最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 本件は、いわゆる豊田商法により詐欺被害にあったXら一四八八名が、国Yにおいて豊田商事に対し規制権限を行使するのを怠ったのは違法であると主張し、国賠法一条により被害額と同額の損害賠償を求めた事案である。
Xらが主張する規制権限の不行使とは、①警察庁については、警察法一六条二...
《解 説》
一 本件は、強姦殺人事件の被害者となった女子中学生の両親であるXらが少年保護事件において同事件の犯人とされ、再抗告審を経て少年院送致等の保護処分が確定しているA・B・C・Dら(以下「少年ら」という。)の親権者であったY1ないしY4(以下「Yら」という。)に対して不法行為に基づく...
《解 説》
一 いわゆる西宮市斑状歯事件の上告審判決である。原告が被告市の水道から供給される水道水を飲用したことにより斑状歯の被害を受けたとして損害賠償を請求したもの。事案の詳細は本件一、二審判決についての本誌コメントを参照されたい(本誌六二三号三三頁、七〇〇号一五八頁)。
請求の内訳は...
《解 説》
一 Xは、中国福建省で出生した中国人であり、以前に中国海軍で海外無線を傍受する業務に従事し、その後、公安局外輪偵察科の副科長として、外国船舶で入国する外国人を調査・監視するという業務に従事していた。Xは、青島港に停泊中の日本行きの船舶に潜入して日本に密入国したが、間もなく出入国...
《解 説》
一 本件は、法定期限内に相続税の申告をしなかったXらに対する無申告加算税の賦課決定取消訴訟である。
Xらは相続財産の一部は認識していたが、被相続人と同居していなかったことなどから、その殆どを認識していなかった。そこで、全容を認識している他の相続人甲に全容を明らかにするように求...
《解 説》
一 本件は、相続税についての重加算税賦課決定が無効であるとして、重加算税を納付した相続人(A)の配偶者ら(Aの相続人ら)が納付に係る重加算税額に相当する額の不当利得金の返還を求めた事件である。原告らの主張する右賦課決定の無効事由は、以下のとおりである。国税通則法(昭和六二年法律...
《解 説》
Xは、京都府に事務所を有する法人格のない社団であるが、平成二年六月五日、Y知事に対し、平成元年度の知事交際費の使途明細を内容とする公文書の公開を求めた。Yは、同月一九日、元年度の「交際費に係る資金前渡金受払表」がその文書であるとして特定し、資金前渡金受領毎の年月日及び金額、支払...
《解 説》
一 本件は保険会社の出資により設立された損害調査会社(債務者)のアジャスター(債権者)が、秋田市から債務者会社東京事務所(東京都立川市)への配置転換命令は人事権の濫用により無効になるとして、東京事務所で勤務する義務のないことを仮に定める仮処分を申し立てた事案である。
本件では...
《解 説》
一 本件は、不動産登記法三三条の規定により仮登記仮処分を求める事件であり、事案の概要は次のとおりである。申請人は、被申請人A、Bとの間で、被申請人Aに対する貸金債権約一九八二億円を担保するため被申請人らからその所有の不動産を譲り受ける旨の譲渡担保設定契約を締結し、被申請人らから...
《解 説》
一 本案は、大阪府豊中市(同地を管轄する簡易裁判所は豊中簡易裁判所、以下同様にカッコ内にその土地を管轄する簡易裁判所を記載する。)の交差点において信号待ちで停止していたX1会社所有車両にY1の運転するY2会社所有の車両が追突し、被害車両に乗っていたX2・X3・X4が負傷し、X1...
《解 説》
一 本件は、信販会社である被控訴人(原告)Xが、控訴人(被告)Yが訴外人の立替金債務につき連帯保証したとして、保証債務の履行を請求した事案である。一審では、Y不出頭のままXの請求認容のいわゆる欠席判決がなされたが、Yは判決後二年余を経過して本件控訴を提起した。
一審の訴訟手続...
《解 説》
本件は、被告人が、手話通訳活動で知り合った被害者との別れ話に恨みを抱き、殺意をもって、被害者の寝ているベッド付近に灯油を撒いて放火するなどした結果、被害者居住のアパートの一部を焼燬するとともに、全身熱傷により被害者を殺害したとして、殺人、現住建造物等放火により起訴された事件であ...
《解 説》
本件は、秋田県内で発生した現住建造物等放火被告事件に対する無罪判決である。
本件の公訴事実は、被告人が深夜酩酊の上、親しくしていた女性宅を訪ねたところ、翌日の行事を控え早く就寝したいと考えていた同女に快くとりあってもらえなかったことに立腹し、持参したライターで室内に干してあっ...
《解 説》
本件は、出入国管理及び難民認定法七三条の二第一項一号の不法就労助長罪の成立が認められた事例である。被告人は同罪で起訴され、第一審で有罪の認定を受けたが控訴し、犯罪の成立を争った。これに対し、控訴審判決である本判決は、同罪が成立するためには、当該外国人との間で対人関係上優位な立場...
《解 説》
X1は英国法にもとづいて設立された銀行で本店をロンドン市、支店を東京都に有するもの、X2は英国法に基づいて設立された会社で本店をロンドン市に有するもの、Yは日本法により設立された会社で東京都に本店を有し、英国の領土内には支店又は営業所を有しないものである。X1はその本店において...