最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件①・②・③判決は、日蓮正宗(包括宗教法人)の内部紛争に起因して全国各地に提起された同宗の末寺(被包括法人)をめぐる一連の事件(日蓮正宗末寺事件)の上告審判決である。本件と背景事情を同じくする同宗の末寺である蓮華寺をめぐる事件では、最二小判平1・9・8民集四三巻八号八八九...
《解 説》
一 本判決は、日蓮正宗の僧侶(X)らが、同宗の宗教活動上の最高権威者である法主に就任したという現法主(Y2)は宗教法人である同宗(Y1)の代表役員及び同宗を総理する管長の地位にないと主張して、その地位の不存在確認を求めた「日蓮正宗管長事件」の上告審判決である。本件の背景事情は、...
《解 説》
一 本件は、いわゆる福岡空港騒音訴訟と呼ばれる事件である。福岡空港(本件空港)は、JR九州博多駅等の主要な都市施設から三キロメートル以内にある総面積約三五〇万平方メートル、長さ二八〇〇メートルの滑走路を有する空港であって、空港整備法二条一項二号所定の第二種空港(主要な国内航空路...
《解 説》
一 Xは化粧品小売店であり、Yは化粧品販売会社である。XはYとの間で特約店契約を締結し、Yから継続的に化粧品の供給を受けてきたが、平成四年六月三日Yより特約店契約を解約する旨の意思表示を受け、以後化粧品の供給を受けられなくなった。そこで、XはYに対し、(1)注文済の化粧品の引渡...
《解 説》
一 昭和六一年一一月末、日本共産党国際部長の自宅に繋がる電話線に、何者かが工作を施し、一〇〇数十メートルほど離れたアパートの一室から同部長宅の通話を盗聴できる状態を作り出していたことが判明した。
当時、マスコミ報道等では、右盗聴工作の「犯人」として、神奈川県警察所属の複数の警...
《解 説》
一 事実経過
本件は、日韓地位協定に基づく永住資格を有する在日韓国人女性ピアニストXが米国に留学するため法務大臣Y1に対し、再入国許可の申請をしたところ、Y1はXが外国人登録法一四条に基づく指紋押捺を拒否していたことを理由に不許可処分を下したため、その適否を争って提訴した事案...
《解 説》
一 本件は、第二次世界大戦中、日本軍属として、戦地において戦傷を受け、右手切断、左足切断の障害を負ったいわゆる在日韓国人である原告らが、被告に対し、戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下「援護法」という。)に基づく障害年金の請求を行ったところ、被告が援護法附則二項の「戸籍法の適用を受...
《解 説》
一 本件は、中小企業等協同組合法の規定に基づき設立された事業協同組合であるY組合の組合員のXが、組合員総会(甲総会及び乙総会)における役員選任決議(甲決議及び乙決議)につき、甲総会が開催されたという当時、Y組合の総会の招集権者である代表理事のAが任期満了により退任し、後任の代表...
《解 説》
本件は、Xの所有する土地・建物に根抵当権設定登記等の本件各登記を経由していたZが、その後に破産宣告を受けたが、その破産手続は既に「破産終結」により終了していたところ、XがZの本件各登記の抹消を求める本件訴訟を提起するにつき、Zの破産管財人であったYを被告としたため、Yから、Zが...
《解 説》
一 本件は、塩見訴訟等として報道された事件の第二次訴訟(昭和五六年法律第八六号による改正の施行日の後になされた裁定却下処分の取消しを求めたもの)についての第一審判決である。
二 国民年金法(昭和五六年法律第八六号による改正前のもの。以下「旧法」という。)八一条一項は、同条所定...
《解 説》
一 宗教法人Aの信者であるXら三名は、Aが取得し、開発・造成したN村所在の土地へ転入したとして、同村に転入届を提出したところ、同村の村長であるYは、(1)転入届に基づく住民票への記載は、転入者が届出地に生活の本拠たる「住所」を有しているかどうかの認定が必要であるが、Xらは予め任...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六〇年六月当時、熊本県技術吏員として勤務していた者であるが、同月三〇日、熊本県人吉市から自動車を運転して観光のため宮崎県下の「えびの高原」に出かけ、「硫黄山」付近に車を駐車し、徒歩で遊歩道を散策していたところ、突然地盤が陥没したため、噴気孔に転落し、全身熱傷の...
《解 説》
本件は、山口県下松市が実施した公共下水道管延長工事がY(被告、被控訴人)の負担していた下水道法一〇条に基づく排水設備設置義務の履行を肩代わりしたものであるとして、同市の住民であるX(原告、控訴人)らがYに対し地方自治法二四二条の二に基づき右工事代金相当額の代金請求に及んだ住民訴...
《解 説》
一 Xは、Y1町の町議会Y2の議員であるが、Y2により、議会の議決を無視した行動があるとして一〇日間の出席停止の、議会の品位と秩序を乱したとして七日間の出席停止の各懲罰決議(以下「本件懲罰処分」という。)をされたため、本件懲罰処分が違法であるとして、県知事Y3に対してその取消し...
《解 説》
一 事案の概要及び争点等
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)に長年定期バス運転手として勤務していたが、平成元年六月三〇日に非違行為(後記二2参照)があったとして、平成元年七月二〇日即時解雇された。そこで控訴人は、右解雇が無効であるとして、雇用契約上の権利の確認と未払賃金の支払...
《解 説》
本件は、東京都千代田区内の建物(延べ四四・八八平方メートル)について賃貸人から賃借人に対し賃料増額の意思表示がされ、増額後の賃料の確認請求がされた事案である。
Xらは平成元年七月、Aから本件建物を、賃借人としてYが居住するまま買い受け、賃貸人の地位を承継した。賃料については、...
《解 説》
一 本件の事実関係は次のとおりである。
原告は不動産取引業等を営む者であり、被告は医師である。被告はAを通じて自己の所有する不動産を売却することとし、一方、原告はAの紹介で被告所有の不動産の買受けを検討することとなり、両者は、Aを介して価格の調整に入ったが、被告の売却希望価格...
《解 説》
Xは、妻であるAを代理人として昭和四七年頃からY1(証券会社)との間で投資信託、転換社債、優良株(現物取引)等の証券取引を行っていたが、Y1の従業員であるY2から勧誘を受けて本件ワラント(外貨建て)を約四〇〇万円で購入した。しかし、本件ワラントがその後値下がりをし、Xは、約六〇...
《解 説》
一 Yは、建物の建築請負、不動産の仲介・管理などを目的とする株式会社で、A女は、Yの紹介でその管理するアパートに入居したところ、Yの従業員(営業課長)であったBは、Yの事務所で管理しているA方居室の鍵を持ち出して合鍵を作り、平成二年四月三〇日の未明、右の合鍵を使用してA方居室に...
《解 説》
一 X1は、レストラン経営等を業とする会社の代表取締役であり、X2は、X1の妻であり、X3は、X1とX2の長男であるが、平成三年四月から六月にかけて、Y証券会社の新宿駅西口支店の投資相談課長であった訴外Aから、値上がり確実な新規公開株を他人名義で買付けをするので買付代金を振込送...
《解 説》
一1 本件は、米軍横田飛行場の周辺住民五九九名が、米軍機の発する航空機騒音等により人格権、環境権を侵害されたことを理由に、国を被告として、主位的に、「国は、米軍をして、毎日午後九時から翌日午前七時までの間、横田飛行場を一切の航空機の離着陸に使用させてはならず、かつ、同飛行場から...
《解 説》
一 Xら四名とYの父であるAは本件不動産をYに遺贈したのであるが、Xらはかつてした遺留分の放棄が錯誤により無効であると主張し、本件不動産について遺留分減殺を原因とする所有権の一部移転登記を求める訴えを提起した。なお、本件不動産については相続を原因としてXら及びYに対する所有権移...
《解 説》
一 訴外Aは、平成三年四月、同僚Bの運転する自動車の助手席に同乗して、埼玉県内を走行中、運転ミスにより右自動車が路外に逸脱転倒したため死亡するに至った。
そこで、Aの両親であるX1とX2は、右自動車の所有者Cが自家用自動車保険契約を締結していたY保険会社に対し、搭乗者傷害保険...
《解 説》
一 本件は、月刊雑誌「北方ジャーナル」平成六年二月号に、「浜垣前市長&玉川組『恵庭利権漁り』夢の跡」と題して、土木建築請負業者と北海道恵庭前市長との間の癒着疑惑があるとする内容の記事が掲載・販売されたことから、右土木建築請負業者である債権者が、右記事は真実とは異なり、ことさらに...
《解 説》
一 Aは、その所有するアパートについて、Yに対し抵当権を設定した後、入居希望者と賃貸借契約を結び入居させていたが、その後、Xに対してアパート全体を期間三年で賃貸し(原賃貸借契約)、Xは、各入居者らとの間で、改めてXを貸主とする賃貸借契約(転賃貸借契約)を締結した。そこで、Yは、...
《解 説》
一 Aは、その所有する本件土地にYのため抵当権を設定していたが、被担保債権の債務を約定どおり支払うことができなくなった後、本件土地をXに対し、「期間五年、賃借権の譲渡・転貸・建物建築はXの自由、賃料五年分一括前払い、敷金は賃料の約五〇〇か月分」の約定で賃貸した。Yは、右賃貸借締...
《解 説》
本決定は、破産者が破産法三六六条の九第一号、三七五条一号(浪費)に該当することを理由とする免責不許可の事例である。
本決定の認定したところによれば、X(昭和三九年生まれの女性)は、成人して間もなく、一〇〇万円の洋服をクレジットを利用して購入したのを始め、指輪数点合計約一〇〇万...
《解 説》
本件は、海運会社甲とその代表取締役乙が、いわゆるタックスヘイブンに関して、法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)のほ脱罪に問われた事案である。
事実関係については、判示するところによると、以下のとおりである。海運業を営む甲会社(乙はその代表取締役)...
《解 説》
本件の一審裁判所は、簡易公判手続によって審理をした上、被告人に有罪判決を言い渡したが、その判決書では、証拠の標目として、単に「記録中の証拠等関係カード記載の証拠をここに引用する」と記載しただけであった。本判決は、その控訴審の判決であるが、この点について職権で判断を加え、一審判決...
《解 説》
本件は、株式会社角川書店の社員がコカイン約七八グラムを本邦内に密輸入しようとして成田空港で逮捕されたという麻薬及び向精神薬取締法違反等事件の関連事件であって、角川書店社長(当時)の愛人であった被告人について、右麻薬密輸入の共謀共同正犯の成否が争われた事案である。
本判決は、被...
《解 説》
一 本件は、分譲マンション(鉄筋鉄骨コンクリート造り七階建二六戸の一般居住用マンション)の管理組合の管理者であるXが、区分所有者であるYに対し、Yが犬(イングリッシュ・ビーグル、中型、牝の猟犬)を居室内で飼育していることが、第一次的には、Xの入居当初から入居案内により禁止されて...