最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、集会を開催する目的で市民会館の使用許可の申請をしたXらが、市長から「公の秩序をみだすおそれがある場合」という条例所定の不許可事由があるとして不許可処分を受け、右条例の違憲、違法、不許可処分の違憲、違法を主張して、Y市に対し、国家賠償法による損害賠償を請求した事件であ...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、コンピューターシステムに関するソフトウエア業務等を営む被告A社に雇用され、同ソフトウエアの販売等を営む外国会社である被告B社に派遣された従業員であるところ、派遣先の健康診断でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染していることが判明し、被告B社の代表取締役...
《解 説》
一 本件は、個人サラ金業者が、真実の所得金額の大部分を脱漏して過少の所得金額を記載した所得税確定申告(白色申告)書を提出していたこと(いわゆる「つまみ申告」)を理由に重加算税の賦課決定を受けたため、右業者の相続人が、国税通則法六八条一項(昭和五九年法律第五号による改正前のもので...
《解 説》
一 本判決は、甲会社(代表者乙のいわゆる一人会社)が、代表者乙に賃貸していた建物の賃貸借契約を合意解除したとして、所有権に基づき、乙の妻丙に対し、乙丙の夫婦共同生活のために使用されていた建物の明渡しを請求した場合につき、右建物に居住できなくなることによって丙が苛酷な状況に陥るこ...
《解 説》
一 本件は、北海道ニセコ国際ひらふスキー場で滑走していた当時二六歳の主婦Xが、当時一八歳の大学生Yと衝突して転倒し、左腓骨骨折、脛骨高原骨折、頭部打撲等の傷害を負い、約三箇月の入院治療を要したとして、不法行為による損害賠償として五五〇万円余の支払を請求した事案である。
事故の...
《解 説》
一 株式会社Xと有限会社Aは、名称を「磁気治療器」とする考案について実用新案登録を受ける権利を共有していた。実用新案法九条の準用する特許法三八条は、実用新案登録を受ける権利の共有者は共同でなければ登録出願をすることをできないと規定しており、右両社は右規定に従って共同で実用新案登...
《解 説》
1 Xは、農業振興地域の整備に関する法律八条に基づいて定められた農業振興地域整備計画において、農用地区域とされた区域内に土地を所有しているが、右土地を農用地区域から除外して欲しいとして、農業振興地域整備計画の変更を求める旨の申請をした。ところが、Yが右申請を不承認とし、その旨の...
《解 説》
Xは、企画集団「なんぼのもん社」の事務局を担当する者であるが、昭和天皇の大喪の礼が行われる平成元年二月二四日にY1市の管理運営する音楽堂において「天皇制はいらない!今日は愉快にそして、楽しく!」との名称で音楽トークを開催しようと考え、その使用許可申請を行ったが、許可申請書を返戻...
《解 説》
一 原告らはいずれも町の住民であり、被告Y1は昭和五五年から現在まで町長である者、被告Y2は昭和六〇年から平成三年まで町の収入役であった者である。Y2は、昭和六〇年度から平成二年度までの間、町が発注した請負工事が各会計年度内に完成しなかった場合、請負業者に支払うべき請負代金相当...
《解 説》
Xの長男Aは、プリント基板の組立等を目的とする会社に勤め、品質管理業務に従事していた技術者であるが、勤務先の別工場に赴いたところ、突然に倒れ、二六才の若さで死亡した。遺体は解剖されなかったが、死亡の原因は、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と推認された。Xは、Aの死亡は、日頃の過労...
《解 説》
傾斜地である土地の所有者Aからその土地の崩落防止のための擁壁工事を請け負った請負人Bは、請負代金の代りに、Aから工事の結果造成される平坦地の所有権を取得する約束を得、工事完成を待たずにその土地を処分する権限をも取得していた。そして、請負人Bは、擁壁工事により造成できる平坦地の面...
《解 説》
一 本件は、第九八六号事件(以下「第一事件」という。)及び第九八七号事件(以下「第二事件」という。)ともに、いずれもマンション管理組合の理事長が、マンションの分譲業者に対し、購入者の共有地であるマンション敷地の一角を専用使用権付駐車場として右業者が販売して受領した対価を、不当利...
《解 説》
一 Xは、平成二年七月二二日、訴外Aから、Yの所有経営する「水戸レイクスカントリークラブ」のゴルフ会員権を譲り受けたので、名義書換手続を請求したが、Yが、Xが名義書換に必要な会員資格保証金預託証書を所持しないとして名義書換手続を拒否したため、Yに対し、主位的請求として、Xがゴル...
《解 説》
Xは息子Aの大学裏口入学工作資金としてYに合計二七二二万円余を支払ったが、Aが入学できなかったため、Yに返金を求め、結局返還を得られなかった一四〇〇万円について、不当利得、不法行為、返還約束の三点を請求原因として返還請求訴訟を提起した。
第一審の東京地判平5・1・25は、Aの...
《解 説》
X(代表者A)は家庭用金物、厨房品の製造販売等を目的とする株式会社であるが、平成元年六月から同四年四月までの間、大手証券会社Yの支店(支店長B)との間で外貨建てワラント取引を行い、通算すると一億六千万円を超える損害を被ったとして、不法行為に基づき、損害賠償を請求した。Xの主張す...
《解 説》
Xら二五名は、いずれも茨城県内に居住ないし本拠を置き、全国的な塾のフランチャイザーであるYに開設資金として二七〇万円ないし四七〇万円を支払った者であるが、Yの社員によるフランチャイズ契約の勧誘行為が詐欺に当たるとして不法行為により開設資金と同額の損害及び弁護士費用の賠償を求めて...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年九月、Yが広島県下の吾妻山国民休暇村で開催したパラグライダースクールに参加し、インストラクターの指導でフライト練習を行ったが、飛行中に落下し、腰椎粉砕骨折等の傷害を負った。
そこで、Aらを被保険者とする傷害保険契約を締結していた保険会社Xは、Aに対し、...
《解 説》
一 Zは、築地市場に運ばれた魚類を小揚と呼ばれる運搬人を使って競り場まで運搬し、競り場で魚類を並べ、競り落とさせた魚類を小揚を使って仲卸人に引き渡すことを業務とする会社である。YはZの従業員であり、小揚として業務に従事していた。Xは、仲卸人たるA会社の従業員であり、築地市場の魚...
《解 説》
Xは昭和六一年一〇月一〇日、橋から転落して両手首を骨折し、同日、Yが経営する病院に入院し、同月一四日、医師から両前腕接合術(左前腕は二本のキュルシュナー鋼線とビス、右前腕はビスにより固定)を受けた。Xは同月三〇日、同病院を退院したが、経過が思わしくなく、同六二年一月七日、他の病...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
大韓民国(以下「韓国」という。)籍を有するAは、韓国籍を有するYと日本国内で婚姻し、二年余の婚姻生活の後に夫婦関係が破綻して別居するに至ったが、夫Yが行方不明となったため、離婚届は提出しないままでいたところ(なお、Yの韓国戸籍には、Aとの...
《解 説》
一 Xは、書籍・雑誌の刊行・販売等を業とする出版社であるが、Y大学からの依頼により学内雑誌を制作し、Yが「湘南文學」という題号で文芸誌を刊行していた。
しかし、Xは、平成三年七月、「湘南文學」の商標について商標登録の出願し、同五年一一月、商標の登録を受けたうえ、Yが独自で「湘...
《解 説》
Xは信販会社であり、Y1がA社との間で中古自動車を買い受ける契約を結び、その資金としてB銀行から金銭の貸付を受けることとし、Y1の委託によりXが連帯保証し、その求償権につきY2を連帯保証人とするという、いわゆる四者型のクレジット契約関係にある(クレジット契約の種類について、清水...
《解 説》
Xは、証拠調べ期日に行われた証人尋問、本人尋問の結果を記載した調書の内容が逐語的に正確に録取されていないとして、書記官に異議を述べたが、書記官は異議申立てがあった旨を調書に記載しただけで調書の訂正に応じなかった。そこで、Xは、これを不服として裁判所に異議を述べたものの、裁判所が...
《解 説》
不動産売買契約の契約書に存在する「本件契約について紛争が生じた場合」に那覇地方(簡易)裁判所を第一審の管轄裁判所とする旨の専属的合意管轄の定めは、右契約に際して授受された手付金名目の金銭が、実質は売主が買主を騙して取得されたものであり、右は売主の詐欺にあたるとしてする不法行為に...
《解 説》
一 Xはアメリカ合衆国カリフォルニア州に本店を有するアメリカの法人であり、Yはスポーツ用品の製造販売を業とする日本の法人である。XはYとの間で締結した、アメリカのテレビ番組のキャラクター商品を日本国内で販売することについての商品化権許諾契約(以下、「本件契約」という。)に基づき...
《解 説》
本件は、占有移転禁止の仮処分について、旧民訴法七四七条により事情変更を理由とする仮処分の取消しが求められ、その中で債権者が保全の意思を喪失したか否かが争われた事案である。本判決が認定した事実経過はおよそ次のとおりである。
① 平成元年八月四日、Yは、Xら及びAに対する占有移転...
《解 説》
一 Xは、平成三年一月、件外Aに対する債権を担保するため、件外B所有の本件土地とその地上建物につき根抵当権の設定を受けてその旨の登記を経由していたが、Bは、その後の同年八月、本件土地上に他の本件建物を新築したうえ、件外Cにこれを譲渡し、平成五年六月、Cのための保存登記を経由して...
《解 説》
一 政治資金規正法は、政治資金の体質改善を図り個人献金への移行を奨励しようとする趣旨で、昭和五〇年の改正において個人献金にかかる課税上の優遇措置を創設した(同法三二条の二)。また、同法は、政党その他政治団体の政治活動が、その政治資金の面において、国民の不断の監視と批判の下に置か...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤使用の事案であるが、公訴事実は、被告人は、「平成六年一月上旬ころから同月一八日までの間、千葉県内又はその周辺地域において、覚せい剤を含有する水溶液若干量を自己の身体に注射した」というものであった。ところが、原審で検察官が提出した証拠によれば、被告人の使用行為...
《解 説》
本件は、公職選挙法違反(現金の供与)の事件である。原審は、懲役二年六月の求刑に対して、懲役一〇月の実刑に処したところ、これに対して、検察官及び被告人の双方が控訴した。控訴趣意は、いずれも量刑不当を主張するものであるが、検察官は、一連の金員の流れの中で、被告人より下位に位置する者...
《解 説》
一 本件は、民事合議事件につき、一日で八名の人証を取り調べ、提訴後八月内に判決を言渡した事例であり、合議相当事件の集中審理の事例として新聞紙上に大きく取り上げられたものである(平成七年五月二〇日付け朝日新聞朝刊)。
二 Xは、脳性小児麻痺による体幹機能障害のある三一歳の女性で...