商標を「オールウエイ」(本件登録商標)とする商標権(本件商標権)を有する者である。
被告は、清涼飲料コカ・コーラについて、米国法人であるザ・コカ・コーラ・カンパニーから商標権等の使用許諾を得て製造販売を行っている日本コカ・コ...
《解 説》
一 Xは、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」に基づく許可を受けたわが国唯一の音楽著作権仲介団体であり、内外国の各種の音楽著作物の著作権者から著作権ないしその支分権の移転を受けるなどしてこれを管理する社団法人である。
Yらは、いわゆるカラオケボックスを経営する者であり、その...
《解 説》
本件は東京都中央区築地場外市場にある木造建物の一階のうち三・一二平方メートルの部分の賃貸借契約の更新拒絶について正当事由の存否が争われた事案であるところ、本判決は立退補償料として六五四万円の支払を条件に正当事由の具備を認め、明渡しを命じたものである。なお、本件店舗部分は、Xの先...
《解 説》
Xの前所有者Aは、昭和四二年に本件ビルを建築してこれをYに賃貸し、Yは、本件ビルにおいて家具販売業を営み、本件賃貸借契約は三年毎に更新されてきた。不動産業者であるXは、平成六年三月までに本件ビルを買い受けてその所有権を取得し、さらに同年一一月ころまでに本件ビルの敷地とその周辺の...
《解 説》
Xは都市計画法上の商業地域に指定された土地上に軽量鉄骨木造瓦葺二階建居宅を所有し、昭和四一年以降居住している者であるが、Y1が南側隣地上に一四階建共同住宅(本件マンション)の建築を計画し、Y2を工事施工者として建築確認を受けるため、本件マンションにより日照を阻害されると主張し、...
《解 説》
A社は、平成九年六月二日に手形不渡りを生じて倒産し、翌三日に自己破産を申し立て、同月一八日に破産宣告を受け、Xが破産管財人に選任された。A社には、Bに対する四五万四七五五円の請負代金債権と、Cに対する八六万三二〇九円の請負代金債権があったが、A社は、既に平成六年三月に、Yに対す...
《解 説》
一 A社は会社更生手続の開始を申し立てたが、申立前に、同社の代表取締役Bが、同社代表者として、他者振出しの本件手形をZに裏書し(本件裏書)、ZはさらにこれをXに裏書した。Xは、A社の会社更生手続において、本件手形にかかる遡求権を更生債権として届け出た。これに対して、A社の更生管...
《解 説》
一 本件は、夜間の路上で被告人が行きずりの者ともめごとを起こしてにらみ合っていた際、相手方の連れが横の方から近づいて被告人の顔面に手を触れたのに対し、これをいきなりアスファルトの路面に投げ倒して重傷を負わせたという事案である。
本件においては、被告人が被害者に対して傷害を負わ...
《解 説》
一 大麻取締法には、大麻の輸入、所持、譲渡などの罪を「営利の目的」で犯した者に対して、その目的がなかった者よりも刑を加重する旨の規定が置かれている(二四条二項など。覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法にも同様の規定がある。)。
覚せい剤取締法に関する最高裁判例によ...
《解 説》
本件は、政治結社の代表者であった被告人が、街頭宣伝車を用いて、一か月余りにわたり大手商社であるX会社及び同社社長Yにつき、その名誉を毀損する内容の街頭宣伝活動を行ったという事案であり、①Yに対する名誉毀損の事実について告訴があるか、②X会社に対する名誉毀損の事実に関して「事実の...
《解 説》
一 本件は、以下のとおりの事案である。
Xは、訴外Aとの間で、Aに対する債権を担保するために、Aの第三債務者らに対する債権についてAの支払停止を停止条件としていわゆる集合債権譲渡担保契約を締結していたところ、Aが手形の不渡を出して支払停止状態に陥ったことから、その直後にAを代...