最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、Y(川崎市長)がした都市計画法(平成四年法律第八二号に基づく改正前のもの。以下「法」という。)二九条の開発行為の許可(開発許可)について、開発区域の近接地に居住するXらが取消しを求めた行政訴訟である。本件開発許可は、マンション建設のための開発行為についてされたもので...
《解 説》
一 本決定は、昭和三六年三月三重県名張市の山あいの生活改善グループが公民館で開催した懇親会に出された女子会員用のぶどう酒に有機燐系の農薬が混入していたため、女子会員五名が死亡し、一二名が有機燐中毒症を発症したという、いわゆる名張毒ぶどう酒殺人事件に関する再審請求事件の特別抗告審...
《解 説》
一 本件は、道路交通法一二〇条一項一一号の呼気検査拒否罪の規定が憲法三八条一項に違反するかどうかが問題となった事案である。被告人は、酒気帯び運転一件、無免許かつ酒気帯び運転二件のほか、その三件目の運転をした際に、警察官から道路交通法六七条二項の規定による呼気の検査に応ずるよう求...
《解 説》
本件は、茅ヶ崎市の住民であるXらが、市に代位して、市長個人Yに対して損害賠償の請求をした住民訴訟事件である。Xらの主張によれば、市は、国鉄から転売禁止特約付きで買い受けた土地を特約に違反して転売したため、国鉄を承継した国鉄清算事業団から、右土地の売買契約を解除された上、解除によ...
《解 説》
一 本件の被災者であるAは、土木工事及び重機の賃貸を業として行っていた事業主であるが、労働者災害補償保険法(以下「法」という。)二七条一号所定の中小事業主に該当するとして、法二八条に基づき、特別加入の申請をし、政府の承認を受けていた(なお、Aは、右申請に際し、「特別加入の申請に...
《解 説》
一 本事案は、病院の建物及びその敷地として使用されている不動産を対象とした共有物分割の訴えである。本件不動産は、Yらの先代Aの時代から、一体として病院の運営に供されており、現在は、Yらが病院経営を行っていて、右病院は救急病院として地域社会にも貢献している。Aの相続人の一人から本...
《解 説》
一 本事案において、Yらは、その持分の合計に相当する部分の土地をYらの共有のままで残し、その余の部分の土地をXの単独所有とする現物分割を希望したが、一、二審とも、Xの希望する全面的価格賠償の方法による分割を命じた。Yらが上告したが、第一小法廷は、平成三年(オ)第一三八〇号事件(...
《解 説》
一 本件は、共有物の分割協議が調わないため、共有物である本件不動産について、共有者であるXらが、残る共有者であるA(Yらの被承継人)に対して、共有物分割等を求める訴えを提起した事案である。Aは、本件不動産について三分の一の持分を有するにすぎないが、昭和四八年以来、本件建物にその...
《解 説》
一 本件は、債務者複数の根抵当権(いわゆる共用根抵当権)についての配当金が被担保債権全額を消滅させるに足りない場合における配当金の充当についての計算方法に関する。第一審判決は金法一三八二号四五頁に登載されている。
事案は、信用金庫である原告が、借主を訴外会社、連帯保証人を被告...
《解 説》
一 本件は、帰属清算型譲渡担保権設定者の相続財産法人である原告が、譲渡担保権者である被告に対し、譲渡担保目的物の受戻権を放棄する旨を通知して、この通知の時点における譲渡担保目的物の価額と被担保債務の残存額との差額に相当する清算金の支払を請求する事案である。
Yは、昭和五九年三...
《解 説》
一 本件は、交通事故により頚椎捻挫などの傷害を負ったXが、加害車両の運転者、運行供用者、自動車保険の保険者であるYらに対し、交通事故により被った損害の賠償を請求する事案である。
加害車両の運転者であるY1は、Xの運転する自動車に自車を追突させる本件交通事故を発生させ、Xは、本...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、県立B精神病院から抜け出した措置入院中の精神分裂病患者Aが金員強取の目的で通行人を殺害したため、被害者の遺族Xらが病院を設置、管理するY県に対して、国家賠償法一条に基づき損害賠償を請求した事件である。Aが通行人を殺害するまでの経緯等は以下のとおりである...
《解 説》
一 本件は、相続人の一人に対して全部包括遺贈がされた事案につき、他の相続人らが遺留分減殺請求権を行使したとして、相続財産たる不動産につき持分の確認及び所有権一部移転登記手続を求めるものである。事案は以下のようなものである。本件の被相続人は、子の一人(被告)に全財産を包括遺贈する...
《解 説》
一 商法は、新株発行無効の訴えを創設している(二八〇条ノ一五以下)が、新株発行不存在確認の訴えについては何ら規定するところがない。ところが、多くの学説はこの訴えを認めており、実務上も無効の訴えによらずに不存在確認の訴えを提起する例が散見される(その実際上の理由は、無効の訴えにつ...
《解 説》
一 本判決は、別掲の五年(オ)第三一六号事件(本誌本号一七九頁)と同一の原判決のうち昭和六三年の新株発行に関するものである(別掲コメントの二項を参照)。A社の昭和六三年の二四〇〇株の新株発行のうち九〇〇株をXが引き受け、Yの引受けはなかった。その結果、Xが一二七〇株、Yが八〇〇...
《解 説》
Xら夫婦は、妻X1の分娩に関し、産婦人科から社会保健診療報酬支払基金に提出され、社会保健事務所に送付された診療報酬明細書(レセプト)について、Y知事に対し公文書の公開等に関する条例に基づき公開を求めた。これに対しYは、本件公文書が兵庫県の公文書の公開等に関する条例八条一号所定の...
《解 説》
Xは産業廃棄物処理業等を営む会社であるが、平成三年九月から一一月にかけて再三にわたり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成三年法律第九五号による改正前のもの。以下「旧法」という。)一五条一項に基づき、H町における産業廃棄物処理施設(最終処分場)設置のY(S県知事)宛届出書を所...
《解 説》
Xらの主張によれば、X1は何ら警察官の職務執行を妨害するような暴行・脅迫行為は行っていないのに公務執行妨害罪を理由に現行犯逮捕、留置・勾留された、X2は、街宣車を運転し、前方を塞がれたのでやむを得ず右側通行をしたのに、道交法違反で現行犯逮捕、留置され、借りていた街宣車の窓ガラス...
《解 説》
一 Xは、昭和四五年四月当時、国立山梨大学工学部の四年生であったが、同月に実施された定期健康診断に参加し、同大学備え付けの脚力測定器械(以下「本件器械」という。)によって脚力測定の受検をした際、左大腿骨頚部内側骨折の傷害を負った。
そこで、Xは、本件器械によって脚力を測定した...
《解 説》
Xの妻A(当時三八歳)は、県立養護学校高等部の教諭であったところ、昭和六一年一〇月三日、校外マラソンの指導中に急性心不全を発症し、一〇日後に死亡した。Xは、Aの死亡が公務に基づくものであるとして、Y(地方公務員災害補償基金県支部長)に対し、公務災害の認定を求めたところ、公務外災...
《解 説》
Xらは、鉱業等を目的とするY社の従業員として長崎県の伊王島炭鉱で石炭採掘等の業務に従事したためじん肺に罹患した者又はその相続人である。XらはYに対し安全配慮義務違反による損害賠償の訴えを提起した。Yは、その当時の技術水準に照らして必要かつ十分な対策を講じていたこと、消滅時効が完...
《解 説》
Xら八名は、Y市から鶴ケ谷団地の宅地分譲を受けた者であるが、昭和五三年六月一二日に発生した宮城県沖地震(マグニチュード七・四)により宅地と地上建物に被害を被った。Xらは、同団地の造成工事には瑕疵があったと主張し、Yに対し土地の価格の減少分及び建物修補費用(実額の七割)の損害賠償...
《解 説》
Xは、各種商品の先物取引の受託業務等を目的とするYの従業員から勧誘を受け、昭和五八年一二月六日から同五九年五月一七日まで輸入大豆の先物取引を行い、同月二二日最終の清算をした。Xは、平成元年七月ころ、新聞記事で先物取引業者に対し損害賠償を命ずる判決のあったことを知り、自分も騙され...
《解 説》
一 X1は、X2会社の代表取締役であるが、平成四年四月、自己の二階の台所において、テレビを冷蔵庫の上に載せようとして椅子に上った際、バランスを崩して転倒し、食卓等で頭部、胸部を打撲して、一二九日間の入院、一三三日間の通院治療を要したと主張し、Y保険会社らに対し、保険契約に基づき...
《解 説》
一 Xは、小型携帯用カセットテーププレーヤー等を指定商品として、「WALKMAN」及び「ウオークマン」につき商標登録を受けた著名な電気器具等の製造販売業者であるが、千葉市において「有限会社ウォークマン」の商号を使用して、靴類及びズボン、シャツ、ネクタイ、ソックス等の被服類を製造...
《解 説》
一 抗告人は、競売物件である土地・建物の唯一の買受申出人として、平成七年八月九日に売却許可決定を得た。ところで、本件競売物件については、共有者の一人が、約二年半前の平成五年二月二三日に、本件競売物件の取得のための借入金の返済を苦にして本件競売物件から約二、三百メートル離れた山林...
《解 説》
一 被告人は、パチンコ店に設置する回胴式遊技機(いわゆるパチスロ機)の製造販売等を行う会社の代表取締役であるが、社員(共犯者)と共に、同社のパチスロ機を、回胴式遊技機の技術上の規格を検定する財団法人保安電子通信技術協会(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律二〇条五項の...