最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、一橋出版社が平成五年度の発行を予定した高等学校公民科現代社会の教科書「新高校現代社会」に対する教科書検定において、文部大臣から通知された検定意見の違憲性、違法性が争われたいわゆる横浜教科書訴訟の一審判決である。
原告は、右教科書のテーマ学習用の独立した記述である「...
《解 説》
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。本件特別抗告事件の抗告人Xは、平成九年に東京地裁に提起された貸金等請求本訴、慰謝料請求反訴事件の被告兼反訴原告であった。Xは、同事件の第一審における審理中に裁判官忌避の申立てをしたところ、同申立ては却下され、Xは即時抗告及び特別抗告をし...
《解 説》
本件は、本人に無断で不動産に抵当権設定登記等が設定されたとして、本人がこの抵当権設定登記等の抹消登記手続を求めるなどの訴訟であり、本人と無権代理人の死亡によって両者を相続した場合の法律関係が問題になった。
事実関係は、次のとおりである。Aは、本件不動産を所有していたが、当時、...
《解 説》
一 本件は、宅地建物取引業法(以下「法」と省略する。)上の弁済業務保証金(法六四条の七~)による弁済の対象債権が問題となったものであり、①宅地建物取引業保証協会(法第五章の二。以下「協会」と省略する。)の社員との間の宅地建物の取引に係る契約における損害賠償額の予定又は違約金に関...
《解 説》
被告人は、魚の卸業者で、くろたちかます科に属する魚であるアブラソコムツを買い付けて、加工し販売していたところ、その販売行為と販売前にアブラソコムツ及びその加工品を貯蔵した行為が、食品衛生法四条二号で禁止された「有害な物質」が含まれる食品の販売、販売の用に供するための貯蔵に該当す...
《解 説》
本件は、香川県における中学教諭である控訴人が、信号機の設置されている交差点に、赤信号表示であったのに進入して交通事故を起こし、青信号表示に従って交差点に入ってきた相手車両の運転者に全治約七日の、同乗者に全治約三日の各傷害を負わせたとして起訴されたところ、自己は青信号の表示に従っ...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告厚生大臣が、平成四年一〇月二四日、平成五年三月四日及び同年九月一四日の三回にわたり、食品衛生法(平成七年の改正前のもの、以下「法」という。)七条一項に基づき、食品、添加物等の規格基準の一部を改正し(以下、一括して「本件告示」という。)、平成四年一一月...
《解 説》
一 本件は、死刑確定者であるXが、Y(国)に対し、法務大臣が死刑判決確定の日から六か月以内にXに対する死刑執行を命じなかったことが刑訴法四七五条二項に違反すると主張して、国家賠償法一条に基づき、慰藉料の支払を求めた事案である。
二 刑訴法四七五条二項本文は、死刑執行の命令は、...
《解 説》
一 Yは、東京都情報連絡室報道部報道課の課長として同課の物品管理者として東京都の物品であるタクシー利用券の管理に当たっており、また、その在任期間中、都の災害対策職員住宅である新宿の公務員住宅に居住することが義務付けられていた。当初は家族と共に居住していたが、その後家族が横浜に転...
《解 説》
X(昭和五年九月生)は平成二年五月、著名な寺院であるYとの間で期限の定めのない雇用契約を締結し、Xは堂守として勤務した。平成五年一〇月に施行されたYの新就業規則によれば、職員の定年は満六五歳とされ、業務上の必要がある場合、寺院は本人の能力、成績及び健康状態などを勘案して選考の上...
《解 説》
一 愛媛県北条市は、農業地域工業等導入促進法による工業団地建設を計画し、Xら住民らからY公社による土地買収を進めた。本件土地買収の対象となった用地の総面積は約一二ヘクタールで、地権者は八八名であったが、Y公社は、対象土地を国道バイパスとの遠近によりA、B、Cの三ランクに区分して...
《解 説》
一 本件は、被告が経営するゴルフクラブに会員として入会し、被告に保証金を預託した原告らが、預託金の据置期間が経過したとして被告に預託金の返還を求めた事案である。
二 被告は、預託金返還債務の履行期が未到来であることを主張したほか、本件クラブの会則には、「天災地変その他の不可抗...
《解 説》
Aは本件土地上に賃貸用アパートを建築することを計画し、平成元年一月、建築業者であるYに対し代金合計三六九五万円でアパートの建築を発注し、Yはこれを請け負った。Aは、契約時、内金として一〇〇〇万円をYに支払ったが、YはAの要望により同額を返金した(但し、返金であるか、Aの経営する...
《解 説》
本件はいじめバスターズとしてマスコミで知られたYに対し、Yからいじめ又はいたずらの犯人として名指された中学生X2及びX5、その母親であるX1及びX4、その弟妹であるX3及びX6が面談等の強要及び名誉毀損文書配布の差止め、慰謝料の支払いを求めた事案であり、本判決はXらの差止請求を...
《解 説》
本件の交通事故は、運転者の過失と現場において交通整理をしていた警備会社(被控訴人)の過失の競合によって生じたものであり、その損害額は総計二一五万円で、運転者が加入していた任意保険からの給付金により、その全額がてん補された。また、本訴において、運転者と被控訴人の過失割合が五対五で...
《解 説》
一 本件は、原告らが被告に対し、商標権に基づいて、被告による標章の使用の差止め及び損害賠償を求めるのに対し、被告が、登録商標との類似性を争うとともに、被告商品に付された標章は、装飾ないし習俗的表示にすぎないものであり、自他商品識別機能を有する標識ではないから、商標としての使用に...
《解 説》
Yは海上運送等を業とする会社であるが、平成五年三月から六月までの間四回にわたり荷送人Aとの間でコンテナ入りのフィッシュミール(魚粉)の運送契約を締結して船荷証券を発行し、サモアから日本国内の港にコンテナーを運送し、船荷証券の所持人Bにこれを引き渡したところ、かなりの貨物に濡損が...
《解 説》
一 X(申立人)の証拠保全申立ての理由は、あまり整理されていないが、本決定が要約するところでは、Xは損害保険(A損害保険会社、その代理人がY弁護士)に加入しており、保険事故があったとして保険金請求をしたところ免責事由ありとして拒絶されたので、Yと面会して保険金支払いを求めたが、...
《解 説》
一 Yは訴外A1を債務者として本件建物につき占有移転禁止の仮処分命令を得た。右仮処分執行後、Yは、A1及び本件建物のうち住居部分(「本件住居」)をA1と共同占有していた訴外A2の両者を相手取って、本件建物明渡請求訴訟(「先行訴訟」)を提起し、勝訴した。ところが、先行訴訟の提起後...
《解 説》
一 本件は、居酒屋で酒を飲んでいた被告人が、相客に突然背後から包丁で背中をさされたため、とっさに相手方の包丁を奪い取って、相手方の胸部、頚部などを数回にわたり突き刺し、失血死させたという殺人の事案である。原判決(大阪地判平8・11・12判時一五九〇号一五九頁)が過剰防衛を認めて...
《解 説》
一 本件は、植毛治療を行うクリニックの管理医師である被告人が、共犯者らと共謀の上、被告人不在のまま、医師資格を有しない従業員四名において、約九カ月間に、患者七名に対し、前後六〇回にわたり、麻酔薬注射、植毛等を行った行為が、医師法違反の罪に問われた事案である。
本判決は、判示事...
《解 説》
一 不動産業界で「サブリース」といわれる業態がある。デベロッパーと呼ばれる転貸事業目的の不動産業者が土地所有者に土地有効利用法としてビルを作らせ(その建築工事にも関与するのが普通)、ビルのオーナーとなった土地所有者からそのビルを一括して賃借(長期年数の賃貸借契約で賃料自動増額・...