最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、昭和六三年一〇月から平成元年六月にかけて五人の幼女を誘拐するなどし、そのうち四人を殺害した幼女連続誘拐殺害事件の第一審判決である。
二 本件公訴事実は、①被害者A(当時四歳)の誘拐・殺害・死体損壊(A事件)、②同B(当時七歳)の誘拐・殺害(B事件)、③同C(当時四...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、平成七年四月の愛媛県議会議員選挙で当選した被告甲に対し、選挙犯罪の判決が確定したA、B及びCが公選法二五一条の三第一項所定の「組織的選挙運動管理者等」に当たるとして、いわゆる新連座制の適用による当選無効と五年間の立候補禁止が請求された事案である。甲は、...
《解 説》
一 本件は、平成七年四月二三日執行の東村山市議会議員選挙の当選人甲の住所移転による被選挙権喪失を理由としてされた次点者乙を当選人とする繰上補充(繰上当選)につき、選挙人であるXらが、甲は乙への議席譲渡のために住民票を移転したものにすぎず繰上補充の要件はないなどとして、乙の当選の...
《解 説》
一 本件は、請負人の報酬請求に対して注文者が瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺の意思表示をした場合に、注文者は、相殺後の報酬残債務について、何時から履行遅滞による責任を負うかが問題とされた事案である。
二 Xは、Yからホテル新築工事を請け負い、工事を完成させてこ...
《解 説》
一 本件は、Y漁業協同組合が免許を受けた第二種共同漁業権に係る漁場でY組合の制定した漁業権行使規則の定めに従い漁業権管理委員会の許可を受けて小型定置漁業を営んでいた組合員Xに対して、Y組合においては共同漁業権の行使者の決定権限を総会決議に留保する旨の総会決議が全員一致でされてお...
《解 説》
一 本件は、我が国の代表的な百貨店の代表取締役であるOと、その愛人であり、株式会社アクセサリーたけひさ、オリエント交易株式会社(以下「二社」という。)を実質的に経営していた被告人が行ったとされるいわゆる「三越事件」に関する上告審決定である(Oは、上告審係属中に死亡し、平成七年八...
《解 説》
Yは、平成七年四月に施行された愛媛県議会議員に立候補して当選したが、Yの後援会の役員Aら三名が買収の罪により懲役二年、執行猶予四年の判決を言い渡された。検察官Xは、Aらは公選法二五一条の三に定める公職の候補者等と意思を通じて組織により行われる選挙運動において当該選挙運動の管理を...
《解 説》
一 本件は死刑確定者の表現の自由、信書発信の自由の侵害の有無が争われた事件である。
Xは、昭和六二年四月二二日に死刑判決が確定し、東京拘置所に収容され死刑確定者としての処遇を受けている者であるが、東京拘置所長Yに対し、①国際連合人権委員会あての「人権救済の申立」と題する書面及...
《解 説》
一 本件の事実関係はやや複雑であり、争点も多岐にわたるが、判示事項に関係する限度で、判決の事実認定に基づいて事実関係を摘示すると、次のとおりである。
Y1はXから飲食店営業のためビルの一室を賃借していたが、右ビルの管理状態は悪く、賃借直後から右店舗の使用に一部支障を来たす状況...
《解 説》
一 Aは郵便局に通常預金と定額貯金を、二つの銀行に普通預金と定期預金をそれぞれ有していたが、平成五年一〇月に死亡し、妻と長男である原告がこれを相続した。原告は被告らに対し、本件預金につき、法定相続分である二分の一の払戻し請求をしたが、被告国は、郵便貯金規則三三条は相続人が二人以...
《解 説》
XはYに対して、繊維織物生地を売却する旨の売買契約を締結した。ところが、右売買契約は、Aを中心に、順次A↓X↓Y↓B↓Aと売却される環状取引の一部分であり、目的物の現実の移動がないばかりか、目的物の裏付けのないものであることが判明した。Yが目的物の引渡のないことなどを理由に売買...
《解 説》
A社を吸収合併したX社は、A社がその代表取締役であったBに対し貸金債権九億八一九六万円余を有し、また、BがA社を貸主として返済見込みのない会社に貸付を行い、又は返済能力のない会社の債務に連帯保証させるなどしてA社に四〇二億円相当の損害を負わせたところ、BはAを害することを知って...
《解 説》
本件は、自転車に乗って交差点を青色信号に従い横断しようとした女子大学生(当時満一九歳)が、赤色信号を無視して交差点内に進入した被控訴人運転の普通貨物自動車に衝突され、その四日後に脳挫傷のため死亡したという交通事故において、右女子学生の両親(相続人)である控訴人両名が、被控訴人に...
《解 説》
一 原告らの娘A(昭和六三年四月二七日生)は、眼科の検査を受けるため、昭和六三年一二月二四日、被告が開設する病院に入院した。ところが、Aには、同月二六日、発熱、下痢の症状があらわれたため、予定されていた退院が延期され、同月二七日、小児科との共観となり、点滴注射による輸液が開始さ...
《解 説》
一 本件の本案訴訟は、いわゆるコスモ証券株主代表訴訟で、コスモ証券の従業員及び会社が、飛ばし行為(株価の下落により、含み損が発生した顧客に対し、当該有価証券を時価を大幅に上回る価格で購入する顧客を見つけて、当該有価証券の直取引を行うことを仲介し、その仲介の過程で、有価証券を買い...
《解 説》
一 Aは、生命保険会社Yとの間で、Aを被保険者、妻Xを保険金受取人とする生命保険契約を締結し、これに付加して、不慮の事故による傷害を直接の原因としてその事故の日から起算して一八〇日以内に死亡したことを保険事故として死亡保険金を支払う旨の災害割増特約及び傷害特約を締結した。その後...
《解 説》
一 本件は、特許法等の一部を改正する法律(平成六年法律第一一六号)が特許権の存続期間を出願公告の日から一五年としていたのを特許出願の日から二〇年にすると改めたことによって、存続期間が二年近く延長された医薬化合物(ノルフロキサシン)にかかる特許権を有するXが、これを旧法による存続...
《解 説》
一 本件は、ピアス孔の保護具を製造販売する原告らが、かつて原告らのうち一社から右製品を仕入れ販売し、後に自ら同種商品を販売し始めた被告に対し、右商品の販売が不正競争防止法二条一項三号の不正競争行為にあたるとして損害賠償等を求めた事案である。原告の商品が「同種商品が通常有する形態...
《解 説》
一 本件はいずれも競売建物の共有持分を買い受けた者が、単独で、競売建物を占有している者に対し、不動産引渡命令を申し立てることができるかどうかが問題となった事案である。
①事件の事案の概要は次のとおりである。建物の共有者(強制競売事件の債務者の地位を兼ねる)であるA1ないしA4...
《解 説》
一 AはBに対して譲渡禁止特約付きの売掛代金債権を有していたところ、AからBに対して、本件売掛代金をXに譲渡した旨の、内容証明郵便による確定日付のある債権譲渡通知がされた。Xは、AとBの取引の実情を知る立場にあり、当時、本件売掛代金債権について譲渡禁止特約が付されていたことを知...