最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、「エホバの証人」である神戸市立工業高等専門学校の学生Xが、信仰上の理由から格技である剣道実技の履修を拒否したため、必修である体育科目の修得認定を受けられず、そのため二年連続して原級留置(進級拒否)処分を受け、さらに、これを理由に、内規に従い、退学事由である「学力劣等...
《解 説》
一 本件は、マスコミ等で話題となった沖縄県知事に対する職務執行命令訴訟の第一審判決であるが、その事案の概要は次のとおりであった。
日本国政府は、日米行政協定に基づき、駐留軍用地の確保に努める義務を負っており、用地の所有者等が任意の用地提供に応じない場合には、日本国とアメリカ合...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、紙基材フェノール樹脂銅張積層板の製造販売業者である原告及び同業七社の合計八社が、八社が所属する団体の部会等において、昭和六二年初めころから銅張積層板の販売価格の下落防止、引上げ等についての意見交換を重ねてきたところ、同年六月一〇日、右団体の臨時部会...
《解 説》
本件は、Yの社員であったAが、入社後約一年五ケ月して自殺したことから、同人の父母であるXらが、Yに対し、AはYから長時間労働を強いられたためにうつ病に陥り、その結果自殺に追い込まれたとして、民法四一五条又は同法七〇九条に基づいて、Aの死亡による損害の賠償を請求した事案である。
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《解 説》
本件は、民法七三三条の再婚禁止期間の規定のために婚姻の届出が受理されるのが遅れ、これによって精神的損害を被ったと主張する原告らが、国に対し憲法一四条一項及び二四条に違反する民法七三三条の削除又は廃止の立法をしない国会の行為及び民法七三三条の削除又は廃止を求める法律案を提出しない...
《解 説》
一 本件は、JR関係の労働者で組織する労働組合の連合体であるXが、何者かによって殺害されたその総務部長を追悼する合同葬のため、Y市の設置する公の施設であるY市福祉会館の使用許可を申請したところ、これを不許可とされたため、この不許可処分が違憲、違法なものであるとして、Yに対して、...
《解 説》
一 市立小学校教諭Aは、午後に他校の体育館で行われる児童のポートボールの練習試合の審判をすることが予定されていたところ、午前中から体調が悪かったため、その交代を同僚教諭らに申し入れたが、聞き入れられず、やむなく審判を担当したところ、審判として球技指導中に倒れ、特発性脳内出血によ...
《解 説》
一 本件の原告(上告人)Xらは、Y(JR東日本)の従業員であり、国労の分会に所属する組合員である。Yの高崎運行部で、一〇数名の組合員らが助役二名に団体交渉を求めて押問答となるなどした(以下「本件行為」という。)ところ、Yは、高崎運行部長Z名で、事務室内に無断で立ち入り、再三にわ...
《解 説》
一 本件は、貸金債務の連帯保証人であるY1がその子供であるY2に農地を贈与したことが、連帯保証債務を免れるための詐害行為に当たるとして、債権者であるXが、Y2に対し、詐害行為取消権に基づき、右贈与契約の取消しと所有権移転登記の抹消登記手続を求めた事案である。
二 本件事案と訴...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、共同相続人の一人が、相続財産である不動産について、勝手に単独相続した旨の所有権移転登記を経由して第三者に譲渡した場合、この第三者が他の共同相続人に対して、民法八八四条に規定する相続回復請求権の時効を援用できるかが争われた事案である。
共同相続人の一人...
《解 説》
一 事案の概要
大玉村は、別件の民事訴訟(同村を被告とする二五〇〇万円の支払約束金履行請求訴訟)において裁判所から和解勧告を受けていたところ、村長である被告は、和解案を議会に提出して議決を得た上で、和解金として五〇〇万円を相手方に支払った。これに対して、大玉村の住民である原告...
《解 説》
Y1は、ゴルフ会員権の購入に際し、Xとの間で立替払契約を締結するとともに、Xに対して右ゴルフ会員権に譲渡担保権を設定し、Y1が期限の利益を失ったときはゴルフ会員権をXが一般に適当と認められる方法、時期、価格で売却するか、X自らが取得することを承諾した。Y2は、Y1の右立替金支払...
《解 説》
一 Y銀行のXの普通預金口座に本人から一億円が振込入金された一五分後に、Xの使者Aが一億円の払戻を求めた。これに対し、Y銀行は、Xの意思確認が必要と判断して、Xとの連絡を依頼するとともに、払戻を拒絶した。その後、AがY銀行を退出したが、払戻請求から約一時間後に、XからY銀行に、...
《解 説》
一 本件は、原告が、その父(訴訟継続中に死亡、原告が承継)の代理人として、住宅設計・施工請負等の会社である被告との間で、事業用オフィスビルを新築した上で、そのビルを被告グループが一括借受して第三者に転貸(いわゆるサブリース)し、第三者の入居の有無にかかわらず、被告が毎月一定の賃...
《解 説》
放送法四条は、真実でない事項の放送をされ、権利の侵害を受けた者が放送のあった日から二週間以内に請求したときは、放送事業者は、遅滞なく調査し、真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に訂正又は取消しの放送をすべきことを定め、同法五条は、放送事業者は、番組の放送後三週...
《解 説》
一 Xは、平成元年四月から愛知県立佐屋高等学校において社会科教諭として勤務している者であるが、同校では生徒に対して自転車に乗る場合にはヘルメットを着用するよう義務付け、違反生徒に対して自転車の使用禁止、反省文の提出、担任による指導等の措置を実施していることについて、学校教育法一...
《解 説》
一 訴外Aは、平成五年一月六日、普通貨物自動車を運転して東京都板橋区内の道路を走行中、高島平四丁目付近で停車し、いったん降車して施錠した後、再び乗車する目的で右自動車に近づき、鍵穴に鍵を差して開錠しようとした際、後方から進行してきた訴外B運転の普通貨物自動車に衝突され、肋骨多発...
《解 説》
一 本件は、阪神淡路大震災による自宅の崩壊によりほぼ同時的に死亡した妻とその実母との死亡日時の先後関係が問題となる事案において、右母の死亡日時の戸籍訂正の許可審判の申立てがあったのに対し、原審は戸籍法一一六条(確定判決による戸籍訂正)の規定によるべきものとしたのに対し、抗告審の...
《解 説》
一 Xは、コンピュータの売買、保守等を業とする会社であり、Yとの間で、多数のコンピュータを目的とし、ユーザーを被保険者として、動産総合保険契約を締結していたが、一九九二年一二月から一九九三年八月までの間に一〇〇台余のコンピュータに故障が発生し、これを修理したため損害を被ったと主...
《解 説》
一 本件は、K大学附属女子高校の教諭である被告人が、放課後に教室内で追試験を実施していた際、追試験を受ける必要のなかった生徒Jを廊下に出させようとしているうちに、Jがスカート丈についての校則に違反していることに気づき、スカート丈を直すように注意していたが、Jの廊下に出る際及び廊...
《解 説》
一 本件は、Xが、Aとの間の保証委託契約に基づき、AのBに対する貸金債務を代位弁済し、原債権(Bの貸金債権)及びその抵当権並びに求償権を取得したと主張して、Aの求償債務の連帯保証人Yに対し、その連帯保証債務の履行を求めた事件である。
Xが取得した求償権は、通常であれば、これに...
《解 説》
一 本件は、司法書士のXが、平成三年九月、Yからマンションの所有権保存登記申請手続等の委任を受け、同年一〇月四日に右登記の申請手続をしたものの、その報酬等の請求を右マンションの分譲業者に事実上任せていたこともあり、右申請手続終了から約四年が経過した平成七年七月二八日にYに報酬等...