最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
X(アメリカ合衆国)は、Y(カリフォルニア州法人)に対し在日アメリカ合衆国大使館の燃料用オイルの補充、燃料タンクの保守点検整備等の業務を委託していたところ、Yの従業員であった日本人Aが燃料タンクから一〇〇回以上にわたり燃料を窃取し、損害を与えたと主張し、三五一万ドル余の損害賠償...
《解 説》
一 本件は、上告人会社が七〇年(昭和四五年)安保改定期に予想される破壊活動からの企業防衛を標ぼうして、共産党員及びその同調者の孤立化・排除のために実施した労務対策につき、それが思想の自由及びプライバシーの侵害等に当たり不法行為を構成するとして、右対策の対象とされた被上告人ら四名...
《解 説》
一 本件は、上告人会社が被上告人(中央労働委員会)による救済命令(再審査命令)の取消しを求めた事件である。救済命令の対象事項は多岐にわたるが、その中で、会社が①労働組合による組合集会等のための従業員食堂の使用を許諾しないこと及び②組合にいわゆる三六協定の締結適格があるかどうかを...
《解 説》
原告は、「日本人の配偶者」の在留資格をもって日本に在留していた外国人女性であるが、被告法務大臣から、実質的な婚姻関係がないという理由で在留期間の更新を不許可とされた(以下「本件処分」という。)ことから、右処分の取消しを求めた。
ところで、被告は、本件処分後、原告に対し、在留資...
《解 説》
一 Xは、平成元年二月当時、京都市立山ノ内小学校の四年生であったが、同月二日、教室内において、掃除のため机と椅子を移動させていたところ、暖房用ガスストーブのゴムホースに足を取られて体のバランスを崩し、ストーブの上の金ダライに触れたため、熱湯をかぶって熱傷を負った。
そこで、X...
《解 説》
Yは個人で電気工事の請負業を経営する者であり、Xの夫Aを雇用し、Aを被保険者として死亡保険金を一〇〇〇万円とする定期付養老保険契約を付していた。Aが胃癌で死亡したため、Yは保険会社から右死亡保険金のほか、入院給付金等を受領した。XはYに対し、AとY間に死亡保険金を退職金又は弔慰...
《解 説》
銀行法一五条を受けて制定された同法施行令の順次改正により、わが国の金融機関においては、昭和五八年八月から第二土曜日、同六一年八月から第二、第三土曜日、平成元年二月からすべての土曜日を金融機関の休日とすることが定められ、信用金庫においてもこれが準用された。Xらの勤務するY信用金庫...
《解 説》
事案の詳細は不明であるが、Yの社員がXに対し、Xが農地を取得して開発許可と地目変更手続を行った上で宅地にしてYに引き渡すとの契約の締結に向けて交渉を継続したところ、Yが計画を断念したので、Xが売買契約ないし予約違反による損害賠償を求めたというもののようである。第一審判決はXの請...
《解 説》
XはY(Xの長女の夫)の銀行借入れの際連帯保証人となったが、Yが期限の利益を失ったため、Yに事前求償権の行使として六〇〇〇万円の支払を求めた(右請求原因事実は争いがない)。これに対しYは、Xのため立替金債権九三六万円余を有し、また、Xとの間でマンション建築に関するプロジェクト契...
《解 説》
Yは日本体育大学を設置する学校法人であるが、株式会社Xとの間で「日本体育大学食堂業務委託請負契約」を締結した。右契約は、YがXに大学食堂業務を行うに必要な施設、物件等を無償で貸与すること、XはYの承諾なしに大学食堂業務に関するいかなる部分をも第三者に貸与若しくは利用させることが...
《解 説》
主婦であるYは、昭和六三年八月以降、X証券会社との間で株の信用取引を始めた。Yは委託保証金を有価証券で代用していたので、委託保証金の残額(損失及び顧客の負担する額を控除したもの)の約定価額に占める割合(預託率)が変動し、平成二年八月には証券取引所で定められた維持率二〇パーセント...
《解 説》
一 本件は、我が国最大手の証券会社Yの支店の投資相談課長Aが投資家Xら三名から公開前の新規公開株の購入代金名下に多額の金員を騙し取った行為が使用者である証券会社Yの業務の執行についての行為であるとしてYの使用者責任が追及された事案である。
二 取引的不法行為による使用者責任に...
《解 説》
Xは女優Aと結婚した弁護士であるが、Yの発行する新聞紙上で、「A来春離婚」との見出し、「許せない母への暴力」との中見出しのもとに、XがAとその母親Bに暴力を振るい、両名に対し、全治一、二週間のけがを負わせたとの記事(別件記事)が掲載された。そこで、XはYに対し慰謝料の支払いと謝...
《解 説》
Xは、元警察官であり、強盗殺人罪により死刑判決を受け、上告取下げにより確定した者であるが、Yの発行する週刊誌にXが警察共済組合から退職年金を受給していたことに関する記事が掲載された。Xは、①右受給事実、②受給月額、③毎月の書籍講読料の支出の摘示は、Xのプライバシーを侵害するもの...
《解 説》
Xは、香港在住の大資産家Aを代表者とする投資顧問会社であり、国際的な規模での投資事業を営んでいた。Xらは、昭和五二年四月ないし五月ころ、日本の製紙会社Y2(代表者Y1)の株式取得を企図し、香港に駐在していた日本の証券会社を通じ、同年九月段階で発行済株式の約一三パーセントに当たる...
《解 説》
一 Xは、幼少のころから父の指導を受けてスキーの高い技能を修得していたが、平成四年四月、将来スキー選手として活躍したいとの希望をもって、Yの設置する中学校に入学した。
そして、Xは、その後海外練習にも参加して訓練を重ねてきたので、平成五年一月に実施される「全国中学校スキー大会...
《解 説》
一 Y1は、Y2に請け負わせてXらが居住する住宅の近隣に六階建のマンションを建設したところ、Xらは、右マンション建設工事に伴う振動、騒音によって精神的苦痛をうけ、マンション完成後日照阻害によってXらの住環境が著しく悪化したとして、Y1、Y2に対し、民法七〇九条に基づき慰謝料の支...
《解 説》
本件は、ロッキード事件当時裏情報を握って活躍し、ブラックジャーナリストと喧伝されたことがあり、現在はファクシミリによる情報サービス業を主宰するに至っている原告が、著名な評論家である被告とロッキード事件の当時に対談をしたことがあったが、この対談が被告の近著に収録された際に、被告か...
《解 説》
Xら二〇名は、Sゴルフ倶楽部の会員保証金六〇万円ないし八〇万円をY1社に預託していたものであるが(預託金の総額は、Xらの分を含め、約二二億円であった)、Y1社は同倶楽部を経営していたA社の全株式を代金四億五〇〇〇万円でY2社(代表者Y3)に売却した。次いでY2社はゴルフ場の土地...
《解 説》
Yが雇用していたA船長の操船するタンカー(全長四〇メートル、幅八・五メートル、一四一総トン。他社所有)は荒川を遡上中、Xが設置した鉄道用橋梁の第一五番目の橋脚に衝突し、そのため橋梁が衝突地点を中心に約四〇メートルにわたり上流方向に最大約五〇センチメートル湾曲し、同橋梁を通る私鉄...
《解 説》
XはY銀行の紹介により建設業者Aを紹介され、ビル建設工事を計画したが、採算の関係から二度にわたり断念した。しかしYの支店長自らがX方を訪問し、建設資金の金利が上がった場合の対応を検討させたいなどと発言し、次いで融資係長から返済計画書を示され、XとしてはYがここまで融資協力をして...
《解 説》
核燃料サイクル施設の事業者であるY1(当時、日本原燃サービス株式会社)及び同施設の建設推進母体であるY2(電気事業連合会)が共同で発行し、広告会社Aが編集する青森県上北郡六ケ所村付近で配付される地域情報誌「ふかだっこ」七二号の表紙に「今日はたくさん罠にかかったかな?」とのタイト...
《解 説》
本件は、信号機により交通整理が行われている交差点における自動車(普通乗用車)と(足踏式)自転車との直進車同士の出会い頭の衝突による自転車運転者の死亡事故における過失相殺の割合が問題となった事案である。
事故状況は、本判決の認定によると、被害者が友人とともに三人で連れ立って夜間...
《解 説》
本件は、原動機付自転車と普通乗用自動車が衝突して、原動機付自転車の運転者が右膝関節顆間隆起部骨折等の傷害を負い、その二か月後肺炎によって死亡した件に関し、被害者の相続人が、普通乗用自動車の運転者、その雇用者に対して、死亡に基づく損害賠償を請求した事案である。この件においては、被...
《解 説》
一 本件は、被害者が本件事故とは無関係の自動二輪車の自損事故により自動車専用道路に転倒していたところを普通乗用自動車が轢過した事故に関し、被害者の両親である原告らが、同車を所有し、運転していた被告に対し、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条に基づき、損害賠償を求め...
《解 説》
X(妻)はY(夫)に対し、夫の女性関係、暴力及び精神病による長期療養を理由に離婚を求め、併せて子らの親権者をXと指定すること、慰謝料五〇〇万円の支払及びX所有建物の敷地であるY名義の土地(宮坂の土地)の分与を求める本訴を提起した。これに対しYは、XがYを強制入院させ、入院期間中...
《解 説》
Y2寺の代表役員代務者であったXは、Y2寺に対してその地位の確認を求めて出訴し、勝訴判決が確定した(その口頭弁論終結日は、昭和五七年五月一七日)。その後再びXの地位につき争いが生じたため、Xは再度、Y2に対し同地位の確認を求めるとともに、包括宗教法人であるX1に対し解任の差止め...
《解 説》
一 昭和五二年ころ来日した反訴被告(カナダ人)は、昭和五六年五月、反訴原告(日本人)と日本法に従って婚姻の届出をし、日本において婚姻生活を始めた。昭和五九年五月、反訴原告と反訴被告は長男を連れてカナダに渡ったが、平成元年ころから両者の夫婦仲は次第に亀裂を生じ、反訴被告と反訴原告...
《解 説》
一 日本人X(原審反訴原告、控訴人、妻)は、昭和五六年五月、その数年前より来日していたカナダ人Y(原審反訴被告、被控訴人、夫)と日本法に従って婚姻し、日本において婚姻生活を始め、昭和五八年一二月に長男をもうけた。XとYは、昭和五九年五月、長男を連れてカナダに渡ったが、平成元年こ...
《解 説》
Y(前訴の原告、本件の第一審本訴被告兼反訴原告、控訴人兼被控訴人)はX(前訴の被告、本件の第一審本訴原告兼反訴被告、被控訴人兼控訴人)に対し、本件係争地について境界確定を求めるとともに係争地内の建物部分、樹木等の収去及び土地明渡しを求める訴え(前訴)を提起したところ、第一審では...
《解 説》
Y1は証券会社、Y2はその社員であり、Xは顧客であるが、XはYらがワラントを無断で売買したと主張し、Y1に対して使用者責任若しくは債務不履行に基づく損害賠償又は預託金の返還を、Y2に対して不法行為に基づく損害賠償を求めて出訴した。右本案訴訟においてXはY1に対し、Y1が作成した...
《解 説》
一 本件は、「カッター装置付きテープホルダー」の考案につき実用新案権を有していたXが(昭和五六年六月一三日限り存続期間が満了している)、Yが製造販売したイ号ないしハ号製品が本件実用新案権を侵害するものであると主張して、主位的に不法行為による損害賠償として、予備的に不当利得返還請...