最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、被告(企業)がその社員の死亡によって団体定期保険契約に基づく保険金四八九二万円余りを各生命保険会社から受領したことに端を発した紛争であって、右社員の遺族である原告らが被告に対しその保険金の引渡しを求めたものである。
本件団体定期保険契約は、被告と各生命保険会社との...
《解 説》
一 本件は、広島市の新交通システムの橋梁架設工事において橋脚上に仮置きされていた橋げたを橋脚の南端に設置するため、ジャッキによる降下作業を行うに際し、ジャッキ作業に習熟していない作業員らが指導・監督を受けることなく同作業に当たったため、ジャッキ及びジャッキ架台が適切に設置されず...
《解 説》
東京都の臨海副都心事業は、昭和四一年の都条例により臨海副都心地域の整備開発を行うことを目的として設置された地方公営企業法の一部の適用がある公営企業であるところ、都は平成二年一月に策定した「臨海副都心開発に伴う都有地の管理及び処分についての基本方針」により都有地の処分は原則として...
《解 説》
一 本件は、証券会社である債務者会社が営業社員らの賃金を削減したのに対し、従業員である債権者らが、債務者会社の右措置は労働契約に違反し無効・違法であるとして、労働契約に基づく差額賃金の仮払い等を求める賃金等仮払仮処分申立事件である。
二 本決定によれば、本件の事実関係は以下の...
《解 説》
一 本件は、一戸建て建物と二戸一棟の建物が混在する団地において設立された区分所有法に基づく組合が、組合員である被告会社に対し、組合決議に基づいて定められた建築協定(組合の管理区域内の建物は、一戸建て住宅で、かつ地上二階まで、建築物の高さは一〇メートル以下、共同住宅は建築しないと...
《解 説》
Xの常務取締役Mは運送会社Yに対し、Xの社長Iに今まで運送を頼んでいたHを使うなと言われたが、いきなり止める訳にいかないので、Yの方にHの請求書を上げさせるから、Xに請求してくれと持ちかけた。これによりXからYに継続的に運送が委託され、YからHに下請運送が委託された。HのYに対...
《解 説》
X3は三一歳の歯科医であるが、Y2銀行の支店長Nの斡旋によりノンバンクY1社から五五億円を当初年利八・八パーセント(長期プライムレートを基準とする変動金利)で借り受け、その内五〇億円をT社に年利二割で貸し付け、残五億円で本州製糸等五社の株式を買い受けた(なお、Y2はY1から右融...
《解 説》
一 本件は、金融業者であるXが、大手不動産会社Yの従業員であるA(本社商業施設事業本部事務管理課課長代理)から、Yが約三か月後に本件土地を地上げ業者から四億円で買い上げる予定なので、右業者に対して短期のつなぎ融資をしてほしいと頼まれたため、これを信じて右業者に三億二〇〇〇万円を...
《解 説》
一 事案の概要
タクシー会社が、その所有車と衝突した相手方自動車の運転手に対し、交通事故による営業車の修理期間中の休車損害を請求したところ、右運転手は、事故で休車した車があったとしても、他のタクシーに無線配車することによりタクシー会社の営業収益は填補される等と反論して休車損害...
《解 説》
Xら二三七名は、昭和五二年六月以前から瀬戸内海のT島に居住する者であるところ、Y1が県知事に対しT島で有害産業廃棄物処理業を行うことの許可を申請したので、これに対抗し、同年六月、Y1に対し廃棄物処理場の建設の差止めを求めて訴えを提起した(別件訴訟)。Y1は許可を求める事業内容を...
《解 説》
一 Xの夫Aが、平成四年四月から同年一二月まで、Yの経営する病院において小脳出血等により入院治療を受けていたところ、同年一一月には全身状態が悪化し、同年一二月に転院先の総合病院において腎不全により死亡するに至ったが,Xは、夫Aの死亡原因は褥瘡(いわゆる床ずれ)にあるとし、Yに対...
《解 説》
一 本件は、交通事故の被害者に対する病院の診療の相当性(過剰性)や、その診療契約の態様(自由診療か社会保険診療か)ということが争われた事例である。
平成三年一月二七日、当時高校生であったX(原告、被控訴人)はY(被告、控訴人)の運転する車両との衝突によって傷害を負い、Z病院に...
《解 説》
一 Xの父A(大正一四年生)は、土木建築請負業を営んでいたが、平成四年三月、自動車を運転して静岡県清水市内を走行中、右折専用車線上で停止していた貨物自動車に正面衝突する事故を起こして死亡した。
そこで、Xは、Aが被保険者として傷害保険契約を締結していた保険会社Yらに対し、自ら...
《解 説》
本件は、Xが、龍村平蔵の帯地の模様、及び、裂地の模様が不正競争防止法二条一項一号の周知商品表示に当たるとして、これと極めて類似している模様の帯ないし裂地の模様を販売していたYに対し、その販売等の差止と過去に販売した分について損害賠償を請求した事案である。
本判決は、「帯や裂地...
《解 説》
Xら六名は、Yから土地を賃借し、地上建物を所有していたが、賃料不払を理由に賃貸借契約を解除され、建物収去と土地の明渡しを求める訴えを提起された。Xらの訴訟代理人AとYは、平成七年一二月七日、裁判上の和解を成立させ、これによりXらは同八年八月末日限り建物を収去して土地を明け渡し、...
《解 説》
一 本件は、破産管財人が、異議申立人の届出破産債権につき、破産法二七七条後段の別除権の不足額の証明がないとして、最後配当から除斥して配当表を作成したことに対し、根抵当権の被担保債権のうち極度額を超える部分については、競売による配当が受けられないことが確定しており、その部分につき...
《解 説》
一 本件は、被告人が自己の覚せい剤取締法違反の罪で逮捕・勾留中、同房となったYから、同人の覚せい剤使用の事実に関し、覚せい剤を風邪薬だと言ってYに渡したとの虚偽の供述を取調べの際にしてほしい旨の依頼を受け、それに応じて右虚構の事実を取調検察官に対して供述し、その旨の検察官調書を...
《解 説》
本件は、破産に瀕した不動産会社の代表取締役であった被告人が、債権者の権利行使により会社の財産をすべて失うことをおそれ、右翼団体の名誉塾長にその妨害を依頼し、右塾長らと共謀の上、破産会社の所有不動産に、ダミー会社や右塾長が実質的に代表者を務める会社を権利者とする無償の地上権を設定...
《解 説》
一 本件は、いわる大韓航空機撃墜事件に関して、日本人乗客の遺族であるXらが、Y(大韓航空)に対して損害賠償を求めた事件の第一審判決である。
大韓航空機撃墜事件とは、昭和五八年九月一日(日本時間)、Yの運航するニューヨーク発アンカレッジ経由ソウル行きジャンボ旅客機KE〇〇七便(...
《解 説》
一 本件は、強盗強姦、強盗殺人等を犯した被告人に対し死刑を言渡した第一審判決を破棄し、無期懲役刑を言渡した事例である。
被告人が犯した犯罪行為の内容は、白昼顔見知りの主婦宅に上がり込み、同女から現金約三万一〇〇〇円を強取するとともに同女を姦淫し、その口封じに、確定的殺意のもと...