最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
Xは、朝日新聞に勤務する傍ら、昭和五四年三月に江差追分に関するノンフィクション「北の波濤に唄う」を著作し、平成元年四月には、江差追分のルーツをテーマの一つとした小説「ブダペスト悲歌」(本件小説)を著作したものである。
Y2の函館局は、江差追分のルーツを探求し...
《解 説》
一 中華人民共和国(以下「中国」という。)の国籍を有する外国人である上告人(控訴人・原告)は、平成元年九月、中国福建省からベトナム難民を装う難民船に乗船して、有効な旅券を所持せずに、本邦に上陸し、同年一二月に退去強制令書の発付を受けた。上告人は、デモ行進等に参加したため、身の安...
《解 説》
一 本件は、被告人方を捜索した結果押収された覚せい剤とその鑑定書等の証拠能力が違法収集証拠を理由に争われた覚せい剤の使用・所持の事案である。決定文を要約すれば、捜査の経緯は、次のようなものである。すなわち、警察官八名が被告人の別件覚せい剤所持を被疑事実とする捜索差押許可状により...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、ジェット機の就航を目的として行われた松本空港の施設の変更(滑走路の拡張)申請につき、被告運輸大臣がこれを許可したことが違法であるとして、空港の周辺住民においてその許可の取消しを求めた取消訴訟である(以下、航空法を「法」と、航空法施行規則を「規則」と...
《解 説》
一 Xらは、鶏肉等の食鳥肉の安全性を図るため食鳥処理場の構造設備に関する基準や公的検査制度等を定めた「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(以下「法」という。)」の施行(施行日は平成三年四月一日)に伴い、借り入れによる費用を投じて同法に定める設備基準を満たすような構造設...
《解 説》
一 Xは、平成三年四月当時、福岡県立豊津高等学校の一年生であったが、同月一六日午後の体育の授業中に、同校グランドにおいて、体育教員Aの指示により整列した直後に、Aから右平手で顔面を四、五回殴打され、さらに再度右平手で顔面を四、五回殴打され、それによって精神的打撃を受けたとして、...
《解 説》
Xらの子(小一男子)は、平成五年八月、Y市の所有する土地内にあるため池に転落し、約一五分後に救出されたが、翌日死亡した。本件ため池は護岸工事が行われ、これに沿って高さ約一二〇センチメートルのフェンスと金属性の扉が設置されていた。右フェンスの内側の護岸天端は、本件扉付近において幅...
《解 説》
XはI市の住民であるが、同市において、平成四年五月、町内会長ら合計五二名を同市から約三〇キロメートルの距離にある温泉に招き、泊まりがけで「市政懇談会」を開催し、宴会に酌婦を呼んだこと等による支出を違法であると主張し、同市の市長Y、助役Y2、収入役Y3を相手に支出額八五万円余の損...
《解 説》
製薬会社Yに勤務するX1は、昭和六〇年三月一五日、東京営業所から名古屋営業所への転勤を命じられ、異議を止めて、同年四月一日、名古屋へ赴任し、平成三年三月一六日付で横浜営業所への転勤を命じられるまでの間、単身赴任生活を余儀なくされた。本訴は、右の名古屋営業所への赴任命令について、...
《解 説》
ここに紹介する二例は、いずれも変額保険の勧誘に際して説明が不十分であったこと等を理由として、主位的に変額保険契約、融資契約等の有効性が、予備的に保険会社及び銀行の共同不法行為責任の有無が争われた事件である。
①事件のXは、本件各契約締結当時六八歳の男性であり、農業に従事してい...
《解 説》
X信用金庫は、平成三年八月一三日、Aとの間で信用金庫取引約定を締結し、Aに一七五〇万円を貸し付け、その際、Bは右取引約定に基づきAがXに対して負う現在及び将来の債務一切について連帯保証することを約した。Aは、同五年七月七日破産宣告を受け、前記債務について期限の利益を失った。Yは...
《解 説》
本件は、自動車を運転中に事故により負傷したXが、その原因は、Yの製造した本件自動車が、その自動速度制御装置(ASCD)の欠陥により増速し、解除機構が作動しなかったことにあるとしてYに対し損害賠償を請求した事案である。原審はXの請求を棄却した。
Xは控訴審においてさらに、本件自...
《解 説》
一 Xは、浜松市内に勤務する会社役員であるが、平成三年四月、Y(証券会社)の社員Aに対し、保有株式二万株の売却を依頼したところ、Aが右株式を売却したが、その際、Xに無断でオムロンワラントを買付けたため、損害を被ったと主張し、Yに対して、損害賠償を請求した。
これに対し、Yは、...
《解 説》
一 Xは、昭和五九年四月から、八王子市立元八王子東小学校の教師として勤務していたものであるが、(一)平成三年一月、都立内中学校の見学に参加した後の懇親会に出席した帰途、同校の校長YからJR西八王子駅付近において無理やり性器をこすり付けるなどの卑猥な行為をされた、(二)平成三年三...
《解 説》
X1は、平成二年一月、Y3保険会社との間で4口の変額保険契約を締結し、保険料として合計一億五三三四万円余を支払ったが、その原資としてY2信用保証会社の信用保証のもとにY1銀行から一億七〇〇〇万円の貸付を受け、Xら夫婦は所有する不動産に根抵当権を設定した。本件は、X1がYらの変額...
《解 説》
一 いわゆるゼネコンであるA社の株主Xは、A社営業所副所長が自治体発注の下水道工事に絡んで贈賄の有罪判決を受けたことに関して、右贈賄事件のような違法行為がなされないよう従業員を監視する善管注意義務がありながらこれを怠ったとして、代表取締役及び右副所長の上司に当たる取締役であるY...
《解 説》
一 本件は、被告会社の代表取締役であり、B会社の代表取締役でもあったAが、被告会社所有の土地をB会社に売却する利益相反取引の承認を求めて被告会社の取締役会を開催し、自ら議長となって承認の決議(本件決議)をしたのに対し、被告会社の株主であるXが本件決議の無効確認を求めた事案であり...
《解 説》
一 被告補助参加人Aは、取引先のYら(被告)から代金支払のために本件約束手形七通の振出交付を受けて保管していたところ、何者かに本件手形を含む九通の約束手形、Aの実印、代表者印、会社のゴム印等を盗取された。
本件手形は、A及びSなる裏書が作出された上支払呈示がされたが、支払を拒...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年三月、訴外A証券会社に入社して営業活動をしていたが、平成二年ころから証券市況が悪化し、自分が担当していた顧客が投資信託の値下りによって損失が生じたことから、証券取引上禁止されている損失補填を自己資金で行うようになった。そして、その後、Xは、営業ノルマをこなす...
《解 説》
一 本件は、いわゆる市川の一家四人殺害事件を含む強盗殺人、殺人、強盗強姦、強盗致傷、傷害等の罪を連続して犯した犯行時少年の被告人に対し第一審が死刑を言渡した事件の控訴審判決である。
被告人の犯行のうち、市川の一家四人殺害事件は、被告人が、自転車に乗っていた一五才の少女を車に乗...