最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件労働省ルートにおいて贈賄の共犯として起訴された被告人に対する控訴審判決である。リクルート事件は、リクルート社の社長であったAが同社の関連会社であるリクルートコスモス社の株式を店頭公開するに当たって、政界、官界の有力者らに対して同社の未公開株を譲...
《解 説》
一 被告は中部地方における唯一の電力会社であり、原告ら九〇名(三名が途中死亡しその遺族が訴訟承継している。)は、昭和二三年から四〇年にかけ中学又は高校を卒業して被告に入社し各地の発電所、支社等に勤務していた者である。本件は、被告が、昭和四〇年頃から、反共労務施策の一環として、原...
《解 説》
1 周知のとおり、公務員の争議行為禁止に関しては、次のように、最高裁判所の基本的見解に変遷がみられた。
(1) いわゆる「都教組事件」判決(最大判昭44・4・2刑集二三巻五号三〇五頁)は、地方公務員法六一条四号の処罰について、要件を厳しく絞るいわゆる「二重のしぼり」論を展開し...
《解 説》
一 本件は、真言宗に属する寺院の所有・管理する墓地において、神道又は曹洞宗の方式による典礼を行うことの可否が争われた事案である。
二 本件の事実経過は、概要、次のとおりである。
本件墓地は、当初、真言宗に属する旧Y寺院(西暦一六〇〇年頃設立)の住職、寺男等を埋葬するために設...
《解 説》
本件は、執行官が不動産の引渡命令の執行をした際に室内にあった金銭等が紛失したのは、執行官、債権者代理人らの過失によるとして損害賠償を求めたところ、原告の請求が棄却された事案である。事実関係の概要はおよそ次のとおりである。
A社は競売により本件建物の所有権を取得したが、本件建物...
《解 説》
X1の子で大学一年生のX2(一八才)は、Y区が設置した公園のいわゆるターザンロープで遊んでいたところ、同ロープの台座から転落し、頭蓋骨線状骨折等の傷害を負った。Xらは、Yの公園緑地課長Aにおいて公園の管理上過失があったと主張して損害賠償を求める訴えを提起した。Xらの責任原因に関...
《解 説》
一 Xの長男であるAは、大学卒業後神戸製鋼所に入社し、昭和五八年一二月からインドへの出張を命じられて、技術指導員と現地工事会社従業員との通訳及び事務連絡等の補助業務に従事していたが、昭和五九年一月ボンベイのホテルの窓から身を投じて自殺した。
そこで、Xは、Aの自殺は海外勤務の...
《解 説》
一 本件では、石材卸売会社に勤務していた養子である被告に対し、石工であり養親である原告が、被告が独立して石材卸売事業を営むための資金の一部として一〇〇〇万円を貸し渡した。その際に、被告は、「事業が軌道に乗ったときに返す」旨を約束した。その独立の約三年後、被告は、石材加工、販売等...
《解 説》
一 事案の概要
1 Xは、Y1との間で、Y1の所有する土地・建物(本件不動産)を代金六億一〇〇〇万円で購入する契約を締結した(本件不動産売買契約)。しかし、右契約時において、本件不動産には評価額を上回る抵当権が設定されており、しかも抵当権者の申立てにより不動産競売開始決定がさ...
《解 説》
Xらは、もとY1が所有していた土地上に建築されたマンション(シャルム田町)をY2から昭和六〇年六月以降買い受けた者であり、そのうちX1は管理組合の現理事長である。Y2は、同マンションを分譲した際、敷地の一部にある駐車場の専用使用権を一二区画、合計一四一〇万円で売却した。X1は、...
《解 説》
Xは、宅地建物取引業者Yの仲介でAから土地を購入し売買代金をすべて支払ったが、右売買契約と残代金支払との間に、当該土地にAを債務者、第三者Bを債権者とする根抵当権設定登記が経由されていたことが後日判明した。そこで、Xは、Yが登記簿等の調査義務を尽くし、Xに右根抵当権設定登記の存...
《解 説》
一 本件は、売買土地のすぐ近くに暴力団事務所が存在していたことが目的物の隠れた瑕疵に当たるとして、売主に対し損害賠償等を命じた事案である。
不動産業を営む会社である甲は、自社事務所兼賃貸マンションの建設用地として、同じく不動産業を営む会社である乙から宅地を購入したが、その宅地...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、Yが発行した書籍に、XがYに宛てて出した私信をそのまま写真版で登載したことに対し、Xがプライバシー、著作権の侵害及び名誉毀損であるとして、Yに対し損害賠償、差止及び名誉回復措置として謝罪広告を求めたものである(名誉毀損は控訴審において新たに主張されたも...
《解 説》
本件は、証券会社Yの社員Aが、株式の現物取引を継続的に行っていた顧客X(大正一三年生まれ男性、当時無職)に本件ワラントの購入を勧誘した際、断定的判断を提供し、適合性原則や説明義務等に反する違法な勧誘行為を行っていたか否かが争われた事案である。
本判決は、顧客Xは、昭和四七年こ...
《解 説》
Xは、商品取引所取引員であるYとの間で基本委託契約を締結し、三年八か月にわたって商品先物取引を行ったが、主位的に右基本委託契約の錯誤無効、詐欺取消を、予備的に取引終了と取引勘定の効果が帰属しないことを主張して、Yに委託証拠金代用証券として預託していた株式等の返還を求めるとともに...
《解 説》
X1・X2夫婦の子(昭和五八年一〇月一二日生)X3は、同六〇年九月二六日、Yの設置する大学附属病院に入院して精密検査を受けたところ、心房中隔欠損、心室中隔小欠損を伴った大血管転位症兼肺動脈弁下狭窄症と診断された。X3は同年一二月三日、心内修復術(心室中隔欠損孔閉鎖と肺動脈弁下狭...
《解 説》
一 Xは、活版印刷等を事業目的とする会社であるが、平成三年一月、同年四月に設立されたY会社の代表取締役に就任したAとゴルフ会員権の販売を業とするB会社の代表取締役Cから、預託金証書、資格認定証書、パンフレット等の印刷の注文を受け、発注を受けた印刷物を順次印刷したうえ、同年二月か...
《解 説》
一 本件は、A会社がB会社に対して有するテレビ番組の製作代金債権をYに対して債権譲渡したところ、A会社はその後破産宣告を受け、同社の破産管財人であるXが、右譲渡を破産法七二条四号により否認し、B会社が債権者不確知を理由として供託した供託金の還付請求権を有することの確認を求めた事...
《解 説》
一 本件の概要は、被告人運転の乗用車が交差点を南入右折した際、交差点西側からほぼ同じ頃に発進したワゴン車に接触しそうになったことから、この車が被告人車の後ろを煽る等して進路前方に割り込むよう交差点内で停車し、降りてきた暴力団員風の男に怒鳴られ自車を蹴られる等されたため、自分や同...
《解 説》
本審決は、被審人が他の同業七社とともに紙フェノール銅張積層板の国内需要者渡し価格の引上げを決定した対価カルテル行為に対する課徴金納付に関する審判事件の審決である(なお、違反事件の審決は、その審決取消訴訟の判決である東京高判平7・9・25本誌九〇六号一三六頁の確定により既に確定し...
《解 説》
一 本件は、X(控訴人)が、Y(被控訴人)の証券外務員の違法な勧誘行為によりYの発行するワラントを購入させられ、その結果、ワラントの購入代金と弁護士費用の合計四〇七万円余りの損害を被ったとして、Yに対し使用者責任に基づきその賠償を求めた事案である。
Xが主張した勧誘行為の違法...