最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、県立高校の英語教員であるAが、授業中に脳動静脈奇形の破綻出血により倒れ、入院後まもなく死亡した事案について、Aの妻からの請求に対し、地方公務員災害補償基金静岡県支部長が、右死亡は公務外の災害であるとする公務外認定の処分をしたため、Aの妻がその取消しを求めた訴訟である...
《解 説》
一 本件の事案は複雑であり、詳細は判文に譲るが、概要は次のとおりである。
Xは、エアーソフトガン(ガス圧又は空気圧を利用してプラスチック製弾丸を発射する射的銃)及びBB弾(プラスチック製弾丸)を製造販売することを業とする者であり、Y1は、エアーソフトガンの製造を行う中小規模の...
《解 説》
一 認定事実の要旨と争点
被告会社二五社は、東京都の水道メーターの販売等をしてその入札に参加していた事業者であり、被告人三四名は、被告会社の営業実務責任者であったが、東京都が平成六年度から水道メーターの発注について競争を一層重視する指名競争入札制度を原則としたところから、各社...
《解 説》
一 本件は、いわゆるフォーミュラータイプに属する競走用自動車が物品税法(昭和六三年法律第一〇八号により廃止)が課税物品として規定する小型普通乗用四輪自動車に該当するか否かが争われた事案である。
物品税法は、同法一条の規定に基づく別表に掲げられた物品に限って課税物件とし(掲名主...
《解 説》
一 私道敷地の所有者が他人が私道を通行することを妨害した場合における通行妨害予防・妨害排除請求については、右請求を基礎付ける権利で明文の根拠規定のあるもの(地役権等)を認めることができなくても、なお、右請求を認容できるケースがあるのではないかということが、判例上未解決の問題とな...
《解 説》
一 Xは、A会社の従業員であり、会社所有の本件自動車を貸与され、業務及び私用のため常時使用することを許されていた。
Xは、帰宅途中にスナックで飲酒し、運転代行業者であるBに本件自動車を自宅まで運転することを依頼した。Bは、これを引き受け、代行運転者としてCを派遣した。
Cは...
《解 説》
一 本事案は、在日朝鮮人女性が、外国人登録証明書の交付を受けて、従前は法定の切替期間ごとに確認申請をして右登録証明書の切替えをしていたが、本件の切替えの際、これを失念して約一年徒過し、確認申請義務に違反したとして略式起訴され、その後正式裁判となったものである。
本件当時の外国...
《解 説》
一 Xは、千葉県に住所を有し、千葉県立小金高等学校に通学していた生徒の保護者であるが、千葉県情報公開条例に基づき、Y千葉県教育委員会に対し、同校の校長の平成五年度及び六年度の出張に関する記録の公開を請求したところ、校長の出張に関する記録は公開を禁止した個人情報に該当するとして非...
《解 説》
本件は、二筆の土地(登記簿上の地目は雑種地)についての平成六年度の固定資産課税登録台帳登録価格の多寡が争われた事案である。
本件の争点は、①固定資産課税台帳上の所有者Aが既に昭和五四年に死亡しており、Xはその相続人(持分各四分の一)であるところ、審査の申出がA名義でされ、本件...
《解 説》
Xは、産業廃棄物の処理等を業とする会社であるが、平成六年五月一二日、A社所有土地まで土砂七万立方メートルの運搬をするためB町(Y町長)の管理する本件林道(総延長七五〇四メートル、幅員四メートル)のうち約八〇〇メートルについて同月一七日から同七年六月三〇日までの間の使用許可申請を...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年四月、兵庫県加古川市に本店を置くY運送会社に採用され、大津店で集配業務に従事してきたところ、平成九年二月、和歌山市にある阪和支店への配転勤務を命じられたが、家庭の事情等を理由に拒否したところ、懲戒解雇にされたため、右懲戒解雇は不当労働行為ないし権利濫用として...
《解 説》
一 Xの母AはYの亡夫の妹であり、YはXの義理の叔母に当たる。本件土地一ないし三、五、六はいずれももとXの祖父(Yの義父)の所有であったが、家督相続や相続の結果、Yがこれを取得した。本件土地四、七、ないし九の土地は遺産相続ないし相続の結果、Xの祖母(Yの義母)BとYの共有となっ...
《解 説》
本件は、農地法五条の許可を条件に本件農地を売却した原告が、本件農地に条件付所有権移転仮登記を有する被告に対し、農地法五条の許可申請協力請求権が一〇年の時効により消滅したこと等を理由に右仮登記の抹消を求めた事案であり、被告は、本件農地は市街化調整区域内にあり、農地法五条の許可を得...
《解 説》
Xは、昭和六三年六月、更地であった本件土地について所有者Aから第一順位の根抵当権の設定を受け、平成元年七月、Aが右土地上に建物を建てたため、同二年一月、右建物についても第一順位の根抵当権の設定を受け、右土地根抵当権と共同担保として登記した。Xは、平成三年一二月、右土地建物につい...
《解 説》
一 本件は、海上でサーフボードに座って波待ちをしていたXが、左斜め前方からきたYのウインドサーフィンと衝突し、左側上顎骨折、左腿部裂傷等の傷害を負ったとして、Yに対し、不法行為に基づき損害賠償を請求した事案である。
二 本件においては、過失相殺の適否及び過失割合が主たる争点と...
《解 説》
一 本件は、昭和六〇年一二月一七日、岡山県倉敷市の水島製油所において、ケミカルタンカー「第六明和丸」(本船)にベンゼンを積込作業中、本船のタンクが爆発炎上し、本船が損壊して乗組員二名も死亡した事故(本件事故)につき、本船の所有会社及び本船への乗組員派遣会社であった原告らが、本件...
《解 説》
一 X(Y2の信徒)らは、Y2(寺院)との間で納骨ロッカーにつき永代使用権設定契約を締結し、対価を払って遺骨を納骨したが、Y2は墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)一〇条に基づく県知事の許可を得ていなかった。そこで、Xらは、Y2に対して、詐欺又は過失による契約締結(予備的)による...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和二六年に中国に生まれ、同国の大学を卒業して新聞社の記者や通信制大学の副学長として務めていたが、平成元年一月、人文活動を目的とする短期滞在の資格で滞在し、期間更新を経ながら出版社に勤務し、書籍の企画編集、執筆・講演活動等を行っていた。
Aは、平成二年六月、自転...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月二九日、Yの経営する病院において胃ガンと診断され、同年五月九日、同病院のA医師の執刀により、胃の四分の三を切除する胃亜全摘手術(以下「本件手術」という。)を受けたが、同月三一日になって突然大量の吐血・下血をして倒れ、同年六月二二日には再度大量吐血したため、...
《解 説》
一 本件は、「事案の概要」にも説明がある通り、癌の摘出手術を受けた者が術後四日目に肺血塞塞塞症(肺塞塞)を起こして死亡したことにつき、医師の対応が争われた事例である。
平成六年一〇月二五日、当時六八歳であったAは、被告Y1が運営する宇都宮病院で前立腺癌の摘出手術を受け、その手...
《解 説》
一 Xらの子A(昭和四九年八月生)は、平成四年一〇月七日交通事故にあい、外傷性くも膜下出血等の病名でYの経営する病院で入院治療を受けていたが、同月二〇日、急性壊死性膵炎により死亡した。
そこで、Xらは、Yの病院の担当医師は、急性膵炎の臨床症状を呈しているAに対して、血液、生化...
《解 説》
一 本件は、公立高校のボクシング部において、その練習中発生した生徒A(当時一年生)の死亡事故につき、Aの両親であるXらが、ボクシング部の顧問教諭としてボクシング練習を指導していたY1及び同校の設置者であるY2(北海道)に対し、国家賠償法等に基づいて、損害賠償を求めた事案である。...
《解 説》
一 Zは、資本金を全額出資して半導体の開発、製造等を目的とするAを設立し、その代表取締役として長年Aの経営に当たっていたが、Zに課税される多額の所得税を節税し、事業資産を保有させる等の目的で、資本金を全額出資して電気、理科学、機械の研究・開発や技術開発型企業業務等を目的とするX...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年一二月、Y保険相互会社との間で、被保険者をAとし、保険金受取人をXとする生命保険契約を締結していたが、Aが平成五年九月に死亡したため、Xは、Yに対し、死亡保険金四〇〇〇万円の支払いを求めた。
これに対し、Yは、Aは、右保険契約の締結に際し、医師による保険...
《解 説》
一 原告は、足場板用枠について意匠権を有している。具体的には、建設工事現場において、H形綱を断面がH形となる状態(腹起こし)で用いた梁の上に、足場板を支持する足場板用枠が対象となっている。これは、作業者の通行の安全のために、安全柵をつけるなどして使用するものである。
本件は、...
《解 説》
本件は、損害保険会社であるXらが、貨物船の難破により貨物の引渡しを受けられなかった荷主らの権利を保険代位によって取得したとして、定期傭船者であるYに対して損害賠償等を請求した事案である。
Xらは、損害賠償請求の根拠として、Yが運送人であることを前提として運送人の堪航能力保持義...
《解 説》
事案の詳細は判文にあたっていただきたいが、簡単に紹介すると、不動産売買等を目的とする有限会社である原告は、建築工事、地域開発事業等を目的とする被告から、福岡県宗像市に存する一〇万坪の土地についての買収業務と右土地を市に働きかける等して市街化区域に編入するとの業務を委託され、被告...
《解 説》
A建設会社は、支払不能を原因として、平成八年七月三一日破産宣告を受け、Xが破産管財人に選任された。これに先立ちAは、平成元年から二年にかけてYからゴルフ会員権二口を購入するとともに、その購入資金三四〇〇万円を借り入れ、右会員権を譲渡担保に差し出し、ゴルフ会員権譲渡通知書を預けて...
《解 説》
一 本件は、私立の英語専修学校である学校法人森学園の理事長であった被告人が、(一)ラスベガスでのバカラ賭博のため、二回にわたり、合計一億四四〇〇万円余りの学園の金員を海外送金して横領した、(二)バカラ賭博のため、ホテルのカジノ担当者に、学園の金を取組原資とする額面六〇〇〇万円の...