最も長い歴史をもつ判例実務誌
《解 説》
一 事案の概要
本件訴訟は、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)が福井県敦賀市に建設を予定している我が国で最初の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」について、その付近住民である原告(X)らが、被告内閣総理大臣(Y)がした核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(...
《解 説》
一 事案の概要
本件訴訟は、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)が福井県敦賀市に建設を予定している我が国で最初の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」について、その付近住民である原告(X)らが、被告内閣総理大臣(Y)がした核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(...
《解 説》
一 Xは、Yの前身である日本国有鉄道(昭和六二年四月一日日本国有鉄道清算事業団となった。)に雇用された職員であり、A鉄道管理局B電車区運転検修係の職務に従事していた者であり、昭和六〇年一一月当時、国鉄千葉動力車労働組合(以下「動労千葉」という。)B支部の執行委員であった。Xは昭...
《解 説》
Xは平成三年四月に施行された蒲郡市議選に立候補し、八二三票を得て当選した(次点者の得票は八一七・四七一票とされた)。右当選について二名から異議の申出がなされ、市選管は異議申出を棄却する旨決定したが、右二名からY(県選管)に審査の申立てがなされた。その結果、YはXの当選を無効とす...
《解 説》
Xは愛知県民であるが、愛知県公文書公開条例に基づき、会計検査院の局長が愛知県知事Yに対して発した「実地検査の結果について」と題する文書三通の公開を求めた。文書の内容は、会計検査院の局長からYに対し、児童扶養手当の支給、地籍調査・土地改良等の事業、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子...
《解 説》
一 本件は、インフルエンザ・ワクチンの予防接種により当時一〇歳の少女が国の行政指導に基づき、昭和四八年一二月町が指導したインフルエンザ・ワクチンの予防接種を受けたところ、高熱を発して脳炎により死亡したため、両親が国に対して損害賠償を求めた事案である。
一審では,接種と発熱・脳...
《解 説》
一 原告は、その所有農地を第三者に賃貸していたが、賃借人が無断で転貸もしくは賃借権の譲渡を行ったとして、昭和五七年一二月二九日、大阪府知事に対し農地法二〇条一項による解除許可の申請をした。しかし、右申請に対して応答処分がなされないまま八年以上が経過したので、平成三年五月一〇日、...
《解 説》
一 X1とX2の子A、Bは、平成元年五月当時、佐賀県神埼郡神埼町に居住していたが、同月二八日午後、友人らとともに近くの馬場川排水機場に赴き、門扉を乗り越え、フェンスの隙間を通り抜けて導入路に入り、アメンボ狩り等をして遊んでいたところ、Bが斜面を滑り落ちて沈砂池にはまり、これを助...
《解 説》
本件は、世田谷区の住民が、同区の資金前渡官吏である被告に対して提起した、地方自治法二四二条の二第一項四号の住民訴訟に関するものである。原告の主張するところは、次のとおりである。同区議会議長は、議会運営懇談会を歓楽街である新宿歌舞伎町のスナックで開催したが、これは社会通念上是認し...
《解 説》
JR東日本の職員に対する転勤命令が不当労働行為にあたるとされた事案である。
Xら三名は旧国鉄の職員であり、動労に加入していたが、動労が分割民営化反対の方針を転換したことに反発して、動労水戸を結成し、Xらはその役員に就任した。なお、Xらは人活センター(水戸駅北口駐車場)に担務指...
《解 説》
一 本件は、Y(被告、控訴人)から金銭を借用したうえ、自己所有の不動産について根抵当権を設定したX(原告、被控訴人)が、準禁治産者であることを理由に根抵当権設定契約を取消したうえ、根抵当権設定登記の抹消を求めた事案である。
これに対し、Yは、Xは民法の準禁治産者の制度を熟知し...
《解 説》
本件は鉄筋コンクリート造陸屋根六階建て区分所有建物の現物分割が求められた事案である。X(持分一〇〇分の一三)・Yら三名(持分一〇〇分の四〇が二名、一〇〇分の七が一名)の専有部分は同人らの所有土地上にあり、他に信用組合が専有部分を有しているが、その専有部分は同組合所有土地上に位置...
《解 説》
一 X1は、平成元年九月、不動産仲介業者の仲介により、訴外A所有の土地を代金一億六〇二〇万円で買受けることになり、X1自らが三〇〇〇万円を、X2が一億円を準備したが、国土法所定の手続が完了していなかったため、X1が売主Aに対して貸し付けることとし、その貸金債権を担保するため右土...
《解 説》
一 XはYに、東京都新宿区西新宿所在の土地を堅固建物所有目的として賃貸した。昭和六〇年五月一日以降の賃料は月額一一九万八五〇〇円であったが、Yが昭和六一年七月に本件土地上に建っていた建物を取り壊して地下三階付五階建のビルを建てたため、本件土地は小規模住宅用地としての税金の対象か...
《解 説》
一 Xは、昭和六〇年一一月当時、Y2地方職員共済組合の職員であったが、同月二七日の昼休み時間に実施された宮崎県本庁各課及び宮崎総合庁舎内の各出先機関対抗バレーボール大会に出場し、職員厚生課チームの補欠選手として、コートサイドで待機、観戦していたところ、コート外に向って跳ね返った...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年六月当時、東京都下大島町役場の職員であったが、同月二日の深夜、Y1~Y4の少年四名がバイク二台に分乗し、騒音を発しながら町内を走行していたので、「騒音がうるさい」などと注意したところ、バイクから降りてきたY1、Y2が、これに腹を立てて殴る蹴るなどの暴行を加...
《解 説》
一 Xは、主婦であるが、肩をはじめとして全身の痛みに悩まされていたため、昭和六三年七月一九日、Y3会社の経営する鍼灸院に赴き、同院においてY1から鍼治療を受けたが、その際、Xの項部に挿入された鍼が折れて約三センチの鍼が右部に残置されたため、日大病院にて鍼を摘出する手術を受けたも...
《解 説》
一 X1、X2の長男Aは、昭和六〇年一一月当時、私立灘高の生徒であったが、同校の校外学習行事の一環として実施された学年別遠足に参加し、六甲山の砂防堰堤の梯子を登っていた際、突然落下してきた落石を頭部に受け、頭蓋骨骨折、脳挫滅などの傷害を受けて死亡した。
そこで、X1、X2は、...
《解 説》
本件は、法定相続人のうちXら二名が共同法定相続人であるYら三名に対し、Yらは被相続人Aの遺言書を隠匿したから相続欠格事由があると主張し、YらがAの遺産につき相続権を有しないことの確認を求めた事案である。XらはYらに隠匿行為があったとする根拠として、Xら及びYらが弁護士立会いのも...
《解 説》
一 一審判決を見ていないので断言はできないが、控訴審判決の争点についての判断から推測すると、原告は貸金業者からの借受債権について、逆にいえば貸金債権について、商事債権に当り商法五二二条に定める五年の短期消滅時効にかかり消滅したとして、債務不存在確認訴訟を提訴したようである。
...
《解 説》
Xは昭和六二年一一月七日、Yとの間でX所有の建物が焼失した場合には火災共済金として一〇〇〇万円、動産特約共済金として五〇〇万円等の支払いを受ける旨の建物更生共済契約を結んだところ、同六三年一月一一日に至り右建物が焼失したため、Yに対し共済金として一九〇〇万円の支払いを求めた。こ...
《解 説》
Xら六名はY1生産森林組合の臨時組合総会の決議について、不存在確認、無効確認、取消しの各選択的請求及びY2ら一八名がY1組合の組合員でないことの確認請求の各訴えを提起した。本訴の最大の争点は、Y2ら一八名がY1組合の組合員資格(Y1組合の地区内に住所を有する個人で、林業を行うも...
《解 説》
一 南千住スカイハイツの所有者で構成する管理組合は、平成二年四月、総会決議に基づき、右ハイツの改修工事を行うことになり、その工事を建築会社に請負わせたが、右管理組合の理事長Yは、契約に反し、工事完成前に、右建築会社に対し、工事代金として一億七三〇〇万円を支払ってしまった。
そ...
《解 説》
Y1農協においては、平成四年五月一二日、正組合員総数の五分の一以上に当たる七五四名の同意があったとして農協法(平成四年法律第五六号による改正前のもの。以下、同様)三五条、四〇条に基づき役員の改選請求と二〇日以内の臨時総会の開催が請求され、さらに同月二六日、正組合員総数の五分の一...
《解 説》
Y水産業協同組合においては組合員の資格要件として、定款で「この組合の地区内に住所を有し、かつ一年を通じて九〇日をこえて漁業を営みまたこれに従事する漁民」と規定しており、さらに組合員資格審査規程において、準組合員として三年ないし五年経過後に正組合員として認めること、正組合員は一世...
《解 説》
一 本決定は、競売建物の占有が暴力団関係会社に移転され、又は移転されるおそれがあるとして、売却のための保全処分(民執法五五条一項)として、その暴力団関係会社に対して建物からの退去を命じ、債務者兼所有者等に対して占有移転禁止を命じたものである。
問題になった建物は、地下二階付き...
《解 説》
一 訴外Aは、Y銀行神戸駅前支店と預金取引をしていたが、平成三年七月二日、破産宣告を受け、Xがその破産管財人に選任されたため、Yに対し、預金の支払を請求したものであるが、Yは、平成三年六月二六日、YのAに対する貸金債権と右預金債権とを相殺したとして預金の支払請求を拒否したため、...
《解 説》
一 本件は、漁業・水産物の輸出入、さけ、ますの孵化及び養殖等を事業目的とするウタリ共同株式会社の代表取締役である被告人が、同社の監査役及び同社が傭船した動力漁船第二新博丸の船長らと共謀のうえ、北海道知事の許可を受けないで、平成元年一〇月二〇日ころから同年一一月五日ころまでの間、...
《解 説》
一 本件で起訴された事件は、空調会社の実質上の経営者である被告人が、(1)埼玉県上尾市の新駅開設にからむ代替地の買収につき便宜な取計らいを受けたことに対する謝礼として、上尾市職員に対し金一〇万円等を贈賄したというもの(以下「第一事件」という。)、(2)同県鶴ケ島町発注の建築工事...