最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要等
東村山市は、市民の利用に供するゲートボール場等の体育施設用地(本件各土地)をその所有者らから借り受けた上、右用地が地方税法(以下「法」という。)三四八条二項一号所定の固定資産(公用又は公共の用に供する固定資産)に当たるとして、昭和六〇年度の固定資産税を賦課し...
《解 説》
一 平成四年七月二六日に行われた参議院(比例代表選出)議員の選挙(「本件選挙」)の結果、日本新党が届け出た名簿のうち、第一順位の細川護煕、第二順位の小池百合子のほか第四順位までが当選となり、第五順位のXは次点となった。平成五年七月一八日に行われた衆議院議員総選挙に細川護煕と小池...
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件としてマスコミに大きく取り上げられた一連の贈収賄事件のうち、藤波孝生元内閣官房長官に対する受託収賄被告事件の第一審判決である。
一連のリクルート事件のうち、受託収賄罪で起訴された政治家は、藤波孝生元内閣官房長官、池田克也元衆議院議員の二名であ...
《解 説》
一 神奈川県は、風俗営業等の制限等を定めている風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)四条二項二号の規定を受けて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和五九年神奈川県条例第四四号。以下「本件条例」という。)を制定している...
《解 説》
一 Xは、Y町の町議会議員であり、町消防団副団長(非常勤消防団員)等の公職にも就いていた。ところで、X所有の土地とY所有の町有地とが隣接しており、Xがその境界付近にブロック塀を築造したが、Yは、昭和五九年四月以降、XがX土地とY土地の境界付近のY土地の一部を不法に占有していると...
《解 説》
一 Xは、株式会社Aの代表取締役としてその経営を行っている者であるが、Aの滞納法人税につき徴収不足が生じたところ、これはAが自己の預金等をXに無償譲渡した結果であるとして、Yから国税徴収法(以下「徴収法」という。)三九条に基づき第二次納税義務の納付告知がされたので(以下「本件処...
《解 説》
一 本件は、期限付任用に係る非常勤の国家公務員である日々雇用職員(任期を一日と定め、任用予定期間内は任命権者が別段の措置をしない限り任用を日々更新し、任用予定期間が経過したときは、任期満了により当然に退職する職員)として任用され、国立大学の付属図書館のいわゆるカウンター業務に従...
《解 説》
商法二一〇条は株式会社による自己株式の取得又は質受を原則的に禁止し、有限会社の持分についても同条が準用されている(有限会社法二四条)。先般の平成六年の商法改正により、従業員に譲渡するための自己株式の取得が新たに認められるなど特に株式会社の自己株式の取得が許容される範囲は拡大した...
《解 説》
一 本件は、法人税法違反の事件であるが、所得を秘匿するために要した費用を損金の額に算入することが許されるかどうかが争点となった。一般に、このような費用については、脱税のための費用という意味で、脱税経費という言葉を使われているようである。
二 法人税法において、脱税経費の損金性...
《解 説》
一 本件は換地処分取消訴訟の控訴審判決である。
Xらが共有する従前地に対して、Yは三四街区内のA地を仮換地として指定した。Xらは訴外Zとの間で、仮換地AとZに指定された三三街区(東戸塚駅前広場に接している)内の仮換地Bとを交換する合意をし、Yに対して「仮換地交換願い」と題する...
《解 説》
我が国にいわゆる就学ビザを受けて入国し、当初日本語の勉強をした後、デザイン専門学校においてインテリアデザインを勉強してきた中国国籍の女性が、妻子ある日本男性と知り合って、男女の関係となり、その男性の子を出産するに至った。男性は、その子の出生前に認知をしているが、その後女性と疎遠...
《解 説》
原告は、路上において、駐車違反をした知人が警察官から事情聴取を受けた際、右警察官に対し、「駐車違反やないやないか」等と怒鳴りながら両手でその服をつかんで後ろに押す等の暴力を加え職務の執行を妨害するとともに、右暴行により右警察官に全治見込五日間を要する顔面打撲の傷害を負わせたとし...
《解 説》
X2は全ての逮捕者に対する法律的援助を目的とする「救援連絡センター」と称する運動団体とされ、X1はその事務局員である。警察当局は、X1に対する有印私文書偽造・同行使被疑事件について逮捕状とX1の住居、X2の事務所の捜索差押許可状の発布を受け、さらに被疑者不詳の火炎びんの使用等の...
《解 説》
Xの夫Aは交通事故にあい、自動車運転者B及び自動車所有者Cに対して損害賠償請求訴訟(別件訴訟)を提起したが、その後死亡し、X及び子Dらが別件訴訟を承継した。Bらの訴訟代理人は、Xらに対する損害填補の事実を立証するため、弁護士法二三条の二の規定により所属弁護士会を通じて労働基準監...
《解 説》
地方自治法九六条は、条例で定める場合を除いては、財産を交換するには議会の議決を要する旨を定め、これを受けて逗子市財産の交換、譲与、無償貸与に関する条例(逗子市条例一五号)二条一項本文は、普通財産の交換については議会の議決を必要としない旨を、同項但書は、交換されるものの価額の差額...
《解 説》
一1 Xの夫A(昭和九年生)は、市立中学校の教員であったが、昭和五六年五月一九日、体育授業直後、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症して死亡した。Aは、同三月まで五年間生徒指導主事として生徒指導全般を担当していたが、同校は、生徒の教師や他の生徒に対する暴力など深刻な問題行動が多...
《解 説》
Xは昭和五四年四月以降、Yら五名(内一名については被相続人)に対し、地上九階、地下三階建てビルの一階又は地階をそれぞれ賃貸していた。右賃貸借契約には、賃料に関する特約として、「賃料は三年毎に一〇パーセントあて増額するものとする。ただし、その期間内の賃貸物件の公租公課の増額が一〇...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年七月、Yに対し、東京都港区白金所在の木造二階建のアパートの一室を、期間二年、賃料一か月三万円で賃貸したが、右賃貸借は、一時使用のための賃貸借であるから、期間の満了により終了したなどと主張し、Yに対し、右部屋の明渡しを求めた。
二 一審は、(一)右賃貸借は期...
《解 説》
本判決が認定した事実によれば、Xは昭和五八年一二月二三日にYから本件物件(土地四筆及び建物一棟)を代金二億二六六二万円(三・三平方メートル当たり六〇〇万円)で買い受け、Yに対し内金として一億円を支払い(既払の売買証拠金二〇〇〇万円を含む)、そのほかに税務対策上貸金名目で八七〇〇...
《解 説》
一 本件は、いわゆる証券担保金融において貸金元本の弁済期が争われた事案である。証券を担保とする金融の形態には様々なものがあり、証券金融会社(証券取引法二条一七項、一五六条の二以下参照)が証券会社に対して融資するような特別の場合をも含むが、ここにいわゆる証券担保金融ないし証券金融...
《解 説》
Xは(信販会社)は、Y(自動車販売会社)との間で割賦販売に関する加盟店契約を締結し、Z(購入者)がYから購入した自動車につき、XがZとの間の立替払契約に基づきYに対して立替払した。ところで、本件立替払契約によれば、Zは購入した自動車の引渡がされないときにはXに対する支払を拒むこ...
《解 説》
一 Y1~Y3は、X1~X3から本件土地を賃借して、建物(木造二階建居宅)を所有していた。Yらが、本件土地(約一二五㎡)の一部(約一五㎡。自動車二台分の駐車スペース)を第三者に駐車場として賃貸したことから、Xらは、これをとがめてその中止を求めたが、Yらはこれをきき入れなかった。...
《解 説》
一 本件は、宗教法人幸福の科学及びその主宰者に関する誹謗中傷記事により宗教上の人格権等が侵害されたと主張する当該宗教法人の正会員が、同記事を掲載した雑誌社等に対し、損害賠償請求したものである。
本件及びこれと同種の事件は、東京、大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌、徳島の各地裁に提...
《解 説》
本件は、Y1が発行し、Y2が編集人であった写真週刊誌に掲載された記事によりXが名誉を毀損されたと主張して、謝罪広告の掲載と慰謝料一〇〇〇万円の支払を求めた事案である。その記事の内容は、主としてXの娘Aがその愛人Bに対して犯した逮捕監禁事件に関するものであり、その経緯に関する記事...
《解 説》
一 本件は、薬品フェノバールの副作用によって患者が失明状態になったことにつき、右投与に関する担当医師の判断が争われた事例である。
昭和六一年二月、当時一八才で自衛隊員であったXは、精神障害で、Yら先代A医師及びその妻であるY1医師が運営する病院を受診し、同月一二日から四月二一...
《解 説》
Xは、昭和一一年に日本人男性A(戸籍簿が戦災により消失した小笠原諸島父島の出身者)と中国人女性Bとの間に生まれた男性であるが、父母は正式に婚姻していたから、Xは旧国籍法五条・一五条により日本の国籍を有すると主張し、家庭裁判所にわが国の戸籍への就籍許可の審判を求めた。しかし、原審...
《解 説》
X女とA男は昭和四三年四月に結婚した夫婦であるが、同四九年には不和となり、X女が家出をした。A男は同五一年四月以降、B女と暮らし、B女の娘Yとは別に暮らしたが、親子の様に付き合っていた。そのうちにYに結婚話が起こったが、Yが韓国籍であることを理由に相手の親から反対されたため、Y...
《解 説》
一 本件は、方法(精米方法)について特許権を有する原告が、被告がその方法の発明の技術的範囲に属する方法を用いる精米機を製造販売していると主張し、特許法一〇一条二号の間接侵害を根拠として、被告製造、販売の精米機の製造販売等の差止め、廃棄及び損害賠償を求めたものである。
二 原告...
《解 説》
本件は、元暴力団組長が、①自動小銃一一丁、けん銃三丁、小銃一丁、実包一一五四発を所持し、②営利の目的で覚せい剤約七・九㎏、乾燥大麻約一三㎏を所持し、③ヘロイン約三九〇g、覚せい剤約〇・五g、大麻草約一・三gを所持し、④覚せい剤を自己使用した、という事案である。
発見された銃器...
《解 説》
一 判決要旨に即して事実関係を簡略化して説明すると、次のとおりである。
本件建物は鉄筋コンクリート造五階建(床面積各階約二六〇㎡)のビルであるところ、その所有者であったAは、本件建物のうち二階部分を除いた残余の部分をYに賃貸した上、AYの合意に基づいて本件建物全部についてYを...