最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は特許権侵害訴訟であるところ、いわゆる均等論の当否が問題となった事件である。
一般に、特許権侵害訴訟においては、相手方が製造等をする製品又は用いる方法が特許権者の特許発明の技術的範囲に属するかどうかが、中心的な争点として争われる。特許発明の技術的範囲は、願書に添付した...
《解 説》
一 AとYとは、長年内縁関係にあり、本件不動産を自宅及び共同事業のための作業場として共同で使用していた。昭和五七年にAが死亡した後、Yが本件不動産を単独で使用していたところ、Aの相続人であるXとYとの間で本件不動産の所有権の帰属をめぐって争いとなり、前訴において、本件不動産がA...
《解 説》
一 本判決が前提とした原審確定事実の概要は、本判決の二項にまとめられているとおりである。これを単純化した図面で示すと、A(玉井)が宅地造成をしたときの区画は図面(一)のとおりであり、A↓X(被上告人)の三六〇四番八の土地の売買及びA↓B(新垣)↓Y(上告人)の三六〇四番五の土地...
《解 説》
一 本件は、建物賃借人の連帯保証人が、賃貸人に対し、賃貸借契約の合意更新に伴い民法六一九条二項により当初の連帯保証の効力が消滅した、仮にそうでないとしても、長期にわたる賃料未払にもかかわらず、保証人に連絡することなく賃貸借契約を合意更新した上、未払賃料を請求するのは信義則に反す...
《解 説》
一 本件は、日本法人と米国法人との間で締結された仲裁契約の効力をめぐって争われたいわゆるリングリングサーカス事件の上告審判決である(なお、一審判決は、本誌八一六号二三三頁に、二審判決は本誌八七八号二七六頁に掲載されている)。
二 本件の事実関係及び訴訟の経過の概要は、次のとお...
《解 説》
一 本件は、日雇労働の求人数が低減する状況下において、筋肉痛等の要因も重なり、就労先を見い出せないとして、野宿生活を強いられていた被控訴人(X)が、生活保護の申請をしたところ、社会福祉事務所長(控訴人Y1)において、一日分の医療扶助のみを行い生活扶助及び住宅扶助を認めなかったこ...
《解 説》
本件は、愛知県知事Y及び副知事の交際費に関する現金出納簿及び領収証書等の公開を求めた県民Xの申立てを一部却下した決定の取消しを求める抗告訴訟の控訴審判決であり、同県公文書公開条例六条一項二号(個人情報)、三号(団体、事業を営む個人の情報)、九号(事務に対する支障)に定める非公開...
《解 説》
一 本件は、原告が三重県紀伊長島町内において産業廃棄物処理施設(本件施設)の建設を計画したところ、被告である紀伊長島町長が、本件施設は、紀伊長島町水道水源保護条例(本件条例)二条五号の「水源の枯渇をもたらし、又はそれらのおそれのある工場、その他の事業場」に当たると認定する旨の処...
《解 説》
一 Xは、横浜市に法律事務所を開設している弁護士であるが、平成七年五月、Y(市長)に対し、横浜市公文書の公開等に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づいて、横浜市が日本下水道事業団に委託した請負工事に係る「設計書」等の文書(以下「本件文書」という。)の公開を請求したところ...
《解 説》
一 本件は、京都保健会中央病院事件と呼ばれる事件の控訴審判決で、一審判決は京都地判平7・2・3本誌八八四号一四五頁である。事案の概要は以下の通りである。
患者Aが、生活保護法により医療扶助として、一審原告Xが運営する病院(同法四九条による指定医療機関である。)で急性腎不全や劇...
《解 説》
本件は区立中学校の校長Aの教員Xに対する有形力の行使についてY1区及びY2都の国家賠償責任が問われた事案である。
本判決によると、事実経過はおよそ次のとおりである。すなわち、Xは英語の担当教諭であったが、生徒Kの父母がXのKに対する成績評定について苦情を述べたため、XはA及び...
《解 説》
一 本件は、Xが、小学校教師の体罰事件について教育委員会が行った調査において、指導主事が児童に対して平手打ちなどの体罰を再現した事実があった(本件暴行事件)として、Yに対し、同事件の有無に関する調査及び調査資料の公開を要求したところ、Yが調査及びその記録作成を怠り、かつ、調査を...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、被告が管理運営する文化会館において行われたコンサートにビオラ奏者として出演していた原告が、右コンサート休憩時間中に舞台から通路を通って舞台裏に置いてある松ヤニを取りに行こうとした際、消灯されていた通路で放置されていたライトにつまずいて転倒し、ビオラ及び...
《解 説》
本件は、スナック経営者X(女性)の平成二年分所得税の白色申告について低額に過ぎるとしてされたY税務署長による推計課税の適否が争われた事案である。
Yは、推計課税の必要性として、調査中に提示を受けた現金出納帳には現金残高及び生活費の出入金の記載がないこと、伝票と売上帳とで金額が...
《解 説》
Yは平成二年八月三一日、Aに対し金五〇〇万円を弁済期同五年八月三一日、利息年八・六パーセント、遅延損害金年一四パーセント、手形交換所の取引停止処分を受けた時は当然に期限の利益を失うとの約定により貸し付け、Aの取締役であったXはこれを連帯保証した。Aは同三年一〇月八日に取引停止処...
《解 説》
Xは、テレビ番組にレギュラー出演しているジャーナリストであるが、視聴者からの投書により新興宗教法人Yを本番組で取り上げる意向を固めた。スタッフが取材結果の確認取材をYの広報担当者に申し入れたところ拒否され、さらにYの広報委員会名による「警告書」と題するファックス文書が番組宛に送...
《解 説》
一 平成五年二月八日午後六時頃、宇都宮市の歩車道の区別ある片側二車線の直線道路上で、右折して路外の駐車場に入ろうとした四輪乗用車(Y運転)が対向車線の右側通行帯を進行してきた自動二輪車(X1運転)と衝突した事故の損害賠償事件。X1及びその両親(父X2は後見人、母X3)からYへの...
《解 説》
一 Xは、平成三年一一月ころから右手のだるさを感じるようになり、平成四年になっても症状が改善しなかったため、同年一月に医療法人であるY1が経営するA病院を訪れ、診察した医師Y2に対し、右手が動かないなどの症状を訴えた。Y2は、Xの症状を「右手正中神経麻痺」と診断し、同年四月上旬...
《解 説》
一 木造、軽量鉄骨及び鉄筋建築の設計施行を業とするX1会社の代表取締役であるX2の次男である訴外A(昭和五〇年二月生)は、平成六年一二月五日、横浜市内の建設会社前の駐車場内において倒れているところを発見され、救急車で近くの病院に搬送されたが、五日後に、後頭部打撲による脳挫傷兼頭...
《解 説》
一 Xは、医薬品の特許権を有し、その特許発明に属する医薬品を訴外製薬会社に供給し、訴外製薬会社が薬事法の製造承認を得て右医薬品を製造、販売している。Yは、医薬品の製造販売等の事業を行っている製薬業者であるが、本件特許権の存続期間中に右特許発明に属する医薬品を製造、使用して各種の...
《解 説》
一 本件は、いわゆるカラオケボックスにおいて、顧客が自らカラオケ装置を操作して音楽著作物たる伴奏音楽を再生し、自ら歌唱することが、カラオケボックスの経営者が自ら右音楽著作物を公に演奏したことに該当し(著作権法二二条)、右音楽著作物の著作権者の許諾を得ない限り、カラオケボックスの...
《解 説》
一 Xらの祖父AはY1大学の学園創設者として広く認められていたところ、Y1大学理事長Y2、同理事であるY3Y4は、Aが学園創設の際の単なる協力者にすぎない旨の内容の『学園史(創設史実編)』等を作成配付し、構内に設置されていたAの句碑を移動し、その裏に刻まれていた「学園創設者」の...
《解 説》
一 宅地建物取引業法六四条の八は、宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき同法二五条二項の政令で定める営業保証金の額に相当する額の範囲内において、当該宅地建物取引業保証協...
《解 説》
一 本件は、不動産引渡命令の当否が問題となった事案である。本件競売建物一棟を競落したXは、右建物の一区画(以下「本件建物部分」という)を占有するYに対し、引渡命令の申立をしたところ、執行裁判所はこれを認めた。これを不服とするYは、執行抗告をし、次のような主張をした。すなわち、Y...
《解 説》
本件は、保証債務を履行した控訴人が、主債務者の相続人である被控訴人らに対し求償金を請求した事案である。
争点は、控訴人の求償債権が消滅時効にかかるかどうかである。
すなわち、控訴人は、右債権につき仮執行宣言付支払命令を取得し、同命令は昭和五七年九月九日確定した。平成三年八月...
《解 説》
一 本件は、共犯者らがJR電車区から盗んで携帯用に改造した防護無線通信装置から電波を発射してJRの旅客鉄道業務を妨害しようと考え、駐車又は走行中の普通乗用自動車内において、右防護無線通信装置を携帯して電波を多数回(一日目の二分間に三回、二日目の一一分間に七回)発射し、運行中の電...
《解 説》
一 本件は、フリー・ジャーナリストである申立人が、M地裁の刑事確定訴訟記録(現職警部補甲が、けん銃の押収実績を上げるため、勾留中の暴力団幹部乙らと共謀の上、けん銃一丁と実包五発を不正に譲り受け、その鑑定処分許可状の発付を得るべく、内容虚偽の押収状況を記載した捜査報告書を作成して...