最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、酒類の販売を目的として設立された有限会社の原告が、被告(税務署長)に対し、酒税法九条一項に基づき酒類販売業の免許を申請したところ、原告につき酒税法一〇条一〇号に規定する「経営の基礎が薄弱であると認められる場合」に該当するとして免許拒否処分(以下、「本件処分」という。...
《解 説》
一 Xら夫婦の子A(一五歳)は、昭和六〇年七月一九日、残土置場において死体で発見された。同月二三日、Y1・Y2夫婦の子のB(一五歳)が警察署に連行され、その三〇分後にBはAの殺害事実を認めた。Y3の子のC(一四歳)及びY4の子D(一四歳)も同日、任意同行され、Aの殺害事実を認め...
《解 説》
一 本判決は、いわゆる自民党本部放火事件に関する控訴審判決である。
自民党本部放火事件というのは、いわゆる過激派が、火炎放射器を荷台に設置した二台の保冷車から、時限装置によって、火炎を自民党本部の建物に向けて放射したという事件であり、捜査の結果、中核派革命軍に属する被告人が、...
《解 説》
一 本件は、在監者支援グループのメンバーであるXらが、①当時東京拘置所に未決勾留中であったAらに差し入れたグループの通信誌の記事の一部を拘置所長が抹消してAらに交付したこと、並びに②AらがXらに差し出した信書につき検閲の手続によりその発送を翌日まで遅延させたことがいずれも違法で...
《解 説》
一 本件は、連帯保証人に対する貸金請求訴訟であり、事実関係は、① XはYの連帯保証の下に訴外会社に金員を貸し付けた、② Xは、弁済期後の昭和五七年一〇月二一日に、右連帯保証債権を保全をするため、Y所有の不動産に対する仮差押決定を得て、その執行をした、③ 昭和五八年一二月一日Yが...
《解 説》
本件は、新東京国際空港(成田空港)を設置するための工事実施計画の認可(以下「本件認可」という。)、その空港のための延長進入表面、円錐表面及び外側水平表面の指定(以下「本件指定」という。)並びに進入表面、転移表面及び水平表面の告示(以下「本件告示」という。)の取消が求められたもの...
《解 説》
Xは弁護士であり、マンションの管理組合の訴訟代理人としてマンション内で犬を飼育している者に対し、犬の飼育禁止と損害賠償を求める訴え(前訴)を提起した。Xは右訴えにおいてA裁判官から管理組合には当事者適格がないから、管理者を当事者とするように数回にわたり執拗に勧告されたり(建物の...
《解 説》
A市(市長Y1)は、Bから土地を無償で借り受けてこれを児童遊園としていたが、Bはその売却を希望した。そこで、A市の土地開発公社Y3はこれを三回に分けてBから買い受け、市に同様に三回に分けて売却した。なお、Bの子Y2は、市の助役で、開発公社の理事を兼ねていた。市の住民ら(一審では...
《解 説》
本件は、東京都の住民である原告(判文からすれば、当該定時制高等学校の職員であった者のようである。)が、東京都に代位して、同都立のある定時制高等学校に勤務していた教職員に対し不当利得の返還等を求める地自法二四二条の二第一項四号の住民訴訟である。
その主張によれば、当該定時制高等...
《解 説》
本件は、金融機関の管理職の立場にあった者に対する懲戒解雇が権利の濫用に当たるかどうかが争われた事案である。
本判決認定事実によると、原告は、大手損害保険会社の自動車営業課の課長であったが、積立保険契約を紹介してもらうことを目的に、銀行に対して個人名義の預金を設定し、そのために...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年一一月、Yに対し、東京都新宿区歌舞伎町所在の店舗を、期間三年、更新の場合は更新料として賃料の三か月分を支払う旨の約定で賃貸したところ、期間満了による法定更新後に更新料の支払を拒否するので、平成三年八月、更新料支払債務の不履行を理由として賃貸借契約を解除したう...
《解 説》
Xは、東京駅八重洲口地下のショッピングセンターの一部を構成する本件店舗を、改装工事をする場合、Xの承認を要するなどの特約付きでYに賃貸した。Yはこれをラーメン店、軽食喫茶店、寿司店として使用していたが、Xがした空調関係工事によって天井等の内装の一部が取り払われた機会に、Yは、原...
《解 説》
一 Xは、建築士で、建物の設計及び工事監理を業とする者であるが、平成四年八月、Yとの間で、Yの居住建物の増改築計画立案及び右増改築のための設計図の作成を委任する設計図作成委託契約を締結し、Yとの打合せ、現地調査をしたうえ、同年一〇月、基本設計図を作成して提出したが、Yがその報酬...
《解 説》
Xら五二〇名は、Yが経営するカントリークラブの正会員であるが、Yが昭和六三年三月、全正会員に対し入会協力金三〇〇万円を納めない限り退会扱いにすると発表し、後にこれを撤回したが、同年一〇月以降、入会協力金三〇〇万円を納めた正会員をグリーンカード正会員とし、予約方法、スタート時間等...
《解 説》
Aは販売業者Yからゴルフ会員権を七〇〇〇万円で買い受けたが、その際、頭金一〇〇〇万円を支払い、残金六〇〇〇万円については、X(信販会社)の信用保証のもとにB(保険会社)から借り受けてYに支払った。X・Y間の提携契約においては、Yが顧客に代わって融資金の支払を請求するに際し、Xに...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年五月、Yが経営管理するゴルフ場「東都飯能カントリー倶楽部」の個人正会員に入会し、入会金三〇〇万円、預託金一九〇〇万円を支払ったが、ゴルフ場のオープンが著しく遅延したほか、募集要項ではフラットなコースにするとしながら、かなりアップダウンのあるコースに設計変更し...
《解 説》
一 原告は昭和五一年から新潟三区で連続六回当選していた衆議院議員で、平成三年には郵政大臣に就任した者である。被告は全国紙を発行する新聞社であるが、平成四年九月一七日付及び同年一二月一九日付朝刊に、平成元年六月に行われた新潟県知事選挙に立候補して当選した金子清陣営に対し佐川急便グ...
《解 説》
一 Xは、「クラブ濱」の経営者であるが、昭和六〇年九月一五日、Y1の経営する「鳳凰ゴルフ場」においてプレーをし、一八番ホールの二打地点でショットの準備をしていたところ、後続組のY2の一八番ティー・グランドから打った第一打の打球を右肩甲骨付近に受け、右肩甲骨骨折の傷害を負った。
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《解 説》
一 Xは、東京都新宿区において不動産売買・仲介等を業とするA会社の代表取締役の職にあるものである。Yは、新宿区内の所有地をA会社に売却したが、売買契約の際の条件の履行をめぐってA会社と紛争を生じていた。そのようななかで、地元新宿で頒布されている旬刊タウン紙にA会社の不動産取引及...
《解 説》
一 本件は、昭和六一年に加害自動車が対向車線に侵入・正面衝突した交通事故について、被害自動車に同乗していた原告X(控訴人・事故当時児童一〇歳)が、保母・幼稚園教諭等を志望して女子短大進学後、自動車損害賠償法三条に基づき、通院付添費・入院通院費等、更に眼・額・唇等に醜状を残してい...
《解 説》
本判決は、遺言者が痴呆老人としてまだ生存中であるのに提起された遺言無効確認の訴えを不適法として却下したものである。
長寿社会への進行とともに、遺言も著しく増加し、最近、痴呆老人の遺言能力が争われる遺言無効確認訴訟の事例が次々に報告されている(太田武男「痴呆老人の公正証書遺言と...
《解 説》
一 本件は、養親のXと養子のYが、互いに離縁を求め、さらに、Yが離縁に伴う財産分与ないし慰謝料を求めた事案である。
二 事案の概要
X及びその妻Aは、昭和三二年、Aの実妹Yと養子縁組をし、続いて、Yと婚姻したBと養子縁組をした。その後、Aが昭和五一年に死亡し、Xは昭和五三年...
《解 説》
一 本件の事案は、東京都に本店を有する信販会社の原告が、パーソナルコンピューターリース契約の主債務者及び連帯保証人(いずれも山口市居住)を被告として提起したリース料請求訴訟事件において、リース契約約款中の管轄合意条項の効力が争点となったものである。
二 原告会社は、リース契約...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、平成五年九月一三日甲簡易裁判所に宛て、Y社(代表取締役y)に対する約束手形債権を有するとして支払命令の申立てをなし、甲裁判所は同年九月一七日支払命令を発し、同命令正本はY社本店所在地の代表取締役yを受送達者として同年九月二〇日特別送達郵便により発送したと...
《解 説》
A学校法人は、Y1にビルの一部を賃貸し、Y1はさらにその一部をY2に転貸していたが、Aは平成三年一〇月に倒産し、Xがその管財人に選任された。Xは、Y1に対して同三年二月から一二月までの賃料合計四一六九万円、Y2に対して同四年二月から同五年八月までの賃料七二〇一万円の支払を求めて...
《解 説》
一 いわゆる佐川急便事件は、四つの特別背任事件に大別できるが、本判決はそのうちの三件について東京佐川急便の経理財務担当常務取締役Aに対して言い渡された第一審判決である。うち二件は、東京佐川急便が他社の名義で株取引を行うために総額五五〇億円の融資又は保証をしたという事件であり、元...
《解 説》
一 本件は、暴力団幹部であった被告人が、その所属する組織の幹部間の確執にからみ、最高幹部Cに次ぐ勢力を持つAに対する殺人未遂、Aの配下Bに対する殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反に問われた事件である。一審において、被告人及び弁護人は、Aに対する殺人未遂の訴因につ...
《解 説》
一 本件は、未婚の母から、未認知の子の父及びその妻に対して、幼児の引渡しを求める人身保護請求事件である。
被拘束者Zは三歳九月(原審審問終結時。以下同様)の幼女である。その母親である請求者Xは、三五歳の女性である。
拘束者二名のうち、Y1は、いまだに被拘束者Zの認知をしてい...