最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
本件は、犯行当時一九歳の少年に対する死刑事件として、マスコミに大きく取り上げられ、社会の耳目を惹いたものである。
事案の内容は、本判決の「罪となるべき事実」に詳しく摘示されているとおりであるが、被告人は、平成三年一〇月から平成四年三月にかけて、三名に対する強盗殺人罪、一名に対...
《解 説》
一 本件は、平成四年七月二六日施行の第一六回参議院議員通常選挙愛知県選挙区に立候補・当選した被告人が、公職選挙法二三五条一項の経歴に関する虚偽事項の公表罪に問われたいわゆる百日裁判事件である。
原判決が肯認した一審判決の認定事実は、以下のとおりである。
被告人は、右選挙に際...
《解 説》
本件は、未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求についての一つの事例判決である。
昭和六二年九月二日の大法廷判決(本誌六四二号七三頁)は「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶...
《解 説》
本判決は、「離婚請求訴訟について請求の放棄を許さない旨の法令の規定がない上、婚姻を維持する方向での当事者による権利の処分を禁じるべき格別の必要性もない」ことを理由に、離婚請求訴訟において請求を放棄することは許される旨を判示した。
本件一審判決は、原告の離婚請求を認容し、被告...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)の夫Aは、昭和五五年四月当時、東京都立町田高等学校の体育科教諭であったが、四月一七日午後四時すぎころ、同校用務員室において執務中に心筋梗塞により死亡した。
そこで、Xは、地方公務員災害補償法に基づき公務災害認定請求を行ったところ、公務外と認定されたため、...
《解 説》
一 原告は、平成元年二月二八日、被告陸運支局長に対し、道路運送法(平成元年法律第八三号による改正前)一八条一項に基づき事業用自動車の総数二三台をさらに三七台増車する旨の一般乗用旅客自動車運送事業の事業計画変更の認可申請をしたところ、被告は、同年五月一九日、右申請が同法六条一項四...
《解 説》
本件のXらは中学に在学している者及びその親であるが、Yが検定処分をした本件の中学用の社会科教科書には、そのような事実は存在しなかったというのが通説的な立場にあるのにこの説を全く無視して、いわゆる南京事件を実在した事実であると記述しているところ、義務教育諸学校教科用図書検定基準(...
《解 説》
一 Xらは、いずれも椅玉県加須市の住民であるが、Y加須市教育委員会が、市立東中学校の校庭等の用地としての用途を廃止するとの方針を決定し、東中学校の旧校舎を解体することを明らかにしたことについて、右用途廃止決定はYに与えられた裁量権を濫用しまたは逸脱する行為として違法であると主張...
《解 説》
Xら夫婦の子Aは、昭和六二年二月、海上保安庁の航空員として、漁船からの転落者を捜索し、救助するため、ビーチクラフト機に乗り込み、福岡航空基地から有視界飛行により長崎県茂木沖へ向かったが、同機は四分後、脊振山から南南東に伸びる稜線の東側斜面に右主翼端から接触し、雑木林を切り倒して...
《解 説》
甲は乙に対して金銭債権を有していた。平成三年六月一二日Aが、同月二一日Bが右債権の仮差押えをした。そこで、乙は同月二九日右債権をS法務局に供託した。Xは同年一一月一五日右供託金の還付請求権の仮差押命令を得、右命令は同月一八日S法務局に送達された。更に、同月一九日Cが右還付請求権...
《解 説》
東京都豊島区にある東池袋公園は同区が国有地を無償で借り受け、昭和五四年に設置し、同五五年に供用を開始したものであるが、かつてあった巣鴨プリズンの刑場跡地に本件記念碑が設置されている。その碑文の表面には、「永久平和を願って」と、裏面には、「第二次大戦後、東京市谷において極東国際軍...
《解 説》
Xの先代Aらは、昭和二八年ころ、Y1に本件工作物を賃貸した。最初、Y1の妻が同所で日用雑貨品を売っていたが、同三二、三年ころ、Y1の娘が立飲み屋を始めた。Y2は同三五年ころ本件工作物をY1から転借し、以後、同所で靴磨き、靴修理業を営んでいる。Xは、主位的に本件工作物が動産である...
《解 説》
一 大阪駅前第三ビルは、大阪市街地改造事業により、大阪市により建設されたものである。本件は、この大阪駅前第三ビルの区分所有者で組織する団体であるXからY(大阪市)に対して、ビル北側道路上に設置されている昇降車路(本件ビル地上三階、地下三階の各駐車場に通じるもの)の使用料債務の不...
《解 説》
一 債権者Xは、債務者Yが保有している預託金会員組織のAゴルフクラブの会員権を差し押え、その後、原裁判所は、Xの申立てに基づいて、Aゴルフクラブの会員権を支払えとYからXに譲渡する命令を発した。
しかし、Yは、Xから差押えがされる前に、右会員権をBに譲渡し、名義書換手続も完了...
《解 説》
一 Xは、神戸市長田区内において、レディースシューズの製造販売業を営んでおり、平成元年一一月頃から、Y信用金庫の新長田支店との間で、当座勘定取引契約を締結し、同取引を開始していたものであるが、平成三年五月九日、Yが、Xの振出した約束手形について約一〇〇万円の資金不足を理由として...
《解 説》
Xは、平成二年三月二〇日ころ、南アフリカ共和国から船便で輸入したソテツ五一〇本の通関手続をYに委任した。Yは、輸入検査申請、検疫等に時間を要し、輸入許可を得て通関手続が完了したのは、同年五月一八日のことであった。Xは、Yの通関手続の遅滞によってソテツ三一六本が枯死し、損害を被っ...
《解 説》
X1の夫で、X2の父であるAは、Y2社の下請けとして種々の仕事をしていた者であるが、昭和六〇年八月三一日、台風一三号の接近に備えるため、宇部港に行き、同じくY2社の専属的下請けをしているY3と共に防潮鉄扉(国の所有であり、Y1県の知事が管理し、Y1県が費用を負担している)を閉め...
《解 説》
Y1社(代表者はY2)は、同社との間でダイヤモンドを中心とする宝石類の販売媒介委託契約を締結した者を通じてダイヤモンドの販売を行っていた会社である。ダイヤモンドを購入して右契約を締結したビジネス会員は、売上成績に応じて四段階に分類され、自らの、あるいは配下のビジネス会員の販売媒...
《解 説》
一 本件は、Yの従業員から白金の商品先物取引の勧誘を受け、一年間程売買取引を行ったXが、Yの従業員の行為は詐欺に当たると主張したほか、特に、勧誘行為に関しては、商品先物取引所法九四条一号で禁止されている断定的判断の提供、商品取引員の受託業務に関する取引所指示事項で禁止する不適格...
《解 説》
本件事案の概要は、以下のとおりである。
昭和五六年一二月二〇日二〇時過ぎころ、路上において、被告池田は、被告安部を助手席に同乗させ、普通乗用車(以下「池田車」)を運転していたが、過失により、普通乗用車(タクシー)に追突させる事故(以下「本件事故」)を発生させたところ、本件事故...
《解 説》
本件は、タクシーの乗客Xが、急制動されたため左耳付近を助手席にぶつけた事故により左耳小骨離断症等の傷害を負い、後遺症(左耳鳴、両混合難聴)が生じたとして、タクシー運転手Yに対して、自賠法三条に基づく損害賠償請求(請求額二五四八万円余)をしているものである。
ところが、Xは、本...
《解 説》
一 新潟県新発田市に居住するX(原告・控訴人)は、昭和六一年四月二七日、自宅八畳の居間の暖炉に薪を数本入れて点火し、ガスストーブにも点火して暖をとった後、暖炉及びストーブの火をつけたままにしておいて、近くのドライブインで食事をするため妻らと外出し、パチンコ店でパチンコをしていた...
《解 説》
一 Xは、平成二年九月七日から同月一一日まで、訴外A会社の主催で京都京阪ホテル「桜の間」で開催された毛皮・宝石展(本件展示会)に宝石類を展示していたが、同月九日、右宝石類が窃盗の被害にあい、約二〇〇〇万円の損害を被った。
そこで、Xは、平成二年四月、Yとの間で、宝石・貴金属に...
《解 説》
一 請求者X(夫)と拘束者Y(妻)との間には、被拘束者Z1(長女、当時五歳)及びその弟であるZ2(長男、当時三歳)とがある。Xは、Yの両親と同居して、その家業に従事していたが、次第にこれに不満を持つようになり、法事に出席するとしてZ1を連れて自分の実家に帰ったままY方には戻らず...
《解 説》
X(一審原告・控訴人)所有地とY(一審被告・被控訴人)所有地の間には、国所有の里道があり、本件係争地について、Xは自己所有のものであると主張し、Yは国の所有であると主張している。XはYに対し、本件係争地がXの所有に属することの確認を求める訴えを提起した。原判決は、実体判断のうえ...
《解 説》
一 日本三景の一つである松島の公園内にある土産物販売店兼食堂を経営するX1有限会社とその経営者らX2らは、同業者Y1が既存の建物を取り壊してY2に建物新築を請け負わせて工事を進行させていることについて、眺望妨害行為であるとして、工事禁止の仮処分命令を申請してこれが発令された。こ...
《解 説》
本判決は、警備員として稼働していた被告人が、会社を退職せざるを得なくなったのは、当時の上司であった被害者の策略によるものと思い込み、約七か月間、ほぼ連日にわたって、被害者方付近を徘徊し、被害者方に向かって「ばかやろう。」「どろぼう。」などと怒号し、付近の鉄板を足で踏み鳴らし、ダ...
《解 説》
一 本件は、信用金庫の支店長であった被告人が、個室付浴場業者からソープランドの開業資金の融資を申し込まれ、昭和六二年三月二五日に一〇〇〇万円を貸与したが、平成元年七月一九日右業者が右ソープランドで売春婦らが売春することを知りながら業としてその場所を提供したという売春防止法違反(...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の自己使用事犯について、尿の採取過程に令状主義を没却する重大な違法があって、検察官が申請した右尿の鑑定書には証拠能力がないとしてこれを却下し、被告人を無罪とした原判決(本誌八〇九号二三〇頁)に対する控訴審判決である。
二 本件判決によると、本件事案の概要は...
《解 説》
一 本件は、T字路交差点を左折する自動車運転者の右方の安全確認義務の程度が問題とされた事案である。訴因とされた被告人の過失は、T字路交差点手前で一時停止した後、時速約一〇キロメートルで左折進行するにあたり、右方道路の安全を十分確認しなかったというものであったが、審理の結果、被告...
《解 説》
一 民法四九三条、四九四条の解釈上、一部弁済提供及び供託を有効としてよい場合があるかが問題になったものである。
事案を必要な範囲で要約すると、次のとおりである。
Xは、Y1運転の自動車に横断歩道上を横断中に衝突され、頭蓋骨骨折等の傷害を受け、自賠法施行令二条別表等級第一級に...