最も長い歴史をもつ判例実務誌
1.不当廉売に関する独占禁止法上の考え方(昭和58年)
2.フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について(昭和58年)
《解 説》
一 本件は、マスコミ等でも大きく報道されたいわゆる沖縄県知事署名等代行職務執行命令訴訟の最高裁大法廷判決である。
国は、沖縄返還以来、日米両国間において駐留軍用地としてアメリカ合衆国に提供することが合意された沖縄県内の土地を同国に提供してきたが、平成八年三月三一日及び平成九年...
《解 説》
一 本件は、「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦に在留していた外国人Xの在留資格につき、「短期滞在」の在留資格への変更許可がされ(この変更許可に問題があったことは後記のとおりである。)、その後、日本人である配偶者Aとの間の婚姻無効確認訴訟が係属中は、訴訟の遂行を目的として...
《解 説》
一 本件は、貸金債権を担保するために、債務者Aの第三債務者Yに対する敷金返還請求権に質権の設定を受けたXが、Aが賃借建物を明け渡した後に、民法三六七条の質権に基づく取立権により、Yに対して敷金の返還を求める事案である。
二 本件事案の概要は、次のとおりである。
K Yは、Aに...
《解 説》
一 本件は、日本人の夫からドイツ人の妻に対する離婚請求訴訟である。
1 XとYは、昭和五七年にドイツ民主共和国(東ドイツ―当時)で婚姻し、その後、ドイツ連邦共和国(平成二年一〇月の東西ドイツ併合前の西ドイツ)で婚姻生活を営んでいたが、平成元年一月にYがXとの同居を拒み、Xは、...
《解 説》
Xらは、N市の住民であるが、平成七年五月一七日施行された市議会議員選挙における議員定数の配分について、同二年の国勢調査人口によれば投票価値の較差が最大で一・七三倍になり、いわゆる逆転現象は一四通り生じ、そのうち定数二人の差のある顕著な逆転現象は四通りあること、同七年三月一日現在...
《解 説》
一 本件は、司法書士名簿への登録を申請したところ、右申請に係る登録を拒否された原告が、右拒否処分の取消しと、慰謝料などの支払いを求めている事案である。
二 司法書士となるには、司法書士名簿に氏名等を登録しなければならないが、司法書士法六条の三第一項三号によると、登録申請者が司...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、京都市民である原告が、京都市公文書の公開に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づいて、弁護士の報酬に関する公文書の公開請求をしたのに対して、被告がこれを非公開とする決定をしたので、その取消しを求めた抗告訴訟である。原告は、被告に対して「『ポンポン...
《解 説》
一 本件事案の概要は、次のとおりである。
Xは、一九五三年生れの中国人(吉林省出身)で、数年前から都内の飲食店で中華料理人として働いていた者であるところ、Yの設置した公の施設である都立葛西海浜公園内で家族と共に海水浴中の平成六年八月二二日午後五時ころ、同公園内の水深約五〇セン...
《解 説》
一 兵庫県加古川郡稲美町長は、町会議員の沖縄県視察の支出負担行為兼支出決定書を決裁し、各議員に一五万円が支出された。しかし、議員の一人は視察に出張しなかったし、他の議員は沖縄ではなく他の地に視察のために出張した。しかし、その後これが問題となり全議員は受領した一五万円を町に返還し...
《解 説》
一 津山市(以下「市」という。)は、石碑設置工事請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結するに当たり、地方自治法二三四条二項、同法施行令一六七条の二第一項、市契約規則二六条等によって本件請負契約につき競争入札すべきであったにもかかわらず、随意契約の方法をとり、かつ、本件請...
《解 説》
一 本件は、地方公共団体の議会の議長交際費及び長の交際費の支出が違法であるとして、議長及び長に対して、その返還を求めた住民訴訟であるが、議長については訴を却下し、長についてはその支出が違法ではないとして請求を棄却したものである。
二 地方自治法二四二条の二第一項四号に定める損...
《解 説》
既婚女性のXは、オーディオ機器メーカーYの社員であり、東京都品川区内に居住していたところ、Yから八王子市内の事業所への異動を命じられた。その当時、Xには三歳の長男がおり、夫は東京都港区内の会社に通勤していた。Xは、自宅から転勤先までの通勤時間に約二時間を要し、そのため長男を保育...
《解 説》
一 XとY1Y2は隣接して土地建物を所有する者である。Xの土地内には、Xが土地所有権を取得する前からY1の水道管・ガス管とY2の水道管が敷設されていたが、Xは駐輪設備を設ける必要等が生じたとして、Y1Y2に対し、水道管及びガス管を撤去するよう求めた。これに対して、Y1Y2は、地...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、Aに対し、本件土地を賃貸し、右土地上に本件建物を建築して、占有していたところ、Aが死亡したため、その子であるY1・Y2ほか三名が本件建物及び本件借地権を共同相続した。ところが、その後、本件建物の共有持分については、Y2ほか三名からY1に譲渡され、さらにそ...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。
Xは、大正八年生まれで、契約当時には年金生活者となっていたが、保険会社Y1の勧誘員から、保険料を銀行から全額借り入れて変額保険に加入するプランの説明を受け、平成三年五月に、Y2から保険料相当額を借り入れ、Y3に右の借入金について保証委...
《解 説》
一般に、著名事件についての判決が言い渡された際に、判決の報道に合せて、その判決に対する当事者のコメントが新聞記事として報道されることは、しばしばみられることである。本件は、判決を受けた当事者が、報道されることを意図して、報道機関に対するコメントを表明したことが、当該判決と密接に...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年五月、急性心筋梗塞により、Y1の経営する「大津赤十字病院」に入院し、同年六月、Y2医師の執刀により、心臓冠動脈バイパス手術(本件手術)を受けたが、心停止を繰り返し、手術後の翌日、手術近接期心筋梗塞による急性心不全により死亡した。
そこで、Aの遺族であるX...
《解 説》
一 本件は、Xが訴外株式会社に金員を貸し付け、訴外Aに連帯保証させていたところ、Aが死亡し、その法定相続人全員が相続を放棄したため、Aの相続財産が当然に相続財産法人となったが、AがY(銀行)に対して有する預金債権しかその財産が存しなかったため、XがYに対して、債権者代位権に基い...
《解 説》
一 Xは、男性用かつらの販売を業とし、大阪、神戸等数箇所に支店を有する会社であり、Yはその従業員であった。YはX代表者と些細なことで口論をしたことが切っかけでXを退職し、独立してかつらの販売業を営むことにしたが、その際、Yはかつて自己が店長を務めていた心斎橋店に保管されている本...
《解 説》
一 A(債務者)は、Yを代理人として、抵当権に基づく競売を申し立てたXらに対して債務弁済協定の調停及び競売停止を申し立てた。裁判所は、Yに対し銀行との間にXらに対する支払保証委託契約を締結する方法による保証を立てさせた上で(民事調停規則六条に基づく立担保制度によるもの)競売手続...
《解 説》
一 事案の概要は、次のようなものである。控訴人は、共有地の管理を目的として右土地の共有者を組合員として結成されたものであるが、組合結成前から右共有地の管理のために帳簿類(以下、本件帳簿類という)が作成・保管されてきたところ、組合結成後は控訴人が本件帳簿類の作成・保管をすることに...
《解 説》
亡Aには相続人がなく、Yが相続財産管理人に選任された。XはAに対して債務名義を有する債権者であり、Aが有していた不動産から生じる賃料債権について差押命令を申し立てたところ、認容された。Yは、相続人不存在の場合の相続財産管理人がいる場合、民法九五七条二項が準用する同法九二九条によ...
《解 説》
一 事案の概要
被告Y1は、原告の元従業員であり、被告Y2は、原告との間で、被告Y1が原告に就職するに際し、同被告が原告に損害を与えたときには本人と連帯して損害賠償の責任を負担する旨の期限の定めのない身元保証契約を締結した。本件は、原告が、被告Y1に対し、同被告が業務として顧...
《解 説》
一 本件は、損害保険会社Yとの間で、会社を保険契約者、同社の従業員を被保険者として一時払いの積立普通傷害保険契約を締結していたA会社の破産管財人Xが、右保険契約を解約して解約返戻金の返還を求めたのに対し、Y会社が、A会社に対して有する求償金債権等と右解約返戻金債権とを相殺したの...
《解 説》
一 本件は、一〇歳の少年に命じて、交通事故で倒れている受傷者のバッグをとってこさせた行為について、窃盗の間接正犯が成立するのか、共謀共同正犯が成立するのかが問題となったものである。
控訴趣意においては、この点につき、少年に対する窃取の命令行為を否定するとともに、仮に指示命令が...
《解 説》
一 本件は、使用済みで無効となったパチンコ玉のプリペイドカードの、使用した旨の表示箇所等を埋め、券種を表示する箇所に一万円の券種を表示するパンチ孔を開ける等の方法によって、有効度数を一万円として偽造されたカードを入手した被告人が、右偽造カードを用いてパチンコ玉を窃取しようと企て...
《解 説》
一 本件は千葉県収用委員会会長襲撃事件の実行犯の一人とされた中核派構成員に対する強盗傷人被告事件についての第一審判決である。
公訴事実の要旨は、被告人が、共犯者N、Mほか数名と共謀の上、千葉県収用委員会会長を鉄パイプ等で殴打し、手提げ鞄一個を強取するとともに、重傷を負わせたと...