最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 甲事件は、Xらが、精神障害が存在せず、かつ、病院管理者による診断も保護義務者による適法な同意もないのに、精神衛生法三三条に定める同意入院の形式で宇都宮病院に違法に入院させられていたとして、Yら(Y1=宇都宮病院の医師兼管理者かつY2の理事、Y2=同病院の経営主体である医療法...
《解 説》
一 昭和三八年一一月九日午後三時一二分頃、被告会社三池鉱業所三川鉱第一斜坑において炭じん爆発が発生し、本件判決によれば、入坑者一四〇三名のうち右爆発自体による火傷や外傷により二〇人、爆発による一酸化炭素中毒によって四三八人が死亡し、八三九人が一酸化炭素中毒に罹患するという事故が...
《解 説》
一 原告らは被告経営の平安高校の高校生であった。平安高校のもと教論が成績評価に水増しした評定値を学習評定一覧表、生徒指導要録に記載し、内申書にもその旨改ざんして特別推薦制度を受けているR大学に提出した。これが発覚して同大学から特別推薦制度が打ち切られ、原告らはこれを利用すること...
《解 説》
一 Xは、寝装用品の販売等を目的とする株式会社Aの平取締役をしていたものであるが、A会社の接待交際費等としてクレジットによる多額の出費をし、A会社も平成三年二月に倒産して破産宣告を受けるに及んで支払不能になり、約一一六一万円の債務を負担しているとして、平成四年八月自己破産の申立...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
被告タクシー会社(Y)の労働協約においては、交番表(月ごとの勤務予定表)に定められた労働日数等を勤務した乗務員に対し皆勤手当(年度により月額三一〇〇円ないし四一〇〇円)を支給することとし、ただし、年次有給休暇(以下「年休」という。)等を取...
《解 説》
一 原告は、被告に長年勤務する従業員であるが、被告の経営権を巡る争いから、昭和五七年一月に役員を解任されるとともに従業員として受領していた基本給を一方的に減額され、同五八年四月にも基本給を更に減額された。そこで、原告は、平成元年二月二二日に、相当金の支払と基本給が右減額前の基本...
《解 説》
一 判示事項一について
Xは、換地予定地としての仮換地指定処分は換地計画決定基準を考慮して定められるものであるから、換地処分と仮換地指定処分とは内容において一致することが要求され、公益等の理由がある場合に一致しない処分が許されるが、本件ではその理由はない。そして、面積を四四・...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年六月当時、兵庫県立加古川北高等学校一年に在籍していたが、同月二四日、正規の体育水泳授業において、校内に設置されたプールのスタート台から逆飛び込みをしたところ、頭部をプールの底部に激しく打ちつけ、頚椎圧迫骨折、頚髄損傷の傷害を受け、上下肢不完全麻痺の障害者にな...
《解 説》
一 Xらの所有又は共有に係る本件各土地は、がけに隣接した一体としてみると比較的整った台形状の宅地であって、宅地造成等規制法三条一項による規制区域に指定され、また、兵庫県建築基準条例が定めている「がけ地に建築物を建築する場合には、がけの態様等又は建築物の用途、構造等により安全上支...
《解 説》
法人税法三七条は、寄付金の損金算入について、一定の画一的な基準により限度額を定めているが、その特例として、国都道府県に対する寄付金(同条三項一号)及び指定寄付金(同項二号)については全額の損金算入を認め、また、特定公益増進法人に対する寄付金(同項三号)について一般の寄付金と別枠...
《解 説》
一 本件は脳動静脈奇形の基礎疾病を有する深夜の定期便トラック運転者の定期便運転中のクモ膜下出血について、労災保険にいう業務起因性の有無が争いになった山口地判平2・2・28本誌七五八号二〇一頁の控訴審判決である(事案及び原判決の概要は原判決のコメントを参照されたい)。
二 労災...
《解 説》
一 X1~X5は、いずれも昭和五一年から昭和五七年にかけて、Yが経営する「知多カントリー倶楽部」の会員となった者であるが、昭和六〇年九月の九ホール増設に際しX1~X4が増設協力金を支払わなかったことから増設九ホールの利用について非会員として取扱われたため、増設九ホールについても...
《解 説》
一 Xは、平成二年五月当時、主として商品取引を営む会社のセールスマンとして勤務していた者であるが、同月二日、北九州市立八幡図書館に赴いて新聞の閲覧を申請したところ、その目的の新聞が特別閲覧室の木製棚の天板の上にあることが判明したため、右図書館の係員が持ってきた脚立に登って新聞を...
《解 説》
一 本件は、私製葉書業者九社が、国に対して、国がくじや図画等の付いた「お年玉付年賀葉書」やいわゆる「さくらめーる」「かもめーる」等(以下「本件官製葉書」という。)を四一円もしくは四三円で発売するのは、独占禁止法二条九項二号、公正取引委員会告示第一五号の六号の「不当廉売」、同法三...
《解 説》
一 昭和六三年七月二〇日から二一日にかけて広島県山県郡戸河内町一帯に集中豪雨が襲ったが、町長から住民に対し避難命令が出されたため、訴外A、B夫婦は、消防団班長訴外Cの運転する自動車に同乗して近くの西善寺に避難すべく走行中、国道一九一号線が陥没したため、右A、B、Cは、自動車もろ...
《解 説》
一 本件は、被告設置の県立高等学校における体育大会で八段の人間ピラミッドを実施することになり、授業時間に練習中、ピラミッドが崩れ、最下段にいたXが頚椎骨折等の傷害を負い、身体障害等級一級に該当する後遺障害が残ったので、八段ピラミッドの採用や指導について安全確保の義務等を怠ったと...
《解 説》
一 X会社の代表取締役Aは、平成二年一一月三日午後三時ころ、普通乗用車を運転して福井県今立町内を走行中、県道から幅員の狭い未舗装の農道に進入し、鞍谷川の河川管理道路を進行中、堤防を乗り越えて鞍谷川に転落し、死亡するに至った。
Xは、昭和六三年三月、Y保険会社との間において、被...
《解 説》
一1 本件は、自己所有地(七三三・八七平方米)上に園舎等を設置する幼稚園が、隣接する土地(二筆小計一六九二・九平方米、以下本件土地という)をその運動用地として賃貸借契約を結んだ場合に建物所有を目的とする賃貸借が成立するかどうかが争われたもので、調停による約定の賃借期間経過後に当...
《解 説》
X信用保証協会はYに対し、信用保証契約に基づき、一〇三万円余の求償金債権を有しており、第一審において昭和六二年二月二〇日、Y欠席によりX勝訴の判決が言い渡された。しかし、Yに右判決が送達されないうちにYは同年六月一〇日死亡した。Xは、Yの戸籍謄本を調べ、Yの子としてA及びZの二...
《解 説》
一 抗告人は、銀行を第三債務者とする預金債権の差押えを申し立てたが、その際、銀行の取扱支店を特定せず、差押債権目録に「第三債務者方の複数の支店に債務者の預金が存するときは、第三債務者における支店番号の若い支店から順次充当し」と記載して、これで債権の特定は十分であると主張して、債...
《解 説》
一 X(債権者)はY(債務者)に対する金銭消費貸借契約の執行力ある公正証書正本に基づいて、YのZ(第三債務者)に対する商品配送請負契約に基づく継続的な請負代金につき債権差押命令申立をし、請負代金全額につき同命令を得た。
二 これに対し、Yは執行抗告し、本件請負代金の実質はYと...
《解 説》
一 本件は、満員電車内で乗客のショルダーバッグ内から財布をすり取り窃取したとして起訴された被告人に対し、控訴審で破棄・無罪の判決が言い渡された事案である。
二 被告人は、被害者が「財布がない。」として騒ぎ出した時点で、右財布を所持していながらこれを秘し、電車が停まってドアーが...
《解 説》
本件は、深夜屋内に侵入し、睡眠剤(ハルシオン)を飲んで就寝したため抵抗することが極めて困難な心身の状態にあった被害者に、そのことを認識することなく、粘着テープで猿ぐつわをかませ、その両手首を後手に緊縛するなどの暴行を加えて姦淫し、負傷させた事案である。
当然、右暴行により被害...
《解 説》
本件は、府議会議員候補者の後援会事務局に所属する被告人が、未成年者二名を選挙運動に使用し、その報酬として七万三〇〇〇円余を供与したとして、公職選挙法一三七条の二第二項所定の未成年者使用選挙運動罪に問われた事件の控訴審判決である。
弁護人は、未成年者二名の行為は同項ただし書によ...