最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、プログラム著作物の翻案権侵害の成否の判断事例として判時一三二二号一三八頁で紹介された著作権侵害差止仮処分事件(東京地決平1・3・31)及びその抗告事件(東京高決平1・6・20)の本案判決であり、計測装置等(本件装置)の回路基盤のROM(リードオンリーメモリー)に収納...
《解 説》
一 本件は、栃木県那須郡小川町(以下「町」という。)の住民である原告が、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、町に代位して、町長の職にある被告個人に対して損害賠償を求めた住民訴訟事件である。
町は、町内の交通事故の増加等に対する対応策の一つとして、町内にある栃木県警察(以...
《解 説》
Xは、Y県に勤務する公務員であったところ、平成三年一月、妻子を置いて出奔し、家庭裁判所により不在者財産管理人Aが選任された。本訴の第一事件は、Xが妻Bを通じて口頭でYに退職の意思表示をしたのに、Yがこれを受理せず、Xを懲戒免職処分としたのは裁量権の濫用であるとして、X(法定代理...
《解 説》
一 Xの子である訴外A(昭和四九年生)は、平成四年二月一九日午後、自動車窃盗の被疑事実により、伊勢警察署に逮捕され、引き続き勾留され、同警察署留置場の少年室に留置されていたものであるが、同月二三日午後、右少年室において、着用の長袖Tシャツを脱ぎ、右シャツの胴体部を右少年室内便所...
《解 説》
一 本件は、Xが訴外Aと称する人物に対し、A所有の本件土地に根抵当権を設定することを条件に融資金として現金一億五四二五万円と金融機関の自己宛振出小切手五通(額面合計一億八〇〇〇万円)を交付し、同日根抵当権設定のための登記申請を行ったが、Aと称する人物は実は本件土地の真の権利者で...
《解 説》
Xら八名は、Yタクシー会社の運転手であるが、平成元年四月に導入された消費税の転嫁を理由とする運賃値上げに関し、簡易課税方式(消費税法三七条)を選択したことにより生じた増収分はXらに帰属するものであると主張し、その支払いを求めて出訴した。その理由は、Yにおいては、運転手の賃金につ...
《解 説》
契約の締結に関する当事者の行為が契約の締結の誘引か契約の申込かは意思表示の解釈の問題であるが、この点に関する裁判例は非常に少ない。本件は保証契約に関するものであるが、債権者の取引開始前における保証人必要の発言は契約の申込ではないと判示したものである。取引の実務においては、債権者...
《解 説》
X1は、廃棄物の処理を目的とする地方自治法上の一部事務組合であり、X2はその構成団体である町である。X1は、X2の地域内に処分場を設置しているが、昭和五六年一二月、X2との間で基本協定、同五七年七月、その第三自治会との間で公害防止協定(第三協定)及び第二二自治会との間で同旨の協...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
1 原告は、新技術事業団法に基づき政府の全額出資により設立された特殊法人であるところ、新技術事業団法には、事業団が企業等への委託により新技術の開発を実施しようとするとき、あるいはこれを変更しようとするときは、その新技術及び企業等の選定...
《解 説》
一 Xは昭和六〇年九月一七日ころ、Yに雇用され、同年一〇月八日初めて足踏式高周波ウェルダーを用いて塩化ビニール製品の溶着作業に従事したところ、右手の肘が機械の金型に触れ、受傷した。Xは、本件事故により、右前腕感電創並びに両上下肢末梢神経不全麻痺等の障害を受けたと主張し、休業損害...
《解 説》
一 昭和五九年二月一五日早朝、大しけのベーリング海上において、Y所有の漁船第一一協和丸(三四九トン)と安洋水産所有の漁船第一五安洋丸(二七九トン)が衝突し、協和丸の船体が傾斜し、浸水して沈没したため、その乗組員二四名中一四名が死亡し、二名が行方不明となって認定死亡とされた。
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《解 説》
ゴルフ会員権を巡る訴訟には、その金銭債権性を反映した様々なものが見られる。ゴルフ場開場前にプレミアム付でゴルフ会員権を購入したが、当該ゴルフ場がその開場予定日を大幅に過ぎても開場しないため、そのことをゴルフ場会員入会契約の債務不履行であるとしてこれを解除し、入会の際支払った預託...
《解 説》
一 Yは、平成二年九月二九日付け読売新聞朝刊第一面において、九月二四日に収賄の疑いで逮捕されていたX(元川西市長)について、「金銭授受を認める」との見出しを付して、Xが警察官に対し金銭授受を認める供述を開始した旨の報道を行った。Xは、本件記事の内容は虚偽であり(なお、Xは本件記...
《解 説》
Xはもと国際電信電話株式会社(KDD)の社長であるが、業務上横領罪で起訴され、控訴審において公訴事実の大部分が無罪となり、上告審で判決が確定した者である。Yは大学の法学部教授であるが、同事件に関して週刊誌の取材に応じ、週刊誌側で用意した原稿について承諾を与えて、「飲食費の公私混...
《解 説》
一 本件は、Xら所有土地(Xら土地)の隣接地(本件土地)所有者から本件土地の宅地造成工事を請け負ったY3がY1に対して給排水等土木工事を下請させたところ、Y1の工事(本件工事)によりXら土地上の建物(Xら建物)が傾くなどの被害(本件被害)が発生したとして、XらがY1に対し一般不...
《解 説》
一 Xは、従前から、Y1(証券会社)との間で外国株式を含む株式、転換社債、投資信託の証券取引を行っていたところ、Y1の外務員Y2の勧めにより行った本件ワラント取引により九九五万円の売却損を出した。Xは、Y2の①説明義務違反、②不当勧誘行為、③詐欺行為という不法行為により右損害を...
《解 説》
一 本件は、交差点の出会い頭の交通事故により受傷した原告が、その損害の賠償を求めた事案であるが、その概要は以下のとおりである。
昭和五八年三月一〇日、本件事故発生。原告は本件交通事故により頚椎捻挫等の傷害を負い、現在も通院治療中であると主張して、昭和五九年七月二日、被告らに対...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、国立の医科大学の付属病院で髄膜腫の手術を受け、抗痙攣剤二種(アレビアチン、フェノバール)の投与を受けていた患者である亡戸田幸代(以下「幸代」という)が、退院の際に処方された右抗痙攣剤二種及び便秘薬(ラキサトール)を服用していたところ、その副作用によって...
《解 説》
一 Xは平成三年二月、左下腿骨骨折治療のためY経営の病院に入院し、骨折部に髄内釘を挿入し、回旋防止のための横止釘を刺入する手術を受けた。Xは、一旦退院し、通院治療を続けていたが、退院の約一か月後ころより、手術部位に発熱、腫脹が認められるようになり、さらに、波動が生じたために患部...
《解 説》
Xはグァムにあるホテルの東京事務所であったものが法人化されたものであり、Yは主催旅行を企画、募集等を行う会社であるが、XとYは、平成四年三月ころ、XがYの顧客のグァム旅行におけるホテルの宿泊予約等をパッケージとして行い、YがXにパッケージ代金を支払うとの内容の予約業務協約を締結...
《解 説》
一 被告は、昭和二一年に全国水平社の伝統と組織を継承して結成された、部落差別から部落民衆を完全に解放することを目的とする権利能力なき社団である。原告らは、被告の構成員(同盟員)であり、被告の地方組織である岡山県連合会(岡山県連)執行部を構成していた者である。
被告は、平成元年...
《解 説》
一 本件は、配偶者の母親を監禁などした尊属監禁罪等で有罪とされた者の控訴審の係属中に、尊属加重規定を削除する平成七年法律第九一号の刑法の一部を改正する法律が施行されたとき、刑訴法三八三条二号の「判決があつた後に刑の変更があつた」場合に当たり、刑の変更が科刑上一罪の処理及び併合罪...
《解 説》
一 本件は、中核派活動家の被告人が、昭和六二年八月に保冷車の荷台から皇居方面に向けて金属性砲弾型爆発物を発射させるとともに、右保冷車を火炎びんの時限装置により焼燬し、付近建造物などに延焼させるおそれのある状態を発生させたものとして、爆発物取締罰則違反罪等により起訴されていた事件...
《解 説》
一 本件は、掲示板にポスターを貼付して京都市屋外広告物条例違反の現行犯で逮捕されたAの妻子であるXら(本件が一審に係属中の平成二年二月二五日にAは死亡し、Xらが訴訟を承継した。)が、警察署に引致された後の約四四時間一〇分にわたる京都府警察の司法警察員のもとにおけるAの留置は違法...
《解 説》
一 妻Xが夫Aと同棲している女性Yに対し、不法行為を理由に慰謝料の支払を求める事件。XとAとは昭和四二年五月一日に婚姻の届出をした夫婦であり、性格の相違等が原因になって夫婦関係が次第に悪化していき、昭和五九年四月には非常に悪化していた。Aは、昭和六二年五月六日、自宅を出てかねて...