最も長い歴史をもつ判例実務誌
東京高裁昭和55年5月15日判決(東高時報31巻5号56頁、高検速報2427号、判タ426号196頁、判時980号135頁)
《解 説》
一 国家公務員の給与に関する人事院勧告は昭和四五年から同五五年までの間完全実施されていた。しかし、同五六年には指定職の給与の改定が一年遅らされ、一般職の期末手当及び勤勉手当は改定前の俸給等を基礎として計算され、同五七年には財政危機を理由に人事院勧告が完全凍結された。そして、同五...
《解 説》
一 本件の事案は、次のようなものである。
上告人柴沼弘道は、平成二年一二月執行の茨城県議会議員選挙に立候補し、県選挙管理委員会から当選人の告知を受けたが(以下この選挙を「本件選挙」という。)、県選挙管理委員会は、落選した他の候補者からの異議の申出を受けて、本件選挙における上告...
《解 説》
本件は、Aが、その所有する甲・乙不動産につき、Bの物上保証人として、Yのために共同根抵当権を設定し、次いで、甲不動産につき、Bの物上保証人として、Xのために根抵当権を設定していたところ、Yが乙不動産の根抵当権を放棄した後、甲不動産の根抵当権を実行し、その売却代金から配当を受けた...
《解 説》
一 本件の事実関係は、本決定自体に相当詳しく摘示されているが、要するに、潜水指導者として潜水技術の指導業務に従事していた被告人が、昭和六三年五月の午後九時ころ、和歌山県串本町の海岸近くの海中で、指導補助者三名を指揮しながら、本件被害者を含む六名の受講生に対して夜間潜水の講習指導...
《解 説》
一 事案の概要
原告らは、別件の民事訴訟において、長野市に対し地附山地滑りにより被った損害の賠償を求めているところ、平成二年三月七日、損害額の立証準備のため、長野市公文書公開条例五条一項に基づき、付近の標準宅地の災害前(昭和六〇年七月一日)の時点における価格と災害後(昭和六一...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年二月当時、栃木県立宇都宮南高校に在学し、同校野球部に所属していたものであるが、同月一七日午後、同校野球部練習場において、A監督立会指導のもとで野球部の練習に参加し、ハーフバッティング投手として投球したところ、打者Bが打ち返したボールを右側頭部に受け、頭蓋骨骨...
《解 説》
一 税理士であるXは、昭和六〇年分、昭和六一年分、昭和六二年分の各所得税申告に当たり、商品先物取引(以下「本件取引」という。)によって受けた損失を事業による損失であるとして事業所得から差し引いて確定申告をしたところ、税務署長Yは、本件取引が事業に当たらないから、それによる損失は...
《解 説》
一 平成二年六月二八日竣工した千葉県立銚子商業高等学校の柔道場及び剣道場には、判決理由記載の形状の棚(以下「本件棚」という。)が設置されていた。また、平成二年度、千葉県の公立高校で武道場を設置しているものにおいて、柔道場では二八・三パーセント、剣道場では四三・五パーセントのもの...
《解 説》
一 X(原告・被控訴人・附帯控訴人)は、昭和四三年四月から、Y(被告・控訴人・附帯被控訴人)の経営する保育園で保母として勤務している者であるが、昭和四五年九月ころから時々、肩や背中に痛みを感じ、昭和四七年四月ころから右腕と右肘の筋肉に非常な痛みを感じるようになったため、病院で診...
《解 説》
昭和五七年八月六日、人事院は一般職の国家公務員の給与を平均四・五八パーセント引き上げ、同年四月一日から実施するよう勧告を行った。しかし、給与関係閣僚会議は同年九月二〇日、人事院勧告の凍結を決定し、同月二四日、閣議決定は、国家公務員の給与の改定を見送り、地方公務員についてもこれに...
《解 説》
一 Xは石油のいわゆる業転取引を行う株式会社、Yは総合商社である株式会社である。
石油の業転取引では、石油商品を調達しようとする者と供給する者との間に、複数の業者が入り、連続した転売の形をとるが、このとき原発注者と最終売主とが一致して環状を形成してしまうことがある。本件で問題...
《解 説》
一 Xは、「小切手の割引依頼を受けたので、自己の取引銀行であるS銀行に依頼して小切手の支払人であるY信用組合に対し振出人Aの信用照会をしたところ、Yの担当者は、Aの決裁は順調である旨の回答をした。そこで、右小切手を割り引いたところ、Aは、その日に二回目の不渡りを出して倒産し、そ...
《解 説》
脳出血の患者が開頭による血腫除去手術を施行した後急性腎不全を併発し、人工透析のため転入院した先の病院で死亡した。本件は、患者の夫と子が、患者の死亡は転入院先の病院で診療に携わった医師の診療上の過失による、として損害の賠償を求めた事件である。
訴訟の初期の段階で、原告は、死因が...
《解 説》
一 X1とX2は、昭和五二年四月に婚姻した夫婦であるが、これより先の昭和五一年八月ころX1が妊娠したので、近くのA産婦人科医院で定期検診等を受けていたところ、昭和五二年七月七日、破水し、陣痛がはじまったので、同医院に赴いて入院し、分娩の準備を行っていたが、同月一一日に至っても陣...
《解 説》
一 Xは、建設業、駐車場の経営等を目的とする会社であるが、昭和四九年四月から昭和五三年六月までX会社に在籍した営業部長Aから特許を受ける権利を承継したうえ、Yにおいて、昭和五二年七月に出願して特許を受けた「傾床型自走式立体駐車場におけるフロア構造」の本件発明について、AがX会社...
《解 説》
一 建物所有を目的とする賃貸借契約について借地非訟手続が導入されて二六年になるが、その間には、条件変更の裁判を得ながら相当期間にわたり堅固建物の建築をしないで経過したとか、一旦は予定どおりの堅固建物を建築したが長期間を経てより規模の大きな堅固建物に改築する必要が生じたという事例...
《解 説》
超豪華マンション(販売価格一戸当り九億円から二六億円)の土地購入資金及び建築資金の融資を受けながら、完成したマンションについて約束の抵当権等の設定をしない債務者(所有者)に対して、債権者が強制競売の申立てをしたが、その申立て直前、債務者(所有者)は、第三者をマンション内に入れ占...
《解 説》
一 本件は、東証上場株式会社の取締役である被告人が、自社の売上に多額の架空取引による売上が計上されていたことなどを知って、自己が保有していた自社株式二万二〇〇〇株を右事実の公表前に売却し、いわゆるインサイダー取引をしたという事案であるが、昭和六三年の改正により新設されたインサイ...
《解 説》
一 本件は、甲山学園長の被告人Aと指導員の被告人Bが、同施設に収容されていた児童が殺害された殺人被疑事件につき保母Cを逮捕・勾留して捜査したことが違法であるとして提起された国家賠償請求事件の法廷で、保母Cのアリバイに関して偽証したとして起訴された事案である。偽証したとされる各証...