最も長い歴史をもつ判例実務誌
1 西淀川大気汚染公害訴訟(第二~四次)第一審判決
一 工場排煙と自動車排出ガス等による都市型複合大気汚染下における健康被害について、それらの排出する大気汚染物質が相加的に健康に悪影響を及ぼしていたとして、自動車排出ガスに含まれる二酸化窒素の病因性を認めた事例
二 汚染物質が入り交じって患者の健康を侵害している場合には、各排出源が主要汚染源でなくても共同不法行為規定を類推通するのが相当であるが、各排出源の間に強い共同関係がない場合は、その責任は自己の排出の寄与割合に限定されるとして、道路管理者に対し、沿道住民の健康被害につき、寄与割合に相当する部分に限定した損害賠償を認めた事例
三 道路沿道住民について、抽象的差止請求の可能性を認め、当事者適格を肯定したうえで、現状の大気汚染の程度や道路の公共性から差止の必要性を否定した事例
(大阪地裁平7・7・5判決)
《解 説》
一 本件は、東京地判平6・11・7本誌八七五号一五二頁の事件(別件)と関連する事件である。
原告は、図面1の五一三番三の土地を共有するが、目黒区建築主事は、平成四年二月、図面1の斜線部分のうち図面2の幅三・七五メートルの部分(係争道)が建築基準法(以下「法」という)四二条二項...
《解 説》
一 Yは、国土利用計画法二七条の二第一項に基づき、Xが所有する土地を含む区域を監視区域に指定したが、Xは、本件監視区域の指定が要件を欠く違法なものであるとしてその取り消しを求めた。
二 一定の区域を法律の定める区域に指定し(例えば、都市計画法上の地域指定、最判昭57・4・22...
《解 説》
一 大手予備校を経営する学校法人であるYに勤務するXらは、平成五年一二月一八日、午前中の勤務終了間際である午前一一時三〇分頃、同日午後の半日年休を請求・取得し、Xらの所属する労働組合の津田沼分会における組合活動に従事するなどした。
Yは、平成六年一月二五日になり、Xらに対し、...
《解 説》
Aは、平成四年一月三一日、Yから三五〇〇万円を借り受け、二〇〇〇万円、一〇〇〇万円、五〇〇万円の手形計三通をYに差し入れた。Aは、同五年八月二日、二〇〇〇万円の手形を決済し、同年九月三〇日、Yに対する残債務一五〇〇万円の支払いに代えて、Yに営業権を譲渡した。Aの他の債権者である...
《解 説》
本件は、いわゆる原野商法により被害にあったXらがXらに対する売主B又はCに土地を仲介又は転売した不動産会社Aの代表者Y個人に対し、幇助責任があると主張し、売主に支払った代金額と弁護士費用相当の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決である。
第一審の大阪地判平6・1・28は、Yは、売...
《解 説》
X1・X2夫婦、X3、X4の四名は、Yが設置する産業廃棄物の最終処分場について、Xらが飲んでいる簡易水道等からの飲用水に有害物質が混入する可能性があり、また、最終処分場は急斜面であって、崩落の危険性があり(現に操業開始の約四週間後に崩落して、県から操業の中止を命じられたことがあ...
《解 説》
X(都)は、所有権に基づき、都営住宅を占有しているY1及びY2に対して明渡し及び使用料相当の損害金の支払を求める訴えを提起した。これに対しYらは、Yらの母Aが昭和四六年三月にXから本件住宅の使用許可を受けた際、同居人として居住することを許可されたこと、Yらが一時、本件住宅から転...
《解 説》
Xは、A社との間で土地建物三か所(二県にわたり、各地において複数の住居と店舗を有する)を代金一七億六五〇〇万円で一括購入する契約を結び、A社に手付金及び中間金として合計五億五六〇〇万円を支払ったが、A社が倒産し、売買契約の履行が不可能となったため、契約を解除して、Aに対し手付金...
《解 説》
XはYの従業員であったが、Yと組合の間で締結された定年の年齢及び退職金支給率に関しXに不利な内容の労働協約はXの労働協約の内容に影響を及ぼさないとして、①労働契約上の地位の存在確認、②一定額の退職金を受ける権利の確認を求める訴えを提起した。これに対しYはXに対し、社宅の明渡し及...
《解 説》
Xは、昭和五六年一一月自分の妻がロスアンジェルスで銃撃された事件につき、悲劇の夫・美談の主として週刊誌等に報道されたが、その後昭和五九年一月頃からは一転して右銃撃犯人としての疑惑をもたれ世間の注目を集め、週刊誌、新聞、テレビ等によって広く報道され、Xも自ら進んでテレビ等マスメデ...