最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 はじめに
本件は、野村證券の取締役である被告らの行った損失補填の責任を追及する株主の代表訴訟である。本判決は、①いわゆる経営判断の法則を採用して取締役の善管注意義務、忠実義務違反は認められないとし、②当時の証券取引法は損失補填を禁止してはいなかったとするとともに、③本件損...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
賃貸ビル業(賃貸しているビルは一棟のみ)を営む訴外会社は、右賃貸ビルを建て替えた際の借入金を賃料収入から返済していたため、経常利益が赤字となっていた。このような経営状況の下で、同社の代表取締役及び取締役である被告らは、同社の新規事業とし...
《解 説》
一 本件被告人(玉野ふい)は、単独又は外一名と共謀の上、昭和五五年六月のいわゆる衆参同時選挙の際、参議院全国区、同和歌山県地方区、衆議院和歌山県第二区から立候補した各特定候補者らの氏名、写真、略歴等を記載した選挙運動用ビラ・パンフレット等四五枚を九名に配布したとして、公職選挙法...
《解 説》
一 Xは、JR総連合といい、JR関係の労働者で組織する東日本旅客鉄道労働組合などの単位組合の連合体であるが、平成元年一二月一六日、Y(上尾市)に対し、Xの総務部長Aが殺害死亡したことを追悼する合同葬を開催するため、Yが設置する上尾市福祉会館の使用許可を申請したところ、「会館の管...
《解 説》
一 本判決は、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝に関する国に対する損害賠償請求訴訟(播磨靖国訴訟・神戸地姫路支判平2・3・29)の控訴審判決である。
中曽根康弘元首相は、在任中の昭和六〇年八月一五日、公用車で靖国神社に赴き、拝殿で「内閣総理大臣中曽根康弘」と記帳したうえ、本殿で内...
《解 説》
一 本件は、東京都公安条例違反容疑でX1が現行犯逮捕され、築地警察署に留置されたところ、右逮捕の約四〇分後に弁護士X2がX1の弁護人になろうとする者として同署を訪れ、右事件の捜査主任官であった訴外Aに対して一六時三五分頃から一八時頃までの約一時間半にわたり、X1との接見を申し入...
《解 説》
一 本件は、弁護士である原告が、被告東京都に所属する警視庁機動隊員により現行犯逮捕されたことにつき、右逮捕が違法であることを理由として、被告東京都に対し、慰藉料金一〇〇〇万円の国家賠償を請求し、右請求の一部(金一〇〇万円)が認められた事案である。
事案の概要は以下のとおりであ...
《解 説》
株式会社X1~X4は、取締役B、C、Dに対する役員報酬を損金に算入して法人税の青色の申告をしたが、B、C、DはXらの代表取締役(一部のXについては平取締役)であるAの未成年の子であって、取締役に選任された当時B、Cは米国の学校に就学中であり、Dも日本の中学校に就学中であった等、...
《解 説》
一 Xら及びXの被相続人Aは、昭和三五年、Bとの間で、本件土地についての賃貸借契約を締結すると共に、Bは、Xらに対し、敷金及び保証金を差し入れた。昭和六〇年、Xらは、Cに対し、本件土地を右賃借権の負担のついたままで譲渡したが、その際、返還すべき敷金等の額が問題となり、当事者間で...
《解 説》
一 Xらは、いずれも茅ヶ崎市の住民であるが、同市の市長であるY1が、昭和六三年四月一日から同年一〇月三一日までの間、同市の市立病院事務長をY2茅ヶ崎商工会議所の理事に派遣しながら、給与等の支払をしたことが違法であると主張し、右派遣職員に支払われた給与等に相当する額の金銭を、損害...
《解 説》
本件は、東京貯金事務センターに勤務していた国家公務員が、遅刻と組合事務所入室による欠務を理由に賃金減額及び訓告を受けたのに対し、遅刻は通勤電車の遅延によるもので特別休暇又は年次有給休暇として処理されるべきものであったなどとして、減額分賃金と附加金の支払及び違法な訓告による慰藉料...
《解 説》
一 原告が勤務先の小学校でクラブ活動の指導としてまりつき跳び越し(あんたがたどこさ)の演技指導をしていたところ、ボールを跳び越えた後の着地に失敗し、右膝を捻挫した。その後、単なる捻挫としては痛みが激烈で、かつ、継続的であったため、種々の病院等を廻ったが、最終的に反射性交感神経性...
《解 説》
一 事案の経過
X(債権者)は業務用食肉等の販売業を営む小規模の会社であり、Y(債務者)は西成の企業労働者を中心に組織された労働組合でXの従業員も加入している。昭和六〇年年末の一時金要求闘争に端を発して多数の労使紛争が発生し、Yは昭和六〇年から昭和六二年にかけて地労委に対し七...
《解 説》
一 原告X会社内には、労働組合が三つ存在しており、X会社は、そのうち二組合には組合事務所を貸与したが、被告補助参加人Z支部には貸与しなかった。
Z支部は救済を申し立て、地労委は、X会社に対し、組合事務所をZ支部に貸与するよう命じる救済命令を発した。X会社は再審査を申し立てたが...
《解 説》
一 Yは、XがY組合のT支部における会計処理に不正・横領があると主張してその旨の文書を組合員に配布してY組合を批判し続けたり、Y組合の勧告を無視して警察署に告発行為をしたことが、Y組合の名誉を害し、統制を乱したとして、Xを、除名処分にした。本件は、Xが、組合員として当然の権利を...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年五月(後述する風営法は昭和六〇年二月施行である。)、Yが所有・経営するいわゆるラブホテルをYから買い受けたが、その際、「本件物件に関する営業権は、甲(Y)より乙(X)に名義変更される事を甲は確約する。」と特約した。その後、Xは手付金一四〇〇万円をYに支払った...
《解 説》
一 Xは、東京都中央区銀座で不動産売買及び不動産取引の仲介を業としている会社であるところ、平成二年六月、マンション分譲業者であるYから、東京都豊島区西巣鴨に建築中のマンション「メトロエステート西巣鴨」の五階の一室(床面積約五一平方メートル)を代金九三一三万円で購入したが、バブル...
《解 説》
一 Yらは、暴力団組長とその内縁の妻であり、Xらは、Yらの自宅(内縁の妻の所有、本件建物)の周辺住民である。
二 Xらは、本件建物の構造、建築の経緯、Yらの言動等から、本件建物が組事務所ないし組活動の連絡場所として使用されることは明らかであり、その場合、Xらは平穏な生活を脅か...
《解 説》
Xは、京都市の不動産会社の社長であり、京都市で寺院の拝観停止問題にまで発展した古都税反対運動に深く関与していたものであるところ、Y1社が発行する月刊「現代」(編集人Y2)に記者Y3が執筆した「清水、金閣を手玉にとった男、怪商Xが京を牛耳る」との表題でXの反対運動を批判する記事が...
《解 説》
一 Yは、その発行する写真週刊誌「フォーカス」平成四年一月二四日号に、妻に対する殺人被告事件等の刑事被告人の立場にあるXが未決勾留中の拘置所から裁判所に護送される途中の写真を掲載し、右写真と共に、「“ロス疑惑”三浦和義被告の正月―民事訴訟は連戦連勝」との見出しを付した記事を掲載...
《解 説》
Xは、学習塾のフランチャイザーであり、平成元年六月、Yをフランチャイジーとして塾フランチャイズ加盟契約を締結した。Xは本訴において、同契約に基づき、入塾金(五割)及びロイヤルティー(月謝の二割)、講師に支払うべき給与と交通費の立替金の合計二五八万円余の支払いをYに求めた。Yは、...
《解 説》
平成二年に創価学会と日蓮正宗との間に数々の紛争が起きたことは周知の事実であり、本件は、その余波ともいうべき事件である。同宗末寺(住職Y)の信徒であるAは平成三年四月一九日死亡し、遺族XらがYに葬儀の執行を依頼して約二時間後にこれを撤回し、創価学会幹部Bを導師として葬儀を行った。...
《解 説》
一 本件事案の概要は以下のとおりである。
1 被告は、当時県議会議員の地位にあった原告について、朝刊の社会欄に、「県議、組長と灰色交際」「神戸区画整理事業めぐり」の見出しを付け、その下に原告の上半身の写真とともに、「個人の権利に絡む灰色交際。議員として軽率な行動」、「再開発事...
《解 説》
Xら八名の所有する各家屋は、京都市右京区内の風致地区付則第二項地域に近い第二種住居専用地域に所在するものであるが、隣接地上にYが地上七階建てのマンションを建築したため、建築中は粉塵、振動、騒音、悪臭の発生、交通の危険、プライバシー侵害、完成後は日照、眺望の侵害、災害の危険、プラ...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六二年二月当時五九歳の主婦であり、家事や農業に従事していたものであるが、右頚部に拇指頭大の腫瘤が出現し、痛みを伴うとともに大きくなる様子がみられたので、同月二七日、国立岩国病院で診察を受けたところ、上深内頚リンパ節の腫大と診断され、抗生物質及び抗炎症剤投与等の...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年九月、Yと婚姻し、その間に長男をもうけたが、平成三年六月、Yとの婚姻生活に耐え切れないとして、長男を連れて実家に帰るとともに、Yとの離婚を求める訴えを提起したが、その離婚理由として、Yは、婚姻当初からXとの夫婦生活を嫌い、特に平成二年ころからは全く夫婦生活を...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年九月一三日に死亡した訴外Aの遺言の遺言執行者として、裁判所において選任された者であるが、Aが昭和五九年一一月一二日付公正証書によりした「Aの財産全部を妻である訴外Bに相続させる」旨の遺言の執行のため、Aの所有であった本件土地につき相続を原因として所有権移転登...
《解 説》
一 Aは、Y1の実兄Y2が保有し、Y1が運転する普通乗用自動車に同乗中、Y1の過失により惹起された交通事故により死亡した。Aの父母X1、X2は、運転者Y1に対し民法七〇九条、保有者Y2に対し自動車損害賠償保障法三条に基づいて損害賠償を求めるとともに、Y2との間で自動車保険契約を...
《解 説》
一 被告人は、法定速度違反で検挙されたが、その当初から警察官が違反車両を混同誤認した旨述べ、違反事実を否認していた模様である。被告人は、原審での弁護人選任に関する回答書で弁護人の必要はない旨回答し、原審では、国選弁護人を付さないまま、取締りにあたった警察官二名の証人調べを実施し...