判例タイムズ

最も長い歴史をもつ判例実務誌

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判例タイムズ No.873


  • <随想>憲法裁判所について

    島谷六郎   

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:4
  • 特許訴訟における特許請求の範囲の解釈

    小林秀之    田中成志   

    キルビー275特許をめぐる富士通対TI半導体装置特許事件を契機として

    引用形式で表示 総ページ数:11 開始ページ位置:8
  • <民事訴訟法の改正-当事者の視点からの提言10>宣誓供述書・陳述録取書

    阿多博文    山下孝之   

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:19
  • <民事実務研究>欠陥判断に関する一試論

    内田義厚   

    事案解明義務論の検討を兼ねて

    引用形式で表示 総ページ数:10 開始ページ位置:25
  • フランチャイズ契約におけるフランチャイジーの秘密保持義務及び

    競業避止義務

    金井高志   

    付随義務論,不正競争防止法及び独占禁止法を中心として

    引用形式で表示 総ページ数:22 開始ページ位置:35
  • <人身賠償・補償研究47>住宅火災保険災害保障特約における死亡と火災との因果関係①

    藤村和夫   

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:57
  • <人身賠償・補償研究47>住宅火災保険災害保障特約における死亡と火災との因果関係② 火災避難時の損傷に基づく圧挫症候群による死亡の可能性について

    山内春夫   

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:61
  • <銀行実務と民事裁判341>金融会社の営業部長が協調融資金融機関との間で根抵当権の順位変更の合意をする権限の有無と表見代理の成否

    松本崇   

    東京地判平6・6・30(金法1410号78頁)

    引用形式で表示 総ページ数:2 開始ページ位置:66
  • 《解  説》
     一 事案の概要
     Xは、「エホバの証人」の信者であり、平成二年四月に神戸市立工業高等専門学校(校長Y)に入学した者であるが、保健体育科目の剣道実技に信仰上の理由から加わらなかったため、当該科目が不認定とされ、同三年三月、第二学年に進級させないこととされ、同四年三月にも同様の理由...

    引用形式で表示 総ページ数:13 開始ページ位置:68
  • 最高二小平6.12.16判決

    《解  説》
     一1 本件土地(本判決別紙略図の斜線部分)は、Y(上告人)所有地のうち、西側の公道(同図の西側道路)と接する幅約〇・九メートルの土地である。
     X(被上告人)らは、西側道路の両側の土地所有者であり、西側道路を北側の公道へ出るための通路として使用している。
     2 Yは、昭和四三年...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:81
  • 最高三小平6.12.20判決

    《解  説》
     一 本件土地は、Y1とその妻子の三名が共有するものであったところ、右共有者らは、右土地につき、Y1を債務者とする抵当権を設定した。一方、本件土地上にある本件建物は、右抵当権設定の時点において、Y1、Y2ら九名の兄弟姉妹が相続によりこれを共有していた。本件土地につき、前記抵当権に...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:84
  • 最高二小平7.1.20判決

    《解  説》
     一 Y経営の本件ゴルフクラブの会員には、正会員、平日会員、家族会員等の種別がある。旧会員Aらは、昭和四四年又は四五年にYと入会契約を締結し、入会保証金を支払って本件クラブの平日会員となっていたが、Xらは、Aらから、それぞれ平成三年に平日会員権を買い受け、Yに対し、その旨を通知し...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:89
  • 最高三小平6.7.8決定

    《解  説》
     一 本件は、平成五年一二月六日公然わいせつで勾留中起訴され、同六年三月三一日神戸地裁で同罪等の被告事件について有罪の実刑判決を受け、同年四月一四日控訴を申し立てていた被告人が、同年五月二日神戸地裁がした同月六日から勾留期間を更新する旨の決定に対し、同月一七日抗告を申し立て、大阪...

    引用形式で表示 総ページ数:2 開始ページ位置:96
  • 《解  説》
     一 文部大臣Yは、Xら所有地を含む二四筆の土地につき、文化財保護法(以下「法」という。)六九条一項に基づき「伊丹廃寺跡」として史跡指定処分(以下「本件指定処分」という。)をした。Xらは、本件指定処分がXら所有地の所有者に対する指定通知を欠いているなどの種々の違法事由を主張して、...

    引用形式で表示 総ページ数:13 開始ページ位置:98
  • 《解  説》
     一 訴外Aは、昭和六三年五月三日、自動二輪車に乗車して青森県上北郡下田町内の町道を北西方面から向山三〇六二番地一先の交差点に向って走行中、右交差点を県道方面から一時停止することなく直進してきたY1運転の普通貨物自動車に衝突されて死亡した。
     そこで、Aの遺族であるXは、右加害運...

    引用形式で表示 総ページ数:13 開始ページ位置:110
  • 《解  説》
     一 Xは、個人で鉄工業(金属、機械部品受託加工業)を営んでいる者である。Yは、Xの昭和五八年から昭和六〇年の所得申告について、申告書には所得額しか記載されていなかったため、係官を調査のためX方に赴かせた。しかし、Xからは帳簿、領収書等の資料の提示を拒まれたため、Yは、取引先等を...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:122
  • 《解  説》
     一 本件は、国鉄労働組合(以下、国労という。)組合員であるXらが、Y(旧名称・日本国有鉄道)の被用者である新幹線総局長がXらに対し、元の職場勤務を免じ、同時に新幹線大阪保線所長が人材活用センターへ担務指定したことは、国鉄が新幹線総局長及び新幹線総局大阪保線所長をしてなさしめたも...

    引用形式で表示 総ページ数:21 開始ページ位置:131
  • 《解  説》
     X両名は、中華民国(台湾)籍を有する亡A男と日本人女性Bとの間に生まれ、亡Aに認知された者である。亡Aには妻Y、亡AとYの間の子五人がおり、中華民国民法により右の全員が均等の相続分(八分の一)を有する。亡Aは、本件一の土地につき持分一〇分の五を有していたが、同人の死後、真正な登...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:152
  • 《解  説》
     一 本件で問題となっている国有地及び市有地(もと国有地)(以下併せて「本件国有地」という。)は、原告ら所有土地と補助参加人ら所有土地との間に挟まれて存在する細長い帯状の土地であり、現公図上は「畦畔」と表示されている。原告ら所有土地は、もと地目田(一部は、後に地目畑に変更された。...

    引用形式で表示 総ページ数:15 開始ページ位置:157
  • 《解  説》
     一 本件は、自動車の車両保険の満期に際し、Xと自動車販売会社で保険代理店であるY1との間で、Y2を保険者とする車両保険の契約書が交わされたが、Xから保険料が支払われないままであったところ、車両の全損事故が生じ、Xの車両保険金の請求に対し、Y1が保険料未払を理由に支払を拒んだので...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:171
  • 《解  説》
     X女とY男とは、東京都内の私立高校三年生の時(平成元年)から男女関係があり、同四年四月からは御殿場市内のマンションで同居し、Yがレーシングチーム、その後はガソリンスタンドで働き、Xは主婦と同様の状況にあった。Yは同五年四月下旬にA女と横浜でデートしたことがXに判明し、XとYは不...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:180
  • 《解  説》
     一 被告Yは、浄水器販売やレンタルビデオを業とするフランチャイザーである。原告Xは、平成二年夏に、Yとの間で浄水器販売とレンタルビデオに関するフランチャイズ加盟契約を締結した(以下は、浄水器販売に関する加盟契約を中心に説明する。)。契約内容は、XはYが製造する浄水器「水丸」を京...

    引用形式で表示 総ページ数:7 開始ページ位置:183
  • 《解  説》
     一 Y1、Y2は、Xとの間で、マンションの一室(本件建物)を代金八〇〇〇万円で買い受ける契約を締結し、その際に手附として八〇〇万円をXに交付した。
     売買契約後、Yらは、本件建物のフローリング工事の可否についてXがYらに虚偽の事実を告げたなどとして、詐欺を理由に本件契約を取り消...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:189
  • 《解  説》
     一 本件は、付近住民が、暴力団組長を相手方として、建物を組事務所として使用することの禁止等を求めた仮処分について、これを却下した原決定を取消し、差戻した抗告審決定である。
     原審と抗告審との結論を分けたのは、抗争の切迫性に対する評価の差異に基づくと推測されるが、本決定は、暴力団...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:194
  • 《解  説》
     本件は、仮処分及び本訴の提起に要した印紙代及び予納郵券代を不法行為による損害として別訴で請求し得るかとの論点につき肯定的判断を示した控訴審判決である。事案の概要は、原判決が引用されているため分かりにくいが、およそ次のとおりであると思われる。
     X(訴え提起当時は、その父A)は、...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:198
  • 《解  説》
     一 被告所有の一五階建賃貸用マンションと原告所有建物(木造二階建)は接着して隣接しており、右マンションの廊下は壁や窓によって閉鎖されていない「オープン式廊下」の構造になっていた。被告は、移動式の消火器を各階の廊下に、プラスチック 製の保管台の上に壁に沿って裸のままで立て掛けてお...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:200
  • 《解  説》
     一1 本件は、XはY(国)が開設したT大学付属病院(本院)耳鼻咽喉科腫瘍外来で数年前から右頚部にあるリンパ節腫脹の受診をしたところ、A医師はこれを悪性腫瘍と診断し、治療のためT大学医科学研究所付属病院(医科研)での診察を指示した。医科研ではB医師が診察して腫脹を悪性腫瘍と診断し...

    引用形式で表示 総ページ数:21 開始ページ位置:204
  • 《解  説》
     一 事案の概要は以下の通りである。
     一七歳の高校生Aは、昭和六二年一〇月一〇日夜、体表前面に熱傷(やけど)を負って被告Yが運営する病院に搬入され、入院して治療を受けていたが、一一月一日に敗血症によって死亡した。
     Aの相続人(母)であるXがYを相手取り、四六〇〇万円余の損害賠...

    引用形式で表示 総ページ数:12 開始ページ位置:224
  • 《解  説》
     Xら五名とY1はAの子であるが、Xらは、Y1及びAの養子とされ、後に養子縁組の無効が確認されたY2ないしY6に対し、Aの遺産であった土地及び遺産分割審判事件の審判前の保全処分により選任された遺産管理者Bが相続人のために買い受けた地上建物につき、Xら及びYら各持分一一分の一とする...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:236
  • 《解  説》
     Xら三名は亡B(昭和六三年死亡)の妻及び子らであり、Yら三名はBの母及び兄弟であるが、いずれも亡Bの父亡A(昭和三四年死亡)の遺産の範囲等について争いがある者である。Xらは、係争中の九筆の土地につき、亡Bが亡Aの遺産を売却してその代金で別の不動産を買うことを繰り返して最終的に取...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:238
  • 《解  説》
     X男とY女は昭和五四年五月に婚姻し、両名間に一男、一女を有する夫婦である。Yは同五七年九月ころからエホバの証人の信者の訪問を受け、同六〇年五月ころからその集会に参加を始め、夫婦の間柄が円満を欠くようになり、XがYに暴力を振るうこともあって、同六一年五月にはYが子供二人を連れて実...

    引用形式で表示 総ページ数:4 開始ページ位置:240
  • 《解  説》
     一 Xは、宝石の販売・修理・加工業者であるが、客から依頼されたダイヤの裸石を預ってその子会社Aの工場で加工させたうえ、Aを通じて宅配業者Yに右ダイヤの運送を委託したが、運送の過程で右ダイヤが紛失されてしまった。
     そこで、Xは、客に対して紛失した右ダイヤの弁償をするなどして四五...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:243
  • 《解  説》
     一 本件は、X(特許権の専用実施権者)が、Yが右専用実施権を侵害するY製品を製造販売したとして、Yに対し、損害賠償として、本件発明の実施に対し通常受けるべき金額及び弁護士等費用の支払いを求めた事案である。
     二 本判決は、Y製品の製造販売がXの専用実施権を侵害すると認定したうえ...

    引用形式で表示 総ページ数:7 開始ページ位置:248
  • 《解  説》
     一 X1は、多年城郭の研究に携わってきた者であり、その研究成果を著した「日本の城の基礎知識」と題する書籍について、X2に出版権を設定し、同社から出版した。右書籍には、X1がイラストレーターに指示して作成した古代の城の想像図面が掲載されており、また、「城とは人によって住居、軍事、...

    引用形式で表示 総ページ数:11 開始ページ位置:254
  • 《解  説》
     一 Y神社の宮司であるXは、宮司=代表役員を免職されたが(免職処分)、この処分を争いその地位にあることの確認を求めるとともに、未払いの給与を請求した。これに対して、Yは、宮司宿舎明渡し及び仮払した金員の返還を求めて対抗した。原審は、Xの請求を棄却し、Yの請求を認容(一部)した。...

    引用形式で表示 総ページ数:9 開始ページ位置:264
  • 《解  説》
     本件は、在家日蓮宗浄風会という宗教団体の内部紛争であるが、幹部の一人が報酬を受け取っていたことを非難する活動を原告が行ったこと、前会長の教義解釈を批判したM教務を原告が擁護したこと等をめぐり、教務の地位を免職され、さらに退会処分を受けた原告が、宗教法人在家日蓮宗浄風会、その会長...

    引用形式で表示 総ページ数:8 開始ページ位置:272
  • 《解  説》
     Y女はX男に対し離婚を求める訴えを提起したところ、これを認容する判決が下された。XからYに対する財産分与として、第一審では三億円、控訴審では減額して二億円を支払うよう命じられ、Xからの上告が棄却されて右判決は確定した。右控訴審判決は、XにはYの精神的苦痛を慰謝すべき義務があるこ...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:279
  • 《解  説》
     本件は、埼玉県議会議員の被告人が、平成四年三月実施された県議長選挙に際し、立候補を予定していた、贈賄の意思の全くなかった同じ会派に所属する同僚県議に対し、県議会の本会議の最中に呼び出し、「挨拶がねえなあ。」と申し向けて賄賂の要求を仄めかしたうえ、現金三〇〇万円を収受したという収...

    引用形式で表示 総ページ数:7 開始ページ位置:282
  • 《解  説》
     本件は、飲酒酩酊した被告人が、自己の鬱屈した気持ちを晴らすために警察官不在の派出所に放火したという事案であり、検察官が、右派出所への放火行為を現住建造物等放火罪として起訴したのに対し、被告人側は放火の故意自体を争って無罪を主張した。
     本判決は、被告人の放火の故意を肯定したうえ...

    引用形式で表示 総ページ数:5 開始ページ位置:288
  • 《解  説》
     本件は、窃盗前科多数を有する被告人が、深夜、窃盗目的で民家に侵入してバッグを物色中、隣室で就寝中の家人に発見、誰何され、何も取らずに逃走したとして、常習累犯窃盗罪で起訴された事件であり、犯人と被告人の同一性が問題となった事案である。
     本件証拠中には、犯人と被告人とを結び付ける...

    引用形式で表示 総ページ数:6 開始ページ位置:292
  • 《解  説》
     一 事実関係
     Y1は、明治四四年二月生まれの老女で、アルツハイマー型老人性痴呆にかかっており、平成五年三月、家庭裁判所から禁治産が宣告され、甥のY2が後見人に選任された。これに先立ち、同元年一二月、Y1からY2に対し、Y1所有の不動産を遺贈する旨の遺言公正証書が作成された。昭...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:298
  • 《解  説》
     一 本判決は、起訴及び判決時に現職であった大阪府知事の後援会(政治資金規正法六条により自治大臣に届出られた政治団体)の事務局長兼会計責任者である被告人が、他の幹部らと共謀のうえ、同法一二条一項の規定により自治大臣に提出する同後援会の平成四年の収支報告書を作成するにあたり、活動実...

    引用形式で表示 総ページ数:3 開始ページ位置:301