最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一と定めた民法九〇〇条四号ただし書前段の規定(以下「本件規定」という。)が法の下の平等を定めた憲法一四条一項に違反するか否かについては、最近になって学説上大きく争われるようになった。
かつては、憲法は婚姻を尊重しているから本件規定は...
《解 説》
一 事案の概要等
市街地の公道(歩道)上にはみ出して設置された自販機が歩行者通行を妨げていることが、社会問題としてマスコミでも取り上げられたのは周知のところであり、本件は、道路の占用許可(道路法三二条一項)を受けないまま公道敷を不法占拠している自販機について、その所有者等が道...
《解 説》
Xら一一名は旧国鉄の職員であったが、旧国鉄の分割・民営化に際し、新会社に採用されなかった。Xらは、新会社の一つであるY東日本旅客鉄道株式会社に対し、主位的に雇用契約上の権利を有することの確認、予備的に慰謝料の支払いを求める訴えを提起した。第一審千葉地判平4・6・25労民集四三巻...
《解 説》
一 Xは、横須賀市内でカフェバーを経営していた女性であるが、新聞社であるY(①事件)及びZ(②事件)の発行する各日刊紙上においてXが北朝鮮の工作員と接触し、その指示を受けて各種の情報収集活動をしていた等の記事が繰り返し掲載されたため、これを名誉毀損及びプライバシー侵害に当たると...
《解 説》
一 第四〇回衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)は、平成四年法律第九七号(以下「平成四年改正法」という。)により改正された公職選挙法の衆議院議員定数配分規定(同法一三条、別表第一及び附則七ないし一一項。以下「本件定数配分規定」という。)に基づいて、平成五年七月一八日に施...
《解 説》
一 Aは、昭和四六年~五〇年分の各所得税について、Y税務署長から更正及び重加算税賦課決定を受け、その一部の取消しを求める抗告訴訟を提起したが、第一審係属中に死亡し、その相続人であるXら七名が訴訟を承継した。
Yが本件各処分の理由としたAの申告外所得は、大きく分けて四項目あった...
《解 説》
一 本判決は、遺留分権利者が特定の不動産の贈与を減殺請求した結果取得した共有持分権に基づく登記請求権が消滅時効にかかるか否かについて、最高裁としての判断を示したものである。本判決は、消極の結論を採ったもので、大方の予想に沿うものであるが、学説上・実務上の争点に決着をつけたものと...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、隣接する分譲別荘地の境界が争いになったものである。第一図の乙地を所有するYは、昭和四八年六月三〇日、斜線部分の中に建物を建て、以後斜線部分を占有してきた。平成四年に至り、甲地を所有するXらは、甲地と乙地の境界は、イとロを結ぶ線であるとしてYを相手に境界...
《解 説》
一 本件の被告人は、いわゆるいんあ者(平成七年法律第九一号によって削除された刑法四〇条)であり、しかも、聴覚障害者としての適切な教育を受ける機会がなかったことから、手話を会得しておらず、文字も分からず、意思疎通の手段としては、ほとんど身振り・手振りによるほかないという者である。...
《解 説》
一 本件は、都市再開発法一〇三条一項に基づく施設建築物の一部等の価額の確定が抗告訴訟の対象となる行政処分に該当するかどうかが争われた事案である。原告は、被告市が施行する第一種市街地再開発事業において、権利変換処分により同事業の施設建築物の一部を取得するものとされ、その取得に係る...
《解 説》
一 Xは、自己が共有者となっている土地につき、登記官が地図に準ずる図面及び地積側量図の備付け(以上「本件地図備付け」という)をしたのに対し、これが違法であるとして、Yに対して審査請求をしたが、Yは、本件地図備付けは行政処分でないとして右審査請求を却下する旨の裁決(以下「本件裁決...
《解 説》
本件は、競売事件における売却により建物を取得したXが公売処分により土地を取得したY1(控訴審においてはこれを承継取得したZ)に対し法定地上権の確認、地代確定及び地上権設定登記手続を求め、国Y2に対しては、国税局長が公売処分に際し、仮登記仮処分によるXの地上権設定仮登記の抹消登記...
《解 説》
一 本件は、塗装業を営むXに対する青色申告承認取消処分の適否が問題とされた事案であり、その概要は次のとおりである。
調査官は、X宅に臨場すると和室に通された。Xは、和室内に帳簿類を用意していたが、調査官は、隣室にT(Xの友人であり、かつXが所属する任意団体員)がいるのを認めた...
《解 説》
Y信用金庫においては、銀行法施行令の改正に伴い、完全週休二日制を採用することになり、昭和六三年一二月二二日、就業規則の改訂案を組合に示し、平成元年二月一日から新就業規則を施行した。しかし、組合員Xらは、新就業規則は、組合との十分な協議もなく制定されたうえ、平日の勤務時間を二五分...
《解 説》
Xは、Aから都区内のマンション(床面積六一・二〇平方メートル)を月額二八万円で賃借し、これを平成二年九月五日以降Y2に月額三五万円余(後に三四万円に減額する)で転貸した。Y2は、排水管が詰ったことを理由に同三年八月分以降、賃料の支払を拒絶した。XとY2間の転貸借契約は同四年二月...
《解 説》
Xは、Y証券会社との間でワラント取引を行い、一八六一万円余の損失を被った。Xは、Yとの取引が公序良俗に反し無効であると主張し、右と同額の金員の返還を求めた。
第一審大阪地判平4・6・22本誌八〇九号一六五頁は、Yの担当社員AがXに対し、ワラント債券の性質、取引の内容、投機性の...
《解 説》
X(女性)は、Y証券会社との間でワラント取引を行い、一二五二万円余を支払ったが、ワラント発行会社の株価が権利行使価額を下回ったまま権利行使期限を経過したため、ワラントが無価値となった。Xは、Yの担当社員Aがワラントについての説明義務を怠り、必ず儲かると言って勧誘したので損害を被...
《解 説》
一 本判決は、講談社が出版、発行する週刊フライデー、週刊現代その他の雑誌に、宗教法人幸福の科学及びその主宰である大川隆法に関する一連の記事が掲載されたことについて、九州・沖縄地区の幸福の科学の正会員(信者)らが、講談社、その代表者、各誌の編集者、記事の執筆者らを相手として、福岡...
《解 説》
本件は、電気店を経営するXら夫婦が大手証券会社Yに対し、株式信用取引等による損害の賠償を求めた事案である。妻X2はかつて株式の信用取引において大損害を出したことがあり、夫X1から二度と信用取引をしないよう厳しく注意を受けていたが、Yの従業員であるAから再び信用取引の勧誘を受け、...
《解 説》
一 Xらの子Aは、昭和六三年一〇月当時、土浦日大高校一年に在学し、野球部に所属していたが、同月二六日午後、同校のグランドに集合し、コーチの指導のもとに全力疾走等の練習をしていた際、突然グランドに倒れ、救急車により病院に搬送されたが、急性心不全により死亡した。
そこで、Xらは、...
《解 説》
Xはオートレース場の清掃、警備請負等を目的として昭和五一年三月に設立された株式会社であるが、その取締役であったYら三名が競業会社Aの設立に関与し、従業員多数を引き抜き、Xの得意先を奪ったとして、取締役の忠実義務及び競業避止義務違反によりYらに対し総額一億〇三五五万円余に及ぶ損害...
《解 説》
一 本件は、婦人用装身具等の輸入販売を営むXが、通信販売事業を営む訴外甲社との間で新規に取引を開始して、短期間に大量の商品を納入したが、間もなく甲社が倒産し売掛金を回収できなかったことから、甲社の取締役であったY1及びY2に対し、主位的に共同不法行為責任(詐欺)を、予備的に商法...
《解 説》
一 Xは、Y(社団法人日本自動車連盟)が開催する自動車競技に参戦し、依頼者のために広告宣伝活動をする会社であり、平成五年八月に開催された「一九九三年度全日本F三〇〇〇選手権第六戦」に参加したものであるが、Yの審査委員会は、Xが出場させた自動車に対し、同自動車が八周目の周回中に追...
《解 説》
一 本件は、大手商社の子会社の代表取締役副社長であった被告人がシンナーを乱用して家庭内暴力を繰り返す二四歳の長男を文化包丁で刺殺したという事案である。
二 本判決の認定した事実関係の詳細については直接判文に当たっていただきたいが、その概要は次のとおりである。
被告人は大手商...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、海外商品先物取引の受託会社(以下「甲会社」という)の業務管理部長を被告人とする詐欺事件である。甲会社は、設立当初から、顧客から預かり管理すべき委託保証金を会社の経費に充てる意図でありながら、委託を受けて海外商品先物取引を行うという名目で顧客を勧誘し、顧...
《解 説》
一 銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」という。)三一条の四は、平成五年法律第六六号による同法の改正により新設されたものであって、けん銃等を提出して自首した者に対する刑の必要的減免について定めている。同条は、銃刀法の重罰化に伴い、重罪を犯した者に一度犯した罪を中断する道を与...